何かが変だ・・・
そう気付いたのは放課後いつも通り部室に向かっている最中だった。
すれ違う奴がみんな笑っている。
なんとなく俺を見て笑っている気がする。
それが何となく気になりつつもいつものように部室のドアをノックした。
「はぁ~い」
舌ったらずな朝比奈ボイスを聞き俺はドアを開けた。
「ちわーっす」
今日は珍しく俺以外の全員が揃っているなと思いながらいつもの席に着いた俺は団員の微妙な態度に気が付いた。
朝比奈さんはプリティフェイスを真っ赤にして口元を押さえ、古泉はいつものハンサムスマイルをいつつも口元がピクピクしている。
長門に関してはさっきから全くこちらを見ようとしない。
そんな中、我等が団長様はというと何やらいつもよりご機嫌な様子だった。
「何かあったのか?」
そう古泉に尋ねると必死に笑いを堪えながら鏡を渡してきた。
何なんだ一体?
そう思いつつ俺は鏡を覗き込んだ俺は言葉を失った・・・・
何故なら、そこにはハルヒとお揃いの黄色いリボンを装備した俺の顔が映っていたんだからな。
なるほどね、これでさっきまでのと今のこの状況に全て納得がいったよ。
あぁ、すっきりした。

現実逃避はこれ位にして、俺はご機嫌なハルヒを睨み付けた。
「おいハルヒ!お前、何してくれてんだよ!!」

「何よ、授業中居眠りしてるあんたが悪いんじゃない!!」

「だからってしていい事と悪い事があるだろう!お前はそれすらも分からんのか!!」

「ちょっとしたイタズラじゃない!そんなんで怒ってんじゃないわよ!!」

「ふざけんじゃねえぞ!!何だこんなもん!!」
俺は頭からリボンを取り、そのまま力任せに引き千切った。
それを見ていたハルヒは怒りの表情を浮かべている。
「何すんのよ、バカ!人の気も知らないで!!」

「はん、そんなもん知りたくもないね!!」

「大バカ!!キョンなんて死んじゃえ!!」
そう言い残しハルヒは部室を飛び出した。
それを見送ると、古泉が冷蔵庫から熱冷シートを取り出し俺の額に貼り付けてきた。

「な、何しやがる!?」

「いいから少し頭を冷やして下さい」
シートがみるみる熱を奪っていく。
「どうです?少しは冷めましたか?」

「あ、あぁ」
シートのお陰で俺はすっかり理性を取り戻していた。
「一体どうしたんですか?いつものあなたらしくないですよ」

「そうだな、なんか熱くなっちまった。スマン」

「そうですか。それにしても今日の涼宮さんはとてもご機嫌でしたね。よほどあなたとお揃いだったのが嬉しかったんでしょうね」

「何だそりゃ?」

「お気付きじゃないんですか?涼宮さんはあなたと何かお揃いになりたいと思ってあんなイタズラをしたんですよ?でなければあんな幼稚な事するわけありませんから」

「そうかい。そりゃ光栄だね」
全く、困った団長様だな・・・
まぁ、そこまでされると嬉しくもなるな。

「理解して頂けたようですね。ではいつも通り、後はお任せしていいですか?」

「分かったよ。で、あいつは今何処にいるんだ?」

「涼宮ハルヒは現在屋上にいる」
ここでやっと長門が始めて話した。
しかし、こいつは本当に必要最低限の事しか話さないな・・・
「そうか。じゃあ、行ってくるな」

「あ、キョン君忘れ物ですよ」
部屋を出て行こうとした俺に朝比奈さんがそう言って俺とハルヒの鞄を渡してきた。
「私達、今日はこれで帰りますからちゃんと仲直りして下さいね!」

「はい、分かりました。行ってきます」

「はい、いってらっしゃい」
俺は部室を出て屋上を目指した。


屋上に出るとハルヒが隅っこで座り込んで俯いていた。
「よっ」
俺はハルヒに向かい合うように座り込んだ。
「何しに来たのよ?あんたの顔なんかもう見たくないからさっさとどっか行ってよ!!」
やれやれ、嫌われたもんだな・・・
どうしたものか・・・
「一応、謝りに来たんだよ。さっきは済まなかった、反省してる」

「別にいいわよ!気に入らなかったんでしょ?」

「いや、気に入らなかったとかそういう問題じゃないんだが」

「じゃあ、どういう問題なのよ?」

「そもそも男がリボン着けるなんておかしいだろ?そこが問題なんだよ。それにあのリボンはお前が着けてるから似合っているわけでだなぁ」
イカン、口が滑って余計な事まで言っちまった。
「あ、ありがと」
なんか、照れてるし・・・
ここはなんとか切り返さねばならない。

「それにお揃いがいいなら他にもっとあるじゃないか」

「他にって例えば何よ?」

「そうだな、ほらストラップとか指輪とか・・・」
って、また余計な事を言ってるし・・・
こりゃ、また俺の財布が軽くなりそうだな。
「そうね、確かに指輪の方がいいわねぇ。キョン、リボンを引き千切った罰よ!今すぐ指輪を買ってきなさい!!」
っく、やっぱりこうなったか・・・
「それは構わんが、俺はお前の指のサイズとか知らんぞ」

「大丈夫、あたしも一緒に行くから!!あんたのセンスに任せるとロクなの選ばなそうだからね!!」

「はいはい、そうですか。じゃあ、行くぞ」
そう言って俺は歩き出した。
「ちょっと、あたしを置いて行くなんていい度胸じゃない!!ねぇ、聞いてるのキョン?」
慌てて小走りでついてくるハルヒを不覚にも可愛いと思ってしまった。
まぁ、たまにはこんな日があってもいいか。
なんて思う今日この頃である。

FIN

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