長門有希の憂鬱Ⅰ
おまけテキスト集



谷川流の憂鬱:

「二人とも行ってしまったなぁ……」
グランドに広がる炎の絵文字をぼんやりと眺めながら僕は、ここ数日の出来事を思い返していた。

思えば、あのときはびっくりしたよなぁ。
コスプレどころじゃない、キョン成りきりなんてとんでもないアニヲタだと思ったが
実は本人だったなんてなあ。
これからはもっとまともな話の展開を考えてやろう。いや、それじゃ面白くないか。
そうだな……煮て食うも焼いて食うも僕次第か。僕はニヤリと笑った。

もう実際に会うことはないんだろうな。もっと向こうの世界の話を聞いておけばよかった。

それにしても長門有希があんなに美人だったとは。
やっぱり僕の思い入れが他のキャラクタとは違うからかもしれない。
もしハルヒが来たら、やおら胸ぐらを掴んで「ちょっと谷川!もっとあたしを活躍させなさい、
 誰が主人公だと思ってんの!?」とでも言うかもしれない。

そうだ、今度、平野綾さんにやってもらおう。

「さて、帰って次号の原稿でも書くか」
さっさと帰らないと警察と消防が来そうだ。明後日くらいの新聞の地方欄には載るかな。

そのとき、闇の向こうから大声がした。「谷川さん!谷川さん!俺です」
見るとグランドの端からキョン君が走ってくる。「谷川さん!また戻ってきました」
「キョン君!そんなバカな!たった今もとの世界に帰したばかりなのに!」

僕はその場で卒倒したらしく、そこからの記憶は曖昧だ。

                               To be continued...


NG集

「……関西弁を習得した」

ほう、やってみせて。

「こん銀河を統括しとる情報統合生命体に作られた、
 対有機生命体コンタクト用……ああっもう長ったらしいわ!
 宇宙人製アンドロイド、それがウチ。

 涼宮ハルヒは自律進化の可能性を秘めとる。
 ウチが思うに、あの女にはオノレの都合のええように
 周囲の環境情報を操作する力があるんよ。

 それがウチがここにおる理由、アンタがここにおる理由」

「なに言うとるんや。んなケッタイなことあるかい」

思わず突っ込んでしまった。



「この世界にひとつ、謎がある……」長門はふとなにかを思い出したように箸を止めた。
「なんだ?」
「わたしが誰かの配偶者だという情報を多く見かけた」
「そうなのか」
「“長門は俺の嫁”って、何」
「なんだそりゃ」
「コンピュータネットワーク上でよく見かける」
「さあ、なんだろう。初耳だが。だとするとお前の旦那は大勢いるってことだな」
「……全力で断る」長門は無言のまま複雑な

カット!なんかセリフ違うくない?

「……今のは、電気的ノイズ」長門が赤面。



「キョ……」
長門だ。やっと見つけたのだ。

俺はなにも言わず、長門もなにも言わなかった。下げていた買い物袋を床に落とし、ゆっくりとこちらに歩いてきた。
なにかを言いたげな複雑な表情をして、俺の背中に細い腕をまわし、そして胸に顔をうずめた。
いつもの長門らしくない衝動に、俺は少しだけ動揺した。胸に暖かく濡れたものを感じた。
長門の髪に、綿を連ねるようにゆっくりと雪の切片が舞い降りた。

「長門……泣いてるのか」
「……」長門は顔をすりつけたまま動かなかった。

 ズ ズ ズ ッ

カット!今の音なに!?

「……はなびじゅ」
「おーい誰かティッシュ」キョンが苦笑い。



目をつぶること三十分。
あれほど眠かったはずが待てど暮らせど眠れない。頭の後ろに長門の視線を感じる。
朝比奈さんが長門のマンションに泊まったとき、
寝てるときに長門に見られてる感じがして落ち着かない、と言っていたのを思い出した。

「長門よ」
「……」
「おい、長門」
「……」
「長門、起きろ」
「zzzz」

カットwww


あとがき

子供のころ不思議な夢を見た
見慣れた風景なのに知ってる人間がまったくいない
団地の建物やら町の景観はまったく同じなのに
そこは自分の住んでた世界ではないと直感した
そのとき孤独感と疎外感、それから寂寥感に襲われた

団地の風景がやけに明るく見えたのを今でも覚えている
消失を読んでそのときのことを思い出した

読んでくれてありがとう



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