『キョン〜 雨でどこにもいけないじゃないのー。
風もひどいし こんなんじゃ傘も折れちゃうわ!!
きっと親友を人質に取られたメロスくらいしか外にはでないでしょうね!
よっぽどの強い意志を持った人にしか出歩けない状況なのよ!』
『そんなこと言うためにわざわざ電話してきたのか?』
『退屈なのよー 何か面白いこと考えなさい3・2…』
『ちょまっ!! カウントダウン始めてんじゃねぇよ!!
…そうだな たとえ『やっぱいいわ。』
『……』
『今からあんたんち行くわ』
『は? お前この雨じゃメロスくらいしか出歩けないんだろ?
お前の親友が処刑されそうになってるわけでもなさそうだが。』
『甘いわねキョン。
私がいかに強い意志!強靭な魂を持っているか証明してあげるわ!!』


窓の外を見ると ウチの玄関の前で携帯片手にふんぞり返っているハルヒがいた。
傘は折れてボロボロになっていた。


俺は強い意志と強靭な魂とやらをひっさげて我が家にやってきたハルヒをひとまずウチの中に入れた。
「すみません。出先で傘が壊れちゃいまして…突然お邪魔して、ご迷惑じゃないでしょうか?」
とかなんとか言ってさっそく母親の前で猫かぶってやがる。
ちゃっかり嘘までついて。あとだまされんな母親。ニコニコしながらココアの準備しないでくれ母親。


『ハルにゃんいらっしゃいませ〜!
お洋服も髪もビチョビチョだよ?大丈夫〜??』
『まぁ なんだ。そのままじゃ風邪ひくだろ?風呂にでも入ってこいよ』
とかなんとかやさしく促しながら、実はさっきから濡れた服が透けてて…
その なんていうかかなり目のやり場に困っている。
頼む!俺のためにもさっさと風呂いって着替えてくれ!!

『? わかったわ。じゃぁ借りるわね。
あ 妹ちゃん一緒に入りましょうかー。』
『わーい!ハルにゃんと流しっこー!!キョン君のぞいてちゃだめだよぉ?』
覗くか!! 俺にだって理性のひとつやふたつある。…たぶん。
じゃぁ タオルとかの場所教えてやってくれな。
俺は適当に着替えでも探してくるから。


こういうときの着替えは男物のシャツ1枚で!っていう意見をモノの本で読んだことがあるが、そんなことをしたら俺に明日はやってこないだろう。
だからといって妹の服なんて入るもんは1着もないだろうし。
しかたがないが母親の部屋から、タンスの肥やしになっているであろうちょっと若作り系のカットソーとショートパンツを拝借することにした。

着替えを風呂場に持っていくときゃぁきゃぁはしゃぎまわる妹の声が聞こえた。
『ハルにゃんはすべすべ〜♪ふわふわ〜♪』
なんの歌だナンの。
『あたしもおっきくなったらハルにゃんみたいにおっきくなれる?』
『甘いわ妹ちゃん!目標は常に高くあるべきなのよ!
そうね どうせ今から目指すんならみくるちゃんくらいを目指しなさい!
善は急げなんだから!』
善かどうかは知らんが妹に変な知識を植え付けんでくれ。
妹が朝比奈さんのようになった場合俺はどうしたらいいのだ。
いや どうもしないが。

そっと着替えを棚に置いて立ち去ろうとしたその時、
『あれぇ?シャンプーもうないよう?シュコシュコ』
『あら本当ね。キョーン シャンプー買い置きない?』
ちょっと待ってくれ 確か特売でまとめ買いしてあるはずだ。
『…なんでいるのよ。あんたまさか…』
な! 誤解だ!!ってか 信用なさ過ぎだろ俺!!
「キョンキョンエロキョン〜♪」とか妹と合唱し始めたハルヒを早くなんとかしないと、ご近所さんに聞こえかねない。窓は開けてないだろうな?
俺は目をつぶったままシャンプーだけ風呂場につっこんで妹に渡し…イデっ!!
『ごくろうさま エロキョン!』
な!?デコぴん!!?
ぐぁ!! ハルヒだったのか!! …くそぅ 薄目あけてりゃよかった。
なんてできるはずもなく俺はすごすごと部屋に戻った。

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