それはまだ 私が思念体のいいなりだった頃
五月のとある木曜日に部室を占領されまして
こんな時に頼りになる彼が現れないかと
思ったところへ あなたが仮入部

すいませんねと謝るあなたの渋面 とても温かくて
うなじのところに毛の生えた黒子がありまして
しかたがないので買ったばかりの本に栞を挟んで
貸してあげたけど 手紙の方が良かったかしら

でも雑用具合がとても素敵だったので
そこは苦しい時だけの思念体だのみ
もしも もしも 出来ることでしたれば
あの人と しばらく一緒にさせてちょうだいませませ

ところが実に故障というのは恐ろしいもので
今年のクリスマス頃に 再構築した世界の私に 詰め寄って
あっこりゃまたすいませんねと笑う
首元から黒子毛が ヒラリン
夢かと思って ナノマシン注入したら夢だった

そんな馬鹿げた話は 今まで聞いたことがないと
涼子も江美里も死ぬ程に笑いころげる奴らでして
それでも私が突然 眼鏡を止めたものだから
あなた大丈夫かと おでこに手をあてた

本当ならつれて来てみろという リクエストにお応えして
一月のとある水曜日に 彼を呼びまして
自信たっぷりに紹介したらば 彼の脇腹に
穴がポカリン
あわてて 修復したけど しっかり見られた

でも雑用具合が とても素敵だわとうけたので
彼が気をよくして 急に
もしも もしも 出来ることでしたれば
この人をお嫁さんにちょうだいませませ

その後 私 気を失ってたから よくわからないけど
目が覚めたら そういう話がすっかり出来あがっていて
おめでとうって言われて も一度 気を失って
気がついたら あなたの腕に 仮入部


          元ネタは「雨やどり」

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