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放課後のこと、俺はいつもどうり無意味に長ったらしく感じる授業を終え、何をするわけでもないのに無駄にあわただしい連中であふれかえった教室を後にしようとしていた。

「一緒に部室に行きましょう!」
「すまん、今日はちょっと熱っぽいんだ。団活、休ませてくれないか?」

ハルヒは少し驚いた顔をしたが、すぐにいつもと同じ……でもないか。その表情は、俺のことを心配してくれているよう変化した。実際ここ数日は風邪の前兆みたいなものもあったし、何も悪いことをしているわけではないのに、どこからくるのか自分でも分からない奇妙な罪悪感に襲われる。お前はいつからそんなスキルを会得したんだ?

「キョンがいないのは寂しいけど…体が第一だもんね」
「ありがとうな、お前のそういうところ、前よりも女らしくていいと思うぞ」

ハルヒはまるで、年下の子供からの告白を無難に断るような笑顔を俺に向けると、胸を張り、それでいて凛とした歩き方で部室へと歩いていった。これでも俺も少しは変わったつもりなんだがな。


キョンと別れ、一人でたどり着いた部室には読書を嗜む女子高生の姿はなく、その代わりに北高でも屈指であろう、美男子の笑顔がわたしを迎え入れてくれた。

「どうも涼宮さん、今日もあなたはお美しい!」
「あ…ありがとう、古泉君。みくるちゃんと有希はまだ来てないみたいね」
「そうみたいですね。それより昨日の……」

古泉君はここ最近、女の子とよく話すようになった。前までのジェンダーフリーぶりも、あれはあれでどうかと思ってたけど、我慢のし過ぎでその反動がこれ…ってことなのかしら?
そんなことを考えていると、急に部室のドアが勢いよく開いた。

「古泉君!また涼宮さんのこと誑かそうとして!ああ~目の下にクマつくって、どうせ昨日もその机の上のゲームでキョン君に勝つ方法考えて夜更かししたんでしょう?進学クラスの一員として恥ずかしくないの!?」
「これはこれは朝比奈さん、今日も可愛らしいお姿で」
「ふざけてないで早くそこの椅子に座りなさい!同じ団の先輩として、今日はあたしがみっちり指導してあげます!」
「これは恐ろしい」

古泉君は肩を竦める得意のポーズでわたしに助けを求めてきたが、みくるちゃんの「あなたは黙ってて!」という視線に圧倒され、おとなしくいつもの定位置であるパソコンの前に座った。

「……そんなに怒らないで…。……古泉君もあまり夜更かしはしないほうがいい……」
「長門さんには敵いませんね」
「はい、ちゃんと集中する!」

有希は、部室の真ん中にある長机を挟んで議論(…というより一方的な演説ね……)を繰り広げる二人にお茶を出すとわたしが座る団長席にきた。

「……そろそろ団のサイトの扉絵を変えてもいいかもしれない…」
「…あ、ああ!そうね!」
「…何か手伝って欲しいことができたら言って……」

もしかしたら、わたしたち団員の中で一番変わったのは有希なのかもしれない。雰囲気とか、そういうのは前と同じなんだけど、なんか人と関わることを避けないようになったっていうか……。

「長門さん!本を読んでるだけならあなたも手伝ってください!」
「……私でよければ喜んで協力する…」
「おやおや、これはもうお手上げですね」

古泉君が誰がどう見てもお手上げには見えない0円スマイルでわたしにリアクションを求めてくる。こんな毎日が続くのもいいのかもしれない。不思議なんてものは、自分から探しにいかなくても、放っておいたらあっちから勝手にやってくるものなんだわ、きっと。この団員たちのことだって、まだまだ分からないことだらけだしね!でも不思議だって、どうせなら待っててくれてる人のところにいきたいわよね。そのためにこのSOS団があるわけだし……。さあ、こんなこと考える前に新しい扉絵を探さなきゃ!もっともっとたくさんの不思議を見つけるのよ!


――そんな、日常……

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