今、俺たちはハルヒの家に居て古泉とボードゲームをしている。
そこ、耳を疑っただろう。大丈夫だ。俺もはじめて聞いたときは耳を疑ったね。
なぜハルヒの家にいるかというのを説明するとなると、この前の放課後にまで戻らなくてはならなくなる。
あれはちょうど1週間前のことだったはずだ。

俺は古泉とゲームをしていた。
朝比奈さんはいつも通りメイド服姿でお茶くみをしており、長門も本を読んでいる平和な日々だった。
しかし、その平和をぶち壊す奴がいる。
言うまでもないが、涼宮ハルヒである。
その日も、いきなりドアがバーンと開いたと思うと、こんなことをいってきた
「みんなー、来週の月曜にイベントをやるわよ!」
「ちょっと待て。みんな予定がないかどうかわからないだろ。」
「アンタはどうせひまなんでしょ。」
確かに暇だな。
「古泉君もみくるちゃんも有希も大丈夫よね。」
「ええ、大丈夫です。」
「わたしもその日は暇です。」
「・・・・・・。」
「ほら、大丈夫じゃない。」
でも一応確認しなきゃいけないんじゃないか?
「ところでお前は何をやるつもりなんだ?」
「来週の月曜って何の日だかわかる?」
「敬老の日ではないでしょうか?」
「さすが副団長ね。古泉君。」
「で、敬老の日に何をやるつもりだ。」
「敬老の日って言ったら、おじいさんやおばあさんじゃない。老人って言ったら、和風のものが思い浮かぶでしょ。」
思い浮かばん。それに、洋風が好きな人もいるだろう。
「というわけで、SOS団で和風を満喫するのよ。」
「この部室でやるのか?」
「違うわ。キョンの家で、と言いたい所だけど、今回はあたしの家でやるわ。準備もしてあるしね。」
なんだって?ハルヒの家だって?一体こいつには何が起こったんだ?
「キョン。今なんか言った?」
「いや、なんも言ってないぜ。」
というわけで、ハルヒの家で和風を満喫することに決まった。

当日、いつもの駅前に9時集合になっていたのだが、やはり俺が一番遅かった。
「遅刻!罰金。と言いたい所だけど、今回は許してやるわ。」
うん。絶対こいつはおかしくなっている。
「じゃあ、あたしの家に行くわよ。」
どうやらハルヒの家は俺の家と正反対の方向にあるらしいが、自転車ですぐに着いた。
ハルヒの家は俺の家と大して変わらない普通の家だった。
「じゃあ、キョンと古泉君は待ってて。あたしは有希とみくるちゃんと和菓子買ってくるから。」
と、ハルヒは言い長門と朝比奈さんを連れて行ってしまった。
「さて、ボードゲームを持ってきたので、これをやりながら涼宮さん達を待ちましょうか。」

というわけで冒頭の部分に戻る。
ボードゲームも既に終わってしまい、どうやって暇をつぶそうかと悩んでいたところハルヒたちが帰ってきた。
色々な袋を持っているところから、多くの店を回ったようだ。
「それじゃあ、はじめるわよ。」
そう言い、袋の中からいろいろなものを出していくが、半分ぐらいは和菓子だった。
「よく、こんなたくさんの店を知ってたな。」
「あたしは、和菓子が好きだからいろんな店を回ってるのよ。あと、あたしがこれから作るおはぎをあるわよ。」
と笑顔でいっていたハルヒの顔がいきなりまじめな顔になった。
なにかあったのだろうか?
「肝心な小豆を買い忘れたみたい。ちょっとキョン買ってきて。」
「何で俺なんだよ。」
「アンタは平団員でしょ。買ってきなさいよ。」
「俺は、この辺のどこにスーパーがあるか知らん。」
「じ、じゃああたしが案内してあげるから、アンタが支払いなさいよ。」
俺は、ハルヒとスーパーに行くことになったらしい。
なぜかハルヒはそっぽを向いていたが。
ハルヒの家は買い物の便に優れているらしく、10分ほど歩いたところでスーパーに到着した。
でも、このぐらいの距離ならハルヒが案内する必要はなかったんじゃないか?
小豆を買い、ハルヒの家に向かう途中
「あんた、おはぎって甘い方が好き?」
「そうだな。甘いほうが確かに好きだな。」
「そう、じゃあ甘くするわね。」
「甘くするって言っても、限度を考えろよ。」
「あたしがそんなアホに見えるの?」
と言いながらキックを食らわされた。
戻ると古泉が「仲がいいですね」などと言っていたが、当然無視だ。
おい、ハルヒ。なんで赤くなる?
「それじゃあ、キョンと古泉君は茣蓙を出したりして、部屋の準備をして。みくるちゃんはあたしを手伝って。有希もね。」
その後、食べた和菓子はうまいものばかりで、こんな店もあるんだなと思っていたが、一番うまかったのはハルヒのおはぎだ。
俺がリクエストした通り甘かったが、ちょうど良い甘さでそこらへんの店よりもうまい。
朝比奈さんのお茶も和菓子たちとよくあい、おいしいものだった。
ちょうど食べ終わり後片付けをしようというときにハルヒが俺のところに来た。
「どう?おはぎおいしかった?あんたのリクエスト通りにしてみたつもりだけど。」
「ああ、最高においしかったぜ。俺が今まで食べたおはぎの中で一番おいしかったな。」
「それはよかったわ。ところでキョン。今日解散した後、いったん戻ってきなさい。団長命令よ。」
片付けも無事に終わり、解散する直前に長門にハルヒが何をたくらんでいるのか聞いてみた。
俺も何が起こるか心配なんだよ。
「いったい、俺を戻ってこさせて何をしようとするんだ?」
「私にもわからない。ただ、涼宮ハルヒがあなたに悪影響を及ぼすことはないはず。」
「そうか。ありがとうな。」
「ただ、自分の気持ちに素直になって。」
長門も心配することはないと言っていたので、素直に戻ってくることにしよう。
ところで素直になるって何がだ?
ハルヒの家の周りはあまり入り組んだ路地などが無くて、迷うことなくハルヒの家に帰ってこれた。
まあ、普通は迷わないだろうけどな。
一体何の話なのだろうと思いながら家に上がっていた。
「ところで親は帰ってこないのか?」
「今日は出かけてて夜まで帰ってこないわ。」
「ところで話ってなんだ?」
「やっぱり私が考えていることはわかってないのね。鈍いわね。」
「お前に言われる筋合いはないぞ。」
と言いながらも近頃のハルヒはおかしいと思っていた。
いつもならこんな回りくどいことはしないし、自分の家にも呼ばず、俺におごりをさせるだろう。
しかし、近頃はそうではない。絶対に変だと言うことはわかるだろう。
「前に、中学のときの話をしたでしょ。あれの続きなんだけど、あたしは中学では完全に浮いていた。
始めは寂しさなんて感じなかったけど、時がたつにつれてさびしさが沸いてきた。
でも今更後には引けないと思っていたの。そんなときに高校に入ってあんたが現れた。
変なあたしに声をかけてくれて、髪の法則にも気づいてくれたのはあんただけだった。
あの時はあんなことしか言ってなかったけど、本当はうれしかったのよ。」
ハルヒがそんな風に思っていたとはまったく思わなかった。
こいつのSOS団での100Wの笑顔の裏にはそんなことがあったなんて思いもしなかった。
「それであたしはもっと楽しくしようと思ってSOS団を作った。
メンバーが集まるか心配だったけど、何とか集めることが出来た。でも、あたしは楽しんでいるけれどみんなは楽しんでいるかわからなかった。
特にキョン、あんたには雑用ばかりさせていたから。だから今日みたいにあたしの家でみんなに負担をかけないようにこのイベントをすることにしたの。」
「楽しんでいるに決まってんだろ。じゃなきゃ毎日のようにあの部室に来ないと思うぜ。もちろん俺だけじゃなくて、古泉も朝比奈さんも長門も。
それにハルヒ、俺でよかったら色々と言ってくれよな。あと、お前にそんな顔は似合わないぜ。いつものような笑顔を見せてくれよ。お前の笑顔を見ていると俺の疲れも吹っ飛ぶからな。」
そう言いながら俺はやっと長門の言っていた意味に気が付いた。
ハルヒのわがままに対応しているのはただ楽しいからだけではなかったのだ。
それは、俺がハルヒのことが好きだからだ。
素直になれというのはハルヒに対する気持ちだったのだ。
ついでに言っちまえ。俺。お前はハルヒに好意を持ってるんだろ。それに、ハルヒがどう思っていようと、お前はハルヒと居たいんだろ。

「そして、ハルヒ。お前のことが好きだ。」

「ちちちちょっとキョン!いきなり何言い出すのよ。」
といいながらハルヒは赤くなっている。
「あああたしがこれから言おうと思ってたのにことば取らないでよね!」
ということはハルヒも俺のことが好きだったのだ。
「それで答えは?」
「もちろんOKに決まってるじゃない。ただし、あたしのわがままにはこれからもっと聞いてもらうわよ」
その後、「それじゃあ、今日は楽しかったぜ」などと話を家に帰ることになった。
帰り道に考えていたのはハルヒのことだ。
これからは大変になりそうだな。
でも、そうなっても別に俺はかまわないと思う。
ハルヒの100Wの笑顔が絶えることが無くなるならば。


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