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この作品はフィクションであり、問題の選択肢は作者の思想・心情に全く関わりはありません。
 
 
 
「うーん、俺は1だと思うんだがな」
1枚の紙切れを見ながら、俺はそうつぶやいた。
「はあ、あんた何言ってんのよ! 2に決まってるでしょ!! そんなんだからあんたはいつまでたっても赤点ぎりぎりなのよ!」
「わたしも2が最も適切であると考える。加えて言うなら、この選択肢に出てくる”女性”とは、わたしのことであると思われる」
「あ、あの~、わたしも2じゃないかと思うんです。でも…、この選択肢の”女性”っていうのは、長門さんではなくてわたしのことだと……」
ギロリ
ハルヒと長門に睨まれ、朝比奈さんは、一瞬身体をビクッとさせた後、俺から目を逸らした。
「まあ、正答は2で間違いないわ。それと、この選択肢に出てくる”女性”は有希やみくるちゃんではないってことは確かね」
ハルヒが得意気にこう宣言する様子を、何か言いたそうな目で長門が眺めていたが、突然そこに第三の人物が割り込んできた。
「ちょ、ちょっと待ってくれないか! 涼宮さんともあろう方がこんな初歩的な問題を間違うなんて……これは誰がどう考えても3じゃないか。
どこをどう考えれば1や2といった選択肢が選ばれるのか、僕には理解できないよ」
「そうですよ、不適切な選択肢を除いていけば、自ずと正答である3が残るじゃないですか。意外にSOS団の皆さんは頭がよろしくないのですね」
佐々木が、ハルヒの選んだ選択肢が間違いであることを指摘し、正答を示すと、橘が佐々木の意見に追随した。
「な、あんた……」
「まあまあ、落ち着いてください、涼宮さん」
佐々木と橘の指摘を受けて、まさにハルヒが反撃に出ようとしたその時、出鼻を挫くように古泉が両者の間に割り込んだ。
「確かに涼宮さんが2をお選びになったのも仕方がないとは思います。しかし問題文をよく見てください。最も適切な選択肢を選べと書いてありますね。
つまり部分的に正しくても全体として見た時に、果たして選択肢の2が他の選択肢に比べて適切かどうかを判断すれば、2ではないという結論に達するはずです」
「そのとおりだよ! さすが古泉くんはわかってるね。だから選択肢は自ずと……」
「4になります」
佐々木の言葉を遮って、古泉は自分の選んだ選択肢を答えた。
古泉の回答を聞いて、ハルヒと佐々木は唖然とした表情で古泉を見た。
「そうだね、古泉くんの言うとおりだよ。一番適切な選択肢は4じゃないかなあ」
「そうだぜ涼宮、キョンが言うならまだわかるが、お前がこんな間違いをするとはなあ。テストでは毎回カンニングしてるじゃないだろうな」
部外者ふたりも古泉に賛同する。
ハルヒは周囲にいる一同の顔を見回した後、驚愕の表情でつぶやくように言った。
「信じられないわ……アホの谷口と谷口にアホをうつされた国木田はともかく、古泉くんまでアホの谷口と同じことを言い出すなんて……
もしかしたら北高の男子は谷口菌によるテロ攻撃を受けて、みんな谷口みたいにアホになっちゃったのかしら」
「ところで藤原、キミはどう思う?」
「愚問だな、4に決まってるじゃないか」
「あの、佐々木さん、質問する相手を間違えてますよ。彼に聞いても時間の無駄です」
しばらく奇妙な沈黙が流れた後、俺がボソッと
「1のような気がするんだがなあ」
とつぶやくと、ハルヒと佐々木が俺に必死の形相で詰め寄った。
「あんたまだそんなこと言ってんの! そんなわけないでしょ! 1なんて論外中の論外よ!! もし1だったらいますぐ校庭に出てみくるちゃんとふたりで裸でオクラホマミキサーを踊るわ!」
「そうだキョン! 1など絶っっ対に在り得ない! もし1だったら、僕は人里離れた山奥に移り住んで、二度とキミの前に姿を現さないよ」
俺の前にある長机をガンガン叩きながら、ハルヒと佐々木は俺に抗議の声を上げた。
「――――解答―――を――確認―――すれば――――――良い―――――」
九曜の言葉を聞いて、ふたりは冷静さを取り戻した。
「そうね解答をみればはっきりするわね。キョン解答を見てみなさい」
「ちょっと待って涼宮さん、あなたは今でも自分の答えが正しいと思ってるのかい」
「当然よ」
「じゃあ賭けをしよう、勝った方がキョ、ゲフンゲフン、負けた方は勝った方の言うことを聞かなければならないというのはどうだい?」
ハルヒは佐々木の言葉を聞いて、ちょっと考える仕草をした後、ニヤリと笑った。
「わかったわ。後で文句言うのは無しよ」
「おい、涼宮、もし俺達が正解だったらどうするんだ」
谷口が横から割り込む。
「4なんてありえないわよ、もし4だったらSOS団の誰とでもデートしていいわ」
「本当だな! 男に二言はないぞ!」
谷口が満面の笑みでハルヒに確認をとった。
ハルヒは男じゃないだろうとか、古泉が気色の悪い顔でこちらを見ているのはどういうことだとか、色々ツッコミを入れたかったが、それ以前に1だったらどうなるんだ。
そんなことを考えながら、おもむろに俺は解答を読み上げた。
「えーと、答えは5だ」
俺の読み上げた解答を聞いて、その場にいた一同は一瞬唖然とした表情で俺を見た後、俺のほうに詰め寄って来た。
「ちょ! キョン! あんた何言ってるのよ!! 頭おかしくなったんじゃないの!」
「キョン! いくら親友でも言っていいことと悪いことがあるよ! いくらなんでもそれは酷いんじゃないかな」
「あなたには失望した」
「酷いです。キョンくんがそんなことを言うなんて」
「な、正直、見損ないましたよ。いったい何を考えてるんですか」
「ちょ、酷すぎます。佐々木さんが可哀想だと思わないんですか?」
「おい、キョンよ、お前本気で言ってるのか? もしそうなら俺達の仲もこれまでだな」
「あんたはこの時間平面の人間の中で最高に愚か者のようだな」
「キョン、それはいくらなんでもおかしいよ」
口々に文句を言う面々に、俺の堪忍袋の緒はついに切れてしまい、机を叩いて立ち上がると、大声で怒鳴った。
「いいかげんにしろお前等!!! 文句があるなら出題者に言え!!」
ちなみに問題と選択肢は以下のとおりだ。みんなはどう思う?
 
 
ライトノベル作家、谷川流の作品「涼宮ハルヒの憂鬱」とその続編の要約として、次の選択肢から最も適切であると思われるものを選びなさい。
 
 
1.ごく普通の一般人であるキョンが、世界を改変できる能力を持った涼宮ハルヒに出会い、彼女の我侭に振り回されることで、非日常な現象に巻き込まれながらも、やがて非日常な現象に巻き込まれる生活を楽しんでいる自分に気づくことになる学園ストーリー
 
 
2.美しく聡明な団長、涼宮ハルヒの下に、世界の不思議を解き明かすため四人のメンバーが集い、やがてその中の一般人キョンがSOS団のメンバーの女性と恋愛を繰り広げることになる学園ラブストーリー
 
 
3.涼宮ハルヒの我侭に振り回される毎日に疲れ果てた一般人キョンが、中学時代の親友に再会し、親友との親交を深める中で、やがて中学時代に彼女に抱いていた感情が恋心であったことに気づき、橘京子の計らいでふたりが結ばれるという感動のラブストーリー
 
 
4.SOS団や佐々木団の女性陣の我慢に振り回される一般人キョンが、固い絆で結ばれた古泉や、しっかり者の谷口、聡明な国木田、頼りがいのある藤原の協力を得て、女性陣の無理難題を解決する男の友情を描いた物語。
 
 
5.ハルヒ、長門、朝比奈、佐々木、橘、九曜といった奇妙な言動や行動する女性やその他大勢の男性を描き、若く容姿端麗な女性であれば何をしても良いという見た目のみを重視した現代社会や行き過ぎたフェミニズムに警鐘を鳴らす問題作。

 
 
 

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