俺は今………ビルの屋上にいる……
何故ビルの上にいるかって…??
中学生がビルの屋上に上る理由は、花火を見るか
自殺するかの二者択一だと思うぜ…。
俺は今から死ぬ、
この高いビルから飛び降りて死ぬのさ。
今までは自殺する奴の気持ちなんてまったくわからなかった、
少なくとも1ヶ月前にはそんなことは思わなかった。
だが今の俺にわかってしまうそんな奴らの気持ちが……
忘れもしない7月7日…そう一ヶ月前の話だ、
この日から俺の地獄は始まった…。

毎日が…!!毎日が苦痛の連続だった…!!
夜遅く謎の空間に行かされる日々…
どんなに辛くても…辛くても…
誰もまじめに話しを聞いてくれない…
それどころか、友人からは馬鹿にされ
極端な無視…!!暴力…!!暴言…!!
いじめられる日々が、学校にいるあいだ続いた。
親や教師にも、もちろん相談した。
しかし…
成績の急激落下…!!授業中の居眠り…!!
これらの事により親、教師からも信用されなくなり疎外された…。
誰も俺の事を真剣に聞いてくれない…
誰も相談に乗ってくれない…
誰も俺の苦痛をわかってくれない…
誰も…ダレモオレノキョウフニキズイテクレナイ
ダレモタスケテクレナイ…
ミンナオレヲサケテイク…
モウイイヤ、イキテテモイミガナイヤ…
シノウ…
ヨクガンバッタオレ、ヨクイチカゲツモガマンデキタナ
エライゾオレ…………エライゾ……………

「スー…………ハー…………………」
意外と自殺するのって勇気がいるんだな…
集団自殺とかあるのも、納得できるような気がする。
しかし…もう決めたことだ、それに誰も俺を必要としていない。
柵まで後10歩…9歩…8歩…7歩…6歩…
そろそろ気が引き締まってきた、もう苦痛はなくなる…
5歩……4歩……3歩……2歩……1歩………0歩……!!
後はこの柵を乗り越えるだけ………………………
恐怖が……苦痛が……いじめが……疎外が……
全て無くなる……!!
楽になる……あの毎日が楽しかった日々が帰ってくる……………
そう感じて柵を乗り越えようとした

  



「フフ…死ねば助かる……………か………」

うしろを振り返ると見知らぬ男が立っていた

「誰だよあんた」
「フフ…人の名前を聞く前に自分の名前を言うもんだぜ…」
鼻つく言い方だ…
「もっとも僕が君の名前を聞いたところでまったく意味がない…
だから、君も僕も名乗る必要がない…フフ…」
ああ…死ぬ直前に、こんないやな奴にあってしまうなんて…
「名前なんかどうでもいい、あんたは何でここにいるんだよ…?」
「僕がここにいる理由…?フフ…人気が少ない路地裏のビルで
夕方に独り、無情の顔をした少年がいたら、誰だって気になるさ」
ああ…ほんとうに今日はつきが無い…
「もっとも…今日、君がここに来て自殺をしようとするのは
規定事項なんだよ…フフ…そうだろ??…古 泉 一 樹 君??
なんで……なんで俺の名前を知っているんだこいつ…??

「な…何なんだあんた…なんで…なんで俺の名前を知っている…??」
「フフ…その驚きも規定事項…」
なに言ってやがるこいつ…
「だが驚かなくてもいい…なんせ君は自殺するのを決めたのだから…」
そうだ…
俺は死ぬんだ…だからこんな奴関係ない…
「だが、その自殺が本当に助けになるかな…」
え………
「僕は思う…死は…ギブアップじゃない…
むしろ…ゴール…もしくは完成を意味する…」
「何いってるんだよ?俺を止めようとしてるのか??
ふざけんな!!悪いが俺は一度決めたことは絶対に守る男なんだよ
だから、あんたが何を言おうが、俺は死ぬぞ??」
「フフ…やはり……やはり無能…フフ…これはおかしい…フフ…」
「何がおかしいだよ…」
「フフ…僕は一度も君に自殺をやめてほしいとはいってないぞ…」
「じゃあなんでここにいる!!答えろ!!」
「だから言っただろ…気になっただけだって」
…………………確かに
こいつは、俺のことを気になっただけと言っていた。

「君は本当は死にたくないと思っている…
死ぬ気持ちなんて1%もないはず…」
「そんなことはない!!俺は今日死ぬ!!絶対に死ぬ!!
死んで楽になる、苦痛からk
「何故死んだら苦痛から開放されるかわかる??」
俺が話していると、そいつが近づきながらそう言ってきた

「何故死ねば楽になるとわかる??誰が決めたそんなこと??」
…………俺は何も言い返せない
「第一、本当に死にたい奴はそんなことは、見ず知らずの人には言わない」
…………やはり言い返せない
「フフ…君はね…死にたいんじゃない…逃げたいだけなんだ
ただ一時の苦痛から逃げたいだけ…
責められたくないから逃げたい…苦痛を味わいたくないから逃げたい…
でも逃げれない…逃げ切れないないから死にたい
死にたくないけど、死ななければ苦痛から逃げられない
だから死のう…死ぬのは逃げるのに一番の近道だから…そう考えてるはず…」
…………………………………………
「お前には……お前には………!!俺の苦痛はわからない……」

「この1ヶ月間どんなに苦しい思いをしたか…どんだけ寂しい思いをしたか…
お前には絶対わからない…」
「ああ…まったくわからないな……フフ…」
「俺は楽しく生きたかった……
毎日友達と話して…授業を聞いて…先生たちと話をして…
そして家に帰ったら、親と話したりする生活を……
それなのに……それなのに……俺は1ヶ月前のあの日から…
俺の人生が一気に狂った…
まともじゃなくなった、普通の人生を歩めなくなった……」
ああ…なんで俺は見ず知らずの男に熱く言っているんだろうか…

「フフ…やっぱりそこか…君を縛っているものは…」
俺が………縛られているだって………??
「何にだよ…??」
「フフ…その『まとも』とか『普通』って何だ…」
「それは…みんなと同じ様に…」
「君はそれでいいのか…みんなと同じで…
君は君だ…なんかどうでもいい…君がいるのはみんなのためじゃない
君自身のためだ…みんなに合わせる必要なんかない…」
……………………………………

「いいじぇねぇか、信頼できる友人、家族がいなくても
君は、君だ。誰も話を聞いてくれなくても、君が実際にそういう事実にあってるのは
本当なのだから…
だから苦痛に耐えてみろよ…疎外に耐えてみろよ…恐怖に耐えてみろよ
耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて…耐えて
どんなに辛くても耐えて…耐えまくって……これでもかって耐えまくってみろ…
それが和らいだときに…お前は完成する…
完成した時には、君はまわりには信用されていて、信用できる仲間ができる…
だから耐え切ってみろよ…その後に生きたいか、死にたいかを決めても遅くはないさ…」
-------気がつくと俺の目から自然に涙があふれてきた-----------

「俺にも…俺にも…苦痛に耐えることができるのか…??」
「ああ…もちろんだよ…フフ…」
男性はとってもやさしい顔でそう言ってくれた…

「苦痛に耐える秘訣はな…
とにかく笑顔でいろ…、そうすれば自然に気分が良くなってくる
あとは……一人称を『俺』から『僕』に変えるべきだな…
なんでかって…??フフ…それはな…じきにわかるさ…」
とりあえず、僕は男性の言うおり、笑顔を作ってみた。
「おお…いい感じだ…!!その顔で僕に自己紹介してくれないか…??」
僕は大きく息を吸って言った
「僕は…僕の名前は……古泉一樹です……!!」
「…………………フフ…合格だ……」
僕は…すごくうれしかった…

「さぁて、そろそろ僕は、君の前から消えなければならない…」
…え………なんで……??
「それはな…規定事項だからな…
もっとも…あと数分したら、君を探している人たちがここに来る…
だからお前は、僕のことを考えなくていい」
…また……会える……??
「さぁ……会えるかもしれないな…
だが……今度は…君にとって邪魔な存在…つまり…敵になっているかも……
フフ……」
……どう言うこと………???
「じきに解るよ……フフ…………
じゃあな……がんばれよ…………」
そう言って男性は僕の前から去っていった…

数分後僕の前には『機関』と言われる人たちに出会った。
そこであの空間が何のためにあるか、あの空間で何をするのかを聞かされた。
その後、僕は『神人』と呼ばれるものを倒すために、地獄のような訓練を強制された。
だが僕は、恐れない、逃げない。
なぜなら僕は………………………







敵になると言われたあの人に……もう一度会いたいから……


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