「もうすぐ出来ますからね」
「了解しました」
私の部屋。私が喋った相手は彼、キョンくん。
何故一緒に居るか、というと今日は初めてのお泊りだから。
本当は彼の家の方が都合が良い。けど、流石に彼の家に泊まれないので私の家に泊まる事になった。
「はい、出来上がりです」
「なかなか美味しそうですね」
私達はテーブルと料理を挟んで向かい合うように座る。
「「いただきます」」
私はまず自分では手を付けなかった。彼が、どんな反応をするか気になるから。
一口、私の料理が彼の口に入っていった。
「・・・どうです、か・・・?」
「まずいなぁ・・・―――こんな美味い料理食べさせられたら、もっと喜緑さんを好きになってしまいますよ」
「ほっ・・・良かったです」
ふと、私の目の前にお箸に捕まれた唐揚げが突き出された。
「喜緑さん。あーん、して下さい」
エラーが起きる。これは人で言うところの恥ずかしいという感情らしい。
「は、はい・・・あーん」
私の口に彼のお箸から唐揚げが渡される。
・・・うん。これは、我ながら今回はなかなか上手くいったと思う。
理由を考える。そしていつもより気合入れてる自分に気付く。
あぁ、そっか。これが愛を込めるって意味なんですね。そう思った。
しかし、同時に思う。愛ってなんなのでしょうか。
「・・・キョンくん」
そこで彼に問うことにした。
「何ですか?」
「愛って、何だと思いますか?」
私の質問に対し、キョンくんは料理を咀嚼して飲み下すと腕を組んで考え始めた。
そんな状態で唸り始めてしばらく。
「ん~・・・花のようなものですかね。踏んじゃいけません、っていう感じですかね。あと、色が様々ですし」
と、答えてきた。
「そうですか・・・あんまり、解りませんね」
「解り難くてすいませんね。まぁ、知り合いに言わせて貰えば、精神病らしいですけどね・・・」
「精神病、ですか?」
「あながち間違いじゃないんですよ。だって、精神がその好きな人で埋まっていくんですから。精神を侵していくようなものですね」
「何だか、聞こえが悪いですね」
「そうでもないですよ。だって、その精神病の病状は相手を好きになるという病状なんですから。丁度、今の俺と喜緑さんみたいに」
彼は、恥ずかしさの微塵も私に見せずそう言ってみせた。
少しだけ、聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる。顔が、熱い。
「ささっ、冷める前に食べちゃいましょう」
「そうですね」
私達は会話を交えつつ食を進めた。
「「ごちそうさまでした」」
そして、食べ終わり食器洗いをキョンくんがやってくれるという事なので甘える事にした。
台所から彼の行動の音がする。振り返ればエプロンを付けた彼の後姿。
それだけなのに幸せな気分になって思わず微笑まずにはいられない。
「よっし、食器洗い完了!」
「お疲れ様です」
「食べさせてもらったんですから、これぐらいしないといけませんよ。まだ、足りないぐらいです」
「そうですか?」
「何か、俺に出来る事はありますか?」
「・・・そうですね・・・じゃあ、膝枕をお願いできますか?」
「喜緑さんは、膝枕が好きですね」
うん。私は、膝枕が大好きである。キョンくんの膝枕が。
「・・・暖かい」
「そうですか」
「はい・・・このまま、しばらく寝かせてもらっても良いですか?」
「もちろんです。その間、俺は貴女の可愛い寝顔を拝見させてもらいますから」
「恥ずかしいですよ。・・・じゃあ、おやすみなさい」
「はい」

眠たくならないインターフェース。だけど、寝たい衝動に駆られる。
だって、彼の膝枕は安らげるから。私はまた眠たくないけどやっぱり寝てる。
私の頭を撫でる彼の手の感触がくすぐったいと感じながら。


その頃の古泉くん。

「ビールもう一本!」
「古泉、酒飲みすぎじゃないか?」
「大丈夫ですよ、森さん。ひっく・・・うぃ~」
「全然大丈夫じゃないじゃない」
「大丈夫でーす!一樹ちゃん、まだまだいけまーす!!ひっく、うぇーい」
「・・・(駄目だこりゃ)」
「けっけけけけけ!森さーん!!」
「古泉、意識を酒は飲んでも飲まれるな!!」
「僕、ずっと貴女がちゅきでしたー!!うぇーい!!」
「な、何を言って・・・」
「本気れすよー。ひっく。酔っ払ってないじぇーい!!」
「や、やめ・・・古泉、やめ・・・あ」

森さんは古泉が美味しく伐採しました。


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