第二次バカップル保守
 


 
「もしもし」
「何よ。さっきまで一緒に居たのに何の用?」
「そんなに冷たくするなよ。もう俺の前でそんなに強気な態度取らなくてもいいだろ?」
「あ、そっか。付き合うんだったわね……」
「そうだ。だからって何やればいいかわからないから電話をかけて見たわけだ」
「それで……いいと思うわよ。あたし、ディスプレイにあんたの名前が出て……その、すっごくうれしかったし……」
「あ、おい! ……切れた。違うな、切りやがった……」
「言っちゃった……。やっばい、すごく嬉しすぎて言っちゃった……あぁ! 夢みたい!」
 
バカップル保守
  


 
「……もしもし、キョン?」
「あぁ、誰かと思えばさっき電話を一方的に切った涼宮ハルヒさんですか」
「あ、あはは……ごめんって」
「でもな……まぁ、その……なんだ。お前の言葉、メチャクチャうれしかったぞ!」
「え……あ! 切れちゃった……」
「はぁ……そうか。ハルヒもこんな気持ちで切ったのかもな……」
 
バカップル保守
  


 
「電話を待つあまり一睡も出来なかった……もう朝ね」
「電話を待ってたら一睡も出来ないまま朝かよ……こっちからかけてみるか」
 
「キョン! なんで今までかけて来なかったのよ!」
「俺から切ったからお前がかけてきてくれるかと……」
「あ、そっか。……今日さ、どこか行く? せっかく休みなんだし」
「そ、そうだな。どこがいいんだ?」
「あんたが決めなさいよ! 男でしょ!」
「……とりあえず駅前に集合だな。二人で決めるぞ」
「あんたね、そんなんじゃダメじゃない! 普通は男がリードするもんでしょうが!」
「いや、ほら。電話で話すより顔見て話す時間が長いほうがいいんだよ」
「あ……そ、そうね」
「今から出来るだけ早くに駅前な。じゃあ後でな」
 
「ちょっと待って……今のキョンの台詞ヤバい。すごいクラッときちゃった……」
 
バカップル保守
  


 
「お待たせ」
「遅いぞハル……お前、その格好?」
「ちょっと女の子っぽい服を着てみたけど……似合わないわよね。着替えてくるわ」
「ちょ、ちょっと待て! ……いい。すごく似合ってるぞ」
「……ほんと?」
「本当だ」
「どれくらい似合ってる?」
「……手、繋ぎたいくらいだ」
「…………はい」
 緊張している俺の手と同じくらいハルヒの手は湿っていた。
 
バカップル保守
   



「手繋いだのはいいがどこに行くんだ?」
「……あんたがいつも有希やみくるちゃんと二人になった時に行く場所に行ってみたいわね」
「な?」
「いつもサボってんのはわかってるの! ただどんな所でサボってるか気になるじゃない……彼女として……」
「……わかったよ。行こうぜ。まずはこっちだ」
「手じゃなくて腕でもいい? 離したくない……」
 いつもより少し赤い顔のハルヒがとても何故かとても可愛く見えた。
 
初デートの朝のバカップル保守
  


 
「とりあえず……ここが長門といつも来る場所だ」
「と、図書館……。まぁ、有希らしいっちゃそうなんだけどさ」
「何か読みたい本とかあるか?」
「うん。あ……やっぱりいいわ」
「なんだ? 少しくらい良いんだぞ?」
「うぅん。気にしないで。さっさと次に行きましょ!」
「……変な奴」
「(本読んだり借りたりしたら離れちゃうじゃない。今日は初デートだし一時も離れたくないわよね)」
 
バカップル保守
  


 
「ここが朝比奈さんと来る場所だ。んで、これがいつも座るベンチだ」
「みくるちゃんとはデートみたいなことしてたんだ……」
「ハルヒ? 怒るなって。もう済んだことだろ?」
「座るわよ。早く!」
「わかったわかった。そう急かすな……ってオイ」
「なによ」
「普通は逆だろう?」
「……して欲しいの?」
「正直、して欲しい」
「しょうがないわね。甘えんぼのエロキョン!」
「(や、柔らかいな……)」
「(ちょっと憧れだったのよね……幸せ)」
 
ひざまくらバカップル保守
  


 
「なぁハルヒ」
「なに?」
「非常に気持ちよくて、最高に幸せだがそろそろ行かないか?」
「どうして? あたしはまだこのままがいいんだけど」
「……じゃあいいや。しばらくこのままでいるか」
「なんか変な感じね。わけわかんない」
「(ハルヒがこんなに幸せそうな顔してるのに腹減ったからなんて言えるかよ)」
 
バカップル保守
  


 
「う~ん……お腹空いたわね。そろそろ行きましょ」
「あぁ」
「いつもの喫茶店でいいわよね。ん、手出しなさい」
「あ、そうだな。ほらよ」
「えへへ……さ、行くわよ!」
「(当たり前のようにキョンと手を繋げてる。最高に幸せな気分だわ……)」
 
バカップル保守
  


 
「ま、迷うわね……」
「どうしたんだ? 早く座れよ」
「あんたの顔が見れる正面か……。それともほとんど距離を取らなくていい真横か……」
「……俺は離れたくないけどな」
「うん、決めた! 向かいに座るわ……ってなんか言った?」
「いーや。何でもない。さ、早く座れよ」
「わかってるわよ……んしょっと」
「向かいに座るんじゃなかったのか?」
「(間違えた……)こ、こっちのほうがメニューが見やすいでしょ!」
「そうか、そうだよな。じゃあこのままな」
「なんであんたそんなに嬉しそうなのよ」
「こうやっていれるからな」
 ちょっとテンションが上がった勢いに任せて俺はハルヒの手を握った。
 
バカップル保守
  


 
「あんたのそれ美味しそうね。一口寄越しなさいよ」
「別に構わんが……ほれ」
「ちょっと待ちなさい。なによ、それは」
「一口食べるんだろ? 早く口を開けろよ」
「あんたね、ここが喫茶店ってわかってるの!? 恥ずかしいじゃない!」
「お前の大声のが恥ずかしいと思うが」
「あ……」
「はい。あーん……」
「……おいしい」
 
バカップル保守
  


 
「さて、腹も膨れたことだし午後からはどこに行く?」
「ん~……あたし、普通のデートをしてみたいかも」
「普通のか?」
「そ。ふつ~の」
「じゃあまずは……ゲーセンとかか」
「ふふふ……あんたの『普通』のレベルがわかっちゃうわね」
「うるさいぞ」
「あ、やっぱり普通のデートはやめた!」
「じゃあどうすんだ……うおっ! 腕に抱き付くのは良いが飛び付くな!」
「幸せなデートで頼むわっ!」
「やれやれ……。了解だ、とびっきり幸せなデートをしようぜ」
 
バカップル保守
  


 
「キョン。アレ欲しいわ」
「クレーンゲームか……苦手なんだよな。ハルヒ、お前がやってみるか?」
「……あんたが取ったのがいいのよ」
「そうか。なら頑張ってみるか。一日潰れたらごめんな」
「うん……」
 
「……やっと取れた。ほら、ハルヒ。時間は無くなっちまったけど取ったぞ」
「時間なんていいのよ。あたし達の初デート記念だもん。……一生持っとくわ」
「じゃあ俺も持っとくよ。ハルヒ、取ってくれ」
「でもあたしやったこと無いわよ?」
「閉店まではまだまだだから大丈夫だ」
「もう、しょうがないわね。…………あ、取れた」
「……1回かよ」
「「ぷぷっ……あははははは!」」
「何はともあれお揃いの初デート記念だ。一生大事にしような」
「うん! もちろんよ!」
 
バカップル保守
  


 
「もう時間だな……帰るか」
「……いや」
「しょうがないだろ。俺達はまだ高校生なんだ。補導されたら全部終わりだぞ」
「だって……そうだ! あたし、あんたの家に行く!」
「おい、無茶言うな。こんな時間から……」
「まだ離れたくないの! いいわ、ダメって言うならずっとこのままなんだから!」
 ハルヒは俺の腕にしがみつく力を強めて言った。……そのくせ幸せそうな顔すんなって。
 
バカップル保守
  


 
「……ただいま」
「おじゃまします!」
「あ、母さん。こいつは……」
「キョンの彼女の涼宮ハルヒです。……えぇ、そうです。しばらく前にもお邪魔させていただき……」
 
「見事に猫被ったな」
「あれくらい朝飯前よ。なんならあんたの目の前でも猫被ってあげようか?」
「ほう。見せてみろ」
「……ねぇ、キョン。あたし、体が……熱い……」
「や、やめろ! わかったからやめろ! ほら、落ち着……」
「掴まえた!」
「のわっ!」
「キョン、暖かいわ~」
 俺に抱き付いてきたハルヒ。二人の時は素を出すんだよな。
 ほんとに甘えん坊な奴め。幸せだぞ、バカ野郎。
 
バカップル保守
  


 
「でな、そしたら谷口が……」
「…………ん」
「ハルヒ。おい、ハルヒ! 寝るな!」
「うん。元気よ……」
「ほら、送って行くから帰るぞ」
「うん、そうよ……そうだってば……」
「おい、起きろって」
「……しょうがないわね。一回だけよ、バカキョン……大好き……」
「……起きてるのか?」
「くぅ……すぅ……」
「完全に寝てる……よな。母さんに泊まらせるって伝えてくるか」
 
バカップル保守
  


 
「母さんも適当だな。好きなだけ泊まらせなさいなんて……」
「すぅ…………」
「寝顔可愛いな……っていかん。俺はハルヒに手を出さない。一緒のベッドで別々に寝るだけだ」
「くぅ…………」
「おやすみ。ハルヒ」
「すぅ……すぅ……」
「(ぐああ! ハルヒの寝息が聞こえる距離なんて寝れねぇよ!)」
 
バカップル保守
  


 
「げ、ちょっと寄ってきたな。少し壁の方に……」
「…………」
「寝返りかよ。もう少し開いてるから詰めるか」
「…………」
「近い近い近い。これ以上行けないっての」
「…………」
「だから限界だって。……っつーか起きてるだろ。ハルヒ」
「……バレちゃった? せっかくだからくっついて寝よ? 何もいかがわしいことしなきゃいいんだから」
「そりゃそうだけどなぁ……」
「あんたとの初めての距離なんだからゆっくりさせてよ。ずっとこうやって近付きたいって思ってたんだからさ……」
「……わかったよ。ただ、枕は半分こな」
「うん、わかったわ。この距離……幸せ」
 
バカップル保守
  


 
「ハルヒ」
「…………」
「よし、寝てるな。……ありがとう」
「…………」
「お前に会えてよかったよ。なんてガラじゃないが言いたくなっただけだ。あー、ヤバい。たぶん俺は一生お前のこと好きだ」
「…………」
「ちょっとズルするからな……」
「…………」
「よし。おやすみ、ハルヒ」
 
「(今、今絶対にキスされたわよね! 起きてる時にやってよ! あーもう、今すぐキョンに抱き付きたいのにっ!)」
 
バカップル保守
  


 
「キョン」
「…………」
「バカ。寝てる時なんてずるいわよ。あたし本当は期待してたのに……」
「…………」
「初デートで初キスかなって期待したのよ?」
「…………」
「いいわ。あんたばっかりじゃずるいからあたしももらうわよ……」
「…………」
「ふぅ。これでおあいこだからね。朝起きたらちゃんと二人とも抱き合ってキスしようね……」
 
「(人のこと言えないが、お前聞いてやがったのかよ! 恥ずかしい!)」
 
バカップル保守
  


 
「ん……もう朝……うひゃあっ!」
「…………」
「なんでキョンが抱き付いてんの!? ちょ……誰か来ちゃうかもしれないわよ?」
「う……いいだろ。別に」
「よくないわよ! 一回離れなさい!」
「……せっかく掴んだ幸せをお前なら離すか?」
「離さないけど……」
「そういうことだ。……おやすみ」
「……どういうことよ。もう!」
 
学校は完全に頭に無いバカップル保守
  


 
「……ヤバい、時間!」
「おはよ。キョン」
「ハルヒ、早く学校に行かないとヤバいぞ!」
「あんたね……。もう昼過ぎよ」
「な……誰も起こしに来なかっただろ?」
「そりゃあんたがあたしをあんなに抱き締めて寝てたら近付けないわよ」
「…………」
「あんたのママに謝られたわ。こんなバカな子でごめんねってさ」
「……すまん」
「あたしは構わないわよ。今日も一日一緒にいられるんだから……」
「…………」
「どしたの? そんな真面目な顔して」
「ハルヒ。お前……『ママ』って言うんだな」
「…………そ、そうよ。悪い? だってママはママじゃない!」
「いや、なんか可愛いぞ」
「可愛い?」
「おう。可愛い」
「……もっと言って」
「かわいい」
「もっと!」
「メチャクチャ可愛い」
「キョン大好きっ!」
「いきなり抱き付くな!」
 
バカップル保守
  


 
「ところでいつ帰るんだ?」
「あんたあたしに帰って欲しいの?」
「違う。一応聞いとくだけだ」
「そうね……。あと一時間したら一回帰ろうかしら。ママにも何も言わないで泊まっちゃったし」
「あと一時間か……」
「寂しい?」
「……あぁ」
「あたしも。ずっと一緒にいれたらいいのに……」
 寄り添ってくるハルヒの頭を撫で、心の中で「俺もそう思う」と返事をしてみた。
 
バカップル保守
  


 
「じゃあまた明日ね。学校にはちゃんと来なさいよ」
「……送って行こうか?」
「送らせてください。でしょ?」
「いや。そこまで言おうとは思わんが」
「ふふ、それでいいのよ。これ以上一緒にいたら離れられなくなっちゃうもん」
「そうか。じゃあまた……な」
「うん。……あ、そうそう。あたしね、最近は携帯を手放さないのよね。ご飯の時とかお風呂の時も聞こえる距離に置いてるのよ」
「…………」
「うん。そういうことだから。じゃねっ!」
 ……電話かけて欲しいならそう言えばいいのにな。
 
バカップル保守
  


 
「ん、電話? もしもし」
「…………」
「ハルヒ。だよな? どうしたんだ?」
「…………」
「黙ってたらわかんねーよ。何か言えって」
「…………」
「あのな……」
「迎えにきて。駅前」
「……切れたのか。こんな時間に駅前までか。やれやれ」
 
「あんたん家に行って。途中でコンビニに寄ってからね」
「あのな。だから何なのか説明しろって!」
「…………」
「やれやれ。落ち着いたら話せよ」
 俺の後ろからしがみついて来るハルヒの様子がおかしかった。だから説明を後回しにしたわけだ。
 それにしても……やっぱりハルヒって胸でかいんだな。
 
バカップル保守
  


 
「とりあえず親には言ってきたぞ……ってオイ。何を人のベッドに勝手に転がってやがる」
「おやすみ」
「おい」
「…………」
「おい!」
「……グスッ」
「ハルヒ。お前……泣いてるのか?」
「……ママと喧嘩した。ずっと仲良かったのに」
「もしかして泊まったことか?」
「そう。でさ、もう帰って来なくていいって。……あたし、ここに住むから」
「は? 何故そうなる」
「ほら、早く横に来てよ。寒いじゃない!」
「……まぁ行くけどさ」
「あたしの頭を抱きなさい」
「こうか?」
「そのまま、そのままだからね……」
「なにがした……わかった」
 これ以上聞いたら俺は大バカ野郎だ。泣いてるハルヒにかける言葉なんてねーよ。
 
バカップル保守
  


 
「キョン」
「……なんだ?」
「今日は寝たフリじゃないのね」
「まぁな」
「家って一番落ち着く場所でしょ?」
「唐突だな。その通りだが」
「じゃあ自分が一番落ち着く場所が家ってことよね?」
「たぶんな」
「だからここに来たの」
「ん? なんだって?」
「あたしの一番落ち着く場所はここ。キョンと一緒の場所なの」
「ハルヒ……」
 
バカップル保守
  


 
「……どうだった?」
「うちの親も寛大だよな。OKだとよ。風呂、掃除、食事の手伝い、俺と妹の家庭教師役をしてくれれば何年でもいいってさ」
「部屋……は?」
「枕さえ2つあれば足りるでしょ。だってさ」
「あ……」
「照れるなって。もう照れるような仲じゃないだろ」
「だって……ちょっとした『同棲』じゃない」
「…………」
「バカキョン。……あんたが照れないの」
 
バカップル保守
  


 
バカップル保守 ちょっとした同棲編へ


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