バカップル保守1
 


 
「あのね、キョン。あたしがこだわってるんじゃないの。あんたがこだわってるんじゃない!」
「俺はこだわってなんかいない。なんなら今すぐ別れてやるぞ」
「うぐ……卑怯者……」
「ほら。やっぱりお前が俺にこだわってるんじゃないか。認めたんならここに来ていいぞ」
「……あたしが悪かったわよ」
 そしてハルヒは俺の布団の中に潜り込んできた……。
 
バカップル喧嘩保守
 


 
「だーかーら! 悪いって謝ってるだろ?」
「バカバカバカバカ!」
「あのな。今時クラスメートと言葉を交わしただけで嫉妬する奴がいるか?」
「だってあんた地味にモテるし……」
「大丈夫だ。俺はお前だけだからな」
「いつもそればっかり……ずるい」
「いつもこればっかりで悪かったな」
「ほんと最低」
 ハルヒはそう言いつつも俺を抱き返してきた。
 
バカップル喧嘩保守2
 


 
「もういい! 別れるわよ! どーせあんたはあたしのこと嫌いだから別れる別れる言ってるんでしょ!?」
「違う。こうでも言わないとお前が折れないからだろ」
「違わないわよ! もういいわよ、近寄らないでよ……変態……」
 優しくハルヒを抱き寄せた俺。こんなことしか出来ない自分が情けない。
「こんなことじゃ騙されないんだから……」
「一回だけでいいから騙されてくれよ。そしたらもうちょっとだけ良いことしてやるから」
「……わかったわよ。騙されてあげるわよ」
 少し膨れたハルヒの顔。アヒルのように突き出した唇に俺は口付けた。
 
バカップル喧嘩保守3
  



「あんたってやっぱりエロキョンよね。あたしが怒ったら絶対に体を触ってくるんだもん」
「そうしたらお前の機嫌が直るだろ?」
「そりゃそうだけどさ……」
 前を行く3人を見ながらゆっくりと歩く団活後の帰り道。ハルヒはまたちょっとだけ不機嫌そうな顔をした。
「……? ちょっと。みんないるのに何で手なんか握ってるのよ」
「だって今、不機嫌な顔しただろ。機嫌を直してもらいたいからな」
「やっぱりエロキョンよ。あんたは……」
 握り返された手の感触で俺は思った。これだけ幸せになれるならエロキョンでも構わないな。
 なんてな。
 
バカップル喧嘩保守4
  


 
「今ね、本当に機嫌悪いの。あっちに行きなさい」
「断る。あっちに行くことは俺がお前の力になれないのを認めることになるからな」
 何故こんなに不機嫌なのか。それはこれのせいだ。
「何で遠くに出かけようとするといつもこれなのよ!」
 雨。つーか大雨。途中のコンビニで雨宿りという足止めを食らってバスに乗れなかったときたもんだ。
「もう……あたしが何したって言うのよ!」
 虫の居所が悪い。昔の俺なら触らぬ神に祟り無しとか言ってほっといただろうな。
「たまにはこういうデートも悪くないって」
「あんた……わざわざ買ったの? 通り雨かもしんないのに」
「まずは基本に戻りたいってこともあるんだよ。ほら、肩が濡れるぞ」
「ん……ありがと」
 少し狭いコンビニ傘だが我慢してくれ。俺の家に着いたら暖めてやるからさ。
 
バカップル喧嘩保守5
  


 
「今まで待たせてごめんな。バスに乗れなくて……」
「…………うるさい」
「遅れるつもりは無かったんだ。ただ、平日ダイヤと勘違いしてたんだ」
「…………うるさい」
「すまん」
「…………うるさい」
「ごめん」
「…………うるさい」
「ごめんなさい」
「……うるさい」
「好きだ」
「…………う、うるさい」
「大好きだ」
「…………二度と寂しい思いさせないでよね」
「おう」
 当たり前だ。
 
バカップル喧嘩保守6
  


 
「結婚……したいかも」
「なんだ突然」
「白いウェディングドレス着て、ヴェール被って……」
「…………」
「それでゆっくり歩くのよ。絨毯は赤ね」
「…………」
「……もちろん隣りはあんた」
「……結婚、したいよな」
「うん……」
 
バカップル保守7
  


 
 今日のキョンはなんだか機嫌が悪い。あんたはそんなキャラじゃないのに。
「キョン?」
「…………」
「キョン……?」
「ちょっと黙ってろ」
 あ、涙出そう。あたしこんなキャラじゃないのに。
「……おい。泣くなって。言い過ぎた。すまん」
「泣いてないわよ」
「わかった。悪かったって。もうこんな態度取らないから」
「泣いてないって言ってるでしょ!」
「やれやれ」
 抱き締められちゃった。……やっぱりあたし達の関係はこれがしっくりくるわね。
 
バカップル喧嘩保守8
  


 
「……キョン」
「…………」
「寝た?」
「…………」
「いつもありがと」
「…………」
「大好き」
「…………」
「おやすみ」
 バカ野郎。寝る前にキスとか卑怯だ。目が冴えて寝れないだろ。
 
バカップル保守9
  


 
「おはよ、キョン」
「ハルヒ……あと5分」
「ダメよ。今日はデートするって言ったじゃない!」
「大好きだからあと5分……」
「……しょうがないわね」
 
バカップル保守10
  


 
「……あ、今幸せかも」
「何もしてないのにか?」
「うん。あたし何もしてないのに幸せって感じるって知らなかった」
「そうか。じゃあ結婚するか」
「うん。…………へ?」
「嫌か?」
「嫌じゃないけどさ……」
「ほい、指輪。まだガキだから安物だけど18になるまでには金貯めるから」
「あ、うん……」
「じゃ、おやすみ……」
「キョン。寝たわよね?」
「…………」
「えへへ……婚約指輪……」
 幸せってふとした所に落ちてるんだよ。それに気付いたら渡そうと思ってたが……正解だったな。
 
バカップル保守11
  


 
「ほい。新しい指輪」
「……ありがと。うん、ピッタリ」
「昔のは外していいんだぞ?」
「うぅん。これもあたしの宝物だからいいのよ」
「……そっか。じゃあ行くか?」
「そうしましょ。さっさと終わらせてご飯ね!」
 そうして俺達は役所のドアをくぐった。
 
バカップル保守・終
  


 
「おはよ」
「あぁ、おはよう。そんなに近付いてどうしたんだ?」
「た、たまたまよ」
「そうか。……そういえば籍を入れたんだったな」
「……うん」
「じゃあ今日からこれが日課な。おはよう……」
 そう言うと俺はハルヒにキスをした。起きた時に最も近くにいる、夫婦の特権だ。
 
寝起きバカップル保守
  


 
「朝ご飯はどうする?」
「何でもいいけどお前が作ったやつな」
「弁当は?」
「お前が作ったやつで頼む」
「……晩ご飯は?」
「お前が作ったやつ」
「あんたあたしをこき使って過労死させる気!?」
「だってハルヒが作った飯が一番美味いんだからしょうがないだろ」
「……3食でキス一回になります」
「安いもんだな」
「んっ……毎度あり……」
 
バカップル保守
  


 
「ねぇ」
「なんだ授業中に」
「抜け出さない? つまんないし、あたし寂しくなってきちゃった」
「俺が目の前にいるのにか?」
「あんたと向き合って話してたいのよ」
「しょうがないな……先生、腹痛ですんで保健室に行ってきます」
「あたしも腹痛だから保健室に行ってくるわ」
「……好きにしなさい」
 
バカップル保守
  


 
「ねぇ、なんで一緒のベッドじゃないのよ」
「保健室だからだ。仕切りをしてないだけありがたいと思おうぜ」
「……つまんない。あ、寒気がするわ。キョン、暖めてよ」
「先生、こんなこと言ってますけど……」
「ダメよ」
「……だそうだ」
「キョンのバカ。バカキョン」
 おいおい。俺のせいかよ。と思っていた時、一人の生徒が入ってきて何やら先生と話し始めた。
 そして俺の所のカーテンが開いた。
「ベッドが足りなくなったから……あなた達しょうがないから一つのベッドで寝てくれる?」
「……やれやれ」
 俺はベッドを移動して、ハルヒの横に来た。どうせこうなりそうな予感がしてたけどな。
「うふふ……キョン。あたし幸せよ」
「はいはい。よかったな」
「おやすみ! あー、暖かいわ……」
 こいつ、絶対に保健室ってこと忘れてるな。……まぁいいか。
 俺も暖かいし幸せだからな。
 
バカップル保守
  


 
「ハルヒ。帰るぞ」
「まだ寒気が治まらないのよ……」
「仮病はいいから早く立てって」
「なんでわかるのよ……あ、夫婦だからね。さすがキョンだわ」
「お前その汗……」
「さ、帰りましょ。あと一食作らないとあんたに借金になっちゃうわ。キス3分の1回分ね」
 仮病っていう嘘をついてどうするんだ、こいつは。
 ハルヒの体はメチャクチャ熱かった。
「しょうがないな……ほら。乗れ」
「ば、バカじゃないの? そんな恥ずかしいこと出来ないわよ。あたしは何ともないって言ってるじゃない」
「俺がお前の体を触りたいからするだけだ。お前の心配なんかじゃない」
「やれやれ……ね。わかったわエロキョン。あたしの体をたっぷり触らせてあげる」
 ハルヒはその小さな体を俺の背中に預けてきた。
 このまま坂を下るのはなかなか骨が折れそうなことだが……。
「ありがと、キョン。……すぅ……すぅ……」
 こんな可愛いハルヒを今さら起こせないっての。やれやれ。
 
バカップル保守
  


 
「……キョン、ありがと。結局ご飯まで作らせちゃったわね」
「気にするな。病気の時はお互い様だ。今日は親が作ってる手伝いしただけだから」
「お義母さんにも迷惑かけちゃったわね……」
「明日よくなったら家事の手伝いでもしてやってくれ。ほら、先に寝てろ」
「うん、ありがと。……ちょっとこっち来て?」
「なんだよ……うおっ?」
「1食分だからね。おやすみ……」
 1食でキス1回か……明日の朝飯も俺が作るか。
 
バカップル保守
  


 
「……目、覚めちゃった。キョン、起きて……ないわね?」
「…………」
「よしよし……ちょっとくらいギュッてしても起きないわよね……」
「…………」
「今日ので今までの3倍好きになっちゃった。起きたらたくさんキスするわよ。……それまで我慢するから」
「…………(起きるに起きれん状態だな。朝まで寝たフリか……やれやれ)」
 
バカップル保守
  


 
「おはよう。ハルヒ」
「大好き、キョン!」
「いや待て。大好きとか、いきなりキスするとかの前に朝は挨拶からだ。おはよう」
「……おはよう。キョン」
「よし。よく出来ました」
「挨拶したらキスは解禁なの?」
「今のはご褒美って奴だ。解禁するのは飯食って、家事を終わらせてからだ」
「あたし……頑張っちゃうわよ?」
「妹に懐かれても耐えきれるか? あんまり待たせると俺が耐えれなくなるからな」
「んっ……と、よし! これで我慢してなさいよ!」
 ほっぺにキスだけじゃ逆に我慢出来なくなるじゃねーか。畜生。
 
バカップル保守
  


 
「お義母さんの手伝いとか全部終わったわよ!」
「…………」
「キョン?」
「…………」
「あんたが言い出したことじゃない。拗ねないでよ」
「…………拗ねてねーよ」
「ほら。こっち向きなさい」
「……なんだよ」
「向き合ったほうが抱き付きやすいでしょ?」
「まぁ……な」
 
バカップル保守

 


 
「あたし達ってさ……」
「俺達って?」
「夫婦よね?」
「夫婦だな」
「愛しあってるのよね?」
「愛しあってるな」
「……ありがと」
「どうしたんだ? いきなり……」
「ううん。ただお礼が言いたくなっただけ」
「……変な奴」
「(やっぱり言えないわよ! 二人で暮らそうなんて恥ずかしくて言えないわ!)」
 
バカップル保守
  


 
「あたしね、夫婦だからって距離が近すぎるのもダメだと思うのよ」
「ほう。それは何故だ?」
「よくわかんないけどマンネリ化の原因になりそうじゃない?」
「それもそうだが……」
「今日の夜はちょっと離れて寝るわよ!」
「……わかったよ」
 
「で、結局これだけしか離れないのか?」
「こ、これ以上離れたら寂しいじゃない!」
「まぁ……いいけどな」
 その日、結局俺達は手を繋いで寝た。
 いつもの抱き合いながらに比べるとハルヒ的には相当離れてるらしい。
 
バカップル保守
 
 
 


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