「しっと団」との戦いも残すところあと一人となった。
だが、今の俺がおかれている状況はなんだ?なんなんだ?

 

どうして朝比奈さんが俺に銃口をつきつけてるんだ!

 

「バレちゃってましたか。やっぱり流石ですねぇ長門さん。
 どうしてわかったんですかぁ?
 朝倉さんに情報プロテクトを頼んでおいたんだけどなあ。」
「朝倉涼子が言っていた。自分がここにいるのは『トゥモロー』のおかげだと。
 情報連結を解除した存在を復活させるのは情報統合思念体しか出来ない。
 そうでないならば、考えられることは一つだけ。過去から朝倉涼子をこの時間につれてきた。
 故に、あなたが『トゥモロー』である可能性が高いと判断した。」
「完璧です長門さん。朝倉さんも快くついてきてくれましたよ。
 『長門さんはあなたを消した上に、古泉君といちゃいちゃしている』と伝えたらね♪」
「涼宮さんに、何をしたんですか?まさか……」
「安心してください。ただちょっと眠ってもらっているだけですから♪
 キョン君とはぐれるフリをして涼宮さんに睡眠薬をかがせたんですよ。」

 

おかしい。いつもの朝比奈さんじゃない。
舌ったらずでビクビクオドオドしている可愛らしい朝比奈さんはどこに行ったんだ。

 

「どうしてです朝比奈さん!なんでこんなことを!」

 

俺は今1番強く思っていることを叫んだ。
すると朝比奈さんの顔色が、怒りへと変わる

 

「なんで、ですって?憎かったからですよ、あなた達が!!」

 

憎い、だって……?俺達はSOS団の仲間じゃなかったんですか!?

 

「そんなことよく言えますね!
 はっきり言いますけどね!1ヶ月前のあの日から、SOS団はSOS団では無くなってました!
 ただの2カップルのいちゃつき場所です!
 右を見ればキョン君と涼宮さんがいちゃいちゃ、左を見れば長門さんと古泉さんがいちゃいちゃ、
 私はそれを眺めながらお茶を出すだけ!湯のみポッドと変わりませんよあの部屋での私の存在なんて!」

 

なんだろう、この気持ちは……
ああそうか。悪いことをして親に怒られてる時の気分だ。
長門と古泉にも目をやる。どうやら同じ気分のようだ。ものすごーく気まずそうにしている。長門ですら。

 

「特にキョン君。最初は私のメイド姿かわいいとか言ってくれたのにね……
 ふふ、今じゃ涼宮さんしか目に入っていないでしょう?」
「そ、そんなことは……」
「ウソ言っても無駄です。試しに1日だけバニー姿になっても誰からも反応ありませんでしたもん。
 あれは辛かったなあ……寒かったし……私以外の4人は熱々でしたけどね!」

 

やばい、朝比奈さんが止まらない。上手いことまで言い出した。

 

「だからもういいんです。私のことを見てくれないキョンくんなんていりません……さようなら。」

 

……!!朝比奈さんが銃の引き金を引いた。ここまでか……さよなら……ハ……ルヒ……

 

 

……?生きてる。真横を見ると……国旗?
銃口からヒモで繋がれた国旗が垂れ下がっていた、パーティーグッズでよくあるアレだ。

 

「本当に殺すわけないじゃないですか♪」

 

はは……なんだ、びっくりした……情けないことだが、俺はヒザから崩れ落ちた。

 

「それと安心してください。爆破なんて始めからするつもりありませんから。爆弾も持っていません。
 谷口君や新川さんには少しホラを吹いただけです。」
「そうなのですか?」
「私の目的は始めからあなた達だけです。そしてまもなく、目的は達成します。」
「……達成?」
「ええ。……時間です。」


ゴーン……ゴーン……

 

 

時計の鐘が鳴った。12時になったのだ。

 

「はい!これでクリスマスイヴは終わりました!
 あなた達のイヴのラブラブデートを阻止できたってわけです!
 しかもこんなくだらない「しっと団」なんかに付き合って!
 くやしいのうwwwwwwくやしいのうwwwwwwww」

 

朝 比 奈 さ ん が ぶ っ 壊 れ た
俺達はなんというか、笑い続ける朝比奈さんを呆然と見ることしか出来なかった

 

ん?朝比奈さんの後ろに、見なれた人物が……あなたは……

 

「もうやめなさい、昔の私。」

 

……朝比奈さん(大)だ!っていいんですか!?本人に姿を見せて!

 

「構いません。今回は昔の私に会うために来たのですから。」
「あなたは……未来の私?」

 

おお、ついに大と小の感動の再会だ。感動……か?

 

「そうですよ。私はあなたの荒んだ心をケアしに来たのです。」
「え……?」
「大丈夫です。今はちょっと運が無いだけ。いつかきっと、いい人にめぐり合えますよ。」
「本当ですか……?」
「ええ、きっと。だからもう、やさぐれるのはやめましょう。素直なあなたが、1番魅力的ですよ。」

 

そう言うと朝比奈さん(大)はにっこりと微笑んだ。
そして(小)の方も、つられて微笑んだ。
ああ、ようやくエンジェルスマイルが戻ってきたな。ついさっきまではデビルだったからな。

 

 

「ところで、あなたは未来の私なんですよね?」
「ええ、そうですよ。」
「結婚はしているのですか?」
「え」

 

俺は見逃さなかった。朝比奈さん(大)の顔に冷や汗が出たのを。

 

「き、禁則事項です。」

 

あのー朝比奈(大)さん?目が泳いでますよ。それじゃあしてないって言ってるのと同じじゃあ……

 

「じゃあ、今付き合ってる人はいるんですか?」
「……禁則事項です。」
「いい雰囲気の人は?」
「…………禁則事項です。」
「今の私の年齢からあなたの年齢になるまで、付き合った人はいましたか?」
「…………………………………禁則事項、です…………」
「……」
「……」
「……」
「で、でもね?何も恋人を作るだけが人生じゃないと思うの。
 一人身は一人身で楽しいものよ?好きなことできるし、お金だって溜まるしね。
 なんというかもうこのまま一生独身でも別にいいかなって思えるようになって
 開き直りの境地というか、悟りを開くというか」
「ふえぇぇぇぇぇぇぇん!!!」

 

朝比奈さん(小)は泣きながら走り去ってしまった。
まあそうだろうなあ……(大)の歳になるまで恋人出来ないことが確定しちゃったからなあ……

 

「……一人身万歳!」

 

そう言い残して朝比奈さん(大)も未来に帰った。
心のケアをするどころか、傷口を更に深くえぐっただけでしたね……

 

「う……ん……」

 

お、ハルヒ起きたか。今回影薄かったな、お前。タイトルに名前があるってのに。

 

「あれ?私は……」
「戦いは終わりましたよ。」
「本当!?爆破は大丈夫なの!?」
「爆破なんて始めから無かったそうです。我々のクリスマスイブを台無しにするのが目的だったようで……」

 

古泉は苦笑いしながら言った。まあ苦笑いするしかないよな。

 

「何言ってるのかしら。全然台無しじゃないわよ。」

 

ん?どういうことだ。

 

「普通のデートじゃつまらないかなと思ってたのよね。
 悪の組織と戦うクリスマスデート!こっちのが有意義に決まってるわ!」

 

朝比奈さん?どうやらハルヒの方が一枚上手だったようですよ。
まあコイツは、こうでなきゃな。

 

こうして今回の戦いは幕を閉じた!
だが忘れてはいけない!モテない人間がいる限り、第二第三のしっと団が現れることを!
とりあえず俺は、これから部室でのいちゃつきはちょっと自重しようかなと考えるのであった……

 

「やれやれ。」

 

おしまい


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