終業の鐘が鳴り、さあ今日も朝比奈茶を飲みに行くかと教室を出ると、

後ろからいつものボリュームを間違えた声が響いてきた。

「ちょっとキョン!!明日は何の日かわかってるでしょうね!?」

怒ったような顔で聞いてくる。だがおれはもうこいつの怒った顔の後ろにある

感情を読むくらいのスキルは獲得している。だがなんだ?妙に期待したような感じだ。

「明日?すまんな思い出せん」

ああおれは返答を間違えたようだな。ハルヒの怒り顔が本気モードに変化してきた。

「本当に覚えてないの!?」

最後のチャンスのようだ、これで思い出さないととてつもなくひどい目にあうんだろ

う。・・・・・・思い出せない、明日?節分は一週間後だしな・・・・

おれがしばらく黙っているとハルヒは

「こんの馬鹿キョン!!」

とか言って行ってしまった。

「涼宮さんの誕生日を忘れるとはね・・・なにかあったんですか?」

ああそうか、明日はあいつの誕生日か・・・

「べつにただたんに忘れてただけだよ」

「しかしそのおかげで僕の同志が今閉鎖空間で奮闘しているのですよ?」

おまえらはそれが趣味なんだろ

「趣味ですか・・・まあいいでしょう、しかしどうするんですか?」

なにをだ

「プレゼントですよ、しかもさっきのあなたの態度で涼宮さんは相当怒ってしま

 った・・・生半可なプレゼントじゃ納得してもらえませんよ?」

べつに納得してくれなくて結構だよ

「それはいけませんね、世界が終わってしまうかもしれない」

また世界か・・・

「今までの涼宮さんをみていればわかるでしょう。彼女は七夕やクリスマスなどの

 イベントを非情に重要視している。それはおわかりですね?」

そのおかげで過去にも行ったしな

「ええ彼女はそういうイベントを非常に大事にする。そこで明日は誕生日です。

 もしあなたが彼女を怒らせるようなことをしたどうなるか・・・僕には想像も

 できませんね・・・すいませんそろそろ僕も行かないと、ではまた」

と言って部室から出て行った

「キョン君涼宮さんの誕生日忘れてたんですかぁ?それじゃ怒っちゃうのも

 仕方ないと思いますぅ」

朝比奈さんに言われると反論できないな・・・しかしどうしたものか・・・急に

明日と言われても

「急じゃないですよ?一ヶ月前に涼宮さん言ってたじゃないですか」

ああそうだった

「一ヵ月後はあたしの誕生日だからすっごいプレゼント用意しとくのよ!?

 いいわね!!とくにキョン!!しょぼいプレゼントなんて渡したら死刑だから!!」

そうだシーボルトと同じ誕生日だっただなぁ・・・ってそんな場合じゃない。

プレゼントどうしようか・・・下手したら死刑だな・・・

「朝比奈さんはもうプレゼント用意しましたか?」

「当たり前じゃないですか」

「ちなみになにを?」

「フフッ・・・禁則事項です」

天使のような笑顔で言われたらしつこく追及する気にはならないな・・・

「長門は?」

「した」

「なにを?」

一瞬間を置いて

「禁則事項」

こいつは真顔で言うがそれはそれで魅力的だ・・・・てそんな場合じゃない、明日と

いってもプレゼントを用意するのは実際今日しかない、よし

「すまん長門明日返すから金貸してくれないか?」

「いくら?」

「そーだな・・・とりあえず三万」

財布を取り出し無言で万札を三枚渡してくれる・・・今物凄い札束が見えたが気に

してる暇は無い。

「ありがとよ長門、じゃあまた明日」

しかし何を買ったらいいんだ?あいつの喜びそうな物なんてエリア51くらいにしか

なさそうだが・・・とりあえずおれは電車に乗って街に向かう

 目的地について駅を出ると意外な奴に出くわした。

「ようキョンなにやってんだ?」

まったくこいつの声はいつ聞いてもアホっぽいな

「ちょっと買い物にな・・・お前こそなにしてんだ?」

「バイトだよバイト・・・買い物ってなに買うんだ?」

まったく今こいつにかまってる暇はないんだ・・・以外にこいつならいいアドバイス

をくれるかもしれないな

「なあ谷口・・女ってのは誕生日にどんなプレゼントを貰ったら嬉しいもんなんだ?」

谷口の顔が曇ってきた

「女にプレゼントだと?誰にだ」

「ハルヒに」

とたんにニヤケ面になりやがる。こいつに聞いたのが間違いだったぜ

「はっはっは涼宮にプレゼントだ?何渡したってたたき返されそうだけどな。そうだ

「昨日学校の裏にUFOがでたらしいからその破片でも探したらどうだ?まあせいぜ

い普通じゃないものでも探すんだな、はっはっは」

くそむかつく野郎だ、時間を無駄にしたぜ。しかしほんとにUFOの破片を渡したら

喜ぶだろうな・・・いやいやあいつのことだから

「こんな贋物もらっても嬉しくもなんともないわよ!!!」

とか言ってたたき返されるのがオチか・・・じゃあなに渡したらいいんだ?

普通の物じゃつまらないと言われるだろうし超常的な物じゃ信じてもらえない・・・

こんな問題アインシュタインだって解けないだろうな・・・

そして翌日の放課後

「ええこれより涼宮さんの誕生会を始めたいと思います。では本日の主役に挨拶を」

「今日はあたしのためにありがとう!!今世界で一番幸せなのはあたしで間違いな

いわ!!」

とか大袈裟なことをいってやがる・・・今日一日不機嫌オーラをだしておれを睨んで

たくせに。

「それでは・・・長門さんロウソクに火をつけて貰えますか?」

無言で動く長門・・・ちゃんとライターを使ってくれて一安心だ

「では僕たちがHappy Birthdayを歌いますので・・・長門さん伴奏をお願いします、

いいですか?さんはいっ」

Happy Birthday to you Happy Birthday to you

 Happy Birthday dear

「ハルヒ」

「涼宮さん」

「涼宮さん」

Happy Birthday to you

長門の完璧なギターが終わるとハルヒは一気に火を吹き消した

「ふぅ~」

「おめでとうございます」

古泉は丁寧に

「おめでとうございますぅ」

朝比奈さんは嬉しそうに

「・・・おめでとう」

長門は無表情に言った

おれ?おれは普通に

「じゃ早速ケーキ食べましょ!!」

ハルヒが100ワットの笑顔で言った

「それじゃあ切るのは長門さんにお願いしましょうか」

古泉がナイフを差し出すと長門は完璧にケーキを5等分した・・・こいつのことだ

から0.0000001グラムの単位で分けてるんだろうね

「とってもおいしいわねどこで買ってきたの?」

「あの・・・わたしが作りました」

朝比奈さんが嬉しそうに頬を染める、可愛い上に料理も上手とは神様もずいぶん

ヒイキしたものだね、まあハルヒについては何も言うまい

「すごいわ!これなら一つ5000円くらいで売れるわよ!!いえみくるちゃんが

 作ったっていえば50000円だす奴もいるはずよ!!」

とか言って朝比奈さんに抱きついている、まあそれくらいの価値はあるね

谷口にいったらまじで出しそうだな

「そろそろプレゼントをわたしましょうか?」

流し目なんてくれるな気持ち悪い、それにハルヒもこっちを睨むんじゃない

「それじゃあまず僕から・・・しりあいにNASAで働いているひとがいましてね、

 その人にもらったスペースシャトルの破片です」

そーきたか・・・お前の知り合いはNASAにまでいるのか

「ありがとう古泉君!流石副団長ね!!」

満面の笑みだ、まあ古泉ならこれくらいはすると思ったね

「あのぅ・・・わたしはこれを」

といって朝比奈さんがもってるのは猫のようななんかよくわからないぬいぐるみ

「がんばって作ったんですけど・・・気に入ってもらえましたか?」

「もちろんよ!!みくるちゃんらしくてかっわいいわねこれ・・・くま?」

「一応ねこですぅ・・・」

「まあかわいいからなんでもいいわ!!ありがとう!」

「・・・これ」

と言って長門がだしたのは・・・・

『人間を科学する』

という厚さ15センチくらいありそうな本だ・・・こいつらしいな

「ありがとう・・・これおもしろいの?」

「・・・ユニーク」

長門のユニークとハルヒのおもしろいは決して一致しないだろうな

「それで・・・あんたは?」

さっきまでの笑顔はどこへいったのか・・・仕方ない

「これ、つまらないものだけどな」

と言ってちいさな包みを渡す

「開けていいの?」

ハルヒがアヒル口で言う

「好きにしろ」

ハルヒは丁寧に包みを開けて言った

「・・普通ねぇ、まっあんたの脳じゃこれが限界か」

なんて言ってやがる、が心なしか喜んでいるように見える・・・気のせいか?

「みんな今日はありがとう・・・今までで最高の誕生日だわ!!それじゃそろそろ

 帰りましょうか」

まだずいぶん早いけどな

「いいのよ!!もう充分楽しんだから、ほらみくるちゃん早くしないとメイドで

帰らせるわよ?」

何をそんなに急いでるんだろうねこいつは

「ほら有希も!!」

半ばハルヒに追い出されるような感じで部室から出たおれたちはいま坂を

下ってる途中である・・・するとイエスタデイをハミングしていたハルヒが突然

「部室に忘れ物したわ・・・キョンちょっと付き合いなさい!!」

まったくそんなもんひとりで行けよ

「か弱い女子高生を一人で帰らせる気?」

誰がか弱いんだ

「いいから一緒に来なさい!!」

強引におれの袖を引っ張っていく・・・まったくどこがか弱いんだ

部室につくとテーブルの上におれのプレゼントが置いてある

「まったくおれのプレゼントを忘れたのか・・・結構高かったんだぞそのネックレス」

急に大人しくなるハルヒ・・・嫌な予感がする

「ほらさっさと帰るぞ・・・おいどうかしたのか?」

ハルヒは黙って近づいてきた

「つけて・・・・」

なにをだ

「ネックレス・・・」

おいそんな顔で見るな・・・

「自分でつけたらいいじゃないか」

「あんたにつけてほしいの!」

急にアヒル口になる・・・まったくなにがしたいんだ

「いいからつけなさい!!」

おれのネクタイを掴んで怒鳴るなよ・・・仕方ないな

「ほらつけてやるから動くなよ」

ハルヒのクビに手を回す・・・この暗い密室でこの距離はやばいな・・・それになん

でこんなにいい匂いがするんだ?おれの理性はぶっ壊れる寸前だ

「ほらつけたぞ」

おれがハルヒから離れようとすると・・・こいつおれの首に手を回してどうする気だ

「なにしてんだおい」

「キスしてくれなきゃ離さない」

はぁ!?

「あたしの誕生日忘れてたんだからそれくらいしなさい!!」

いったいどうしたってんだこいつは、しかしハルヒの顔がこの距離にあるとおれの

理性を総動員してももうそろそろ限界だ

「あたしのこと嫌いなの?」

ハルヒの吐息がかかる・・・もう我慢の限界だ、どうにでもなれ!!

おれが意を決したその瞬間

[ガチャッ]

ドアが開いた

「昨日貸した三万円を返してもらっていない」

長門が立っていた

ハルヒは慌てておれから離れて

「なんでもないのよ」

とか言っている。まあ長門なら気にもしないし誰にも言わないだろうが一応言い分け

をしておく

「ハルヒが目にゴミが入ったって言うからな、取ってやったんだよ」

「そう」

こいつに嘘をいっても通用しないか。金を渡して帰ってもらおう

「ああすまんかったな、ありがとよ」

おれが金を渡すと長門は

「じゃあ」

と言って帰っていった・・・ハルヒを見るとアヒル口をして立っていた

沈黙・・・

「帰るか?」

「・・・・ッフン!」

ハルヒは行ってしまった、まったくなにがしたかったんだろうねあいつは。

しかし長門が入ってこなかったら止まらなかっただろうな・・・長門はわざと入って

きたのか?いやそんなことはどうでもい。今日はとりあえず家に帰っておれの

自制心の弱さを反省して寝よう・・・・

翌日

いつもどうり妹にたたき起こされ家を出るとそこにはアヒル口のハルヒが立っていた

「たまには一緒に登校してあげようと思って!!別に特別な意味はないんだからね!!」

やれやれもっと素直に感情表現できないもんかね、まあこれはこれで可愛いからいい

とするか

「なにニヤけてんのよ!」

「ネックレス似合ってるぜハルヒ・・・

終わり


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