こんばんは。朝比奈みくるです。
あの戦いから約50日が過ぎました……
私達は「しっと団」として戦いました。残念ながら敗れましたが……
結局あのバカップル×2のいちゃいちゃは止まらず、嫉妬に燃える日々をすごしています。
あんちくしょうめ……あんちくしょうめ……!!

 

失礼しました。そんなこんなで今は2月の13日。
明日にあるイベント……ご存知ですね?
そのイベントに先立ち、久しぶりに「しっと団」のメンバーを召集したのです。

そう、朝比奈みくるではなく、『トゥモロー』として……!

 

「お久しぶりです、みなさん。よく来てくださいました。」

 

みなさんちゃんと来てくれました。やはり「しっと」で繋がれた絆は深いんですね。

 

「当然!朝比……もとい、『トゥモロー』の頼みならば、いつでも駆けつけます!」

 

この人は谷口君。通称、『ジャッカル』。カッコイイコードネームのくせに瞬殺された雑魚っぽい人です。

 

「また何か計画があるのですかな?」

 

このダンディなおじさんは新川さん、通称『スネーク』。
彼女いない暦48年という脅威の履歴を持っている方です。

 

「ふふ、また何かやるのね?楽しみだわ♪」

 

この人は朝倉さん、通称『キラー』。長門さんに情報連結解除される前の過去から連れてきました。

「どうせ戻っても消されるだけだし」と言ってこの時間に留まっています。
そうするとパラドックスとかいろいろアレになるのですが情報操作で大丈夫なそうです。
だから深くツッコまないように。

 

「……」

 

そしてこの人は生徒会長さん、通称『フォックス』。
……あれ?何か様子が変ですね……?

 

「どうかしたんですか?『フォックス』。」
「いや、その、申し訳ないんだが、私はこの組織を抜けさせてもらおうと思ってね……」
「はい!?」

 

なんでまた……まさか……!!

 

「実は先月、喜緑くんと付き合うことになってね。
 いやはや、彼女は実はツンデレだったんだよ、意外だろう?
 だが私のアタックにようやく答えてくれて、今ではデレデレなのだよ。
 それで……」

 

『フォックス』が彼女自慢を始めました。
私は『キラー』に目配せをします。『キラー』は頷きました。

 

「彼女の二人っきりでの時の甘えっぷりは凄いぞ?
 是非1度君達にも見せて……って『キラー』、どうした?」
「じゃあ、死んで♪」

 

ぎゃあああああああああああああああああああああああ……

 

「……裏切り者には死を、です。」
「流石『トゥモロー』!それでこそ「しっと団」の団長だぜ!」
「では、これから作戦を説明します。っとその前に……『ジャッカル』君!」
「な、なんですか?『トゥモロー』。」
「はい!1日早いですけど、バレンタインのチョコです♪」

 

私は『ジャッカル』君にチョコレートをあげました。

 

「マ、マジですか!!『トゥモロー』に貰えるなんて、俺死んでもいいっす!
 た、食べてもいいですか?」
「どうぞ。口に合うかわからないけど……」
「合うに決まってるじゃないですか!いただきまーす!!……もぐもぐ。
 ……すっげえおいしいです!……ん?」

 

『ジャッカル』のお腹から、私達にも聞こえるほどのゴロゴロゴロという音がしました。

 

「ト……ト……TOTOTOトイレェェェェ!!」

 

『ジャッカル』君はお腹を押さえてトイレへと走っていきました。

 

「今のはなんですかな?」
「チョコレートの中に、超即効性の下剤を混ぜたものです。
 食べたらすぐにトイレに行きたくなり、そのまま30分はトイレから出られません。
 そして出てきた時には、心身ともに消耗してしまうという代物です。
 名付けて……」
「「名付けて……?」」
「『血世古霊斗』。」
「「『血世古霊斗』!!」」

 

二人ともハモりました。驚いているようです。
私はこの1ヶ月間、これの開発に勤しんでいたのです!

 

「今頃涼宮さんと長門さんは手作りチョコを作っているはずです。
 そのチョコを、こっそりこの『血世古霊斗』に変えてしまうのです!
 そして何も知らずチョコをあげる彼女達……食べる男達……そして下痢……
 二人の関係に亀裂が!そして破局……!」
「素晴らしい、素晴らしいわ『トゥモロー』!」
「この『スネーク』、感動して泣きそうでございます。」
「さあ、早速すり替えに行くのです!『キラー』は長門さん、『スネーク』は涼宮さん!
 バカップル達に鉄槌を食らわすのです!」
「「イエッサー!」」

 

 ふふふ……もういちゃかせたりはしませんよ……ふふふ……ふふふのふ……

 

 


こちら新川、もとい『スネーク』でございます。
『トゥモロー』殿の命を受け、ただいま涼宮様宅に潜入しているところです。
私、機関では潜入捜査のプロとして通っております。
小娘一人の家に侵入することなど、朝飯前なのです。

 

「あら?あんなとこにダンボールなんておいてたかしら……?」

 

さて、目的のキッチンへと辿り着きました。
……見つけました。これが精魂込めて作り上げた涼宮様の手作りチョコレート。
さてこれを『血世古霊斗』にすりかえたいと思います。……任務完了。
彼には気の毒ですが、いちゃつくカップルは悪!因果応報なのでございます。

 

「あっれー?ダンボール移動してない?……チョコ作りで疲れたのかしら。寝ましょ……」

 

 

 

 

私は今長門さんの部屋の前にいるわ。
言い忘れてたけど、私今は長門さんの隣の部屋に住んでるの。
時々お邪魔してたりするから、堂々と中に入れるってわけ。

 

ピンポーン♪

 

チャイムを押す。ちょっとして長門さんが出てきたわ。
あら?エプロンつけてる。チョコを作ってたってわけね。

 

「何か用?」
「おでん買ってきたのよ。一緒に食べない?」
「……入って。」

 

長門さんを釣るには食べ物ネタが1番!簡単に侵入できたわ。
さ、て、と……

 

「暖めるからレンジ借りていい?」
「いい。」

 

ほーら簡単にキッチンへ。見つけたわ~これね?

 

「あら?チョコレート。手作り?」
「そう。」
「ふ~ん、古泉君にあげるんだ~。」
「あなたには関係ない。」

 

あらあら照れちゃってw
でも残念ね。そのチョコレートは私の手によって『血世古霊斗』に変わるの♪
……はいすり替え完了!明日が楽しみだわ~♪


いよいよバレンタイン当日。
私はHRが終わったらとっとと家に帰った。
そして、インターフェイスの力を使って壁にSOS団部室の様子を映し出す。
長門さんだけみたいね。チョコ持ってそわそわしてるわ♪かわいいわね♪
でも残念。あなたが持ってるのは『血世古霊斗』なのよね♪

 

「おや、長門さんだけですか?」
「そう。……あなたに渡したいものがある。……あげる。」
「これは、チョコレート……手作り、ですか?」
「そう。食べて。」
「ありがとうございます。では頂きますね。」

 

古泉君が『血世古霊斗』を口に入れた!
さあ下痢来い!……あら?来ない……?

 

「すごくおいしいです。ありがとうございます。」
「よかった。」

 

あ、あれ?おかしいなあ。なんで?
不思議がってる私に、どこからか声が聞こえてきた。

 

『あなたの企みはバレバレ。朝倉涼子』

 

……!テレパシーね!なんで分かったの?

 

『モテないあなたが取り得る行動を考えた結果、安易に予測できた。』

 

この女……!

 

『だからあなたが交換をする直前に、あなたの持っている毒入りチョコと私の手作りチョコを入れ替えた。
 そしてあなたは入れ替わったのを元通りに交換した。』

 

や、ら、れ、た……!!

 

『くやしいのう、くやしいのう。』

 

黙りなさい!この貧乳女!

 

『今から私の行う行為を見ているといい。』

 

え?行為……?
そう言うと長門さんは古泉君に近づいた。

 

「口にチョコがついている。」
「あ、失礼、汚いところを……」
「とってあげる。」
「え……」

 

な……ななななな!!!!

 

長門さんはそう言うと古泉君にキスをした!
意味わかんない!手で取ればいいじゃない手で!お前はアヒルか!
有希のくせに有希のくせに有希のくせに!!

 

あ、顔がほてって……これってまた……オーバー……ヒー……ト……

 

そして私は倒れた。目覚めたのはすっかり夜になってからだったわ……

 

 

 

さてここからはまた私、みくる視点に戻ります。
私が部室に入った時には、なんか古泉君と長門さんがキスしてました。
……しくじりましたね、『キラー』……

 

まあいいです。『スネーク』はきっとやっていてくれているはず。
あ、ほら二人が入って来ましたよ。

 

「はい!チョコ!」
「お、くれるのか?」
「しょうがないからね!手作りしてやったわ!」
「ありがとなハルヒ、食べていいか?」
「食べなさい!おいしいって言わなきゃ死刑なんだからね!」

 

ふふ、そのチョコレートは涼宮さんのじゃありませんよぉ。
私が丹精こめて作った『血世古霊斗』です♪

 

「うん、うまいよハルヒ。……ん?」
「どうしたの?」
「す、すまん、ちょっとトイレに……!」

 

そう言うとキョン君はトイレに駆けて行ってしまいました。
計画は成功のようですね!『スネーク』、GJ!

 

「………」

 

涼宮さんの顔色が優れません。
そりゃそうでしょうね。自分のチョコ食べさせた後トイレから戻ってこなければ不安になるはずです。
プププwwww破局まであと1歩でしょうかwwww

 

30分たって、ようやくキョン君が戻ってきました。

 

「ふう……」
「キョン!大丈夫!」
「ああ、大丈夫だ。」
「ウソ!私のチョコ食べてお腹の調子壊したんでしょ!」

 

うんうん、いい感じいい感じ♪

 

「バカ言え、お前のチョコは最高に上手かったぜ。」
「でも……!」
「俺はたとえ腹を下そうとも、お前の作ったチョコを食べる。
 だって、お前が俺のために、作ってくれたんだもんな……?」

 

あれ?なんか変な方向に……

 

「なんで……なんでそこまでするのよ!」
「お前を……世界で1番愛してるからさ、ハルヒ。」
「……バカァ!私の方が……もっと愛してるわよ!」

 

なにこれ……よくこんな臭いセリフ吐けますね……
ていうか何?『血世古霊斗』を踏み台にして愛を確かめあってる……!
私はピエロですか……次のコスプレもピエロに決定ですね……
ふふ……ふふふふ……ふふふのふ……!!

 

「ちっくしょーー!!!!」

 

私は叫びながら、部室を出ました。
他4人の奇異なものを見る視線が私に突き刺さりますが気にしません!
これで勝ったと思わないでくださいね!
この世にカップルが存在する限り、「しっと団」の戦いは続くのです!!

 

おしまい

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最終更新:2020年03月08日 00:01