私は機関の中枢のある一室で目を覚ました。
「…………」
上等だ。もう涙も枯れ果てたらしい。冷たいコンクリートの床から立ち上がり、体中に染み込み、こびり付いた汚れを気にも留めず…べットに倒れ込んだ。
 
数日前、彼と契りを交わす事を機関の上層部にここで報告した。その瞬間からずっと私は地獄にいる。
生物以下…道具のような扱い受け、延々と女性に産まれた事を後悔させられ続ける…ここは…そんな地獄だった。
 
 
きっと私の最愛の彼には、私は出張で海外に行ったとでも伝えられ、その後…私は海外で不慮の事故にでも遭うのだろう。
 
多分…助けは来ないだろう…否、仮にも来ても私が自分を保って居られるかも怪しい。
そう…ここで終わりなのだ。最初はそう思う度に発狂したかのごとく泣き叫んだが、慣れたものだ。
私がここで朽ちれば、彼や私の同僚に被被害は行かないのだ…だから、もういい。そう考えるようになった。
 
もう何度この鬱な思考をループさせたか分からない。しかし、何かを考えて居なければ、ここに充満する、獣と妖しいお香の臭いに理性が飛びそうになるのだ。
本日3人目の客が来た。私はただその機関の幹部を睨み付ける。口も手足も拘束されていのだ。それ以外出来る事などない。
 
そいつは醜い笑みを浮かべたまま、私に近付いてくる……また……汚されるのか…ごめんね…国木田君。
私は思考を止め石の様に心を閉ざした。
 

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最終更新:2007年08月23日 23:09