(※ これは同名SSの連続撲殺事件の同時刻進行の話です)

 

 

古泉「俺たち、終わりにしよう」
鶴屋「え? どういうこと?」
古泉「どうもこうも。言葉通りの意味だよ。俺たちがつきあうのは、今日で最後ってこと。いや、つきあうっていうか、恋人ごっこは終了ってことかな」
鶴屋「恋人ごっこって、どういうことなの? 私たち本気で……」
古泉「本気じゃねえよ。少なくとも俺はね。ただ、『機関』 の上がうるさくてさ。仕方ないから、鶴屋家のお嬢さんの色恋につきやってやってたってことだよ」
鶴屋「そ、そんなのって!? 私は家とか機関とか関係なくキミのことが好きだったのに」
古泉「俺は飽きたんだよ。このお遊びに。それに俺、本当に好きな人が別にいるから」
鶴屋「好きな人? それ、だれ?」
古泉「朝比奈さん」

 

古泉「じゃあね。また学校で会いましょう、鶴屋先輩」

 


鶴屋「………」
鶴屋「………そんな」
鶴屋「…………ひどいよ、古泉くん……」

 

 

 

鶴屋「あれ? あれは、古泉くんとみくる。何やってるんだろう、あんなところで」
鶴屋「みくるバット持ってるけど、またSOS団で草野球大会にでも出るのかな」
鶴屋「……私には関係ないや……。彼のことは、忘れよう」

 


鶴屋「あれ? え? な、なんで?」
鶴屋「どうして、みくるが古泉くんの頭をバットで殴ってるの!?」


鶴屋「古泉くん!? ちょっと、古泉くん大丈夫!?」
古泉「うぅぅ……くそ、あいつめ……」
鶴屋「血が出てるよ。すぐに救急車を呼ばないと!」
古泉「な、なんで朝比奈さんが俺を……」
鶴屋「あ、どうしよう。携帯、家に忘れてきちゃった! 困ったな」
古泉「……お前だろ」
鶴屋「え?」
古泉「お前が朝比奈さんにバットを持たせて、俺を襲わせたんだろ? なあそうだろ!? 俺がお前との遊びをやめるって言ったから、彼女を使って俺に仕返ししたんだろ!?」
鶴屋「お、落ち着いてよ古泉くん! 私はそんなことしてないよ。それよりもじっとしてなきゃ」
古泉「うるさい! そうでなけりゃ、あの朝比奈さんが俺をバットで殴ったりするはずがない。白状しろよ、お前、朝比奈さんに何を吹き込んだんだ!? 言え!」
鶴屋「い、いた……痛いよ、古泉くん、離して」


古泉「ちくしょう、ちくしょう! ちくしょう! 俺をコケにしやがって! もう機関もクソも関係ねぇ。この場で絞め殺してやる!」
鶴屋「く、くるし……ぁああ……」

 

古泉「ぅぎゃ!?」
鶴屋「げほげほ! はあはあ……」
古泉「な、なにしやがる!?」
鶴屋「はあはあはあ」
古泉「な、何だよそれ……」
鶴屋「何って、学園祭の準備で使ってた、金槌だよ……」
古泉「よ、よせ。やめろよ、おい」

鶴屋「……私、本当に、キミのこと、好きだったのに。たとえ遊びだったとしても、キミがみくるを選んだとしても、それでも古泉くんのこと、好きだったのに……。一度はキミのこと、許せたのに」
古泉「金槌を下ろせよ!」
鶴屋「二度も私を否定するなんて! ゆるせない!」
古泉「ひいいぃぃぃ!」

 

 

鶴屋「私よりみくるの方がいいって言うの?」

 

 ガッ

 

鶴屋「やっぱり胸が大きい方が好みなの?」

 

 ガッ

 

鶴屋「おしとやかで守ってあげたくなる女の子の方がいいって言うの?」

 

 ゴスッ

 

鶴屋「答えてよ。ねえ答えてよ。黙ってちゃ分からないよ。ねえ古泉くん。ねえ。ねえ」

 

 ドッ

 

 

鶴屋「はあはあ」
鶴屋「や、やっちゃった……。私、彼を……なんてことを……!」
鶴屋「………」

 

鶴屋「はあはあはあはあ……」
鶴屋「頭に血が昇って、勢いでやっちゃったとは言え、罪は罪だよね」
鶴屋「………」
鶴屋「………警察に行こう」

 

 


ハルヒ「あれ、鶴屋さんじゃない。こんなところで会うなんて、奇遇ね」
鶴屋「ハルにゃん……」
ハルヒ「どうしたの、鶴屋さん? 元気ないわね」
鶴屋「うん……実は……私……古泉くんが死んでて……それで……」
ハルヒ「古泉くんが死んでる? はあ? なにそれ?」
鶴屋「……偶然見ちゃったの。私。みくると古泉くんが一緒にいて、みくるが古泉くんの頭をバットで殴ってる現場。それで私……」

 

 

鶴屋「あ、そうだ」
鶴屋「殴ったのはみくるなんだ」
鶴屋「古泉くんを殺したのは、みくるなんだ」

 

 

ハルヒ「鶴屋さん?」
鶴屋「ハルにゃん、聞いて! この向こうに古泉くんが倒れてるんだ。残念ながら、彼は、もう……。犯人はみくるだよ。私、見たんだ。みくるが古泉くんを殴っているところ!」
ハルヒ「ちょっと、変なこと言わないでよ。なんでみくるちゃんが古泉くんをバットで殴らないといけないのよ。もう、ワケ分んないわ。そういう話は合宿の時だけにしてちょうだい」
鶴屋「本当なのよ! 嘘だと思うならあっちに行って見て来てよ! 私、今日は携帯を家に忘れてきちゃったから走って交番へ知らせに行くところだったの!」
ハルヒ「そ、そんな。まさか……わ、私、見てくる!」
鶴屋「私も交番へ行くけど、ハルにゃんからも警察へ連絡しといて! 犯人はみくるだよ!」

 


鶴屋「うふふふふ」
鶴屋「みくる。あんたが悪いんだよ」

 

 

鶴屋「はあはあはあ……」
鶴屋「なんで……? なんでよ?」
鶴屋「て、手が、なんで手のふるえが収まらないの?」
鶴屋「ああ、ああ、あああ、手が、震える、金槌、持ってる感触が、消えないよぉ」

鶴屋「も、もうダメ。震えて、震えて、鉛筆も持てない……」


鶴屋「こ、古泉くん? あなたなの? あなたが私の手を?」
鶴屋「ダメ。もう、犬や猫くらいじゃ、おさまらない」
鶴屋「また、人間を殴りたい……!」

 

 

 

鶴屋「もしもし? 京子ちゃん?」
橘『あら、鶴屋さん。こんばんは。どうしたんですか? こんな時間に』
鶴屋「いやあ、ちょっとね。困ったことがあってさ~。誰かに頼みたいことがあったんだけどねぇ」
橘『それで私に? あら、光栄ですわ。鶴屋家の次期頭首様に頼られるなんて。でも、何故私なのですか? 私よりSOS団の方たちの方が身近で頼みやすいのでは』
鶴屋「それがね、ちょっとこみいった事情があってさ。みくるのことなんだけど」
橘『あの、かわいらしい未来人さん? 確か、鶴屋さんのご学友なんですよね』
鶴屋「そうそう。あの子が最近ちょっと元気なくてさ。私も親友として心配してるわけよ。でもさ、あの子も微妙なお年頃だし、親しい人に聞かれたくない悩みもあるだろうから。名前を知っている程度の顔見知りに、まず打診してもらいたいなって思ったのさ」
橘『そうでしたの。私はかまいませんよ』
鶴屋「よかった! さすが京子ちゃん、恩にきるよっ! そいじゃ早速、明日お願いね」
橘『分かりましたわ。でも誘拐未遂の一件もありますし、私一人じゃ警戒されてしまうかも。佐々木さんと一緒に行こうと思うのですが、構わないですよね?』
鶴屋「目的さえ達成できれば、私としては何の不満もないよ。大歓迎っさ!」

 

鶴屋「あ、そうそう。みくるに会った時に、京子ちゃんから一つ訊いといてもらいたいことがあるんだ」
橘『なんでしょう?』
鶴屋「あの子、最近変なバットを持ち歩いてるんだ。だから、『そのバットは何ですか?』 って訊いておいてくれるかい?」
橘『変な申し出ですね。分かりました。それじゃあ明日、佐々木さんと二人で未来人さんに会いに行きますわ』
鶴屋「お願いね、京子ちゃん。それじゃ」


鶴屋「ねえ、古泉くん」
鶴屋「同じ超能力者をそっちにいかせるから。許してくれるかな?」

 

 

 

橘「朝比奈さん、そのバットは何ですか?」
みくる「これですかぁ? これはですね。世にも珍しい魔法のバットなんですよぉ」
佐々木「魔法のバット? あはは。どんな魔法なのか、興味があるな」
みくる「試してみます?」

 

 

橘「ううぅ……・ああ……はあはあ……」

佐々木「………」

橘「ああ、佐々木さん……佐々木さん!?」


橘「な、なんで……ですか?」
鶴屋「ごめんね、京子ちゃん。痛かった? ちょっと損な役を引き受けてもらっちゃったかな」
橘「ひどい……騙したんですか?」
鶴屋「騙してなんかいないさっ。京子ちゃん、私のお願い通りみくるの悩みを訊いてくれたんでしょ? 答えが出たのかどうかは分からないけどさ。京子ちゃんにはめがっさ感謝してるっさ!」
橘「そんな……佐々木さんまで……巻き込んで……ごめんなさい、佐々木さん……」
鶴屋「本当に感謝してるんだよ、京子ちゃんには! だから、ついでにあと一回。ちょろんと力を貸してね」


 ガッ

 

 

 

鶴屋「うふふ。よかった。手の震えがおさまったわ。これも京子ちゃんのおかげだね」
鶴屋「みくるは古泉くんを撲殺した後、同じくキョンくん、藤原くん、京子ちゃん、佐々木さんを同じ手口で殺害してなおも逃走中、か」
鶴屋「最近はこんなニュースばっかり。いや~、今の世の中こわいねぇ」
鶴屋「おやおや、ハルにゃんは意識不明の重体だけど、生きてるんだ。命拾いしたね。さっすがハルにゃん!」

 

 

 

鶴屋「うあああああ、ああああああ……あれ、なんで、なんでぇ?」
鶴屋「なんで手が震えるの? おさまってたのに……なんでよぉ?」
鶴屋「はあはあはあはあ」
鶴屋「古泉くん、まだ私を許してくれないの?」
鶴屋「やっぱりみくるをそっちに送ってあげないと、許してくれないの? そんなにみくるがいいの?」

鶴屋「はあはあはあはあはあはあはあはあ!」


鶴屋「みくる………あんたさえいなければ………」

 

 

 

鶴屋「やあ、有希っ子! おひさしぶり!」
長門「………」
鶴屋「おんや、どうしたの? お買い物? 有希っ子ひとり暮らしなのに、いっぱい食糧買い込んだんだ」
長門「………あなたには、関係ないこと」
鶴屋「つれないなぁ」

 

長門「………かわいそうな人」
鶴屋「かわいそう? 私のこと? なんで?」
長門「………あなたは、自分が古泉一樹にとりつかれていると思っている。しかしそれは、あなたがそう思いこんでいるだけ。手の震えは、彼を亡き者にした罪の意識からくるストレスのようなもの」
鶴屋「分かったふうなこと言わないで! あなたに何が分かるの? いいから、さっさとみくるを出しなさいよ。あなたが事件のことを全て知っているように、私もあなたがみくるを匿っていること、知ってるんだよ?」
長門「………」
鶴屋「だんまりってワケ? 黙っていれば、私はあなたに手を出せずに、地団駄ふんで遠巻きに悔しがるとでも思ってるの?」
長門「………あなたも、朝比奈みくると同じ。かわいそうな人」
鶴屋「同情? はん! そんなのいらないよ。むしろ、私の方があなたに同情したいくらいさ」

 

 

長門「………!? 身体が、有機生命体の構成情報結合が、解除される……」
喜緑「これが情報統合思念体の決定です。パーソナルネーム長門有希、情報結合を解除させていただきます」
長門「………なぜ。私は涼宮ハルヒの情報観察を怠ってはいない」
喜緑「我々がこの地球上で滞りなく活動するためには、鶴屋家との関係を良好に保っておくことが大切です」

喜緑「鶴屋家の代わりはありませんが、あなたの代わりは他にもいます」
鶴屋「残念だったね、有希っ子。でも、安心しなよ。みくるのことは、私が責任もってちゃんと始末してあげるからさ」
長門「………みく……る……」

 


鶴屋「うふ、うふふふふふふ」
鶴屋「あはははははははははは!」
鶴屋「消えた、消えた! 私の邪魔をするヤツはみんな消えてしまえばいいんだ!」

鶴屋「あっはははははははははははははははははははははははは!」

 

 

 

 

鶴屋「やっと追いついた。みくるのやつ、学校に入るなんて」
鶴屋「待っててね。みくる。すぐにその頭、かち割ってあげるから!」

鶴屋「ふるえる、手がふるえるぅ」
鶴屋「古泉くんも喜んでくれてるのかな。もうすぐだからね。もうすぐ、みくるをそっちに送ってあげるからね」
鶴屋「みくるうぅぅぅぅぅ!」


 ガッ

 

鶴屋「えへ、えへへへへへ、へへへ。やった、やった! みくるをやったよ!」
鶴屋「私がんばったよ古泉くん! えらい? 褒めてくれる? ねえ、こいz

 

 ガッ

 

鶴屋「ぃぎ!? い、いたいぃ」
みくる「あれ。鶴屋さん、いたんだ。全然気づかなかったよ」
鶴屋「へあ、ああ、痛い、痛いよぉ、頭、いたいぃぃ」
みくる「まあ、居ても居なくても同じだけどね」

 

 ゴスッ

 

鶴屋「きゃああぁぁあぁ! やめて、やめてぇ! もうやめて、殴らないで、バットおろしてよ、みくる!」

 

 ガッ

 

みくる「みんな真っ赤なんだし。鶴屋さんだってきれいになっちゃったもんね。よかったね」

 

 

 

鶴屋(はあはあはあ)
鶴屋(身体が、うごかないよ……)
鶴屋(いたぁい、身体、いたいよぉ……)
鶴屋(た、たすけて、みくる。おいていかないでぇ)
鶴屋(救急車よんでよぉ。岡部先生、警察よんでよ)


鶴屋(誰か、たすけて! 身体、うごかないよ、声でないよ、さむいよぉ)
鶴屋(あ、ああ、あああ、頭が……ぼやけて…………)
鶴屋(し、死にたく……な………)

 

 

 

鶴屋「やった……生きてる……」
鶴屋「私、やったよ、古泉くん」
鶴屋「ギブス、不便だな。早くとれないかな」
鶴屋「やだな。病院って気が滅入っちゃうなあ」

 

鶴屋「でも、よかった。全部おわったんだ。みくるがいなくなって、手の震えもなくなった」
鶴屋「ギブスがとれて退院できたら、また元の生活にもどれる」
鶴屋「SOS団はもうないし、古泉くんもいないけど」
鶴屋「…………」

鶴屋「ダメダメ! やっぱり病室なんかに引きこもってたらネガティブになっちゃう! 私らしくないっさ! 屋上にでも行ってお日様に当たれば気も晴れるっさ!」

 

鶴屋「いい天気。やっぱり外の空気を吸えば……あれ? あれは」
ハルヒ「鶴屋さん?」
鶴屋「あ、やっぱりハルにゃんだ。意識、もどったんだね」
ハルヒ「うん。おかげさまで。鶴屋さんも、元気そう……じゃないか。頭とか腕とか、包帯だらけ。あなたも、あの事件に巻き込まれたんですって?」
鶴屋「そうなんだ。腕と足の骨もやっちゃってね。完治するまでに、ちょっとかかりそう。まあ、命が助かっただけよかったって感じかな」


ハルヒ「………」
鶴屋「元気ないね、ハルにゃん。やっぱり、あんなことがあった後だから……」
ハルヒ「うん。まあ、ね……」

 

 

鶴屋「え? うそ?」
鶴屋「手が、手が、腕がふるえる……なんで? なんで? やっと治ってたのに!? みくるはもういないのに!?」

鶴屋「あ、そっか」
鶴屋「古泉くん、やっぱりみんな一緒じゃないとイヤなんだ。そうだよね。ハルにゃんいてこそのSOS団だもんね」
鶴屋「いいよ、古泉くん。キミのためなら、今すぐにでもハルにゃんをそっちへ届けてあげるよ」

鶴屋「ハルにゃんは手摺際でぼーっとしてるし。周りには誰もいない。今なら、転落事故ということにできるよね」
鶴屋「無防備すぎるよ、ハルにゃん。その背中。今すぐ、押してあげるからね……」


ハルヒ「ねえ、鶴屋さん」
鶴屋「わっ、びっくりした。急にふりかえらないでよ……」
ハルヒ「どうしたの? 顔色悪いよ? 大丈夫」
鶴屋「そ、そんなことないさ~。あははは。私はいつでも、めがっさ元気だよ! で、なに?」
ハルヒ「人が罪を犯したら、裁判所で裁かれて、刑に服すでしょ。その刑は、罪の重さによって決まるよね。でも、その罪が重すぎる人は、人間では裁ききれないから、死刑にしてあの世で超人的な存在に裁いてもらうのかな」
鶴屋「な、なんだか哲学的な話だねぇ。でも、そういう見方もできるかもしれないね。大きすぎる罪は、同じ人間同士じゃ裁ききれないっていう面もあるのかも。だからそれを裁いてくれるのが、閻魔大王様なのさ! なんてね~」
ハルヒ「そっか」

 

ハルヒ「じゃあ、あなたの罪の裁きも、閻魔様にまかせることにするわ」

 

 

鶴屋「え? ハ、ハルにゃん? それ、どういう意味……きゃっ!?」
ハルヒ「私はね、すごく後悔してる。あの時、みくるちゃんを止められなかったことを。私がみくるちゃんを止められていれば、ここまで酷いことにならなかったはずだもの」
鶴屋「なに言ってるの? ねえ、手を離してよ。痛いよ」
ハルヒ「でもそれ以上に、怒ってるのよ。あなたが古泉くんを殺さなければ。こんなことはそもそも起こらなかったんだもの」

 

ハルヒ「だから、鶴屋さん。あなたには閻魔様の裁きを受けてもらいます」
鶴屋「え、ちょ、ちょっと!? なにを言ってるの!? 何がなんだかさっぱり分からないんだけど!? キミ、意識不明から回復したばかりで情報が混乱してるんじゃない!? 古泉くんたちを殺したのは」


ハルヒ「あなたなんでしょ? あと、橘さんに電話をかけて、誘い出したのも。全部」


鶴屋「な、なんで……」
ハルヒ「私ね、夢をみたの。病院のベッドの上で寝ている時に。その夢、とてもリアルな夢だった。呼吸のひとつひとつが生々しく感じられるくらいに」
鶴屋「いたいぃ、手はなしてよ、痛いよぉ」
ハルヒ「あなたが古泉くんを金槌で殴る場面。あなたが自首しようとしたところへ、私が現れたシーン。その後も走馬灯みたいにいろんな場面が移り変わって、最後の最後に、みくるちゃんが学校の屋上から私たちの名前を呼びながら飛び降りたのが見えたわ」

 

ハルヒ「最後に夢の中で、有希は私に言ったわ。『最期に、あなたに真実を』って」
鶴屋(ゆ、有希のやつ……情報連結を解除される間際に、全部伝え終えて……! ちくしょう!)

 

 

鶴屋「で、でもそれって夢の中の話なんでしょ? いくらリアルな夢だからって、それを鵜呑みにするなんて。ちょっとおかしいよ」
ハルヒ「そうよね。おかしいわよね。でも私は、あの夢の出来事の方が現実らしく感じられたのよ。今のこの現実の方が、よっぽど夢みたいに思えるの」
鶴屋「誰か! 誰かきて! 看護婦さん!? 誰でもいいから、た、たすけて!」
ハルヒ「鶴屋さん」
鶴屋「いやああああぁぁぁぁぁ! いたい、いたい、いたいよぉ! 離してよぉ! うえぇぇん」
ハルヒ「ねえ、鶴屋さん」

 

ハルヒ「古泉くんが本当に待ってる人、まだ分からないの?」
鶴屋「……え?」
ハルヒ「古泉くんがずーっと待ってるひと」

 

ハルヒ「あなたよ?」

 


鶴屋「あ、そっか。そうだったんだ」
鶴屋「…………」
鶴屋「古泉くん、ずっと私のことを呼んでたんだ」
鶴屋「だから手がふるえるてたんだ」

鶴屋「そっか」

鶴屋「気づかなかったよ」

 

鶴屋「古泉くん、すぐに行くね。待ってて」

鶴屋「だから、今度こそ、二人で……」

 

 

 


 ドサッ

 

 

 

 


ハルヒ「………」
ハルヒ「あーあ。とうとう私がビリになっちゃったか」

ハルヒ「わかってるわよ。SOS団の決まり、作ったのは私だからね。おごってあげるわよ」


ハルヒ「みくるちゃんは何? ハーブティー? 有希は、アプリコット?」
ハルヒ「キョンと古泉くんはコーヒーでいいわよね」

 


ハルヒ「それじゃ、行きましょう。不思議探しへ」

ハルヒ「………」
ハルヒ「ねえ。今日は二手に分かれないで、みんなで行きましょう」

ハルヒ「たまには、それもいいんじゃない?」

 

ハルヒ「ちょっと待っててね」

 


ハルヒ「すぐそっち行くから」

 

 

 


 ~おしまい~


|