「おーい涼宮、お前の旦那借りてくぞ。ほらキョン、嫁とは暫しの別れだ、せっかくのクラス会なんだ男同士で友情を深めようぜ」
ちょっと谷口だれが旦那と嫁よ、あたしとキョンはそんな関係じゃ……
キョンも黙ってないでなんかいいなさいよ、って駄目ね酔いで目が泳いでるわ、まったくバカキョンなんだから……。
「ここいい?」
あら阪中さんいらっしゃい。ルソーは相変わらず?
「元気なのねん……」
あたし達は暫く思い出話に花をさかせといいたいところだったが阪中さんはあらぬ方向に話を振った。
「ところで……その後キョン君とはどこまで?」
どこまでって大学で一緒に勉強したり、時々不思議探索に出かけたりかしらね。その……毎日顔をあわせてるけど……。
「違うでしょ涼宮さん、告白イベントとかあった?」
「あっもしかしてそれ以上?」
佐伯さんも成崎さんもいきなりどこから……ってあいつは……只の下僕よそれ以上でもそれ以下でもないわ。
「同じ大学、同じ学部、同じ学科なんでしょ、それで何もないの?」
えっ大野木さんまでいつの間に……。
「履修してる授業も二人全部一緒なのねん」
「「「えーっ!」」」
あれよキョンはほっとくと勉強さぼるし……その単位落とすと……その……留年でそれじゃ一緒の授業受けれなく……
だからあたしがいつも見張ってないと……、それだけよホントに!
「「「じーっ……」」」
「大学の行き帰りもいつも一緒って聞いたのね」
あっあれはその……偶々方角が一緒だから……その……
帰りにキョンの用事が終わるまで学食でまってるとかそんなことしてないわよ。
「「「……まってるんだ…」」」
ぐっ偶然よ、偶然。
「嘘なのね、例えば朝は涼宮さんがキョン君のことを駅で待ってるのね」
そっそれはその……偶然よ偶然、駅で時間潰してるとなぜかいつもキョンが通りかかって……
本当よ、って何を必死に弁解してるのよあたしは!
「ホントにキョン君のこと好きなのね、涼宮さん」
「うん、やっぱりそうみたいね」
「それでキョン君の方はどうなの?」
「はっきりしないみたいなのねん」
そっそうなのよ、キョンたら優柔不断ではっきりしなくてこの前も……って何いってるのよあたし……
「それは涼宮さんも態度をはっきりさせないせいでもあるのね」
「「「あーあるあるそれ!」」」
「好きなら好きってちゃんと言わないと駄目なのね」
「「「そーそー」」」
だっだからあたしとキョンはそういう関係じゃ……
そりゃあいつはいつもあたしの近くにいるけど、それはキョンがあたしの下僕ってだけで……
「自分の気持ちに素直になれないと、他の子にキョン君とられちゃうわよ」
「そうそう、素直が一番よ、あとで泣いても知らないわよ」
「そうキョン君って意外と格好いいから結構もてるのよねん」
「彼って誰にでも優しいから、強引に迫られて無理やり既成事実作らされてとか……」
そう確かにキョンは誰にでも優しくて……、ホントはあたしにだけでいいのに…ってそうじゃないわ!
それにキョンは意外とじゃなくってかなり格好いいのよ!
どっかの女に強引に迫られて無理矢理に既成事実…確かにありそうね、『責任とって』とか言われたら『やれやれ』とかいいながら学生結婚でもしそうじゃない……。
「キョン君とられて後悔しないようにはっきりさせた方がいいのねん」
「「「その通り!」」」
あっあたしは別にキョンなんか…その…いなくてもいいし、それにあたしなら男に不自由しなくて選り取りみどり引く手数多だし……
「本当にそうなの? 例えば北高の時とか大学で男の人からアプローチされたことってある?」
…えっそういえば駅とかでナンパ目的で声かけられることはあるけど中学のときみたく告白されたりそれっぽい経験って……ないわね。
あたしの魅力が下がったってことかしら、それじゃキョンもきっと……、って違うじゃない!
「あれだけ『キョン君大好き!』なオーラを発信してれば誰もアプローチしてこないのねん」
「そうよねぇ、涼宮さんたら暇さえあればキョン君の方ばかりみてたし」
「気付いてないのは本人のキョン君だけでクラス中が涼宮さんの視線に気がついてたわよ」
「それにあたし達他の女子がキョン君に話しかけたりすると涼宮さん急に不機嫌になって凄い目で睨むのよね」
そっそんなことないわよ……あら、キョンたらあんなに呑んで……大丈夫かしら……
あっ由良さんたらキョンの背中さすったりして随分なれなれしいじゃない!
「ほら今だってキョン君見てるのねん」
「「「そうそう」」」
「それに由良さんに変な光線出してるのねん」
「「「うんうん」」」
いっ今のはその…………。
………
「ほら涼宮、お前の旦那のお帰りだぞ、責任もって面倒みろよ」
ちょっと谷口いきなりどういう…、あっキョンは呑みすぎたみたいだけど大丈夫かしら。
「阪中相変わらず可愛いな、どうだ俺と付き合わないか?」
「遠慮しておくのね」
「じゃぁ佐伯、成崎、大野木はどうだ?」
「「「ふざけんな!」」」
「しっ失礼しました~」
ちょっとキョン大丈夫? しっかりしなさい、呑みすぎちゃ駄目っていったでしょ。
「すっかり世話女房なのねん」
「「「そうよねぇ」」」
「これで二人の間になにも無かったなんて信じられないのねん」
「「「そうそう」」」
あっあんた達なんてこというのよ……。
「…あっハルヒだ、ハルヒ~…zzz…」
……キョンなに寝てんのよ、ほら起きなさい。
クラス会も終わったし帰るわよ。
「作っちゃうといいのねん、既成事実」
「そっ、このままキョン君お持ち帰りね」
「恋愛は押しが肝心よ」
「そこのラ○ホに一直線ね」
「あたしたちはカラオケいくからキョン君と宜しくなのねん」
「「「ごゆっくり~」」」
あっあんたたち……、でも…キョンと既成事実……。
-クラス会-既成事実編へ続く