僕達は「しっと団」からカップルを守るために、セントラルタワーの東館にいます。
しかしそこで、ありえない人物と出会ったのです……

 

「『キラー』って呼んで♪」

 

……本人はこんなことを言っていますがこれは軽く流すとしましょう。
朝倉涼子。僕自身はあまり彼女とは接点はありません。
しかし長門さんや彼から聞いた話では、長門さんと同じインターフェイスであり、
放課後の教室でキョン君を殺そうとした人物でもあります。
その時に、長門さんに情報連結を解除されたはずなのですが……

 

「じゃあ、早速始めるわよ♪」

 

朝倉さんは右手を振り上げました。
すると周りの空間が変化していき、一瞬にしてセントラルタワーが異空間と化してしまいました。

 

「長門さん!これが彼女の空間なのですか!?」
「そう。でも問題無い。前と同じように情報連結を……。」

 

長門さんがそう言いかけて止まりました。どうかしたのですか?

 

「……情報操作を行うことが出来ない。」
「なんですって!?」

 

まさか長門さんの能力が封じられた!?

 

「そうよ♪この空間は長門さんに負荷をかけることのみに焦点を絞って生成されてるの。
 長門さんには今膨大な量の情報データが圧力をかけている。
 長門さんの小さな身体じゃあ、その圧力を振りきって情報操作を行うことは不可能だわ♪」
「何故です!?何故あなたは蘇ってまで、こんな組織にいるのですか!」

 

僕は思っていた疑問をぶつけた。
朝倉さんならこんな「しっと団」なんて組織に入らなくても長門さんを攻撃できるはずだ。

 

「文字通りよ……嫉妬してるからに決まってるわ!」
「嫉妬…ですか?」
「そうよ!あんた達聞けば最近イチャイチャしまくってるそうじゃないの!!」

 

……あれ?なんか前にもこんなこと言われたような……
ああ、会長さんの時でしたね……

 

「信じられない!私の情報連結を解除して、あなたは古泉君とイチャイチャ!?
 許せない……所詮あんたはAマイナーのくせに……私はAAランクプラスなのよ!?
 あのまま学校生活を送っていたらきっと、
 私の彼氏達だけでホストクラブが経営できるぐらいになったはずなのよ!」

 

今この状況は朝倉さんに圧倒的に有利で、僕達にとって彼女は恐怖の対象のはずなのでしょうか……
なんでしょうか……彼女から涌き出ている、「負け組」のオーラは……
ていうかホストクラブって、あなた何股かけるつもりなんですか?

 

「無理。」

 

今まで黙っていた長門さんが口を開きました。

 

「はぁ?何が無理ってのよ!」
「あなたでは、モテるのは無理。」
「冗談じゃないわ!絶対あなたより私のが……」
「そのマユゲでは、無理。」

 

ピキッ……

 

そんな漫画的効果音がどこからか聞こえた気がしました。

 

「……ゆ~る~せ~な~い……」

 

マズイ!本気で怒り出してしまいました!
ダメですよせっかく時間かせいでたのに相手を刺激したりしたら!

 

「大丈夫。打開策はもう考えてある。」
「本当ですか?」
「あなたの身体と同期することで私の身体にかかっている情報圧力を軽減させる。
 そしてこの空間を消滅させる。」
「僕と、同期?」
「そう。そのためには身体を密着させる必要がある。」

 

密着?
そして長門さんは一呼吸置いてこう言った。

 

「私を、抱いて。」

 

……ええええ!?マジですか!それ!マジですか!

 

「マジ。早く。」

 

し、しかしですね、いきなりそんなこと言われても、
他人の見ている前でやるのなんて始めてですし……

 

「何を話しているのかしら!死になさい!!」

 

朝倉さんがナイフを持って迫ってきます。もうそんなことを考えてる場合ではありません!

 

ガシッ!

 

僕は長門さんを力いっぱい抱きしめました。
するとカラーンと言う音が響きました。朝倉さんがナイフを落としたようです。
見ると口をあんぐりあけて呆然としています。

 

「こ、これでいいですか?」
「まだ。あなたの口を介して情報コードを言わなくてはならない。
 故に唇と唇も密着させねばならない。」
「そ、それって……!」

 

もしかしてもしかしなくてもキスじゃないですか!

他人の見てる前でやるのなんて(ry

 

「……私は構わない。」

 

……分かりました。僕も男です。覚悟を決めます。
僕は長門さんに口付けをしました。
その体勢のまま長門さんが例の早口呪文を唱えると、周りの空間は一気に崩壊し、元の風景へと戻りました。

 

「……帰属完了。」

 

ようやく不利な条件から脱したわけですね!
さあこれから反撃……ってあれ?

 

「朝倉さんは……どこでしょうか?」
「あそこ。」

 

長門さんが指差した先には、仰向けに倒れている朝倉さんの姿がありました。
顔が、ゆでだこのように真っ赤になっています。

 

「彼女は私達の行為を見て興奮し、体内の熱が許容範囲を超えたため機能停止した。
 オーバーヒートモード。こうなると半日は活動再開しない。もはや無視できるレベル。」
「……もしかして、彼女って、物凄くウブなんですか……?」
「そう。ウブ。」

 

僕もあまり人のことは言えませんが、それにしたって見ただけで倒れるなんて……
そんなんじゃホストクラブなんて夢のまた夢ですよ。

 

「それよりも、彼女が何故復活したかの方が問題。」
「あ、そうですよね!『トゥモロー』という組織のボスのおかげだと言っていましたが……」
「それに関して、私は1つの仮説を立てている。
 その説が正しければ、『トゥモロー』の正体も推測できる。」
「説明お願いできますか?長門さん。」
「時間が無い。このままでは彼らが危ない。」
「涼宮さん達が!?」
「そう。説明は移動しながら。今は一刻も早く西館へ。」
「わかりました!急ぎましょう!」

 

そして僕達は西館に向けて走り出しました。

 

SIDE 西館

 

くそ、ハルヒと朝比奈さんはどこにいるんだ!
向こうも移動してるんなら探すのは困難だ!
まだ「しっと団」のメンバーが残っていることを考えると、うかうかはしていられない!

 

ん?あそこにいるのは……!

 

「キョンく~~ん!!」

 

朝比奈さんだ!ハルヒも一緒に……ってハルヒ!?
ハルヒは、倒れていた。

 

「ふぇぇ、キョンく~ん。」
「一体何があったんですか?ハルヒは大丈夫なんですか!?」
「うぐっ……敵が襲ってきて、涼宮さんが私をかばって……
 ごめんなさいキョン君……ふぇぇ……」
「朝比奈さんは悪くないですよ。でも……くそっ!」

 

ハルヒの様子を見る、目立った外傷は無いし、眠っているだけのようだ。
だがハルヒに危害を加えるとは許せねぇ!

 

「キョンくん、これからどうしましょう~……」
「とりあえずハルヒを安全な場所へ運んで、敵のボスを探し出しましょう。」
「ふえぇ、怖いですよぉ。」
「大丈夫です!俺が守りますから!」

 

とそこに、誰かが走っている足音が聞こえてきた。……こっちに来る!
敵か!?俺の腕にしがみつく朝比奈さんを守りながら、警戒する。

 

しかしそこに現れたのは……味方だった。
古泉と長門だ!よかった!これで安心できる!

 

「古泉に長門!無事だったか!大変なんだ、ハルヒが……」
「離れてください!!!」

 

古泉が叫んだ。
え?離れる?誰とだ?今この場にはSOS団しか……

 

「え?」

 

思わず声を出してしまった。

そりゃそうだ。朝比奈さんが、俺の頭に銃口を当てているんだからな。
……おいおい、なんの冗談だよ。これじゃあまさか……

 

長門!一体どういうことだ!という思いをこめた目配せをすると、長門が口を開いた。

 

「この組織を作ったのは、朝比奈みくる。『トゥモロー』は、彼女。」

 

続く!


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