「んで、用事はなんですか?」
今俺は、入学して間も無い頃、ハルヒにSOS団の協力を求められた、違うか、「しろ」と命令された、人気のない階段に鶴屋さんといる。
その鶴屋さんはというと、なんかもじもじしているような、それでも彼女の明るさは保っている、そんな表情だった。
「え、え?あ、そうだっけ、忘れてた。にょろ」
鶴屋さん、なにもそこまで「にょろ」にこだわらなくても。
「そう、その用事はね・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
なんだこの三点リーダーの掛け合いは。ええい、話が進まん。
「そのっ、あの・・・」
はて、鶴屋さん、あなたそんな性格でしたっけ?もっとはきはきしてましたが。
つーか一体どんな用事なのかねえ。もしかすると、そろそろハルヒの能力に気付いたりとか。ありえる。あの鶴屋さんだ。そもそも気付かないはずが
「わたしと・・・今日だけ彼氏になってっ!」

「はへい?」
思わず変な声あげちまったよ。
というかそれぐらいしか頭に浮かばん。もしここで古泉だったら
「はい、今日だけと言わず一生をともに・・・」
というくさいせりふを吐きながら、抱きしめるだろうなあ。ああキモチワルう。抱きしめるかどうかは知らんが。というか想像だが。
俺も言ってみようか。
鉄拳が今にも飛んできそうな気がする。誰からとは言わないが。

事のの内容を聞けば、なんだ、そんなに想像していたよりたいしたことない、いや、ある意味ですごいことなのかが解る。
聞くところによると、鶴屋さんの家では、娘が中学生になったころからなんと許婚を決めるのだそうだ(はやっ!)。この時期になると、中学校にいる、鶴屋さんが気に入った男子生徒に告白、即家に連れて行くようなしきたりがある。
しかし、鶴屋家当主が認めなければ強制的に別れさせる。だかもし、合格だったら見事、逆玉の輿の人生が確定するのだ。
今まで6人(多っ!)の男を連れてきたそうだが、ことごとく敗れてきたそうだ。
「さすがに4人目からは適当になったけどねっ」
とは本人の談。いや適当て。そんな簡単に付き合っていいんすか?
「大丈夫さっ、わたしわかるにょろっ、『ああ、この人も駄目だろうなあ』って!」
要は、適当に駄目そうな男子を家に招き入れて、んで適当に終えると。まあ、鶴屋さんの場合、男子の方から積極的にアプローチかけてくるだろうから、そんな探す手間かからないんだろうな。
「鶴屋さんは、好きな人いないんすか?」
俺よりかもっといい人いると思いますが。
「え、え、えええと・・・う、うんいない。にょろっ!」
だからそんなに「にょろ」にこだわらなくても。
まあ、適当に行ってそして適当に帰ってそのまま家にかえればいいか。夕食は鶴屋家が用意してくれることだし。今はどんな料理が出てくるか楽しみに待つだけだな。
「まあ、俺が行ったら最速記録出ますよ。別れろといわれる時間が、ね」
「え、え・・・まあ、そうにょろ!キョン君はのんびりいつものようにすごしていたらいい、にょろ!」
やけに「いつものように」が強調されたな。あと語尾。

こんな俺みたいな奴が来るんだ、ひょっとしたら、飯すら食えないかもしれん。
「一応、頑張りますよ。」

鶴屋さんの顔が赤くなった、気がする。

「んじゃ、いきましょうか。その、鶴屋家に」


|