『涼宮ハルヒのプリン騒動』
 ―0日目―
 
 
 
「最近お二人の様子ってどうですかぁ?」
「……変わりない」
「何も進展がないというのもいい加減困りものですね」
「二人ともお互いが好きなの他の人から見たらばればれですのにねぇ」
「そろそろ飽きてきた」
「ですよねぇ。何か起こるといいのになぁ。古泉くん何かいいアイデアでもありませんかぁ?」
「アイデアですか?……難しいですね。くっつけるだけというのならやろうと思えば簡単なのですが……」
「それでは面白くない」
「その通りです。お二人がドタバタするのを見ないとやった気がしませんよね」
「確かにそう言われてみればそうですよねぇ。何かハプニングでも起きてくれればおもしろいのに……」
 
「……プリン」
「長門さん?今プリンと言いましたか?プリンと!?プリン?……プリンが何かありますか?」
「こ、古泉くん、なんでそんなにプリンに食い付くんですか……?」
「……プリンが良いと思われる」
「あ!そういえば。涼宮さん最近プリンにはまってるみたいで、いろいろ食べ比べてるみたいですよぉ?」
「なるほど、そのプリン関連で何かを仕掛けようというわけですね。さて、どうしましょうか」
「すでに簡単には考えてある」
「えぇ!?そうなんですかぁ?長門さん、すごいですぅ」
「まず……する。そして……。その後……となる」
「なるほど。では……して、……なわけですね。では……しておきますね」
「あと、……を……しておいてくれると……をしやすくなる」
「え、あ、あれぇ。話にぜんぜんついていけなくなってしまいましたぁ」
「出番はある。心配は不要」
「こんなこともあろうかと、機関に準備させておいたケーキ屋が役に立つときがきたようです」
「ふえぇ、こんなことってどんなことですか。機関はなにを考えてるんですかぁ」
「まぁいいじゃないですか。役に立つのですし。……本当はただの森さんの趣味なんですけどね」
 
「準備にとりかかる。まずはあなた」
「そうですね。とりあえず明日は僕がなんとかします。次の日は朝比奈さんお願いしますね」
「え、わ、私ですかぁ?何をすればいいんですかぁ?」
「大丈夫。すでに手順を紙に書いてきた」
「あ、長門さんありがとうございますぅ。助かります。……って、準備早すぎじゃないですか?」
「それで、3日目はどうします?もう長門さんが出ますか?」
「えぇ!?さすがに3日連続はまずいんじゃないですかぁ?いくらキョンくんでも怪しまれますよぉ」
「いい、むしろその必要がある。でも3日目は違う」
「なるほど。それではあの方に頼むということですね。そして4日目でケリをつける、と」
「そう、必要なわけではないが、その方が楽しそう」
「それは非常に良い考えです。彼はあの方には逆らえそうもありませんからね。色々とお世話にもなってますし」
「え、あの方って誰のことですかぁ?」
 
「で、僕はとりあえず明日彼を機関のケーキ屋に違和感のないように誘導すればいいのですね」
「そう、そしてケーキ屋にはある仕掛けが必要」
「あれぇ?ひょっとして私スルーされちゃってます?」
「仕掛けとは?……なるほどそういうことですか。それで2日目に繋がるというわけですね」
「そう」
「えっ?仕掛けってなんなんですかぁ?」
「これで1日目の準備はほぼ完了したと思われる」
「……またスルーされてますぅ……」
「ちなみにケーキ屋にはすでに監視カメラと盗聴機は設置済みです」
「早いですねぇ。……ってなんでですか?なんですでに設置されてるんですかぁ!?」
「いや、それは新川さんの趣味らしいので詳しいことはわかりません。まぁ役に立つのでいいじゃないですか」
「ちなみに部室にもすでに設置済み」
「えぇぇぇ!?わ、わわわ私の着替えとか見てないですよね!?よね?」
「大丈夫ですよ。そのようなことはしてません。……僕は」
「ぼ、僕はってどういうことですか?誰か見てるんですかぁ!?」
 
「では2日目」
「えっ、あ、はい。ようやく私の出番ですねぇ。頑張りますっ」
「朝比奈さんは基本的には僕と同じようにやってくれればいいです」
「おそらく、1日目に仕掛けたトラップに彼女はかかり、彼のためにプリンを作ってくることになるはず」
「そして、そのプリンですが、おそらくこの季節とても暑いので保管場所は冷蔵庫になるでしょう」
「保冷器具等を使う可能性も考えられなくはないが、それらは見つけ次第私が始末する」
「し、始末ですかぁ……」
「そしてそのプリンを予め見つけておき、彼にあなたの手作りとして渡す、というわけです」
「渡すタイミングなどは涼宮ハルヒの現在地などを考慮に入れ、別室から私が指示を出す」
「だいたいわかりましたぁ。けど、涼宮さんほんとうにプリン作ってくるんでしょうか?」
「問題ない。そのための仕掛けがある」
「その仕掛けってなんなんですかぁ……?おしえてくださいよぅ……」
「仕方ないですね。この映像を見てください。これがそのケーキ屋の現在の様子です」
「……もうすでにこんなのまで用意してあるんですね」
 
「ここ。『開店記念無料手作りプリンサービス』と書いてある」
「開店記念というわけで、お望みのお客様にプリンの作り方を教えよう、という企画です」
「『気になるあの人へ、プリンをプレゼントしてみては?(メッセージカード付き)』というもの」
「……さっきはこれから仕掛けをする、みたいに言ってませんでしたっけぇ?早すぎじゃないですかぁ?」
「これを見た涼宮ハルヒは間違いなく彼にプリンを作る。そして次の日にプリンを持ってくる」
「しかし、涼宮さんのことですから、作ってきたはいいが、照れてしまい彼に直接渡せないかもしれません」
「はぁ、まぁそうかもしれませんねぇ」
「だからあなたが渡す。それが優しさ」
「でもぉ、涼宮さんも自分でちゃんと渡すかもしれませんよ?せっかく作ったんですから」
「確かにその可能性もあります。が、どちらにしろあなたが渡してしまえば同じことです」
「けど涼宮さんがいつ渡すかわからなくないですかぁ?放課後まで待ってるとはかぎりませんし……」
「大丈夫。……私がさせない」
「ふえぇぇ、こんなところで無駄に決めゼリフ!?長門さん、ら、乱暴なことはやめてくださいよぉ?」
「と、まぁこんな感じですがだいじょうぶですよね?」
「えっ、えぇっと、このとおりにいくなら、だいじょうぶだと思いますぅ」
「なら問題ない」
「では、詳しくは明日のミッション後に。あ、ちなみに僕一人でやりますので。ではまた明日」
「それじゃあ、また明日ぁ」
「……明日」
 
 
プリン騒動0日目 ―完―

 

 


|