※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 第4話 ~計画~



「何なんだよ…何だよお前は…」
おれは突然現れたもう一人のハルヒに驚きの色を隠せなっかた。そういや古泉と長門がハルヒがもう1人現れ
たみたいなこといってたな…
「何言ってるの?キョン。私がわからない?ハルヒよ。」
もう1人のハルヒは本物と違いかなり静かな雰囲気だ、それに長門みたいに無表情だ…
「違う。本物のハルヒはそこで伸びてるやつだ。お前なんかじゃない。」
俺がベッドで寝てるハルヒを指差してそう言っても、もう1人のハルヒはやはり無表情だった。
「そうね、確かにあんたの知ってる『あたし』はそれだけど、あたしもハルヒよ。偽者なんかじゃないわ。ど
っちが本物かどうかなんて無いわ。どっちも本物よ。」
「じゃあ一体お前の正体は何なんだよ?ハルヒの何なんだ?おまえも本物なら何で今まででて来なかったんだ
?」
「あたしは『あたし』の能力と欲求がが具現化した姿。」
一気に聞く俺に対しても大して文句も言わずに無表情にもう1人のハルヒはかなりの衝撃的な事実を淡々と語
りだした…
「あんたも知ってるでしょ、『あたし』には願望を実現する能力が有ることを、私はそれにそのまま意思がつ
いた存在。簡単に言えばあたしは『あたし』の本能、そして願望。」
そこまで言ってハルヒは一旦言葉を切った。
「だからあたしは『あたし』の望んだものを全部実現しようとしてきたわ。でもその度に『あたし』はあたし
の邪魔をしてきたわ。『そんなものいるはず無い。あたしは信じない』ってね。そんな風に思われるとあたし
は能力を使えないの。そうね、あたしを本能とするなら、そこにで寝てるのは理性ってところね。理性に抑え
られてあたしはずっと外に出てくる事も無かったし能力を使う事も無かったわ。それ程『あたし』の理性は強
いわ。普段あんたが見てるのも理性のほうよ。」
あの迷惑暴走娘が理性とは驚きだな、本能のままに生きてるやつだと思っていたしな
「それでも時々理性が弱まる時にはあたしは少しだけ能力を使う事位は出来たわ。」
それは恐らくハルヒがキレた時の閉鎖空間や長門や朝比奈さんや古泉達の事だろう。
「で、今回に限って何でお前は姿まで現したんだ?」
「言ったでしょ。理性が弱くなれば本能のあたしは出てこれるって。まあ、いくら弱くなったって『あたし』
が寝てる間しか出てこられなかったけどね。」
ああ、それも古泉が言ってたな…
「理性が弱くなったからあたしは理性を押しのけて無理やり出てくる事も出来たわ。」
「なに!?じゃあハルヒが突然倒れたのは…」
「そうよ、無理に眠って貰ったの。もうそれ位あたしたちの力関係は逆転してるわ。」
「なんでだ?なんで急におまえの方が強くなったんだ?」
俺は本能的にこのハルヒをこのまま放って置いてはいけない気がした。
「今日は七夕よね。七夕が近づくにつれて『あたし』のジョンに会いたいって気持ちが強くなってきてね、そ
れで『あたし』は無意識の内にあたしの能力を頼るようになっていったわ。滑稽よね、毎日ジョンに会ってる
って言うのに。」
やっぱりハルヒ(本能)は俺の…とゆうかジョンの正体を知っていやがったのか。
「まあそれでもここまで逆転するにはもう少し時間がかかったんだけどね、やっぱりあんたとみくるちゃんの
おかげね。」
そこでハルヒ(本能)はやっと微妙にだが、かなり邪悪に微笑んだ。かなり皮肉な笑い方だ。
「俺と朝比奈さんのおかげって、いったい俺達が何をしたってんだ。」
「何あんた、さっき『あたし』に問い詰められたばっかりなのにまだ白を切るつもりなの?」
「あ……」
そうか、俺と朝比奈さんが抱き合ってたのが…
「分かったみたいね…そうよ、あんたとみくるちゃんがいちゃついてるのを見て『あたし』はますますジョン
に会いたくなったの。で、とどめはあんたがそのことを否定しなかった事でもうあたしのほうが力が強くなっ
たわ。」
そんな…まさか俺がこのハルヒを表に出すきっかけになってたなんて…
もうおれはまともにハルヒ達を見れなかった。
「まあ、それでもあたしが完全に力を持って『あたし』と入れ替わるにはまだ少しだけ時間がかかるんだけど
ね。」
そう言ってハルヒ(本能)は机の上にある笹から何かを取ってそれを俺に差し出した。
「もう一度『あたし』に会いたいんならこれをしっかり持ってなさい。」
顔を上げると邪悪な笑みを浮かべたハルヒ(本能)が持ったハルヒの短冊があった…

翌日…俺はかなり落ちた気持ちで俯いて北高の心臓破りの坂を上っていた。
結局あのまま俺はハルヒに何の対応をすることも出来ないまま追い返されてしまった。古泉と長門に電話した
が2人とも電話には出なかったし、朝比奈さんには…あんな事があった後なのでとても電話なんてできなっか
た。くそっ。偉そうな事言っておきながらまた俺は何も出来なかったじゃねぇか。
「それに…ハルヒから渡されたこれも、結局持ち歩いちまってるしな…」
俺の手の中には昨日ハルヒ(本能)から渡されたハルヒの短冊があった。そんな風にハルヒ(本能)の言葉を
律儀にも守っている自分に更に憂鬱になった。
「そういや学校はどっちのハルヒが来るんだ…?」

しかしハルヒは今日は欠席だった。
そして鬱々状態で授業中もずっと考え事をしていて気付けばもう昼休みだった。俺は昼飯も食わずに歩き出し
た。もちろん部室に向かって。俺は早く長門か古泉に会いたかった。
だが部室には鍵がかかっており誰も居ない様だった。それなら直接教室に押しかけてやる…

「え?長門さん?長門さんなら昨日から来てないけど。」

「古泉くんなら今日は休みだけど…あなた、何で休みか知ってる?」

何てこった…2人とも休んでるとは、こうなりゃ朝比奈さんでも…
「やあキョンくん!みくる知らないかい!?」
突然後ろから俺に声を掛けてきたのは鶴屋さんだった。
「え?朝比奈さんも今日休みなんですか?」
「うん?そうだよっ!朝から来てないんだよぉ。キョンくんなら知ってると思ったのになぁ~。」
鶴屋さんはにやにやしながら言った。変な邪推しないで下さいよ…ん、予鈴か…
「あ~、もう時間かぁ~。それじゃあまたねっ。キョンくん!」
「あ、はいさようなら…」
まさか朝比奈さんまで来ていないとはな…予想外だぜ。おっと、岡部のやつもう来やがった。これじゃ抜け出
せん。
おれは今すぐ抜け出したいのを必死に我慢し授業に望んだ。といってもちっとも聞いていなかったがな。

そうして放課後俺は急いで長門の家に向かうためにHRの終了直後に駆け出していた。
「待ってください。」
ん?そこには意外なやつが立っていた。
「古泉…どこ行ってたんだよ。」
そう、古泉がそこで俺を待ち構えていた。そして追求しようとする俺を遮って古泉は言った。
「待ってください。詳しい話はこちらで…付いて来て下さい。」
そう言って古泉は歩き出した。当然俺も付いていく。その間に何か少しでも聞きだそうとするが、
「もう少し待ってください。ここではまずいです…」
と言われてしまう。仕方ないか…こいつの目的地に着くまで待ってやるか。
そして俺たちは黙って歩いていった。

古泉に連れられて着いたのは坂の途中の少し大きめの公園だった。
「で、こんな所まで連れて来ないと話せない事って何だ?」
「その前に貴方の方こそ話さなければいけない事が有るんじゃないんですか?」
うむ、この回りくどい言い方こそまさに古泉だ、
「実はな…」
俺は昨日起こった事を全て古泉に話した。ハルヒが倒れた事、もう1人のハルヒのこと、そしてそれらが俺が
朝比奈さんを抱きしめたところをハルヒに見られたせいだと言う事も。全部言い終わると古泉が難しい顔をし
て俺を見ていた。
「やはりそうでしたか。恐れていた事が起こってしまったようですね…」
「で、お前の話ってのは何なんだ?そして何でお前は学校を休んだんだ?」
「はい、実は涼宮さんが地上から消えました。」
は?なんだって?こいつは何を言ってるんだ?
「今日の未明に大規模で強力な閉鎖空間を発生させ、そこに入りました。僕たちにはそれを感知する事が出来
ても侵入する事は出来ません。入る事が出来るのは貴方だけです。」
ハルヒが消えた?いや、そんな事よりこいつは今なんて言った?強力な閉鎖空間?侵入不可?俺しか入れない
だと?どういうことだ?
「なんで俺がお前らですら入れない空間には入れるんだ?だいたい何でハルヒはそんなもん作ったんだ?」
「涼宮さんはジョン・スミスに、つまり貴方に会い、その上でこの世界の自分とあなたの関係を邪魔する要素
を一切消し、洗浄するためにその空間を作った。恐らくその空間にいれば涼宮さんの世界の洗浄を受ける事を
避ける事が出来るんでしょう。まさに旧約聖書の『ノアの方舟』ですね。そしてその方舟に乗る権利を持つノ
ア、それこそ貴方なんですよ。貴方はそこに入るための鍵も持っている。違いますか?」
鍵だと?何の事だ一体……いや、待てよ…
「もしかしてその鍵ってのはコイツの事か?」
俺は古泉にハルヒの短冊を見せた…
「ええ、恐らくそれが涼宮さんの方舟に乗り込むための鍵ですね。」
そうか、それなら話は早いな。
「ところで、貴方は涼宮さんの所に行くおつもりですか?」
今更何言い出すんだコイツは…
「当たり前だろ、俺しか行けないんろ、だったら俺が行ってハルヒを連れて帰ってくるしかないだろ。古泉、
ハルヒのところに行く方法を教えろ。」
俺は真剣に古泉に聞いた。しかし古泉は突然笑い出した。
「はは、やはり貴方は思った通りの方だ。」
「何だいきなり。俺は真剣な話しをしてるんだぞ。」
「いや失敬、確かにその話も重要ですが、その前に今回の件の機関の方針を聞いて貰えませんか?」
そんな事言ってる場合ではないだろうに、
「仕方ないな、手短に頼むぞ。」
だが俺は拒否しなかった。何故だかそうした方がいいような気がしたからだ。
「ありがとうございます。実は今回の件…機関は貴方が涼宮さんのところに行くのに反対しています。」
なんだと?今日はコイツに驚かされっぱなしだな。
「それと言うのも貴方がそこに行っては状況が悪化するんではないか?そもそも貴方がそこに着いたら、そこ
で涼宮さんはすぐに世界を洗浄してしまうんではないのか?それこそ貴方が涼宮さんを連れ帰る暇も無く。と
言うのが機関の意見でしてね。」
「何で俺が状況を悪化させるなんて言えるんだよ!」
「それは現にあなたが朝日奈さんとあんな事をしたせいでこんな事になったと言っても良いんですよ。そんな
人が行けば何が起こるか分かりませんからね。」
「ぐ…」
反論なんて出来なかった。それは紛れも無い事実なんだから…それでも俺は反抗した。
「でもそれじゃあ何の解決にもならないだろ!」
「たしかにそうかもしれませんね。ですが、貴方が涼宮さんのところに行きさえしなければ彼女の目的である
ジョン・スミスが揃いません。だから放っておけばその内諦めて帰ってくるかもしれません。」
「そんな訳あるか!ハルヒがそんな事で諦めないのはSOS団の一員であるお前もよく知ってるだろ!!」
「ああ、そうでした、SOS団のことでももう1つ話が有るんですよ。」
これ以上何が有るってんだよ…
何故だか俺はその時古泉からいつかの朝倉のようなもの感じていた。
「実は僕に機関から新しい指令が来たんですよ。その指令とは……ジョン・スミスの暗殺、つまり貴方を殺す
事です。」
は?何だって?
今俺はとんでもないアホズラを晒してるかも知れない。そりゃあそうだ、今俺は多分今までの人生の中で一番
驚いているかもしれないからな。
「驚くのも無理は有りません。しかしもう決まった事なのです。SOS団などというものが有るから涼宮さん
はこんな事を起こした。こんな事になった以上SOS団にもう存在意義はありません。むしろあリスクが高す
ぎます。」
「残念ですが、SOS団はもう終わりです……危険な芽は早目につまねばなりません。いや、むしろもう遅い
位です。だから、あなたには死んでもらいます。」
そう言って古泉は懐から黒光りする銃を取り出した。しかし古泉が撃つ前に古泉の後ろの茂みから突然現れた
男たちが俺に向かって撃って来た。ああ、俺、こんなとこで死んじまうのか…
ズガンッ、ズガンッ…ギンギンッ……
しかし俺は死んではいなかった。何故か銃弾は俺の前に小さなナイフと共に全部落ちてたし、俺を撃った男達
は胸にナイフが刺さって倒れていた。ナイフ?
「な!!?」
古泉もびっくりした様に振り向いてた。
ー今だ!!ー
古泉がよそ見している間に俺は走って公園を抜け出した、幸い公園のすぐ横に俺の自転車を停めてる駐輪所が
有った。
今はすぐに長門に会おう!
そう思った俺は全力で自転車をこいで長門の家に向かった。
死ぬ思いで自転車を漕いだおかげか、機関の奴等に追いつかれる事は無かった。
しかし古泉がSOS団を裏切るとは…………ちっ、今はこの事は後だ!早く長門のところに…
そう思うが早いか、気付けばもう長門のマンションはすぐそこだった。後はこの公園を抜ければ…
ん?あれは…長門か?
いつものあの公園のベンチに長門が座っていた。そして俺が近づくと長門はすぅっと立ち上がった。
「おい長門。何やってるんだ?こんなところで…」
「貴方が来るのを待っていた。」
さすがは長門だ。この異常事態を察知して俺が来るときに通るであろうこの場所で待機してたって訳か。って
ことは、こいつの事だから古泉の事も知ってるんじゃないのか?
「なぁ長門…古泉の事だが━━」
「知っている。古泉一樹の所属する機関は貴方を敵性と判断し、古泉一樹もそれに従いSOS団を裏切った。」
本当に、こいつは…長門に分からない事なんて世界中何処探したって無いんじゃないか?
「それなら話は早い。俺は古泉たちに捕まる前にハルヒのところに行かなきゃいけないんだ!ハルヒの空間に
行く方法を教えてくれ長門!!」
「涼宮ハルヒの特殊閉鎖空間に入るには本来貴方の持つその短冊さえ有ればすぐに入れるが、今では古泉一樹
の機関の者たちが特殊閉鎖空間への侵入を妨害しているため不可能。」
「な!?でもお前なら何とかできるんじゃないのか?」
「不可能。涼宮ハルヒの作り出す閉鎖空間において直接干渉できるのは古泉一樹の機関の超能力者達のみ。そ
れに…たとえ出来たとしても、統合思念体の許可が下りない。」
「どう言うことだよ?」
「今回私達は統合思念体の判断によりあなたに協力することは出来ない。統合思念体は今回の件に限り、古泉
一樹の機関とほぼ同意見。」
おいまさか…
「それはつまり…」
「我々も貴方を危険と判断した。統合思念体は貴方の暗殺を我々インターフェースの最優先事項に決定してい
る。」
いつの間にか傾いていた夕日に真っ赤に染められ淡々と俺に死刑宣告をする長門は、いつかの朝倉よりはるか
に不気味に見えた…
「じょ、冗談だろ…」
「……全て事実。」
「じゃ、じゃあ、長門はどうなんだ?本気で…俺を殺すつもりなのか?」
「……………」
長門は何も言わずに俺の目を見続けていた……
大体二分くらいだろうか…俺と長門は何も言わず、ただお互いの目を見続けていた。が、ついに長門が少しだ
け動き喋りだした。
「私は貴方を殺すつもりは無い。」
「長門。」
良かった。長門は俺の仲間で居てくれるようだ。古泉の事が有った後なだけに余計に嬉しかった。
「私は貴方を信じている。だから貴方が涼宮ハルヒを連れて戻って来ると思っているている。」
「ありがとう、長門……そういえばお前は統合思念体に逆らっちまって大丈夫なのか?」あの統合思念体の事だ、
そんな事をしたら長門は消されてしまうんじゃないのか?
「平気。今の私は統合思念体と接続していない。代わりに涼宮ハルヒの能力に接続し、機能も拡大している。」
いや全く、こいつには隙というものは無いのか?
と、突然長門が俺の視界から消えた。ん?急にどこいっ━ってうぉ!
見ると長門は俺のすぐ横に片手を突き出して立っていた。そして長門の2メートル程前に誰かが倒れていた。
ん?あのふわふわの栗色の髪は…
「あ、朝比奈さん?」
「ぃ、痛いですよぉ。ぅっく…っく…」
そう、それは長門が吹っ飛ばしたと思われるその人物は、半ベソかいた朝比奈さんだった。とゆうか何故長門
は朝比奈さんを吹っ飛ばすんだ?
「おい長門。何で朝比奈さんを吹っ飛ばすんだ?可哀相だろ。止めてあげなさい。」
「断る。」
「おいおい長門。おまえはいつからそんな虐めっ子になったんだ?」
すると長門はまだ半ベソ状態の朝比奈さんを指差した。
「彼女は貴方をナイフで刺殺しようとした。」
………は?…何だって?朝比奈さんが俺を?………ナイフだって?そんな朝倉みたいな…
「な、何言ってんだよ。冗談にしては笑えなさ過ぎるぞ。」
「冗談ではない。その証拠に朝比奈みくるはナイフを右手に持っている。」
確かに朝比奈さんはナイフを持っていた。
「そんな…冗談ですよね。朝比奈さん…」
俺がそう言うと朝比奈さんはまだベソをかきながらだが立ち上がった。
「っう、ぐすっ、長門さんの言ってる事は本当です。ひっく、わたし達の組織もキョ…うっく、キョンくんを
…こっ、殺すつもりです。」
俺は今日三度目の衝撃を受けた。そして今回のが一番の衝撃だったのは言うまでもない。
「だ、だから…わたしは、うっく…キョンくんを、ひんっ…ころっ、っぐ…殺さなきゃいけません。ぅう。」
もはや朝比奈さんはベソで無く、本当に泣いていた。
しかし俺は朝比奈さんにそんな事を言われようとも全く反応する事ができなかった。
本当に、本当にショックだったのだ…古泉や長門のときもかなり動揺したが、これとはまた違う気持ちだった。
あの時は信頼とかそういうのがごちゃごちゃした気持ちだったが、今はもっと、なんだか胸の辺りが引き千切
れそうな…そんな気持ちだった。
「させない、彼は私が守る。」
「ながっ、うくぅ…な、っく…長門さん…」
長門が俺と朝比奈さんの間に立ち俺を守ろうとする。この状況では嬉しい事だが、今の俺はただ立ち尽くして
驚いている事しか出来なかった。何にも考えられなかった…考えたくも無い…
「貴方は我々の計画の邪魔。……これ以上彼を狙うなら…消えてもらう。」
「…ぐすっ、ひっく………うっ、ぅうぅぅ…」
「貴方はSOS団に所属していた。それでも彼を殺すと言う。貴方にとってあの日々は偽りだったと…貴方の
行動はそういうことになる。」
長門がそう言うと朝比奈さんは涙を浮かべた目でキッ!と長門を睨み付けた…いや、別に怖くは無いが…いや
むしろ可愛い位だ。こんな時に何言ってるんだ俺は!
「なっ!長門さんはっ!うっく、ほんとにっ!そっ、そう思うんですかっ!?っくぅ…」
朝比奈さんは涙をぼろぼろ零しながら長門に向かって叫んでいた…
「あ、あ、あのっ!ぅぐっ、楽しかった日々がっ!わたしには偽りだったなんて、そんなっ、ぐすっ、ぇぐ、
そんなっ!そんな酷い事っ!ほんとに有ると思うんですかっ!?」
「………」
長門は、俺の見間違いじゃなかったとしたら、少しバツの悪そうな表情になっていた。
「ほっ、ほんとは!こ、こんな事したくないんです!ぅっぐ…出来るのなら、SOS団と…キョンくんといつ
までも、ぅう…一緒に居たかったんです!!うっく、ずずぅ…それでも…それでもわたしには!禁則事項が有
るからっ!ぅぐっ、わたしは指令には逆らえない暗示にかかっているんです!……ひんっ…逆らえないんです
よ。…どんな指令でも……たとえそれがっ!一番大切な人の暗殺であっても!!」
朝比奈さんはもう涙も枯れてしまった様だ。それでも未だにぇぐぇぐとベソをかいている。
しかし待て、今朝比奈さんはなんと言った?暗示?まさかこれは朝比奈さん自身の意思と全く関係なく従わさ
れているのか?とゆうことは…
「朝比奈さん…貴方は本当に俺を殺したいんですか?」
「そっ、そんな訳っ…っえぐ……無いじゃないですかっ!ぅうう…」
しまった、また泣いてしまいそうだ…
「長門、禁則の暗示ってのは一体なんだ?」
俺は取り敢えず一番気になった事を聞いてみる。ひょっとしたらこれが突破口になるかもしれない…
「朝比奈みくるはこの時代に来るときに、強力な暗示を掛けられている。とても強力。」
「強力って、どのくらいだ?」
「その暗示に逆らった動きをする事が不可能になり、結果的には体の主導権すら奪えるほど…」
つまり物理的に指令には逆らえないって事か。それじゃあさっきの朝比奈さんも仕方ないな…因みに朝比奈さ
んは泣きじゃくっていて、襲ってくる気配は無い。
「じゃあ長門。その暗示を取り除く事は出来ないのか?」
「出来ないわけではない。しかし今の私の状態では無理。」
「なんでだ?ハルヒの力を使って機能を拡大したんじゃないのか?」
「機能は拡大したが、それでも最低あと一体高性能なインターフェースが必要。」
なんとそれはいくらなんでも無理じゃないのか?長門は統合思念体を逆らって俺の味方に成っている訳だから
な、インターフェースが協力するわけが無い。
「何で2人必要なんだ?」
「朝比奈みくるの暗示は二重構成になっている。そしてそれは片方ずつでしか解けない。片方を解き、もう片
方を解くには最初に解いたほうをそのままの状態を保持しなくてはならない。しかし両方の暗示に同時に干渉
する事は不可能。そこで暗示が解けた状態を保持する為のインターフェースが必要。」
「ほかに手は無いのか!?」
「…………私の知る限りではない。」
くっそ万事休すか…
「困ってるみたいね。私の出番かしら?」
突然かけられる声、そいつを見て俺は本日四度目の驚愕をする。
そこには…

|