谷口「頭の中には夢いっぱい。おならのにおいが部屋いっぱい」

 

谷口「どうも。”何周しても花嫁はフローラ”谷口です」

 

谷口「本日は近所のレンタルビデオ店からお届けしております」
国木田「お届けするのはいいけど、堂々と山積みでAVを持ってこないでよ」
谷口「おやおや、レンタルビデオ店アルバイターの国木田くん。お客さんに向かってそんな言い方はないんじゃないかな? かな?」
国木田「宜しくない行為をするお客さんをたしなめるのも、店員の仕事だよ」
谷口「たは! これは手厳しい! 申し訳ない。実に申し訳ない。反省いたしました」


国木田「分かってくれればいいから。土下座はやめてよ。ものすごい当てつけがましいよ」
谷口「いやはやどうも」

 

谷口「それじゃあ、和やかな空気になったところで。手早く商品を袋につつんでくれたまえ」
国木田「ぜんぜん反省してないよね、キミ」
谷口「バカになっちゃうわよ!?」

 

国木田「このビデオは18歳未満貸し出し禁止なんだよ。分かってる?」
谷口「なんだよ国ちゃん! 堅苦しいこと言っちゃってさ! 俺たちもう高2なんだぜ? 1歳2歳の年の差でガタガタ言うなよ。女性を年齢で判断するなよ」
国木田「誰も女性の話はしてないよ。キミが18歳の年齢制限に引っかかってるっていう話をしてるんだよ」

 

谷口「だから、カチカチに堅い話は抜きにしようぜ。19歳の大学生が居酒屋に入ったって誰も咎めないだろう? 世の中そんなものなんだって」
国木田「そりゃ僕も、キミがAV借りようがAI借りようが興味ないからどうでもいいけどさ。せめて私服で借りにきてよ」
谷口「馬鹿野郎。俺たち北高生にとっちゃ、制服も私服の一部だろうよ」
国木田「そんなわけないでしょ。制服を着てる学生にアダルトビデオを貸し出したなんて、処罰の対象になっちゃうよ」

谷口「なんだよ。まったく根性なしだな」
国木田「根性とか気合の問題じゃないから。せめて私服に着替えてから改めて来店してくださいね、お客様」
谷口「私服?」


谷口「絶対だな! お前、俺が私服に着替えてきたら、絶対この 『亀頭サスペンス巨乳ねぶた祭強姦事件~婦警淫乱物語~』 を貸してくれるんだな!」
国木田「大声でタイトルをフルネームで紹介しなくていいから。早く行ってきなよ」

 


~~~~~

 


谷口「はあはあはあ!」
谷口「今私服に着替えて帰ったぞ! お風呂にしますかご飯にしますかそれともわたし!?」
国木田「あ、おかえり」

 

国木田「悪いね、谷口。ついさっき、キミが借りようとしてたビデオ、借りられちゃったんだよ」
谷口「ななななんだって!?」 ガーン


国木田「ごめんね。うちも客商売だからさ。こういうのは早い者勝ちなんだ。1週間後にまた来てね」

谷口「う……うぅ……うわああああああああん! ぎゃああああああおん!」
国木田「ちょ、ちょっと谷口!? カウンター前で泣き崩れないでよ!」


谷口「ぐにぎだのばがやどー! 亀頭サスペンス巨乳ねぶた祭強姦事件婦警淫乱物語はおでが借りるっていってだのにいいぃぃぃ!」
国木田「やめてよ、恥ずかしいし営業妨害だから家に帰ってから泣いてよ」
国木田「って言うか高2にもなって、借りたかったビデオが借りられなかったからって泣かないでよ」


谷口「うおおおおおおん! うおおおおおおおおおおおおん!」

 


~~~~~

 


谷口「ということが昨日あったんだぜ!? どう思うよ!」
キョン「だからって、なんで文芸部室に来るんだよ」
谷口「だって。お前ら以外に愚痴れる友人がいないだもの。いたしかたないと思って諦めてくれ」


ハルヒ「いたしかたないワケないでしょ。邪魔だからさっさと帰りなさいよ」
谷口「これはなんという酷いお言葉! はあはあはあ」

ハルヒ「とにかく。うちにはあんたに吸わせる酸素はないの。とっとと出て行ってもらえる?」
谷口「じゃ、じゃあ、酸素以外のものなら吸わせてもらえるのだねセニョリータ! うふふふーん!」
ハルヒ「キョン、古泉くん、この生ゴミをしかるべき処分場まで捨ててきて」


古泉「了解しました」
キョン「おいおい。ゴミ処理場にゴミを持ち込んだら金がかかるぞ」
ハルヒ「そうね。そんなのにかけるお金なんてビタ一文ありはしないわ。しょうがないからゴミ捨て場に置いてきて」

みくる「この業者指定ゴミ袋に入れておかないと、収集車に持って行ってもらえませんよ」
キョン「ああ、そっか。じゃあその袋に……くそ、大きくて頭が入りきらないな」
谷口「はあはあはあ。どんどん僕の体の自由が奪われていく………はあはあはあ」


古泉「少しくらい出ててもいいでしょう。持って行きましょう」

 

 

~~~~~

 

 

谷口「というわけで、ゴミ捨て場にて放置プレーされているところを、あなた様に拾っていただいたというワケです」
鶴屋「勝手についてきたくせに」
谷口「このご恩は明日まで忘れません。どうぞこの家畜めになんなりとご用事を命じください。奉公させていただきます。ベベベ、ベッドの中までだっておおおおとも仕りまする」
鶴屋「うん、じゃあ帰って。そして二度と私の前に現れないでおくれ」


谷口「では、鶴屋さまにご奉公させていただく報酬として、亀頭サスペンス巨乳ねぶた祭強姦事件~婦警淫乱物語~のマザーテープを下賜くださいませ」
鶴屋「結局それが目当てなんだ。やだよ。もういいから帰っておくれ」

 

 

鶴屋「いや、待てよ。いいことを思いついた」


鶴屋「谷口くん。その、亀頭サスペンス巨乳ねぶた祭強姦事件だっけ? それをあげれば、何でもやるんだね?」
谷口「ええ。やらせていただきます。鶴屋様専用バター犬にだって身をやつす覚悟です。お金だって貸してあげますよ。利率は応相談ということで」
鶴屋「なにが悲しくてあんたからお金を借りないといけないのよ。しかも利子つきで」

 

鶴屋「私がSOS団を出し抜いてSS人気トップキャラになれるSSを作ってくれたら、AVでもUVでも何でもあげるよ」
谷口「マジすか!? そんな簡単なことでいいんスか!? ていうか、まだ根に持ってたんですね。相撲対決の時のこと」
鶴屋「簡単なこととは。言ってくれるじゃなのさ。じゃあ、早速お手並み拝見といこうかな?」
谷口「じゃあ、まずはこんなのはどうスか?」

 

 

 ~竹取物語~
あるところに貧しいおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんが山へ竹をとりに行くと、不思議なことに金色に輝く竹が生えているではありませんか。
おじいさんがその竹を切ると、中からは珠のように美しい女の赤ん坊が出てきました。
その子を鶴屋と名づけて育て始めたおじいさんとおばあさん。鶴屋はたいそう美しい大人へと成長を果たしました。
しかしある日、鶴屋は実は自分が月の世界の住人であることをおじいさんおばあさんに涙ながらに打ち明け、牛車に乗って月の世界へ帰って行ってしまいましたとさ。

 


谷口「どうすか!? メチャいい話っしょ。もっそ美人なんですよ? 絶対にウケますよ!」
鶴屋「……いや、なんて言うか……まんまじゃん。そのままかぐや姫じゃん。ストーリーもだけど、題名も。隠す気ないっしょ?」
谷口「あいたたた……。バレちゃいましたか! 実はこれすごい昔の御伽草子っていう話を元にしたストーリーなんスけど。やっぱ博学な鶴屋さまはご存知だったか!」
鶴屋「幼稚園児でも知ってるわ、そんなの!」
谷口「サーセンwww昔の話はおきらいですか?」


鶴屋「昔話でもなんでもいいけど、そのまんまだったらパクリ乙wwwで終わっちゃうでしょ。イメージ悪いよ。もっと現代風にアレンジしていかないと」
谷口「分っかりやした。じゃあ、こんなのはどうですか?」

 

 

 ~鶴屋さんと哀れな亀~
ある日鶴屋さんが海辺を歩いていると、数人の子供たちが亀をいじめて遊んでいるのを見つけました。正義感の塊が服を着て歩いているといっても過言ではない鶴屋さんは、助けに入りました。
子どもたちを追い払い亀を救った鶴屋さん。その場を立ち去ろうとした時、亀が立ち上がって鶴屋さんに話かけました。
命の恩人であるあなたをこのまま帰したとあっては、私の気がすみません。あなたさえ宜しければ、私がこの世のパラダイス、竜宮城へご案内しましょう。特にすることもなかった鶴屋さんは亀の運転する車に乗り込みました。
たどり着いた先は、高級ホストクラブ『竜宮城』。辛い憂き世の出来事をきれいに忘れさせてくれる桃源郷として有名なお店です。
亀を助けたお礼にと、歓待を受ける鶴屋さん。シャンパンのコルクが飛び交い、ドンペリがあふれんばかりに注がれたジョッキを右から左へ流してよこす歓迎ぶりです。
世界中の美男子たちが鶴屋さんの足元にひれふします。ミンクのコートにダイヤの指輪。もう鶴屋さんの手に入らぬ富などこの世に存在しませんでした。
そして鶴屋さんは竜宮城のトップホスト、前貼圭一と結婚し、末永く幸せに暮らしましたとさ。

 


谷口「どうっスか!? 非の打ち所のないハッピーエンドでゲしょう!?」
鶴屋「……いや、なんていうか。もうどっからツッコんでいいのやら。まず題名ね。題名が、起承転結の起の部分しか表してないんだけど」
谷口「それだけで十分っしょ? 要は内容スよ、内容。内容さえよければ、題名なんて議論の俎上にも上がらない瑣末な問題に過ぎませんよ」


鶴屋「なんで亀を助けてくらいで高級ホストになんて連れていかれるのよ。亀しゃべってるし」
谷口「詳しくは紹介していませんでしたが、亀は愛称で、本名は亀田弘一。前貼圭一に嫉妬心を燃やす店のNo.2の渋系ホスト、山岸修平の義理の弟という設定です」
鶴屋「どうでもいいわよ、そんな設定。あのさあ。そんなに無理矢理な話の展開じゃなくていいから。もっと自然で、それでいて万人に受け入れられるSSはできないのかな?」
谷口「一般認知度の高いジャンルの話っスか」

 

 

谷口「うーむ。そうですねえ。じゃあ、こういうのはどうですか? 魔法少女」
鶴屋「この年で魔法少女!? いや、それはちょっと……キツくない? 戦うウェイトレスどころの話じゃないっさ」
谷口「大丈夫っスよ。女子高校生なんスから、ギリでOKです。むしろ少女といいつつ、発育の良いこのナイスバディーというギャップがまた……うひ、うひひひ」
鶴屋「キモイって」

 

鶴屋「大体、何するの? 魔法の力で世界を救うとでも言うつもり? それは狙いすぎなんじゃないっかな?」
谷口「いえ。鶴屋さんにはもっと現実的なものと戦ってもらいます。そうすることによって、読者の共感をより得られるようにするという作戦です」
鶴屋「なにと戦うの? 暴走族とか?」
谷口「ニートやヒッキーを魔法のバトンで次々と更正させていくのです。まさに文字通り正義のヒロインでゲス。つまり、社会問題との戦いということですな」
鶴屋「……どんな魔法よ」

 

谷口「こう、ね。魔法のバトンを胸の前に水平に構え、それをバーに見立ててリンボーダンス。言葉だけに頼らない、身体を張った魔法に読者にも好印象」
鶴屋「読者に引かれる確率99%だと思うんだけど」
谷口「そんなワケないじゃないっスか! そりゃ多少エキセントリックな感じは否めませんが、それがいいんです! そこがまたストーリーのシリアスさに似合わぬ妙というものを生み出すんですよ!」
谷口「有職故実をモットーにしながらも、常にパイオニア的な存在であり続ける! それが僕の提供する新世紀の魔法少女、マジカル・ツルヤンなんですよ!」
鶴屋「ツルヤンとな!? なにその鄙びた感が漂っている、中途半端なアダ名的ネーミング!」


谷口「え、お気に召しませんでした? まあ名前なんてなんでもいいですよ。なんならマジカル・ツルツルとでも」
鶴屋「とことんネーミングセンスないね! ツルツル!? 私は幼児番組のきぐるみか!?」

谷口「いいと思うのにな……ツルツル。涼宮のアダ名もハルハルだし。ツルツル」
鶴屋「……なんで私のおでこを見ながら言う」
谷口「じゃあ、長門有希のアダ名の有希りんっぽいノリで。ツルリン」
鶴屋「もういいよ。そこから離れて。なんか魔法少女の愛称というより、毛がないイメージの方が強い気がするから」
谷口「マジカル・パイパン」

 


鶴屋「谷口くん。もうSSの件はいいからさ。あきらめるわ。そんで、キミはもっと別のことを頼みたいんだけど」
谷口「はっ。なんでござんしょ。パイパン様のご用達とあらば、なんなりと」
鶴屋「庭に穴を掘ってくんないかな? 1m50cmくらいの深くて狭い穴。生ゴミを捨てる用の穴なんだけどさ」
谷口「よろこんで! それでは、例のビデオの件。どうかよろしく……」

 

谷口「一生ついて行きまする!」
鶴屋「一生ついてこないで」
谷口「わかりました。部分的について行きます」

 


~~~~~

 


谷口「という経緯がありまして」


谷口「わたくし谷口は、鶴屋家の庭先に頭だけ出して埋まっているわけでございます」


みちる「……はあ。そうですか」

谷口「放置プレー。これが、パイパン様の愛の深さ。そう思えば、この苦行にもハアハアして耐えることができるのでございます」
みちる「とりあえず、ご飯たべますか?」
谷口「へえ、いただきます。ありがとうございます。毎日3食を持ってきてくださるみちる様のお優しい心遣いには感涙がとまりません」

 

谷口「ときに、みちるさん。今日で、何日目ですかいのう?」
みちる「ええと、私がこのお屋敷にやっかいになってから、4日過ぎていますね」
谷口「なんというロングスパンの放置プレー。ははん。さてはパイパン様はギネス記録を狙っておられるのですな。粋ですなwww」
みちる「それじゃ、私はこれで」

 

谷口「あ、みちるさん、ちょっと待ってください! もう一つだけお聞きしたいことがあるのですが」
みちる「はい?」
谷口「みちるさんは、一日にどれくらいいやらしい事を考えてるんですか? 2時間? 3時間?」
みちる「さようなら」
谷口「ああ、待って!」

 


谷口「………」

 

谷口「もうそろそろ、亀頭サスペンス巨乳ねぶた祭強姦事件~婦警淫乱物語~返却されてるかな」

 

谷口「ゲスゲスゲスwww」

 

谷口「頭かくさず尻かくし」

 

谷口「はあ………」

 

谷口「今回こそはハイソックスを召されたパイパン様の足で顔面を踏みつけられたかったのに……」

 


 ~おしまい~

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最終更新:2020年03月11日 00:34