「では──明日の佐々木さんの結婚式の無事を祝って・・・カンパーイ!!」
 
「「「カンパーイ!!!!!!」」」」
 
橘の合図を皮切りにみんながそれに続いて乾杯をした。
橘の発言のとおり、明日、佐々木は結婚する。
お相手は…フン…言われなくても解ると思うが、
中学時代の同級生であり、そしてそれ以来の親友(いや、親友以上か)
であった「彼」こと、通称「キョン」と結婚する。
そして今日は佐々木の友人・知人が、
佐々木と一緒に、思い出を語ったり、飲み食いをする、
まぁ、前祝いと言うやつをやっている。
 
しかし…………自分自身で言うのは何だが
明らかに俺は場違いである。
と言うのも、佐々木は女性である。当然友人、知人も女性の割合が多い、
そして何より、この中で俺の知人は、橘と周防の二人だけだ。
さらに言えば、橘は、根っからのお喋り好きだから、誰かまわず話しかけている。
逆に周防は、珍しいタイプなのか何なのかは知らないが、
色々な人たちに話しかけられている。
そうするとだ…必然的に俺は、この場の空気的存在である。
もっとも、俺はあまり大勢で飲み食いを、したりするのはなれていないし、
すぐ帰るつもりだったからあまり気にはしていない。
 
俺は橘の乾杯の後、だされたお酒少しだけを飲み、食べ物を二口ほど運んだ後、
九曜の所に行き、お札を数枚を渡して、店の外に出た。
季節は夏であるがまだ夜になると寒さが残っている。
だが、世間一般の人々から見れば、もうセミの泣き声がうるさい
暑苦しい夏の季節なのであろう。
そんなこと思いながら俺は帰路をゆったりと歩いていた─────
 
「くっく…君はやはり、あの場に長くはいれないか…!」
 
─────が後ろから聞こえてはいけない声がした。
 
「なぜあんたがここにいるのかが、わからないんだが…。」
俺は振り向きながら、そこにはいてはいけないと思う女性に言った。
「くっく…なんだい?呆れてるのか、驚いてるようなその目は?
僕がここにいては悪いかい?」
悪くはないが…しかし…なぁ…
「他のみんなには、トイレに行って来るといったよ、
もっとも、僕があそこに戻ることはないだろう。」
おいおい…それはちょっとかわいそうじゃないか…?
「別に、僕がやってほしいと頼んだわけでもないし、
もっとも僕は君と同じように、大勢で飲食するのがあまり好んでいなくてね」
佐々木は、クックと笑いながら、正論を述べ
「それに明日も食事をする機会もある、だから今日無駄に体力を消費したくないのさ」
と俺に近づきながらそう言った。
「僕が家に帰ったところ、明日のためにすることが何もない。
だから少しだけ付き合ってほしい、どうせ君も暇だろう?」
「…明日結婚式を控えている女性が夜、男と二人で歩いているところを
もし知り合いの誰かが目撃したらどうするんだ??」
「くっく…質問を質問で返すのはあまり人に好まれないよ…!」
「フン…よけなお世話だ、それにその返答の意味を考察すると、
だれも俺とあんたが一緒にいても、誰もやましいことは考えないと感じているだろ。
…まぁいい俺も暇だ、付き合ってやってもいいぞ」
「くっく…君らしい返答の仕方だね、助かるよ。万が一でも僕が変な人に襲われたりしたら、
大変なことになりかねないからね。くっく…もっとも君も変な人だけどね。」
「……何とでも言え」
"他の人から見ればなあんたも十分変な奴だぞ"
とか言おうとしたが、喧嘩になるのも面倒なので、
俺は黙って付き合うことにした。
 
「くっく…今頃お店では僕がいなくなったことを、心配している人がいるが実際は、
半分以上の人たちがそれを知っておきながら、
のんきに、お喋りや飲食をがんばっているだろう。」
「あんたを本当に今日祝いたいと思っている奴は、1割2割くらいだろ。
後の奴は前祝いなんか知ったこっちゃなしに、飯を食ったり
ぺちゃくちゃとしゃべりに来て今を楽しみたいだけのやからだからな。」
俺と佐々木は他愛もない会話をしながら、のんびりと歩いていた
「着いたよ!」
「喫茶店ねぇ……」
佐々木が俺についてほしかった場所とは駅前の喫茶店だった。
「しかし、何でここなんだ…?もっとこざっぱりした喫茶店やバーはたくさんあるぞ??」
「くっく…その理由は店に入ってゆっくり話そうと思うよ藤原君…!」
 
店は静かで客がいるのかいないのかわからないくらいだった。
俺と佐々木は、店員に案内された席に座り飲み物を適当に頼んだ。
 
飲み物が来て一服をした後俺は佐々木に尋ねた。
「で…どうしてこの店なのか教えてくれるか?」
「くっく…ここはね自分が、大いなる存在だと気づいてから、
初めて「彼」…つまり「キョン」と真剣に話した場所…。」
そんなことを話したいがために、俺をここに誘ったのか…?
「そしてね…これは最初に言っておくべきだと思ったんだけどね…」
なら先にそっちを言えよ…
 
「そしてここはね…君が初めて僕に名を名乗った場所だよ…!」
 
………………………………………………………………………………………
「フン…俺がここで始めて名を名乗ったのは確かに覚えている…
だがそれがどうしたというんだ。???」
「くっく…君はある日を境に君は根元から変わったんだよ。
まあ、そのある日というのは涼宮さんの力がほぼ無くなり
僕後からが完全に消えた日なんだけどね」
「自分では変わってないつもりなんだがな」
「いいやそんなはずはないと思うな、
たしか周防さんや長門さん、朝比奈さんは一時的にもとの場所に報告をするため
帰っていった。しかし藤原君、君はどうだ??君は一度も帰っていない」
「それは、ただ帰りたくなかっただけだということもありえるだろう」
「それは違うね、もしそうだとしてもその後の行動がおかしい、
君はあまり好んではいなかったキョンや橘さんなど大勢の人たちとの接触を
よくするようになった。
それに今日の前祝いに来てること事態おかしい、前の君なら絶対来なかっただろう」
急に何を言っているんだと、思いながらも俺は反論する。
「それをすべて肯定するとしてもだ、根元は違う
根元は昔も今も一緒だ」
「くっく…それも違うね…君は根元から全部変わったよ。
僕は他の人たちが見逃しそうな小さなことも、
ちゃんと知っているんだ。
その小さなことが、君をすべて変わったと証明できるという優れものさ。」
「証明できる大きなことが、どうして誰も彼もが見逃してしまうことなんだ??」
「くっく…普段会話している分には誰も気づかないさ…!
たぶん…僕くらいじゃないかな…くっく…」
「ならそれを言ってもらおうか、できれば俺にわかりやすく─」
「そこだよそこ…くっく…君の「俺」という一人称を使うところさ…」
「君が昔使っていた一人称は「僕」だった、しかし今君は確かに
自分のことを「俺」と指摘した。」
「フン…それがどうしたって言うんだ?」
「一旦話を最初の名前を名乗った所まで戻すよ。
君はそれまで誰に名前をきかれても、答えなかったらしいね。
おそらく君は人に名前を教えてはいけないはずだったと思うんだ、
しかし僕が君に尋ねると、少しの間躊躇しただけであって名前をみんなの前で言ってくれた。
僕はこれを君の規定事項外な出来事だと思う、なぜならあそこで言うくらいだったら
もっと事前に答えても良かったはずだと思うんだ、それからかな?
君がたびたび一人称に「俺」を使ってきたのは。そして能力が消えたとき
完全に「俺」に統一した。
つまり君が一人称を変えた理由は、君が所属している
未来の機関への反抗心だからだと僕は思っている。」
「あんたが何を言いいたいのかが良くわからないんだが…」
「くっく…自分の気持ちをはっきりといったほうが良いよ…!?」
ああ、わかってるさ…佐々木の言っていることはすべてあっているさ
「お前が言わせたい言葉は俺からは今のあんたの前では到底言えそうにない…」
「くっく…なら僕が代わりに言ってあげるよ…
 
 
君は僕のことを昔も今も、人として、異性として
心から好意的な感情を持ち、そして心から愛しているということを…」
 
 
俺は佐々木が好きだ、しかしそれはかなわぬ恋だと知っていた、
だけど俺は佐々木に恋をしていた、
誰にもきずかれずにひっそりと…
だが、とうの本人は俺の気持ちにきづいていたみたいだな。
 
「くっく…でだ、ここにひとつ面白い提案がある。
時刻はまだ9時を回っていない、だから今電車に乗っても
結構な距離までいけるだろう、
つまり僕が言いたいのは─────」
「佐々木……………俺はそんな愛の仕方なんていらないんだ…」
「……………………………………………………………………………わかってるよ」
 
「なぁ佐々木………俺たちは人間の前は何だったかなぁ…」
「え…………………???」
命はつながっていると、思うずいぶん前からな、
俺はいつからかそう考えるようになった。人としての俺は滅びるが、
また何千年か経って、また何かに再生される。
犬か魚か、はたまた微生物かそれともまた人間か。
だから俺はいつ「藤原」という人間が滅んでも良いと思っている。
ただ唯一問題なのが人としての俺が亡くなったとき、
この俺の「俺」という気持ちが無くなること。
俺は死ぬことはあまり恐れてはいない、
だが俺が恐れることは、俺が俺でなくなること、
それだけはご免だ…そこだけは変わらない…
俺は自分の意思であんたに告白せず、そして「彼」があんたに
告白すると同時に俺の意思であきらめた。
だがもし今連れ去ったら、今まで告白せずにいた自分の意思に反することになる。
そしてその行為は、あんたを本当に幸せにしてくれる「彼」や
その友人、家族そしてあんたやその家族、友人を冒涜することになる…
つまり俺は…佐々木を愛するとしても、あきらめるとしてもだ…
 
 
 
藤原として佐々木を愛して、藤原として佐々木のことをあきらめたいんだ………………。
 
 
 
その後会計を済まして、俺は一様佐々木の家の近くまで、付いていくことにした。
帰り道は店に着く前と違いまったく会話をしなかった。
いや、あんなことを言ってまともに話せる奴はこの世で数人くらいだろう。
そんなことを考えていたら、佐々木の家の前まで着いていた。
「じゃあ、また明日な…」
俺は佐々木に顔を見せずうしろを向きながらこう言い帰ろうとした。
「まった!!!」
「何だ…もう用は──────」
それは佐々木のほうを向いた時だった。
佐々木の唇と俺の唇がほんの一瞬重なっていた。
「!??!??!??!?!?!?!??!??!?!」
俺、一種の錯乱状態に陥る。
「くっく…これが「佐々木」として君への最初で最後の贈り物だ!
理解してくれたかい?」
俺はとりあえず首を縦に揺らし肯定をした。
「くっく…じゃあまた明日、君の祝儀の額をさりげなく楽しみにして待ってるよ…くっく…」
「そんなものを期待するな…!」
佐々木は他では見せたことのない笑顔を見せ
家に入っていった。
 
 
この出来事が、規定事項なのか、それとも規定事項外なのか
そんなことは分からない。
ただひとつでけ俺には分かることがある。
明日の結婚式の会場に一番乗りするするだろう、
佐々木や彼こと「キョン」の幸せそうな顔を見たさに。
それが俺にとっても大きな幸せになると思うから…
 




 


(蛇足と補足)
補足
1この藤原は所属する未来の機関と若干決別している
(「僕」は機関に所属していたときに反強制的に使わされていた設定)
2ハルヒと佐々木の能力が消えている
3消えた後藤原は積極的に色々な人たちと交流を深めた
4佐々木とキョンは明日結婚する
5規定事項はほんの少ししか通達されていないという設定
蛇足
1なぜだか分からんがお札を 数 枚 周防に渡している←そして気づいているに訂正しない俺
2結婚式の前に結婚届を普通は出している(思う)
3パクリが少々
4何個か無駄な流れが…
5最初から最後まで藤原の性格がおかしい
 
こんなつたない分に支援を下さって感謝しています
まだまだSSを深く考えて書く必要があると思いました

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最終更新:2007年08月02日 16:45