涼宮ハルヒのデリート


誤解なんてちょっとした出来事である。
まさかそんなことで自分が消えるなんて夢にも思わなかっただろう。
キョン「あと三日か・・・。」
キョンつまり俺は今、ベッドの上で身を伏せながらつぶやいた。今を生きることで精一杯である。
なぜ今俺がこんなことをしているのかというと、四日前に遡ることになる。

ハルヒ「キョンのやつ何時まで、団長様を待たせる気なのかしら?」
いつもの集合場所にいつもと変わらない様子で待っているメンバーたち。
団長の話を聞いた古泉が携帯のサブディスプレイをみる。
古泉「まだ時間まで五分あります。」
と、団長に伝える。
ハルヒ「おごりの別に、罰でも考えておこうかしら。」
っと言ってSOS団のメンバーは黙り込んだ。誰一人として口を開こうとしない。その沈黙を破ったのは、ベタな携帯の着信音だった。
ハルヒ「あとどれぐらいで着くの?団長を待たせたんだから・・・」
っと言われ「一方的に電話をきった。ベタな展開だったら俺が切るのだが、なにしろ相手があのハルヒだから仕方がない。
かわりに古泉に電話をかけた。
古泉「僕に電話とは、あなたも罪な人ですね。涼宮さんが嫉妬しますよ。」
ウザイ、何勘違いしてんだこのホモ男。
古泉「冗談です。僕に電話をかけたぐらいですから、何か理由があるのでしょう?」
やっぱりコイツと話すのは少し気が引けるな。
キョン「今日は、急用があるから探索にはいけないとハルヒに伝えてくれ。」
古泉「その用とは?何の事ですか?」
キョン「どうしても言わなくてはいけないのか?」
古泉「・・・。まあ別にいいでしょう。あなたの休日まで追及はしません。」
キョン「じゃ、頼むぜ。」
電話のやり取りを終えた古泉はハルヒに用を伝えた。
ハルヒ「仕方がないわね。じゃあ、今日は二人のペアで北と、南に分かれて不思議を探しましょう。」


~ハルヒ視点~

ハルヒとペアになった、いやなってしまった朝比奈さんは午前中ずっとハルヒの不機嫌オーラを感じ、おびえながらハルヒの後についていったそうだ。
午前中の散策が終わりいつもの場所へ向かう途中朝比奈さんがあるものを発見してしまった。
みくる「あれって、キョンくんじゃないですか~~?」
ハルヒは朝比奈さんの指す方向に素早く振り向いた。
ハルヒ「散策をサボっておいて、何をやってんのかしら?」
しばらくハルヒが何かを考えていると思うと、頭の上の電球が光った。
ハルヒ「キョンを尾行するわよ、みくるちゃん。キョンの休んだ理由がわかるし、不思議なところへいけるかも知れないし。」
みくる「で、でも~~、長門さんと、古泉くんのことはどうするんですか~~?」
ハルヒ「そんなの後で電話しておけばいいじゃない。」
っと言って、彼の尾行を始めた。何度かみくるちゃんから「やめましょうよ~~。」っと言われたがすべて無視した。
彼の行き先はいつもの駅から一駅離れたところだった。
ハルヒ「なんでわざわざこんなところにくるのかしら・・・。」
みくる「やっぱり、やめませんか~?キョンくんには彼なりの事情があると・・・。」
言いかけていた彼女の口をふさいだのは、ハルヒの手だった。
みくる「何するんですか~?」
ハルヒ「誰かに手を振っているわ。ここからじゃよく見えないから別の場所へ移動しましょう。」
っといってハルヒは朝比奈みくるの手をとり移動した。
みくる「あれって、女の人じゃないですか~?」
ハルヒの目に移ったのは、キョンが親しげにその女性と話しているところだった。
そして、気づいたらそこから走って逃げ出しているところだった。
走るのをやめて歩いていると、後からみくるちゃんが追いついてきた。
みくる「きっと彼女じゃないと、思いますよ・・・。」
ハルヒ「あったりまえじゃない、あのキョンに彼女ができるわけないじゃない。ただ少し暗くなってきたから早く帰りたいなと思って・・・。」
わかりやすい嘘をついてしまったと思い、すこし悔しがった。駅あたりで二人が別れた。
ハルヒの後姿はどこか悲しげな表情にみえたそうだ。

~キョン視点~
妹のダイブによって起こされた俺は、いつもの強制ハイキングコースを心行くまで楽しんでいた。
学校にいく間、谷口のナンパ話を聞かされた。まったく飽きないやつだ。
谷口「でだな、やっぱりゲーセンのやつらを狙うのはよくなくてでなあ・・・。」
キョン「お前のそのナンパ話はこうで96回目だ。」
っと口を挟む。まったく朝から暑苦しいやつだ。熱心に語ってきやがる。
谷口「そういや、お前なんで土曜日の探索に行かなかったんだ?」
キョン「・・・。なんで、お前が知ってる?」
谷口「ギクッ!!!忘れてくれ・・・。」
そんな話をしているとすぐに学校に着いた。靴を履き替え教室に向かうと、何から話そうか考えた。誰にって、そりゃハルヒにきまってんだろ?
絶対追求してくるに違いない。
しかし、予想に反してハルヒは何を言ってこなかった。それどころか、教室に入ってきた俺をまるで何もいないかのような反応を見せた。
キョン「ど、土曜はすまなかったな。急に休んだりなんかして・・・。」
しかし、ハルヒは何の反応もしない。気まずい、ククラス全体が注目してる。
キョン「休んだ事を怒ってんのか?」
ハルヒ「・・・・・・。」
無反応のハルヒに気まずさを感じていたら、チャイムがなりホームルームが始まった。
まったく、休んだぐらいでそんなに怒るかよ・・・。
結局午前中はハルヒと何も話さず、不機嫌オーラを受け続けていた。
昼休みは教室を抜け出しどこかへいってしまった。
谷口「お前、涼宮になんかしたか?」
キョン「いや、何もしていない。何で怒っているか知りたいぐらいだ。」
本当に何を怒っているんだろうな、ハルヒのやつ。
そして授業の終わりに二人のムードに耐え切れなくなった谷口が、あろうことかハルヒに話しかけてしまった。
ハルヒ「何よ谷口。あんた宇宙人でも見たの?」
じとっとした目で、谷口を睨む。
谷口「キョンと喧嘩するのはいいが、クラスのムードまで暗くするな!」
っと強気で言った。ああ、谷口、お前死んだな。相手を考えろ、相手を。
しかし返ってきた返答は、最悪なものだった。
ハルヒ「キョンって、誰?」
教室が完全に凍りついた。その中を凍らせた原因のハルヒが通りすぎていった。
マジかよ?
なにかあったかも知れんと思い、逸早く部室へ向かった。
キョン「長門!これは一体どういうことなんだ?」
俺は部室の隅で静かに本を読むインターフェイスに問いだした。しかしまた返って来た返答は最悪だった。
長門「あなたが悪い。」
・・・・。俺は言葉を失った。一体何をしたんだというのか。あの長門からこの言葉を言われると正直つらい。
すると後ろから古泉が入ってきた。
キョン「お前ならわかるか?俺がハルヒから無視されている理由。」
よく考えてみれば、長門がああ言っているのだから古泉に聞いても仕方がなかった。
ふわりと自分の体が倒れるのを感じ、殴られたとわかった。我ながら格好悪い。
古泉「あなたがそんな人だったとは、失望しました。涼宮さんが無視するのもよくわかります。」
一体どういうことだ。何が起こっている?これもまた異世界なのか?
とりあえずこの日は家に帰った。あんなことを言われてあの場にいれるほど、俺も狂っちゃいない。
一体何が悪いのか考えているうちに眠りに入った。



朝だ・・・。妹のプレスを食らう前に起きた。とりあえず再びハルヒに誤っておこうと思い学校へ向かった。
向かう途中ずっと考えていた。そもそも俺をいないものだと言うほど嫌っているのに、どうやって誤ればいいのか。
それに理由もわかっていない。・・・そうだ、朝比奈さんに聞こう。
昼放課に朝比奈さんを呼び出した。
キョン「あの、俺って何かハルヒに悪い事いしましたか?」
真剣な口調で話す。彼女なら何か知っているのだろうか?
その言葉に驚いたような様子をみせ、真剣な顔つきで話始めた。
みくる「あの、始めに言っておきます・・・。」
キョン「はい?」
みくる「ごめんなさい。」
パ~ンという音が響いた。そう、ビンタされた。そして朝比奈さんはどこかへいってしまった。
あの、朝比奈さんに殴られたのは相当ショックだった。
結局午後の授業にはでずに欠席した。この日は何もかもにやる気がでず。ベットで眠ることにした。


朝、自分の体の異変に気づいた。
-あと3日で自分は消える
何でわかるかって?分かってしまうからしょうがない。これしかないな。
今の状況に絶望した自分は学校を休んだ。だってあと三日で死ぬとわかっていて何をすればいいかなんかわからん。
夕方、古泉が家を訪ねてきた。しぶしぶ話を聞くことにする。
古泉「いい加減にしてください。とにかく明日、涼宮さんに謝る事です。何度閉鎖空間を潰したことか・・・」
キョン「・・・。俺が何をしたっていうんだ?」
古泉「とぼける気ですね。まあ、いいでしょう、言ってさしあげますよ。先週の散策あなたは休んだ。そしてわざわざ僕たちから離れるようにして彼女に会った。それに対して涼宮さんは失望しているのですよ。」
キョン「待て!それは・・・。」
古泉「ともかく、明日は学校に来て謝ってください。それで済むことですから。」
俺は終始まともな話ができず、家に戻った。
「あと三日か。なんとしてでも・・・」
彼女に会っただと。とんだ誤解だ!

次の日は一日中ハルヒにかけた。全て無視されて、だんだん自分が消えていくのを感じ、孤独感に襲われた。
手紙をつかってみたりもしたが、やはり無視された。
・・・。一体全体どうなっているんだ?
帰り際、しかたなく古泉と少し話をすることにした。
キョン「全て無視されている。もう俺が消えたみたいに。」
古泉「どういうことです?もう、とは?」
キョン「古泉、俺はあと二日、いや明日いっぱいまでしか生きられない。」
古泉「・・・。なんで分かるのですか?」
キョン「分かってしまうのだからしょうがない。っということだ。」
古泉「・・・なるほど、どうですか。僕の憶測ですが・・・、土曜にあなたが彼女にあったことが原因でしょう。」
キョン「そのことなんだがな・・。実はそれお袋なんだ。俺の。」
古泉「!?・・・それが本当ならものすごい間違いですね・・。」
キョン「まあ、俺の親は若いときに俺を生んだからな。」
古泉「で、その誤解により、あなたに失望し悲しんだ。あなたがいなければ悲しまなかったのに、とでも考えたのでしょう。」
キョン「だったら、すでに消えているべきじゃないのか?」
古泉「そうですね、あなたに謝ってほしかったのではないんですか?」
キョン「・・・(違うだろ)。まあそんなことよりこれからどうするかだな。」
古泉「そうですね。今のままでは、この世界にも失望して改変されかねませんからね。」
キョン「しかし、俺の書いたものまで目にはいらないとなると、どうすればいいんだ?」
古泉「分かりません。でも、あなたのやる事を信じたいと思います。」
いつまでも本当にクサいやつだな。しかも顔が近い、キモイ。どけろ
古泉「僕にできることがあれば、何でも協力しますよ、親友として。」
キョン「わかった。」
っといって別れたのはいいがさっぱりどうしたらいいのかわからん。
このままでは、本当に消えてしまう。何かいい方法はないのか?
長門に頼るか?いや、今回は自分で考えるべきか?
人間はこういう大事な日に限ってすぐに寝てしまうものだ。


次の日結局何も浮かばず、半日をすごしてしまう。
今いるのは部室だ。ここでなんとかしなければ、消えてしまう。
ふいに長門が何か語ってきた。
長門「あなたはもう答えを知っているはず。答えは過去にあり、現在に関係する。」
そのことを信じていいんだな、長門。・・・。
最後になるかもしれない部活は、ハルヒに俺が認識されないまま終わった。
帰り際、あるひとつの答えにいきついた。唯一の接触できるチャンス、そして最後の切り札。
キョン「古泉、親友としてのお前にひとつ頼みがある。」
古泉「なんでしょう?できる限りのことをいたしますよ。」
キョン「それはだなぁ、夜に東中にきてくれと手紙にかき、渡しといてくれ。」
古泉「なんのことだか、分かりませんが、それが望みならやっときます。」
そう答えは今日という日つまり七夕。答えは三年前。
東中に着くとハルヒをベンチで待つ。懐かしいな、この場所。丁度暗く顔をしっかりと見えない。
しばらくするとフェンスを乗り越え、ハルヒがやってきた。
ハルヒ「やっぱり、ジョン・スミスだったのね。」
そう、最後の切り札はこれだ。そして予想どうり接触することができた。
ジョン「どうだ、高校は?」
するとハルヒ今までの活動を話始めた。
ハルヒ「やっぱり、宇宙人はみあたらないわね。でも、SOS団っていうね・・・。」
俺も、(俺は話から消えていたが)今までの活動を思い出していた。
ハルヒ「ジョン泣いているの?」
俺の顔には涙が流れていたらしい。あと十五分の命だ。
ハルヒ「私何か大事なことを忘れている気がする。」
ふいにハルヒが言ってきた。思い出してもらうチャンスかもしれない。
ジョン「今からいうことを真剣に聞いてくれ。」
ハルヒはキョトンとした顔だったが、気にせず話をつづける。
キョン「昔、キョンと呼ばれていた男がいた。彼は普通の人生に飽きていた。そこに自分と同じ考えの女の子が現れた。
彼女は不思議を追い求めて彼を振り回した。しかし彼はそれを迷惑と思わず、むしろ自分の人生が楽しくなるのを感じた。・・・」
もう涙が止まることはない。
ジョン「しかし、ちょっとした誤解で二人はもう二度と会わなくなってしまった。」
ハルヒ「それがジョンあなたなの?」
ジョン「ああ、SOS団か・・・楽しかったな。」
嘘と真実がまざりメチャクチャになってきた。
ハルヒ「わたしが忘れていることって、まさか?」
ばらばらだったピースが合わさった。しかしもう時間がない。
ハルヒ「女の子はわたしなのね。」
キョン「ああ、誤解が解けないのが残念だったな。」
ハルヒ「・・・。」
キョン「ハルヒ、約束してくれ。俺がいなくてもこの世界に失望しないことを。」
ハルヒ「・・・、わかった。って、何その死ぬ前みたいな言葉。それに体が・・・」
体が消えてきた。くそ!時間がない。
キョン「じゃあな、ハルヒ。消える前にお前のポニーテールが見たかった・・・。」
こうして俺、キョンはこの世界から消えていった。
思えば、普通の高校生として生きていくよりはよかったんじゃないのかと、思えた。

その後ハルヒは古泉から誤解について説明された。
俺が消えた世界では、俺の体は残っていないので失踪っということになっている。
妹よ、兄が消えた事に悲しんでいるか?
世界が改変されることが起こらず、いやそれどころか閉鎖空間すら発生しなかったそうだ。
SOS団は今も健在しており、ポニーテールの団長様はなんとかやっているようだ。


ハルヒ「・・・。あれから一ヶ月ね。本当にどこへいったのかしら・・・。」
ハルヒが俺の席をみてつぶやく。
みくる「・・・・。きっと帰ってきますよ。」
ハルヒ「でも、目の前で消えていくのを見たのよ!わたしだって信じたい、帰ってくると。」
古泉「いい加減にしてください!]
急に叫んだ古泉に、二人は意表をつかれた。
古泉「そんなこといっていたら、彼が帰りづらいじゃないですか。」
部室が静まりかえった。・・・・。どういうことだ?
古泉「実はですね。先日警察に身柄を確保されましてね・・・。」
っといって、ハルヒに新聞を渡す。確かに新聞には俺の写真がうつっている。
古泉「いると信じなくては、いるものもいあくなってしまいますよ。」
するとハルヒの顔にいつもの120ワットの笑顔が戻った。
次の日、俺はベットの上で横になっていた。
なぜ俺がこの世界に戻ったのかというと簡単なハルヒの思い込みだ。
まったく便利な能力だな。まあそれのせいで、消えていたわけだが・・・。
さてまずは最初に一ヶ月の幽霊生活。これでもハルヒ話してやろうかな。

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