何時も通りの朝、少し早く目覚めた
運良く今日はSOS団の活動も無く、休日という事も相俟って二度寝する事に決め込んだ。
シュプリュルピュルルル~
妹の足音だ。
「キョンく~ん朝だよ~」
何時もの様に妹がジャンピングボディープレスを俺にかましてくる。
俺は膝を突き立て、妹の息の根を止める妄想をして為すが儘に受け止める。
「キョンく~ん電話だよ~」
そこをどいてくれ我が妹よ、ほら猫やるから
そう言って、俺の布団に潜り込んでいたシャミセンを妹に差し出す。
「・・・・・・・・」
え~っと、長門か?
「・・・・・・そう」
何か用か?
長門から電話を掛けてくるなんて、余程の事があったのだろうか?
「今すぐ来て欲しい。私のマンションへ。」
分かった。今すぐ行く。
俺は寝ぼけ眼を擦り、自転車に跨り長門のマンションへ急ぐ。
インターフォンを押すと、長門の声が聞こえて来た。
「・・・・・・入って」
で、何か問題でも起きたのか?
まあ、長門に解決出来ない問題があるとは思えないが、一応聞いてみる事にした。
「私に問題は起きていない」
ん?じゃあ何の用だ?
「貴方に問題が起きた」
俺に?俺は至って普通の健康優良児だが?何の問題もないぞ?
「正確に言うと、貴方の頭髪に問題が起きた」
俺のトウハツ?頭に髪と書いて頭髪か?
「・・・・・そう、貴方の頭髪が抜け始めている」
俺の頭髪が抜け始めている!?
俺は自分の頭を触ってみると何かモサッとした感触がした。
その何かを掌に包んだまま、恐る恐る確認してみると黒い塊があった。
全然気付かなかったけど確かに掌には毛の塊があったのだ。
冷静になれ俺!冷静になれ!
こうなった原因を長門に聞いてみる。
これもハルヒが原因か?
「そう、涼宮ハルヒが貴方の頭髪が無ければいいのにと願ったのが原因」
そういえば昨日、何時も通り団室で何時も通りボードゲームで
ニヤケ面相手に白星の数を増やしてる時にハルヒはこう言ってた。
「あ~あ、キョンの髪の毛が無くなったら面白そう」
確かに言っていた。こんなふざけた願いも現実になっちまうのか!?
何か解決策は無いのか?
「今のところ解決策は無い」
このまま俺は禿てしまうのか・・・?
「・・・・その可能性が高い」
クソッ!!俺はどうすればいいんだ!!
「そんなに激しく頭を抱えると・・・」
モサッ・・・・・・・・
「・・・・・・私は構わない」
えっ?
「貴方に髪が無くても私は構わない」
そう言い放つ長門の漆黒に輝く双眸に見詰められた。
「・・・・髪が無くても貴方は貴方」
長門・・・・こんな俺でも構わないのか?
長門、好きだ・・・・・
「・・・・・・・私も」
長門、愛してる
「・・・・・・・私も」
 
と、言う夢を見た。
「それはそれは真に大変な夢でしたね」
時に、古泉?
「ん?何です?」
俺の頭を毛繕いするのはやめろ、気持ち悪い。
 
fin

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最終更新:2020年12月12日 08:13