それはある晴れた日のことだった。
部室に行ってみると、まるで特撮番組の怪獣のようにわめきまくるハルヒも、
いつもオドオドとしていて守ってあげたくなる小動物系の朝比奈さんも、
樹海の奥にひっそりと生えている花のような気配の長門もおらず、年中スマイルのバーゲンセールをしている「アイツ」しかいなかった。
「やぁどうも。僕が来た時には誰もいなかったのですが…いやぁ、手持ちぶさたでしょうがなかったのです。どうです?一勝負。」
と言ってトランプの入った、いかにも安っぽい四角い箱を持ち出してきた。
いいだろう。完膚無きまでに叩きのめしてやるから光栄に思え。
「ははっお手柔らかにお願いします。」
ふん。そういう事はトランプの神様にでも言うんだな。お前の大好きな神様とやらに。
こうして俺たちはポーカーを始めた。あんな不思議なことが起こるとも知らずに。


ハ「よぉ~し!これで写真集が出せるくらいの写真が集まったわ!」
み「ふぇ~…やっぱりあきらめてなかったんですねぇ…」
長「………」
ハ「有希もレフ板ありがとね!ホントは古泉くんに任せようと思ってたんだけどなかなか来ないし、それにいつまでも待ってるとキョンが来てうるさいし!」
今、SOS団三人娘は校内を歩いている。ちなみに格好はハルヒと長門は制服、みくるはメイド服である。(天の声)
ハ「まったく…キョンときたらいっつも「朝比奈さんがかわいそう」だの何だの言って邪魔するんだから!」
そうぼやきながら後ろに長門とみくるを率いて歩いている。(天の(ry
そして階段にさしかかろうとした時、
ハ「どう思う!?っと!うわっ!?」
勢いよく振り向いて聞いた瞬間、ハルヒは足を踏み外してしまった。(天(ry
み「涼宮さんっ!?」
長「……っ!」
とっさに手を伸ばす二人。だが結局支え切れず、三人は階段をもみくちゃになりながら転げ落ちてしまった。


?「いたたたた…」
?「ふえぇ~痛いですぅ~」
?「……不覚。」
どうやら三人ともたいしたケガもなく、無事だったらしい。でもあれれ~?(C.V.高山みなみ)何か違和感が。
?「あれ!?あたしがいる!」
?「ふぇ~!?わたしの胸が小さk…きゅぅ(気絶)」
?「………」
そこには、まるで特撮番組の怪獣のようにわめきまくるみくると、
いつもオドオドとしていて守ってあげたくなる小動物系の長門と、
樹海の奥にひっそりと生えている花のような気配のハルヒがいた。


ハ→み「これは人格入れかえってヤツね!」
みくる?が大声で強気にしゃべっている。心なしか態度もデカい。
み→長「あの~…それってどういう…?」
長門?はいつもと違ってもじもじしている。そしていつもより饒舌である。
ハ→み「ほら!マンガとかでよくあるでしょ!頭ぶつけたり、強い衝撃で人格が入れ替わっちゃうってやつ。きっとそれよ!あーゆーのはマンガだけかと思ってたけど…実際に起こるのねぇ~」
み→長「へぇ~…そんなのが…(あの~長門さん?ですよね?)」
そう言って長門?はハルヒ?に話しかけた。
長→ハ「(……そう。だが外見は涼宮ハルヒ。)」
ハルヒ?は無表情で口数が少ない。ものすごいギャップである。
み→長「(あの…これはどういう…?」
長→ハ「(涼宮ハルヒが望んだ。彼女が階段を落ちるわずかな間に「こうなれば面白いのに」と望んだ結果。でも問題ない。一時的なもの。)」
み→長「(そうですか…とりあえず一安心ですね…)」
どうやらそんな感じの大変なことになってしまったようです。
ハルヒinみくる。みくるin長門。長門inハルヒ。わかりにくいことこの上ない。
そしてみくる?が声高に叫んだ。
ハ→み「おもしろいわ!みくるちゃん、有希!よね?今日はこのまま過ごしましょう!どうせ一時的なものだから楽しまなきゃ損だわ!こんな体験なかなか出来ないしね!キョン達を驚かせてやるのよ!わかったわね!?」
み→長「確かに…そうかもしれませんね!実は私もちょっとワクワクしてたり…」
長→ハ「……ユニーク。」
どうやらみんなあまりショックではないようだ。それにしてもこの三人娘ノリノリである。
ハ→み「そうと決まれば部室に行くわよ!…ところでみくるちゃん。あんたやっぱり胸デカいわねぇ。重くて肩が疲れそうよ。」
み→長「そうなんですよぉ…あ、でも今は私すごい楽なんでs…ひぃっ!」
長→ハ「……………………………………………………………………………………………」
無表情なハルヒ?の目が鋭く光っていた。


フラッシュだ。残念だったな。
古「ワンペアです。いやぁお強いですね。」
お前が弱いだけだろ。俺は普通だ。休み時間に谷口や国木田とやってる時の戦績は三人ともあんまり変わらないからな。
古「少なくとも僕はうらやましく思いますよ…おや、どうやら姫君たちのお帰りのようですよ。」
ふん。そんなキザな言い回しを考えるくらいなら俺に勝つ方法でも考えるんだな。
そう言いながら朝比奈さんで目の保養をと考えてドアの方を見た。すると朝比奈さん、長門、ハルヒの順で部室に入ってきたSOS団三人娘を見て、俺はふと違和感を覚えた。いやそれが何なのかはわからんけど。
み?「あっ!お茶を入れ…ますね~♪」
はぁ。どうも。やっぱり何かおかしい。こう…なんか快活というかなんというか。まさかハルヒが何かしたのではあるまいな?
そう思ってハルヒの方を見た。
ハ?「……………?」
なんか怖い。無表情でここまでテンションの低いハルヒなんて初めて見た。七夕やバレンタインデーの時の比じゃない。
おい、どうしたハルヒ?元気ないじゃないか。
ハ?「別に。あんた…には関係ないこと…よ。」
なんだこれは。マジでおかしい。熱でもあるのか?そう思って偉大なる団長様のおでこに自分のを当てようとした瞬間、
ガシャーン!
ん?なんだ今の音は。後ろを振り向くと朝比奈さんが湯飲みを割ってしまっていた。
大丈夫ですか!?お怪我などは!?
み?「私は何ともないですよぉ~♪」
こちらもやはり変だ。どう見ても朝比奈さんには似つかわしくない怒りマークが顔に出ている。
これは一体どういうことか。その謎を唯一知っていそうなSOS団の有機製アンドロイドの方を見てみると、こっちもどうしたことか。本を広げてはいるがチラチラとこちらの様子をうかがっている。
いつものような頼りがいのある所は感じられず、変わりにビクビクとしていてなんともかわいらしいオーラが出ている。思わず顔がニヤける。なんかこう守ってあげたk
ガッシャーン!
またか!?本当に大丈夫なんですか?朝比奈さん。疲れてるなら、俺も名残惜しいがお帰りになられては?
み?「ホントに大丈夫ですからぁ~♪」
声は笑っているが顔からはある種の迫力がにじんでいた。
なんか今日の朝比奈さんはこう…ハキハキしてらっしゃいますね。はは…


ヤバイ。なんかヤバイ。なんだか情緒不安定になりそうだ。一縷の希望を賭け、超能力者の方を見てみると、なんとも形容しがたい微妙な表情をしていた。ダメだ。役に立ちそうもない。
どうしたことだコレは。俺が何かしたのか?いや授業中のハルヒはいつも通りだったし、放課後になってからはさっき会ったばかりだ。俺は何もしていない。たぶん。
そして。もういっぱいいっぱいだったのだろう。俺は何を血迷ったか、ハルヒの肩に手を置き、顔を近づけた。
そう、あの閉鎖空間の時のようにキスをすれば戻ると考えたのだ。他のSOS団メンバーもいるがそんな事を気にする暇もないほどテンパっていた。そしてキスまであと1cm…
?「こんのバカキョン!!なにしようとしてんのよ!!」
うわぁ!悪かったハルヒ!!…ってアレ?目の前のハルヒは目を閉じてじっとしている。ってことは今の声は?と考えるのもつかの間、急にスゴイ力で引っ張られた。
その先にはものすごく怖い顔をした朝比奈さんが。
あの~朝比奈さん?一体どうされたのでs
み?「みくるちゃんじゃない!あたしよ!まだわかんないの!?」
え?でもだって…え?
み?「みくるちゃんがあたしで、あたしが有希で、有希がみくるちゃんなの!!」
意味がわからん。でもこの口調、態度、唯我独尊な性格はまさしく…
まさか…ハルヒなのか?
み?「だからそう言ってるでしょ!!もう!!」


その後、三人から事情を説明され、俺と古泉はやっと納得した。こんな時でもスマイルを崩さないこいつは心底すごいと思う。
ちなみにハルヒ(朝比奈さんの外見をした)はなぜか怒ってとっとと帰ってしまった。
朝比奈さん(長門の外見をした)はひたすらもじもじして俺に謝っていた。なんだか俺が悪いことをしたように思えてくるから不思議だね。
あと、残念そうな顔をしていた長門(ハルヒの外見をした)がなんとも印象的だった。
それにしてもなんでハルヒはあんなに怒っていたんだろう。キスだって自分がされる訳じゃないのに。まぁ体はハルヒだが。
古「本気で言っているんですか?」
古泉が聞いてくる。ちなみに今は不本意ながら一緒に生徒玄関に向けて校内を歩いているところだ。まったくもって不本意だ。
本気かだと?ふん。わかったよ、明日ハルヒに謝ればいいんだろ?
古「わかっているじゃないですか。安心しましたよ。今度はちゃんと本人にキスを…」
などと階段を下りながらバカなことを言ってくる。
あーうるさい!まったくお前は…っと!ぅおあ!?
古「危ない!!」
俺はつい「足下がお留守だぜ!」になってしまい階段を転げ落ちてしまった。俺を支えようとした古泉と一緒に。
?「っつう…大丈夫でしたか?」
ああ、なんとかお前のおかげでな。一応礼は言っておくぞ 。あれ?古泉?どこだ?
?「目の前にいますけど?驚きですね。」
いや目の前には鏡しか…だってその証拠の俺の顔がある。ほら、俺が右手を挙げると鏡に映った俺も…
あれ?目の前の俺は右手を挙げるかわりに手鏡を差し出してきた。
その手鏡の中には………ニヤケハンサムな顔が映っていた。
お い ま さ か
                                        終わり


|