これと言ってやる事もない普段この常日頃な日常。
そんな訳で機関のパソコンを使って僕は2chをやっています。
他の方々もCoCo壱番屋の宅配を食べながらザ掲示板等色々なさっているようです。
言っときますが、僕達は少数派ですよ?
それでもこの熱く暑い夏なので多丸さんが冷えピタを額につけてソファーで寝ていたりと、まぁ、全体的にだらしなくはなっていますね。
新川さんは相も変わらず、イロコィ・プリスキンを名乗って何処かへ行った模様ですね。
森さんもリラックマのぬいぐるみを取りに行った模様ですね。
「あ、フリーズした」
本日三回目のフリーズ。森さんが大量に仕入れた可愛い画像のせいで残り要領が激減したのが原因です。
僕はパソコンを強制終了させた。
やる気が削がれて黒いモニターをただ見つめる。
ちなみにですが僕がやっていたのはオカルト板のツンデ霊スレの閲覧です。
じつは幽霊っていうのが怖いんですよ、怪談は好きなのに。
だからこういうので少しでも愛着を持って怖さを半減させようという努力であり、夏休みの課題でもあります。
ただまとめサイトが死んだ影響と新しいまとめサイトも更新が進まない為、ちょっと物足りないんですよね。
 
・・・と、何だか僕のキャラクターが壊れかねませんね。失敬。
 
僕はもう一回パソコンを起動させて再び2chを閲覧する事にした。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
「OK、ブラクラゲット」
「流石だな、古泉者」
ふと後ろから声がした。
「そう褒めるなよ、森者」
 
・・・・・・って、
 
「いつの間に帰って来たんですか?」
「ついさっき。新川とかは何処行ったの?」
けろりとした表情で森さんがそこに立っていた。
「あー・・・そう言えば、何だか知らない間にまたリラックマがごろごろと・・・新川さんは今頃外国ですね」
ただでさえ人形だらけの機関に更に増える人形。
片付けろ、なんて森さんには逆らえませんからね。何せ上司ですし。
「カピバラさんやモノクロブーも取ったんだよー」
そう言って手に持っていた袋から大量に大小様々な可愛らしいのが沢山と。
途中でガンダムが出てきたのは敢えてスルーしましょう。
「沢山取りましたね」
関心しますよ、本当に。一体何円投資したんでしょうか。
「可愛いでしょ?」
ニコニコと可愛い笑顔でおっしゃる森さん。
「えぇ。・・・メイド服で行かれたんですか?」
「うん! 色々な人が沢山話しかけてきた」
「・・・」
この人、どこまでド低脳ですか。不安になるじゃないですか。
この人に何かあったらって思うと不安になるじゃないですか。
「ん? どうしたの古泉?」
「いえ、何でもありませんよ」
「ん~? あ、それ何やってるの?」
「2ちゃんねるですよ」
「あ~、2ちゃんねるか。HN・梅しばか・・・ふふっ、変なの」
森さんは少し笑うと荷物を置いてシャワー室へと向かった。その後、
「・・・そうか、やっぱりあれは古泉だったのか・・・」
と、森さんが呟いたのを僕は知らない。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 
その日の夜。
「ふぅ・・・」
閉鎖空間に出てきた神人を退治して帰ってきた家。
外は物凄い勢いでふり続ける雨がひたすらに降っていた。
一人きりの空間でようやく落ち着ける。しかしここで問題が起きた。
疲れている筈なのに今日はなんでか眠くならないのだ。
暇を持て余したのでパソコンを起動して2ちゃんねるをする事にした。
こういう時、僕が行くのは何か恋愛相談っぽいスレ。
 
 
365 名前: 梅しば  [sage] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:29:35.42 ID:HGdokoda0
今日も好きな人と話が出来ました。
沢山のぬいぐるみと、沢山の笑顔を置いてってくれました。
 
 
こう書き込むと全国の同じ境遇の人が何やら一緒に喜んでくれるのだ。いわゆる馴れ合いという奴ですね。
僕の好きな人とは森さんの事ですよ。と、僕に対する書き込みの中に気になる物があった。
 
 
373 名前: Forest  [saga] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:34:15.41 ID:MoriMoriO
>>365
奇遇ですね。私も、今日も好きな人と話が出来ました。
彼は私が取りすぎた人形に少し驚いたみたいですけどね。
片思い、叶うと良いですね。
 
 
理由はないけど、なんとなく気になった。だから、その書き込みに返事をしてみた。
 
 
375 名前: 梅しば  [sage] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:37:32.13 ID:HGdokoda0
>>373
ありがとうございます。
ですが、相手は仕事場の上司なんですよね。
僕は高校生です。相手は大人です。
何だか隔たりが大きいんですよね。
 
378 名前: Forest  [saga] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:41:15.41 ID:MoriMori0
>>375
私の場合、相手は部下なんですよ。それで高校生。
逆ですね。
やっぱりこういう隔たりとかって結構大変ですよね。
 
 
「ん・・・?」
なんか、引っかかった。いや、引っかかったというか、思い当たる節がありすぎた。
 
 
383 名前: 梅しば  [sage] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:43:32.13 ID:HGdokoda0
>>378
その人とはどのようにお会いしたんですか?
 
385 名前: Forest  [saga] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:44:15.41 ID:MoriMori0
>>383
ある日、部下がその子を連れて職場に来たんですよ。
「新しい仲間」って。
 
 
 
「・・・僕にそっくりですね・・・」
そっくりなんてものじゃない。まるっきり同じだった。
ここで生じる疑念。もしかしたら相手は僕が知っている人物なのではないか。
「相手が誰か探ってみましょうか・・・」
 
 
389 名前: 梅しば  [sage] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:49:32.13 ID:HGdokoda0
>>385
相手は僕のような状況の人ですね。
僕もそんな風に職場に連れてこられたんですよね。というか拾ってもらったというところでしょうか。
そういえば、相手をどうして好きになったんですか?
僕の場合は一目惚れですね。それで、その後その人を知っていく度に段々と更に惚れていった・・・みたいな。
 
390 名前: Forest  [saga] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:50:15.41 ID:MoriMori0
>>389
逆の立場がそっくりですね。
最初、私の好きな男の子は職場に連れて来られた時は状況が理解できなくて笑顔が少なかったですけどね。
で、しばらくしてようやく笑顔を見せてくれるようになってくれた時は嬉しかったですよ。
その子と一緒に最初の仕事した時ですね、好きになったのは。
私がヘマをした時に助けてくれて。
まだ仕事研修中で仕事場に出した事ないから慣れてないのに、一生懸命頑張って助けてくれて。
その子は私のせいで傷だらけになって、必死に謝った私に「仲間ならこれぐらい」って微笑んでくれて。
それがあまりに優しくて。
 
 
「・・・ちょっと待って下さい・・・これって・・・」
 
697 名前:僕と森さんと時々2ch ◆41zceJmqdc [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 17:02:38.86 ID:571OyZZg0
森さんと僕の事じゃないですか。じゃあ、相手は・・・って、そんなバカな。
 
 
392 名前: 梅しば  [sage] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:52:32.13 ID:HGdokoda0
>>390
そうなんですか。
 
398 名前: Forest  [saga] 投稿日: 2007/08/15(水) 00:57:15.41 ID:MoriMori0
>>392
今日その子がここを見てるって解って、初めてなんだけどアピールになったらなぁ、って。
もしも見てるなら。
良かったらで良いから、命令じゃなくて私個人のお願いだけど。
初めて仕事したあの公園で待ってるから。
っていうかもうずっと前から居るんだけどね。
と、いうわけで梅しばさん、じゃあね。
 
 
それ以降、どれだけレスをしても返事は来なかった。
「・・・・・」
相手がもし、もし森さんだとしたらその相手は十中八九僕の事だ。
だけどそんなわけがない。
森さんが僕を好きになるわけがない。ただのパートナーとしてしか見てない筈だ。
ただ涼宮さんの閉鎖空間に出てくる神人を一緒に退治する部下としか。
だって、違いすぎる。彼女と僕は全く違う。
そうだ。自意識過剰なんだ。
「・・・寝ましょうか」
僕は布団をしいてさっと布団に入って目を瞑った。
 
カチッ・・・カチッ・・・。
 
静かな部屋に響く秒針の音。
 
ゴー・・・・・・。
 
マンションの外を行き交う車の音。
「・・・駄目だ」
寝れない。
もしかしたら僕は恐れているだけなのではないか?
森さんとの今の関係が壊れる事を。
今の関係で居続ければ楽なんだと思っているのではないか。
相手が森さんだったとして、公園に行って、そこでこの関係が変わってしまう事に恐れているのではないか?
「・・・・・・」
時間を見る。あれからもう一時間経っている。
ずっと前から公園に居ると言っていたという事は携帯からの書き込みになる。
IDを見る限り確かに相手は携帯。
HNのForest。和訳すれば・・・森。
「確立は・・・0じゃないですね」
口ではそう言っているが心の中では考え方は違う。
0じゃない、ではなく、高確率。
僕は傘を手に持つと部屋を飛び出した。
「あれからもう随分と時間が経過していまずからね・・・相手が森さんだとして、いるかどうか・・・・・」
走って、水溜りに足を突っ込んで跳ね返った水や、風で傘を避けて横から入る雨水が僕を濡らす。
だからどうした。これぐらいどうって事はない。
「はぁ・・・はぁ・・・」
公園まではそれなりに距離がある。だいたい走って十分の距離だ。
しかし、今は雨。風も吹く影響もあるしきっといつもより時間が掛かる。
だけどそれは言い訳だ。
「もっと走れ、古泉一樹!!」
自分で自分に活を入れて走り続ける。
 
かくん。
 
「あ・・・・・・ぐぅっ!!」
途中で躓いて勢い良く転んだ。だけど、そんな事関係ない。
すぐに立ち上がればいい。痛みなんか見て見ぬフリだ。
「森さん・・・」
いつも以上に、異常に、ただひたすらに貴女に会いたい。
そして、公園に辿り着いた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
急いで公園内へと入る。ただひたすらに人影を探して。
ふとその時、公園に横たわる何かの陰を視界の隅に捉えた。
「・・・・・・・・」
ぞくり。嫌な予感がした。
「・・・」
ただの捨てられたゴミだった。何となく安心した。
しかしその安心は一瞬で去った。すぐ近くに再び横たわる陰を見つけたからだ。
今回それはは間違いなく人影だった。
間違いなく僕が探していた人影だった。
「森さん!」
未だにメイド服の森さんが水溜りに浸るように横たわっていた。
「森さん、しっかりして下さい!!」
こうしてみるとやっぱり森さんの体は華奢で軽かった。
「・・・あ・・・やっと来てくれた・・・私、任務終わってからずっとここに居たんだから・・・」
「大丈夫ですか!?」
大丈夫なわけが無い。夏とはいえこの雨に打たれていたのだから。
傘も差さずにずっと何時間も外で。唇もすっかり青ざめていた。
なのに大好きな笑顔は耐えなくてその姿は儚くなり過ぎていた。
「すいません・・・僕、弱くて、関係が変わるんじゃないかと思うと怖くて・・・・・っ!?」
森さんがそっと僕の頬に手を当てる。冷たくて、だけど優しい手。
「来てくれた・・・だから、弱くない・・・私は知ってる、古泉は弱くない・・・・・」
「森さん・・・」
「ふふっ・・・体・・・冷えちゃった・・・・・」
彼女はそう言って笑うとそっと目を閉じた。
「暖かいね・・・古泉は」
「とりあえず、僕の家へ行きましょう」
僕は運良く通りがかったタクシーを拾って早急に家へと帰った。
エレベーター待つのも煩わしくて階段をひたすら登る。
部屋の鍵を開けて、すぐに毛布を引っ張り出す。
「待っててください、今着替えを持ってきますから」
僕はタンスから急いでTシャツとズボンを取り出した。
パンツは・・・僕のを履かせるわけにはいかない。
「はい、お着替えです」
「古泉・・・自分で着替えられない・・・着替えさせてくれる?」
「!?」
僕が森さんを着替えさせる? え。僕が?
恥ずかしくて嬉しくはあるけど複雑な心境だ。
とは言え森さんを長い間雨の中で待たせたのは僕だ。
僕の責任だ。とは言っても・・・僕も年頃だし、その、ねぇ。何か抵抗が・・・。
「・・・い、良いんですか?」
「うん・・・」
僕は覚悟を決めた。
本格的なメイド服っていうのはどうやら複雑な構造のようで少し手間が掛かる。
というか森さんがカスタムしたからこんな構造なのか?
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
露になった白い肌に自分の理性を抑えるのに必死になった。
「じゃあ、Tシャツ着せま―――」
「・・・下着の着替えは?」
「はい!?」
ちょっと待ってください。それは、無理ですって。
「・・・古泉? ・・・・あ、そうか。女性用の下着ってないもんね」
「それもそうですが、森さん、それは・・・僕も理性の限界というものが・・・一応、高校生ですし、その・・・ね」
「・・・古泉になら、いいかも・・・」
ふと、森さんはそう言った。恥ずかしさを思いっきり顔に出しながら。
「そんな事言ったら病人と言えども容赦はしませんよ?」
「・・・いいよ」
「へ?」
森さんの腕が僕に絡まる。
「あの、森さん?」
混乱する僕に目の前の女性はふっと微笑んだ。
「初めてだから、優しくね?」
あー、もう。
 
・・・・・・・・・・。
 
あの後、どうなったかはご想像に任せたいと思います。
「古泉、閉鎖空間が出たって。行くよ」
「了解です」
相変わらず閉鎖空間は出る時には出ます。だから僕たち機関は駆ける。
手を繋いで。
とっとと彼に、この閉鎖空間を永久に発生させない状況を作って欲しいと願いながら。
 
 
Fin

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最終更新:2020年09月07日 21:49