教室では陰湿ないじめを受け続ける長門にとって、
SOS団の部室だけは唯一休息出来る場所であった。

放課後になり、部室にやってきた長門

いつもなら一番乗り・・・しかし今日は初めて見る人が既にいた

綾波「・・・・・・」
長門「(誰だろうこの人・・・)」
綾波「・・・・・・」
長門「・・・・・・」

ガチャ

ハルヒ「あ、ユキ来てたの?そこにいるのは綾波レイさん。なんとエヴァのパイロットなんですって!
無口キャラは二人もいらないから、ユキは今日からもう来なくていいわよ。」

唯一の居場所も、私にはもうない・・・



~放課後の文芸室~

ガチャッ

部室にはキョンのみで、机に突っ伏した格好でうたた寝をしていた

長門(寝ている。涼宮ハルヒという存在と常に行動をともにすれば、疲れるのだろう。」

キョンを起こさないように、静かに定位置のイスに座り本を読む長門

長門(ふぅ、今日はこの人以外誰も来ない・・・。それよりも少し冷えるのが気がかり。)

キョンが風邪を引かないようにと優しくカーディガンを掛ける長門


数十分後、目を覚ますキョン

キョン「寝ちまったか。長門だけか?ん、このカーディガンはお前が掛けてくれたのか、ありがとう。」

長門「べ、別にあんたのために掛けてあげたんだじゃないんだかねっ///」



女子G「え!?…な、なんですか?長門さん…」
長門「ゴミ捨て、手伝う」
女子G「ホント迷惑だからやめてもらえませんか…?
    は、話しかけないでください…」
長門「…」

数日後

女子A「Gなんか最近臭わない?ww」
女子G「え?そうかな?…わかんないけど」
女子B「あんた長門の臭いがすんのww近寄らないでよwwww」
女子G「え…そんな」
女子C「ほらほらwwキモいって!あっちいけよwww」
女子G「う…」

長門「…」



長門「・・・」

この地球という惑星の有機生命体は必要以上に馴れ合う事を望むようだ。
部室の窓枠から眺める中庭には少数のグループが色とりどりの食事を囲んでいる。

長門「・・・」

決してその者達を羨望の眼で見ているのではない。
ただ、何故むざむざ限られた時間を他人と一緒に居る事に使うのか、依存するのか、私には分からない。

決して羨ましいという訳ではない。
ただ、何故そうするのか気になるだけ。
そう、それだけ。

長門「・・・?」

ふと顔を見上げるといつのまにか彼が何故か彼が来ていた様だ。

「あーっ・・・ここで飯食っていいか?教室で食ってたらハルヒが五月蝿いんだ。」

そうやって引きつった顔をしながら微笑む。
何故か私の胸のつかえが和らいだ気がした。



ハルヒ「みんな遅いわね~!今日は用事あるから私は帰るわ!」

―――ガチャ
キョン「なんだ、長門。お前だけか?」
長門「………コクリ」
キョン「そうか。じゃまた明日」
―――ガチャン

―――ガチャ
古泉「おや、長門さんひとりですか」
長門「………コクリ」
古泉「では、また」
―――ガチャン

―――ガチャ
みくる「長門さんひとりなんですか~?」
長門「………コクリ」
みくる「じゃあ今日は帰りますね~」
―――ガチャン

長門「………(………私じゃダメなの」



女子K~P「今日はどうやってあの本の虫で遊ぼうかしら・・・・」

ガラガラ

教室のドアをあけるとそこには・・・・・・・・



身長2M 体重150㌔の マッスゥル長門が!!

マッスゥル長門「Hey Girls It,s show time!!!」

その後は語るまでも無い

女子K は首をネジリとられ胴体が行方不明
女子L は精神病院で「足音が聞こえる」と言い残した後に行方不明
女子M は両親と妹と家庭教師が行方不明 
女子N は樹海で行方不明
女子O は毎日悪質なイタ電がつづいて引っ越すはめに・・・
女子P はスカイダイビング中に行方不明


マッスゥル長門「オレガ正義DAあああAあAAAA!!!!!!」



長門「あっ・・・!?」

長門はいつものように席に座ったつもりだった。
しかしなぜか椅子にオセロが置いてあり、長門はそれを崩してしまった。

キョン「あ・・・それは」

どうやらキョンと古泉が対戦中のオセロだったのだが、途中でやめて置いておいたものらしい
机に空きが無かったため、椅子に置いたようだった

古泉「いけませんねー長門さん。あなたはオセロを崩すことで、対戦に使った今までの時間を僕達から奪ったばかりか、これから白熱する楽しい時間まで奪ったのですよ」
長門「・・・ごめんなさい」
キョン「おい、あれ俺が角4つ取ってたぞ?」
古泉「長門さんを庇う必要はないですよ!そうですね、長門さんには罰として、窓から『びっくりするほどユートピア』と3回、大声で叫んでもらいましょう」
長門「・・・そんな」
古泉「おや?あなたはそれほどの罪を犯したはずですが?」

そこまで言われると、長門はうつむき加減で窓を開けた

長門「びっくりするほど・・・ボソボソ」
古泉「ダメですね~、何を言ってるか分かりませんよ」
長門「びっくりするほどユートピア・・・」
古泉「声が小さすぎますね。長門さん?あなたは自分がしたことを分かっているのですか?オセロをぐちゃぐちゃにしたんですよ?」
長門「・・・ううっ」

長門はついに泣き出してしまった

古泉「ほらがんばって!オ・セ・ロ!オ・セ・ロ!」
長門「びっくりするほど・・・ううっ・・・びっくりするほど・・・ひくっひくっ」



久々の街中不思議発見ツアーでクジの結果キョンと長門はペアになった

キョン「よーし、じゃあどっから不思議探すか~?」
長門「・・・」
キョン「あっちのデパートとかよくないか?」

フルフル、わずかに首を横に振る長門

キョン「じゃああっちの小川かな~?」

フルフル

キョン「じゃあ、向こうのスーパーが怪しいかもな!」
長門「・・・・・・。」

一瞬沈黙が流れる

キョン「嘘だよ。図書館行きたいんだろ?」

キョンが笑いながら長門の方を向くと長門は少しふくれた顔ですたすたと歩いていってしまった

キョン「おい、長門!まてよ~!」

もちろん図書館の方にむかって



谷口「くっ!なんて締まりがいいんだ!」
キョン「体ごともっていかれそうだ!うっあああいくう!」国木田「あふぉっ!」
長門「・・・ユニーク。」


シン○○ー社エレベーター



いつ頃からだっけか?
SOS団が結成から1年半以上経った今
俺と長門は付き合っていた
ちなみに部室には二人しかいない

長門「何見てる?」

長門はそういいながら俺のパソコンを覗き込んだ
俺の視線の先にはMIKURUフォルダ・・・

キョン「うわっ!これは!」
長門「・・・」

長門は顔を強張らせると俺からマウスを奪い、フォルダをさっとごみ箱にいれた

キョン「有希・・・怒った?」

長門は何も答えないどころか、そっぽを向いて俺の顔すらみない

キョン「まったく・・・しかたないな」

そういうと俺は、ごみ箱の中のMIKURUフォルダを元の場所に戻し、それを開いた


キョン「ほら、中身見てみろよ」

俺がMIKURUフォルダを開くと、中からは俺と長門が二人で映っている写真や、長門だけが映っている写真が出てくる
付き合ってから撮った写真たちだ

キョン「ふふっ、なに勘違いしてるんだか」
長門「・・・」

ギュッ!!

俺の背中に強い衝撃がはしった

キョン「いてえっ・・・!!!!」

長門におもいっきり背中をつねられた
それでも思わず笑いがこみあげてしまった
こんな意思表示をする長門を、昔の俺が想像できただろうか?いや、とてもだね

キョン「ははっ!楽しいな、有希」
長門「・・・もう」



ある日、なんとなくだが俺は長門をいじめてみたくなった
長門はまともに料理をしないしな、ちょっといじってみるか

キョン「そういえば、みくるさんはとぼけてるけど結構料理うまいらしいぞ」
長門「・・・そう」
キョン「ハルヒも鍋だけど、あれはうまかったもんな~」
長門「・・・」
キョン「やっぱ女の子は料理が上手い子がいいよな~」
長門「・・・そう」
キョン「あれ?そういえば長門ってはじめて俺にだしてくれた料理なんだっけ?」
長門「・・・」

別に怒ってないように見えた長門だったが、
この日をさかえに、毎日帰りに手料理の夕飯を食わされることになった
いや、嬉しいけどな



ハルヒ「みんな!新しい部室が見つかったわよ!」
キョン「なんだ急に。」
ハルヒ「冷暖房完備で広さはここの2倍よ!」
キョン「そんな部屋がこの学校にあったとは驚きだな。」
ハルヒ「いいから早く移動するわよ!あ、有希、今までありがとね。あなたはここに残っていいから。」
古泉「長門さんは元々文芸部員ですしね。」
みくる「仮団員お疲れ様でした♪」
キョン「これで一人でゆっくり本が読めるな、長門。」

長門「………」



朝、登校
靴を履き替えようとするも、内履きは無く汚物
仕方なく靴を持ち、来賓用のスリッパで教室へ

教室について席を見る
椅子の上には濡れた雑巾、机の上には動物の死骸
濡れた雑巾をどけると下には画鋲
動物の死骸をビニールで包み、中庭へ埋める
戻ると再び椅子に雑巾、机の上には色あせた「死ね、ゴミ、etcetc」の上に
「外道」「鬼畜」「精神異常者」「カルトは死ね」の文字

A「きもーい・・・」
B「最悪ぅ・・・」
長門「・・・」

黙々と椅子を掃除し、机はそのままに授業開始

実験を行う授業、別教室へ移動してグループ分けをして着席
ガスバーナーを使用した実験

C「こうして、こう緩めて、こうっと」
長門「・・・あうっ!」
D「おし、ついたついた」
長門「つっ!」

ガスバーナーに火をつける時、故意にこちらへ向けられて腕を火傷
更に火がついたままのマッチを投げられて火傷

雨が降ってきた


教室に戻り体育の準備
雨が降って来たので体育館での授業
体操服に着替えて体育館へ

バトミントン、顔に向かってシャトルが飛んでくる

E「ほらっ!そーれ!」
F「いくよー!」
G「あっ、すべったぁ」
長門「ぐっ!」

ラケットが高速で腹部に直撃

体育から戻ると制服が無い
探すがどこにも無く、時間が無いのでそのまま授業を受ける

先生「おい長門、なんだその格好は」
長門「・・・制服がなくなりました」
先生「なに?もう少しマシな言い訳したらどうだ」
長門「事実です」
先生「もういい、廊下で立ってろ」
長門「・・・」

クラスメイトの嘲笑を受けながら廊下へ



長門「私は対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース」

キョン「は?」
みくる「何言ってるんですかぁ?」
古泉「最近暑くなってきましたからねぇ。」
ハルヒ「有希、あんた明日から来なくていいわ。」



長門「話を聴いて欲しい・・・」
生徒A「は?何こいつきもーい」
長門「友達になって欲しい」
長門「え?でもあたしでいいの?」
長門「うん。あなたじゃなくちゃダメなの」
長門「しょうがないなー。あたしでいいんなら、これからもよろしくね!」
長門「うれしい・・・ありがとう・・・よろしくね」

生徒A~E「( ゚д゚ ) 」



長門「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」
ハルヒ「ちょっと有希、そのわけわかんない呪文唱えるのやめなさいよ!」

キョン「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」
ミクル「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」
古泉「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」

ハルヒ「ちょwwwwwみんなwwwwww」



A「長門ってキモくなーい?」
B「マジキモイよねーwww」
C「なんで生きてるのって感じじゃない?」

長門「……快感」



A「おい長門、お前くせぇんだよ!」
B「目障りだから消えろよ!」
長門「………」
A「おい何とか言えや!」

C「お前らやめろよ!長門さんをいじめるな!」


長門「……(チッ、邪魔しやがって)」



今日は長門が俺の家にやってきた

キョン「ただいまー」
長門「・・・おじゃまします」

すると妹が二階からかけ降りてきた

妹「お兄ちゃん御帰り~!!あれ?有希ちゃん?」

そうか、こいつには言ってなかったな

キョン「ああ、俺とゆ・・・長門は付き合いはじめたんだ」
妹「そうなの!?」

長門を睨みつける妹・・・なんだかなぁ

妹「でもキョン君は私のだから!」
キョン「おいおい・・・」
妹「有希ちゃんみたいに本ばっか読んでる根暗にはあげないんだからね!」
妹「それに胸もないし愛想もないし!キョン君には不釣合い!」
長門「・・・(これもまた快感)」
キョン「あ、あのう・・・?呼吸荒くなってません?」

新ジャンルってこうですか?
わかりません><



ハルヒ「有希!!何遅刻してんのよ!」
キョン「長門最近おかしいぞ?ちゃんとしろよ」
長門「・・・(ああ・・・いい・・・)」
ハルヒ「なんか変じゃない?有希」
古泉「説明しましょう。長門さんはクラスで苛められたことをきっかけにMに目覚めてしまったのです。ずばり今もご満悦といったところでしょう」
ハルヒ「うわっ・・・キモッ!」
キョン「最低だな・・・」
みくる「長門さん・・・不潔です!!」
古泉「全くですね」
長門「・・・(あああっ!!いい・・・!!もっといい・・・!!濡れちゃう!もっと罵倒して!!)」



キョン「・・・だれも来ないな」
長門「・・・」
キョン「帰るか・・・」
長門「・・・」
キョン「長門、それじゃ、な」

そう言ってキョンは部室の外へ

長門「・・・、一緒に、図書館の約束・・・」

少し寂しそうに立ち上がり、部室の電気を消して玄関へ

キョン「お、やっと来た」
長門「あ・・・」
キョン「俺、返す本を教室に忘れてたから先に出たんだけど」
長門「・・・」
キョン「長門来ないから忘れたのかと思って焦った・・・」
長門「・・・忘れない」
キョン「分かってる、反応してくれないからちょっとイタズラしただけだ」
長門「・・・」
キョン「さ、さて、図書館閉まっちまうから行こうぜ」
長門「・・・」

その後、少しだけ寄り添う距離を縮めた二人が
穏やかな雰囲気の中で歩みを進めていた



ピンポーン
長門「?」
キョン「お、おぅ、長門・・・俺だ。近くまで寄ったもんだからさ、お茶でも飲ませてもらおうかなって・・・」
長門「・・・」
キョン「・・・ダ、ダメか?」
長門「入って」

キョン「すまないな、急に尋ねてきたりして」
長門「・・・いい」
コトッ
キョン「おぉ・・・ありがとな」
長門「・・・」
キョン「・・・」
長門「・・・それ何」
キョン「あ、あぁこれか?これはツタヤで借りてきた映画だよ」
長門「・・・映画」
キョン「・・・長門は映画とか見ないのか?」
長門「(こくっ)」
キョン「じゃあ、一緒に見るかこれ。アクション系だから退屈しないと思うぞ」
長門「・・・そのディスクを読み取る装置と映像出力装置、モニターは所持していない」
キョン「あ、そういやそうだったな・・・」
長門「・・・」
キョン「そうだな・・・俺んち・・・来るか?」

長門「・・・(コクッ)」


~キョン部屋~

キョン「どーぞ」
長門「・・・」
キョン「・・・なぁ長門」
長門「?」
キョン「鍵・・・閉めてもいいか?」
長門「?」
キョン「いや、あの・・・妹が入ってきたら困るだろ?」
長門「・・・別に構わない」
キョン「・・・」
長門「どちらでもいい」
キョン「お、おぅ」

カチャリ


キョン「(けっこー熱心に見てるな・・・)」
長門「・・・」
キョン「ふわぁ~っ・・・」
長門「・・・」
キョン「なぁ長門、これおもしろいか?」
長門「・・・」
キョン「(無視かよ!)おーーい・・・」
チラッ
長門「静かに」
キョン「あ、あぁ、ごめんな・・・」
長門「・・・」
キョン「・・・」


ユサユサ
キョン「・・・んっ・・・な、なんだ?な、長門?」
長門「・・・終わった」
キョン「え?もしかして俺・・・寝てたのか?」
長門「(コクッ)」
長門「ずっと寝てた」
キョン「・・・すまん」
長門「おもしろかった」
キョン「へ?」
長門「映画・・・とても」
キョン「そ、そうだったか!じゃあまた今度見るか?」
長門「(コクッ)」
キョン「(長門が興味示すなんて・・・珍しいな)」

長門「何か・・・お礼がしたい」
キョン「ん?」
長門「・・・」
キョン「あー・・・そんな気にすんなよ。長門には何度も命を助けてもらってんだからさ」
長門「気にしてない」
キョン「へ?」
長門「あなたの命を助けたことを前提にお礼をしたいわけでなく、この映画を見せてくれたお礼をさせてほしい、と言っている」
キョン「そ、そうか・・・」
長門「・・・(ジーッ)」
キョン「わ、わかったよ・・」
長門「・・・何がいいの?」
キョン「何がいいって言われてもだな・・・う~ん・・・」
長門「・・・(ジーーーーッ)」
キョン「え、えーと・・・なんかいい案でもあるのか?」
長門「ある」
キョン「・・・じゃあ長門に任せるよ」
長門「・・・了解」


長門「・・・」

ぎゅっ

キョン「っ!」
長門「・・・」
キョン「お、おい長門?」
長門「何」
キョン「こ、これは・・・?」
長門「映画のラストシーン」
キョン「あ、あぁ・・・そういうことね。」
長門「主人公・・・喜んでたから」
キョン「でも、座りながら抱きついてはいなかっただろ?」
長門「・・・」
キョン「・・・まぁいいけど」

長門「・・・(ジーーーーッ)」
キョン「えぇと・・・ラストシーンには、まだ何かあったりするのか?」
長門「(コクッ)」
キョン「・・・・・・す、するか」
長門「・・・」

長門「あなたがしたいなら」
キョン「・・・い、いいのか?」
長門「(コクッ)」

キョン「じゃ・・・するぞ?」
長門「・・・」
キョン「え~と・・・あの・・・」
長門「何」
キョン「目、閉じてくれ・・・集中できん」
長門「・・・了解した」
キョン「んっ・・・いくぞ?」
長門「・・・」

チュ

長門「・・・んっ」
キョン「・・・」



今日も俺はSOS団の部室にやって来たのだが
キョン「まだ誰も居ないのか。」
そう呟いて椅子に座った時。

ジャーン!ジャーン!ジャーン!(がちゃ)
キョン「げぇっ!長門!」
長門「…。」
キョン「あ…すまん、つい…。」
長門「落ち着いて。これは急進派の罠。」



女子C「クスクス、また長門さん一人で本読んでるわ~」

女子D「あんな青春で面白いのかしら~、クスクス」

女子E「シッ!長門さんにきこえちゃう、クス」

女子F「クスクス、ほらなんかこっち見てるわよ~」

長門「よい教科書だな、少し借りるぞ」

少女C~F「凄ぇ、あの長門、落ちながら戦っている…」

古泉「うおっ、まぶしっ」



女子C「クスクス、また長門さん一人で本読んでるわ~」

女子D「あんな青春で面白いのかしら~、クスクス」

女子E「シッ!長門さんにきこえちゃう、クス」

女子F「クスクス、ほらなんかこっち見てるわよ~」


ハルヒ「みんな!新しい部室が見つかったわよ!」
キョン「なんだ急に。」
ハルヒ「冷暖房完備で広さはここの2倍よ!」
キョン「そんな部屋がこの学校にあったとは驚きだな。」
ハルヒ「いいから早く移動するわよ!あ、有希、今までありがとね。あなたはここに残っていいから。」
古泉「長門さんは元々文芸部員ですしね。」
みくる「仮団員お疲れ様でした♪」
キョン「これで一人でゆっくり本が読めるな、長門。」

長門「………」

長門(ふ……計画通りだ…これでこのノートの価値も分かってきた。)

そしてその夜、長門は一人暗い自宅で黒いノートに女子達やハルヒ達の名前を書いていた



女子C「クスクス、また長門さん一人で本読んでるわ~」

女子D「あんな青春で面白いのかしら~、クスクス」

女子E「シッ!長門さんにきこえちゃう、クス」

女子F「クスクス、ほらなんかこっち見てるわよ~」

長門「・・・」

―――「ドゴーン!」という爆発音、

イジめをする女子グループの姿は消えていた

メイトリクス「どこで使い方を習った?」

長門「・・・説明書を読んだのよ」



女子C「クスクス、また長門さん一人で本読んでるわ~」

女子D「あんな青春で面白いのかしら~、クスクス」

女子E「シッ!長門さんにきこえちゃう、クス」

女子F「クスクス、ほらなんかこっち見てるわよ~」

長門「・・・」

―――すると空から三つの火柱が女子達に降り注ぎ全てを消した

SDK「いじめっ子がいる限り、俺は何度でも現れる。」

長門「……別の封鎖空間から現れた存在を確認。」



赤く染まった空の下、本日のSOS団の活動を終えた長門は
ひとり帰宅の途についていた。
その歩を進める右足の膝には、今日の体育の授業のマラソンの時に
転んだ時にできた痛々しい生傷が残っている。
足の遅い長門は、前を走る他の生徒達に次々と追い抜かれ、
一周遅れにされていったが、その生徒達の中の一人が、
追い抜く際に、彼女のことを邪魔だと後ろから突き飛ばして転ばせたのだった。

(なぜ、クラスの人間達は私を拒絶する…
人間は自分達と異なる存在を否定する。
私が、読書行動ばかり取るのがいけない…
それとも、言語発声頻度が著しく低いのがいけない…
でも、そういった特徴を持った人間は他に何人もいる。
なのに、私だけ…
今日の持久競争だって、私は極端な位置にはいなかった。
私より後ろを走っていた人間も何人かはいたのに、
なのに…)

???「フギャッ!!」
長門「!」

そこで、突然足元から聞こえた奇声で、
長門は思考の世界から現実へと一気に引き戻された。
声の主は一匹の猫だった。
どうやら、ボーッと歩いている途中で、
道端で眠っていた猫の尻尾を踏み付けてしまったらしい。

猫「フシューッ!」

その猫は気が強いのか、逃げ出さずに尻尾を立てて威嚇している。

長門「………」

長門は、常人には見分けが付かないほど微妙な表情の変化だが、
普段よりほんの少し歪んだ顔で、威嚇している猫と向き合ったまま
しばらく固まっていたが、
やがて何かを思いつくとガサゴソと自分の鞄を漁り始めた。
そこから取り出したのは昼食の余りのメンチカツパンだった。
その端を千切って猫に差し出す。

長門「これ…」

パンを一瞥した猫は威嚇体勢を解かないまま、
ゆっくりと彼女の差し出したパンに近づいてくる。
そして…

猫「ガブッ」
長門「!」

猫が噛み付いたのはパンではなく、
パンを差し出していた長門の手だった。
そして、驚いて長門が落としてしまったパンの切れ端を
後ろ足で踏み付けると、猫は近くの草むらへと姿を消してしまった。

長門「………」

取り残された長門はその場で少しの時間立ち尽くしていたが、
やがてまた、夕焼け空の下をとぼとぼと歩き始めた。

題「ぬこにまで拒絶される長門」


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最終更新:2007年01月11日 23:58