6月。梅雨の陰鬱な空気が纏わりつく…
学校の授業が終わったから塾への支度をしていたの。
教室にはまだ多くの生徒が残っているのは中間考査が間近に迫っているからでしょうね。
…でも、いて欲しい人は見当たらなかった。少なくともこの教室にはもういないみたい。
僕が彼と交流するようになって既に2ヶ月が過ぎた。そして放課後は毎日一緒だった。それも塾に一緒に行くために。
僕を毎日律儀に送ってくれる彼。
その彼が十分ほど待っても現れなくてガックシ。
僕のこと忘れて行っちゃったのかな?と思いションボリ。
普段より1.46倍くらい重い足取りで昇降口へ向かう僕。
はぁ…キョンくぅん…どこに行ったの?
靴を履きながら外を見てみる。
僕の心を表すように…
…鈍色の雲から涙が落ちていた…


そういえば折り畳み傘が鞄に入ってるのよね。
キョン君はきっと帰ってるよね。今日は僕一人で行こうと決意し外に出たの。
「遅いぞ。お前はどこで油売ってたんだ」
きょ、キョン君!?何故ここに?
ま、まさか僕を待っていてくれたのかな?ち、違うよね?全然違うよね!?自惚れちゃいけないよね?

「何を驚いてるんだ、お前は。待っててやったんだからもう少し嬉しそうにしろよな」
いぃよっしゃあぁぁぁぁぁぁぁああっ!
キョン君が!僕のために!待っててくれた!
これは、
『僕の人生で嬉しかった事ランキング』で堂々の1位だよ! やったねキョン君!でも満足しないでね。もっと良い思い出作ろうね!
キョン君!好き!好きなのっ!愛してるのっ!
「ところでお前、傘はどうしたんだ?早く行こうぜ。傘を差してても雨が横から入ってくるからな」
そうだ!僕は傘を鞄から取り出そうとしていたんだ。でも…傘を取り出さなかったら?キョン君の傘と?相 合 い 傘!
「今朝は天気予報を見るのを失念してしまって生憎だが傘を持参していないんだ。キョン、良ければキミの傘に入れてはくれないだろうか」
よし!グッジョブ!僕!
「ああ、全然構わないさ」
よし!グッジョブ!キョン君!大好き!



「はぁ…」
相合い傘というのが意外に疲れるものだと初めて知った…キョン君の傘が狭かった事も理由だけど…まさか…ずっと肩を抱かれてるなんて思いもよらなかったな
「ブクブクブク…」
今は凍えた体を入浴で温めているところ。だけどキョン君と一緒だったから心は温かいんだ。

 

それにしてもキョン君はいつになったら僕の気持ちに気付いてくれるんだろうか…
「ブクブクブク…」
まあキミの前だと素直に慣れず少々計算高い僕になってしまうんだけどね…
でも僕が内心こんな事を考えてると知ったらキミはどうなるだろうか…
「ふう…」
早く気付いて欲しいよ…
「キョン君のバカ…」
ううん、これは嘘。
「大好き…」
僕自身の心からの呟きを漏らしキョン君にずっと抱かれていた肩をさすってみる。
それだけで…明日も頑張ろう、そう思えた。

END


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