追いかける脚は無くしてしまったけど、引き止める腕は残ってる。
ベッドから上半身を起こして、私は彼に抱きついた。
彼の前で、こんな姿を見せるのは初めてだった。
常に第3者として、1歩退いた視点で眺めるポジション。
それが、一気に崩れた。 彼だってびっくりするもんね・・
抱きしめる。 気づいたら、泣いてた。
ほんとに、私って駄目な先輩さんだね。
他の誰かに助けてもらって、他の誰かに寄生しないと生きていけない。
でも、彼は違った。
こんな私の頭を、撫でてくれた。 私のために泣いてくれた。
私、いつも見てたからわかるよ キョンくんのいいところ、少しはわかってるはずだよ
誰にでも優しくて、どんな話も上手に聞いてくれる。
真夜中で、小さな電灯しか点灯してない薄暗い病室で、彼の事だけははっきり見えた。
おかしいよね 私、涙で何も見えないのに
「ごめ・・なさ・・」
「・・なんであなたが謝るんです・・? 俺たちのせいで、SOS団のせいで、こんな目にあったってのに!」
え・・ だって、みんなは何も悪いこと・・ してないよ・・
私にいっぱいかまってくれて、私を受け入れてくれて・・
駄目だね、これじゃあただの自己満足だよね
でもさ、こんな浅ましい私でもね
ほんとに嫌いになってほしくない人、いるんだよ
「ふぁ、ハルにゃん、の宇宙的ぱわぁーが、炸裂、したんじゃないっかなー」
・・多分、まともに喋れてなかったと思う。
「・・っく・・」
「・・キョン・・・くん・・」
あくまで、私は「明るい鶴屋さん」でいたかった
強がりだって、何だってします だから、キョンくん・・
「私のこと、きらいにならないで」
キョンくんに、SOS団にはじめて見せた、ほんとの私でした。