「今日は2月14日!バレンタインデーよっ!!!SOS団員は男、女を問わず、
 誰かに告白し、後日、わたしに成否を報告すること!!以上!!」
 わたしはこういう日は嫌いだから帰るわね」

まったく自分勝手な団長だ。
バレンタイン、か…。チョコを最後にもらったのはいつだっかな?
ハルヒは今までいくつあげたことがあるんだろう?
いや、それより俺は15,6年生きてきて、もらったことがあったか?…まあいい。
誰かに告白、ね…チラッ

「……」

この部室には、現在SOS団全員が揃っている。ハルヒは出て行ってしまったが。
「あなたは告白する心当たりはあるんですか?」
「…別に」
対面する古泉は不敵に笑う。
「僕はまったくありません。…ただ、涼宮さんを怒らせて閉鎖空間を生み出すような
 ことがあってはいけません。適当な人にでも告白するつもりです。」

なんだなんだ…?古泉がまともな告白なんて出来るのか?
確かにモテそうな顔ではあるが…。

さてさて、どうしたものか。
コト…という静かな音と共に、いつもの通りの飲み物が置かれる。

「キョン君は誰に告白するんですかぁ?」
朝比奈さんか。朝比奈さんはあくまで学校の先輩であって、
同じSOS団に所属するものであって、特別な恋愛感情はないと思う。
「いや、まだ決まっていませんが」
「そうですかぁ…決めたら言ってくださいね!協力しますから!」
「ところで朝比奈さんは誰に…?」
「あ、そういえば、性別問わずって言ってましたよね。
 私も、告白、しなきゃいけませんよね…。」

うーん。ハルヒはとんでもないことを言いやがる。
朝比奈さんをここまで困らせるとは!実にけしからん。実に。

「わたしは、わたしは…、わたしは、キョン君がす、好きです!」

なんだなんだ…?なんだよこのお芝居は?

「朝比奈さん、そういう冗談は古泉に…」
「冗談じゃないです!わたしは、キョン君が大好きなんです!!
 ひとりの、ひとりの男の人としてです…。未来から来たわたしですけど、
 よければ…よろしければ、付き合ってください!!!」

なんということだ…!!朝比奈さんは涙ながらに、悲鳴のようにしゃべっている。
古泉は目の前で笑っていやがるし、長門は本を読んだまま…。

「朝比奈さん、そんないきなり言
「お願いします!!!!!」

こんな気迫のこもった朝比奈さんは見たことがない。
けれど、残念無念、俺の好きな人は朝比奈さんではない。
「朝比奈さん…あの…すいません…」

一言で察したのか、朝比奈さんはうなだれてしまった。
沈黙、いや、朝比奈さんの泣き声と古泉の笑顔が支配する部室…。
俺は、イスから立ち上がり、続けた。
 

「俺にとって、朝比奈さんはいい先輩です。けれど、好きな人と聞かれると…。
 俺の好きな人は、長門だ!長門のことが大好きだ!!!!!」

 

えっ?という声が両側から聞こえたが、そんな雑音は気にしない。
俺の視線は、長門へと向けられている。たった一人の、長門有希へと。
「…なに?」
「おまえが好きだ長門!!!好きだ!!好きなんだ!
 だから俺と付き合ってくれ長門っ!おまえしかいないんだ!!!!」

「きゃああああ」朝比奈さんは駆け出し、部室から出て行ってしまった。

ごめん朝比奈さん…だが心配もしていられない。
この恋は必ず実らせる!!届け俺の想いっ!!!!

「長門!!!!返事を聞かせてくれ!!!!」
「わたしは」
「わたしは…。」
「わたしにとっては、古泉一樹という存在がもっとも大事。
 情報統合思念体の関与はない。
 あくまで人間的感情において、長門有希は、古泉一樹を愛している」

全世界が、停止したかと思われた。

…嘘だろ…長門……?
俺は、俺はこんなにも長門のことを…!!!!!
ん…古泉…?なに長門に近づいてるんだよ!!
「古泉い!!!!」

 

 

「長門っ!?古泉?!?!?!?!」
 

 

なんということだろう。
時間にして数分と言ったところだろうか。
俺はボーッと突っ立っていて、何がなんだかわからなかった。
いつのまにやら二人は接吻し
長門は仰向けに倒れており
古泉は長門を
………
…………
………
…………嫌だ。
…………
…こんなの、嫌だ。
 

「嘘だ!嘘だ!嘘だ!」

俺は、走っていた。廊下を。廊下らしきところを。
世界が、壊れてしまえばいい。あの二人を、壊してやりたい。
誰でもいい。誰でもいい。誰でもいい。

ぶっ壊したい。ぶっ壊したい。
――――壊したい。

 

「あーあ。忘れものってのも久しぶりね…。
 あれ?キョンが部室から走って…こっちに…どうしたのかしら??」

「ちょっとキョン!ってなに…あれっ?!?!どうしたの?!」
「嫌…嫌…嫌だ……」
「キョン!何してるの!わたしから手を離しなさい!!
 何があったの?あんたが泣いてるなんて珍し」

拳の音が、小さく、廊下に響いた。

「キョ…やめ…やめてよ!純情な女子高校生を殴るなん」バゴ

ズル…ズル…

「ハルヒ…ハルヒ…ハ…ル…ハルヒ…ハルヒだけが俺を…ハルヒ…
 好きだよ…ハルヒ…ハルヒ、おまえは俺のこと、好きだよな?ハルヒ…」
「あ…れ…?なん…でトイレなん…かに私…?!?!?!?キョ…ン!!痛い…
 なにし、て、る…の!!!!!なんで裸に…なって…ん…ん!!!
 ちゃ、ん、と、服を着n わたしを なn やm」
「ハルヒ?俺のこと、好きか?好きだろ?そうだろ?」
「こん、なこ、と…するキョ、キョン…は…ぁっ……キョン…じゃ…な…い…!
 早く…もう…や…ゃめて…ゃめ」


強姦致死傷罪・準強姦致死傷罪
無期又は5年以上20年以下の有期懲役(刑法181条2項)

 

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最終更新:2020年08月20日 15:29