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桜の花が咲き乱れ、春爛漫な春休みもいよいよ終盤に差し迫ったわけだが、俺たちSOS団の面々は連日飽きることなくハルヒに駆り出され、
市内探索だけに留まらず市外や県外にまで繰り出し、その度に周りに人間に迷惑をかけ続けているわけだ。
具体的な内容についてはここでは触れない、というか思い出したくもない。ああ忌々しい。

そんな連日の行事もついにネタが尽きたのか、本日の花見開始早々ハルヒはこんなことを言った。
「今日はお疲れ様。明日の予定は特にないわよ。みんな好きなように過ごして頂戴」
………。
この3点リーダは長門じゃなくて俺のものだ。だってそうだろう、これは誰だって驚くに違いない。
夏休みを15498回も繰り返しても飽き足らなかったあの涼宮ハルヒが"休日"を与えてくれるというのだ。天変地異の前触れか?ついに世界は崩壊するのか?ああ神様、お助けを…。
「涼宮さんに頼んでみてはいかがでしょう」
隣で日本酒を呑んでいる古泉が言う。
そういやお前の中での神様はハルヒのことだったな。あいつに頼み事なんてまっぴらだね。どんな仕返しがくるか想像もできん。
「あなたからのお願いとあらば涼宮さんは無償で実行してくれると思うのですが」
何を根拠に。あいつが探索の度に俺の財布から財産を奪い取っていくのをお前も知っているだろう。いや、お前たちも犯人の一味だったな。揃いも揃って俺より前に来るなんてどうかしてるぜ、まったく。
「僕だって先に着きたくて着いているわけではないのですよ。涼宮さんがそのように願っているからそうなるだけのことです」
はた迷惑なやつだぜ。たまには懐具合も心配してくれると助かるんだが。
「それはそうと、あなたは明日の予定は考えているのですか?」
お猪口に日本酒を注ぎながら言う。こいつまだ呑むのか。ちなみに既に3本空けている。
別に。折角の休日だ、ゆっくり家で過ごすとするさ。
「おや。折角の機会なのにもったいない事をなさるのですね。涼宮さんとどこかおでかけになってはいかがですか?」
何故俺がハルヒと二人で出かけねばならんのだ。ただでさえ振り回された疲れが溜まっているというのに。
「ふふ、そういうことにしておきましょうか」
なんだその笑いは…そういうお前はどうなんだよ。何か考えてるのか?誤魔化すように話を変える俺、情けない。
古泉はいつものさわやかスマイルで答えた。
「機関の集まりがありましてね。そちらに参加しようかと。」
ふうん、機関のメンツも集まったりすることがあるんだな。意外だな。
「最近は涼宮さんも安定していますからね。機関の方も何かと暇を持て余しているのですよ」
なるほど、そりゃよかったな。
俺と古泉はその後も機関はああだのこうだのといろいろ愚痴なのか自慢話なのかよくわからん話を30分ほど続けていたが適当なところで切り上げて席を立つ。
これ以上あいつの話を聞いてると流石に疲れる。
お、あそこで本を読んでいるのは長門じゃないか。おーい、長門ー。
「……」
顔を上げてこちらを見る。不純物の一切混ざっていない水晶のような瞳がこちらに向く。
長門は明日は何するんだ?座りながら話しかける。
「……図書館」
やっぱりな。いや、こう言ってしまうのは長門に対して失礼かもしれん。スマン。一人でいくのか?
「……」
無言。これは肯定だろうか、否定なのだろうか。しかし長門が誰かと図書館に行くというのも想像できんな…。
そうか、楽しんできてくれ。
「あなたは…」
ん?なんだ長門。
「あなたはどうするの?」
長門の疑問系は久しぶりに聞いた気がするぜ。俺は1日ゆっくり家で過ごすさ、流石にこう毎日連れ歩かれちゃ体がもたないからな。
「……」
長門が何かいいたそうにこちらを見つめる。ああ、そんな目で見つめるんじゃない。まったく古泉だけじゃなく長門までそんなことを言うのか。
いや、まだ何も言ってないがきっとそんなことを言うに違いない。1年近く付き合ってるんだ、何がいいたいのかくらいは大体分かる。
「あなたは涼宮ハルヒとでかけるべき」
ほらな、そうだと思ったよ。しかもでかけるべきってでかけない場合どうなるのか知りたいね。いややっぱりやめてくれ、言わなくていい。
「…そう」
そういうと長門は読書の世界へ戻っていったので、俺も場所を移すことにした。おや、あそこで呑んでいるのは朝比奈さんと鶴屋さん。
いやあ、満開の桜に二人の美人、絵になるね。これぞ日本の美ってもんだ。
「あっはっは、おだてたって何もでやしないよ、キョン君」
「美人だなんて、そんな…」
二人とも真っ赤な顔である。もちろんお酒で出来上がっているのは鶴屋さんだけで、朝比奈さんはさっきのセリフに顔を赤くしているのだが。
鶴屋さん、お酒はほどほどにしてくださいよ。朝比奈さんはジュースだけじゃなくって少しは呑んでくださいね。
しばらく二人と話しながら明日の予定を聞いてみる。
お二人は明日の予定とかあるんですか?
「私はその…新しいお茶を買いにデパートに行こうかと…」
「わたしは家族で出かけるっさ!明日も花見にいくんだよー!キョン君はハルにゃんとデートなんだよねっ」
何故みんなそう考える分かる人がいたら是非教えて欲しい。それも早急に。
あのですね、鶴屋さn「おーい、ハルにゃん。こっちこっちー!」
言い終わる前に鶴屋さんがハルヒをこっちに呼び寄せた。この展開は非常にマズイ、何がマズイっていろいろだ、いろいろ!
「えへへー。なぁに、キョン」
誰だお前は。大体呼んだのは俺じゃなくて鶴屋さんだろう。
「なによー。あたしはキョンと一緒に呑みたいのよぉー」
あー…諸君ならそろそろ気付いていると思うが、夏休みの孤島での出来事を思い出して欲しい。そう、ハルヒは何故か酒に弱い。
いや、これだけ呑んでも潰れないのだからある意味強いのかもしれないが、呑むといつもの刺々しい性格がどこかへ消え去ったかのように甘えるようになる。
そもそも、あの時禁酒を誓ったハルヒが何故酔っ払っているのかというと、鶴屋さんが自宅から持ってきたという秘蔵の日本酒の誘惑に負けたからに過ぎない。
なんて意志の弱い団長だろう。何故こんなのが俺の…いや、なんでもない。
「キョーン。こっち来なさいよぉ~」
やれやれ…さて、諸君はもう気付いているだろう。そう腹をくくった俺はみんなに向けて話し出した。
あー、その、、なんだ。実は俺とハルヒは、、つ、付き合ってるんだ。
「まさか気付いてないとでもお思いだったのでしょうか?」
「…知ってる」
「あっはっは、青春だねー!」
「え…えぇーーっ!そうだったんですかぁー!」
「「「………」」」
「あ、、あれ?知らなかったのって私だけですかぁ~?」
十人十色とはこのようなことを言うのであろう。朝比奈さんだけは期待を裏切らないでいてくれたあたり流石というべきだろう。
「えへへー。キョーン。だぁいすき」
ああ、俺もだぞ、ハルヒ。だから少しあっちに行っててくれ。
「うん、待ってるからねー」
ああ、いつもこれだけ素直に言うことを聞いてくれれば苦労しないってのに。毎日酒でも呑ませておくか…。
「キ、キョ、キョ、キョン君っ!い、いったいいつからですかっ」
「確か、先週の木曜だったかと」
「正確には木曜の午後18時24分。涼宮ハルヒが彼に告白した」
「おおっ、有希っこは詳しいねっ!流石だよっ」
ちょっと待て待て。長門はともかくなんで古泉がそのことを知ってるんだ。部活も終わってみんな別れたあとだったじゃないか。「いえ、とあるお方からご連絡を頂きまして。これから涼宮さんが面白いことを仕出かす、と」
そんないつぞやの文化祭の時と同じセリフはいらん。大体そのとあるお方ってのはどうせ長門だろう。
「「……黙秘権(です)」」
ハモりやがって。長門も朝比奈さんに教えずに古泉にだけ教えるなんて…ん?古泉にだけ?
なぁもしかして長門って「それ以上の発言は許可しない。情報統合思念体に連結解除を申せ」わ、わかった、わかった。
危うく朝倉やカマドウマの二の舞になるとことだった。流石長門、迫力が違う。
「え?え??なんで長門さんがキョン君を攻撃するんですかぁ~??」
…相変わらず空気の読めないお方だ。だがそこが魅力的でもある。おっと、だからって朝比奈さんとお付き合いしたいなんて思わないぜ。
今の俺にはハルヒがいるんだからn「キョンー。待ちきれないから来ちゃったー☆」
やれやれ。帰りはどうやって連れて帰るべきだろうか、明日の話もしたいんだがな。
それまでハルヒが起きているかどうか…。俺が勝手に決めたら怒るだろうからな。
とまぁいろいろと悩むことはあるが、今はそれが心地よく感じられる。俺も成長したってことかね。



あのあと結局花見は夜遅くまで続けられたらしい。
らしいと言うのは俺が最後まで参加していなかったためであって、後日古泉から聞かされた話では朝比奈さんと鶴屋さんが酷いことになっていたらしい。
本人の名誉のためにもここで語るのはやめておく。気になる人はあとで古泉にでも聞いてみてくれ。
ん?最後まで残らなかった理由?とりあえずハルヒのせいだと言っておく。あの馬鹿は加減というものを知らなさ過ぎる。たまにはセーブしろっての。
おっと、ハルヒが出てきた。それじゃそろそろ出かけるとしますかね。

「おっはよー!キョン!」
ああ、おはよう。今日も元気だなハルヒ、二日酔いは平気なのか?
「二日酔い?このあたしがそんなのになるわけないじゃない!」
確かにハルヒ相手なら二日酔いの方から逃げ出すかもしれん。怪我や病気とこれほどまでに縁のない人間もそうはおるまい。
「それで?今日はどこに連れて行ってくれるのかしら?」

そうなのである。花見の席で眠り始めたハルヒを風邪を引かないようにと途中で抜け出し、自宅まで送り届けた俺は結局今日の予定のことをハルヒと相談できないままでいた。
夜になってハルヒから電話がかかってきたのはいいんだが「明日行く場所はキョンが考えてね。あたしは寝るから。それじゃおやすみ!」と、
いつものように3秒で用件を告げたまま返事もろくに聞かずに切ってしまった。
その後メールで「明日は9時に迎えに着てね!今日はありがとう、大好き」と届いたので良しとする。というか連れて帰ったの知ってたんだな。
「俺も大好きさ、また明日な」そう返信して俺も寝ようと思いベッドの中へ潜り込んだ。
何か肝心なことを忘れてるような気はしたが、明日遅刻するのはマズイので考えないことにした。
どうせ大したことじゃないだろう。。。。
そして翌日。仕掛けておいた妹目覚ましにより素晴らしい朝(もちろん冗談だぞ)を迎えた俺は重大なことを思い出した。
そう、今日の予定を全く考えていなかったのである。
おいおい、どうする俺。このままじゃハルヒに大目玉を食らうぞ。
「…最悪ね、別れましょ、キョン。さようなら」
「ま、待ってくれ、ハルヒー!!」
…こんなことにもなりかねん。それだけは回避しなければ!!
急いで調べようにも時間はまだ朝の7時。本屋なんか開店準備すらしていない。
こうなっては仕方がない。あいつに貸しを作るのは尺だが、最悪の事態を免れるにはもうこれしかない。
そう思って俺はあいつに電話した。
「はい、どうかしましたか。」
1コール。相変わらず出るのが早いな、古泉。早速だが助けて欲しい。
「そうだろうと思いました。」
肩をすくめながら電話している古泉の様子が目に浮かぶ。俺の行動パターンはそんなにわかりやすいのか。
「どうでしょう、折角ですのでWデートということにしませんか?」
…なにやら聞きなれない単語が飛び出したぞ。誰と誰と誰と誰でだ。大体お前今日は機関の集まりじゃなかったのかよ。
「おや、あなたには昨日バレたと思っていたのですが…」
なんのことだ?
「今日は長門さんとデートの約束をしていたのですよ。」
ああ、なるほど。っておい!何だって、もう一度言ってみろ。
「ですから、今日は長門さんとデートの約束をしていたのですよ」
…そういえば昨日長門は図書館に行くとは言っていたが一人とは言ってなかったな。…そうか、相手は古泉だったわけか。
だがそういうことなら話は別だ。流石にお前たちの仲を邪魔するような真似はできん。諦めてハルヒに怒られることにするよ。
「そうですか。それではまたの機会にということで」
ああ、朝早くから悪かったな。
「いえ、お役に立てなくて申し訳ありません。ああそういえば、今日は街の方でイベントがあるらしいですよ。もしよろしければ行ってみてはいかがでしょう?それではまた。」
…しっかり役に立ってるじゃないか。今度ジュースでも奢ってやるとしよう。
さて、そうと決まれば早速準備するか。

……というわけで回想は終わりだ。古泉には感謝しないとな。
今日は街の方で面白そうなイベントがあるらしいんだ。だからそれに行ってみようと思う。
「へー、ちゃんと調べてくてたんだ。ありがと、キョン」
付き合い始めてからというものハルヒは感謝の言葉を使うようになった。もちろん俺だけにではなく周りの人間に対してもだ。
何かがハルヒを変え始めている、もちろん良い方向に。この調子で行けば来年にもクラス一、いや北高一の人気者になっていてもおかしくはない。
もともとなんでもできる万能選手だしな。あの生徒会長すらも超えるだろう。ん?そうなればSOS団員が生徒会員か?なるほど、それも楽しそうだ。
「どうしたのよ。ニヤニヤしちゃって」
ん?何、ハルヒといると幸せだなと思ってな。
「あ、当たり前じゃない。幸せじゃないなんて言い出したらぶっ飛ばすわよ!」
はは、勘弁してくれ。

二人で話しながら俺たちは街へと歩いていった。
もちろん、二人の手はしっかりと繋がれたまま。
何があってもこの手を離すことだけはしないと誓う俺だった。お前もそうだろ?ハルヒ。

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