423
珍しく部室に二人きり

「朝比奈さん」
「なんでしょう?」
「あまり未来のことは禁則事項で話せないみたいだから、ほかの事なら聞いていいですか?」
「んーわたしの答えれることならいいですよ」
「それならまずひとつ、過去に行くにあたって一番不安だった事って何ですか?」
「うーん色々不安なことはありましたけど、一番は言葉ですね」
「言葉?」
「ハイ言葉です、未来では今の日本は占領されてなくなっているので、純粋な日本語と言うものは、無かったですからたいへんでしたよ。色々勉強もしましたし」
「あ、あのー朝比奈さん?」
「はい?」
「今、多分いや絶対禁則事項を言ったと思うんですけど」
「わたし、何か言いましったっけ?」
「いやだから日本が占領がどうとか」
「え?あーどうしよ。わたしったら何て事を。キョ、キョン君」
「はい?」
「今の無かったことにしてください」
「そ、そうですね」
「あは、はははは」
「あは、はははは」
笑うしかなかった

その後日本の外交問題に詳しくなったのは言うまでもない



珍しく部室に二人きり

「古泉」
「なんですか」
「いつもそんな話し方で疲れないか?」
「最初の頃だけですね。今ではこちらの話し方のほうが楽ですよ」
「そういうもんなのかね」
「ええ、少なくとも僕にとっては」
「じゃあ、王手」
「じゃあの意味が理解しかねますがどうやらもう詰みですね」
「しかしお前は弱いよな」
「いえいえあなたが強いだけですよ。いきなり話が変わりますが先日、部活で朝比奈さんと二人だけでしたね」
「ああ、それがどうかしたのか」
「その日帰る前に部室に忘れ物をしたことに気がつきまして、そうしたらあなたと朝比奈さんの話し声が聞こえましてね、少し悪いと思いましたけど、あなたと朝比奈さんが何を話してるか気になりましてね。」
「おまえもしかして>>423を聞いてたのか?」
「ええ、ほぼ全て」

「そうか、それでこのことは」
「大丈夫です、機関の人間にも誰にも話していません」
「まあ話せる内容じゃないしな」
「ごもっともです。しかしこのままですと大変な事になりそうですからね。まあどれくらい先の事かもわかりませんし困りましたね」
「まあ俺はかなり未来のことだと思うけどな、多分」
「僕は何事においてもかなり楽観的なんですがね、以前あなたと涼宮さんが閉鎖空間に行ったときもまあ多分大丈夫だろうと思ってましたから」
「しかし今回はそうはいきません。早くから手を打つべきだと考えましてね。しかし一高校生が政治の話に口出しするなど無理な話です、そこで世間に訴える機会は無いかと考えまして、先日深夜番組を偶然見てまして、そこで面白い番組を見つけまして」
「もしかしてそれって」
「ええ、そうです。あのちょっと口が悪い人が司会の番組で名前は忘れましたが、まあそんなことはどうでもいいんです。次に番組で取り上げられるのが外交問題ときまして、いてもたっても居られなくて、どうにか手を回して観客席を二つ確保しました」
「いやそんな力説されても、で聞きたくないけどその観客席にだれがいくんだ?」
「あなたと僕に決まってるじゃないですか」
「断る」
「そう言うと思ってましたけどね、ですが今回の責任はあなたにある。違いますか?」
「まあ俺にも責任はあると思うがどちらかというと朝比奈さんのほうが」
「いえ今回ばかりはあなたが悪いです。今回に限りあなたに拒否権はありません。ですから引きずってでも連れて行きますよ」
「やれやれ、わかったよ。でいつなんだその番組は」
「今週の土曜日です」
「今週だと?いくらなんでも急すぎんだろ、いつからおまえはハルヒみたいになったんだ?」
「それは褒め言葉として受け取っておきましょう。大丈夫です。新幹線の手配もホテルの手配も済んであります」
「だから俺が言いたいのはそういうことじゃなくてだな」
「先ほども申し上げたと思いますが今回ばかりはついて来てもらいますよ」
「わかったよ、行けばいいんだろ行けば」
「話のわかる人で助かりました。ではそろそろ帰らせていただきます」
なんだってんだあの野郎、でも行くって言っちまったしな
「はぁ」

今週の土曜日が憂鬱だ


しかし嫌な事というのはすぐに来てしまうらしく今日はもう土曜日だ
これほど嫌な土曜日も無かったかもしれん
不思議探索もなんだかんだいってもそれなりに楽しかったし
あの話を古泉から聞かされた次の日、古泉がまた難題を抱え込んできた
「そうそう昨日言い忘れましたけど、討論番組の節目で観客席の誰かに意見を求める場面があるんですが」
嫌な予感がする
「そこで一度あなたに振るように頼んでおきました」
「どうやって」などと野暮なことは聞かない
「嫌だといったら?」
「昨日もお伝えしたとおりあなたに拒否権はありません。ですがもし断るんでしたら朝比奈さんが少々困ることになると思いますよ」
「なんだと」
「冗談です。ですが僕は結構楽しみなんですよ。なにもあなただけに発言させるわけじゃありません、僕にも一度発言する機会があります。」
「いや、だからおまえが発言するとかいう問題じゃなくてだな」
「あなたも今からどんなことを聞かれても言いように準備したほうがいいんじゃないんでしょうか?僕はこの話が決まってからとても気分が高揚してましてね、こんなに早く土曜日が来ないかなんて思ってますよ」
俺と正反対なことを言ってやがる
黙って観客席に座って話を聞くだけだと思ったら、大そうなおまけまで付けやがって
「わかったよ。せいぜい恥をかかないようにするよ」
などと強がってしまった

「はぁ」

土曜日になるまで俺の様子がおかしかったのかハルヒまでもが俺を心配してた
「ねぇあんた最近元気ないわね。まあ元からそんなキャラじゃないのはわかってるんだけど大丈夫?」
などと随分珍しいこと言ってくれるじゃねーかと少し得をした気分になったり
長門は
「大丈夫」
「は?」
「がんばって」
「あ、ああ」
と、一見何のことを言ってるかわからないが、長門の励ましの言葉ももらったし
朝比奈さんは
「キョン君最近元気ありませんね」
「全てあなたのせいですよ」と言えるはずも無く
「いえ大丈夫ですよ。いつもお茶ありがとうございます」
「ふふっ味わって飲んでね」
なんて笑顔で言われたら何も言えないじゃないですか
まあいまさら朝比奈さんを責める気はないけど


今は新幹線に乗っている。隣に座ってる古泉は
「よかったですね、今日は不思議探索が無くて。これで思う存分討論に励めるじゃないですか」
「そんなもんに励む気も無いな」
「まあそう言わずにここまで来てしまってはどうしようもありませんよ。せっかくなんですから楽しもうじゃないですか」
「……まあそうだな。ここまで来てまで迷ってはいないからな、せいぜい楽しむことにするよ」
「…こんなに珍しいことを言うとは、ほかの団員がいないのが残念ですね」
「けっ言ってろ」
その後ホテルにつき飯を食って、少し休みテレビ局に着いた
「ここがスタジオか」
「ええ、そのようですね。」
「これから朝までここにいるのか」
「そうですね、僕も幾分緊張してきましたね。さあ番号のカードをもらって席につきましょう」
「そうだなって俺が1番でおまえが2番かよ、どうしてこう目立つ番号にしたんだよ」
「いえこれは来た順番ですよ、我々が最初に来てしまったそれだけのことです」
「じゃあ番号交換してくれおまえと」
「遠慮しておきましょう。それに新幹線の中でも言ってたじゃないですか、もう迷っていないと。それに番号が1番だからといって最初に当たる訳じゃありません」
「あなたには終盤のほうで当たる手筈になってます。ですから安心してください」
「おまえはいつ当てられるんだ?」
「僕は一番最後ということになってます。これは僕の希望でそうしてもらいました」
「何でまた最後なんだ?」
「こういう機会もめったにありませんし、それなら最後かなと漠然とですけど」
「案外目立ちたいんだな」
「そういうことにしておきましょう」

そうこうしてるうちに人が集まりだして、ゲストも出揃った、番組開始

この番組を見るのも久々だがいろいろな人がゲストに来てるんだな
テレビで見たことある背の小さい評論家やよくテレビに出てる政治家、ちょっとエロい漫画を
描く漫画家なんてのもいるんだな
そして田原さんの声でスタートした
「ではこのお題で討論してもらいます。どうぞ」
最初はよかったその場の雰囲気にも少し飲まれて浮かれてたしな
だが討論が進むにつれて俺はとてもイラついていた
討論ってこういうもんだったか?
何に腹が立っているかもわからず、俺は淡々と聞いていた
そして何人かの観客にも当てられて、まあそんなかんじだろうなと適当に思っていた
討論も終盤そろそろ俺の出番かと思っていたら
「次があなたの出番ですよ。準備はよろしいですか」
「勝手にしろ」
ついに俺の出番、だが言うことはなんとなくわかっていた
「では、1番の彼どう思いますか」
その頃俺は話しなんか聞いちゃいなかった

「○○県立北高校から来ました○○です。今日は先生方の話が聞けてとてもためになりました。俺は最近ある出来事があって政治の話や外交問題に興味を持ちました」
「ですが今では来なかったほうがよかったと思っています。先生方はみな自分の意見をお持ちで大変立派だと思います。皆さん今日は人の話を聞きましたか?自分の意見で大声を出して相手に意見を言うのが討論なんですか?」
「大人たちがそんなことでいいんですか?もうちょっと話を聞けないんですか?そんな一方通行で何が伝わるんですか?そんなことで外交だのなんだのできるんですか?」
「俺は皆さんのような立派な意見は言えませんが、人の話は聞くことが出来ます。普段から専ら聞き役ですし」
「今日はこんな若者の戯言を聞いていただきありがとうございました。先生方の考えはとても勉強になりました。俺からは以上です」

今までの五月蝿さが嘘のようにシーンとなっていた

「では一旦CMです」


その後の残り少ない討論の時間はとても静かに行われていた
俺のせいなのか知らんが古泉の時間はなくなっていた

そしてホテルまでの帰り道
「すまんな古泉」
「なんのことですか?」
「いや俺のせいで時間食っちまったみたいだからさ」
「いえあなたのせいではないですよ。でももし仮にあなたのせいだとしても僕はあなたを責めたりしないと思いますよ」
「……」
「と言うのは建前で実際あなたの話の後に発言するのはとても勇気のいることですからね。正直僕まで回らなくほっとしてるというのが本音ですね」
「そうかい」
「ですが、あなたがあそこまで言うのは驚きましたよ。普段のあなたからでは考えられませんね」
「ふんっなんとなく言いたかっただけだ、それだけだ」
「そうですか」
「……」
「……」

「涼宮さんが見てないことを祈るしかないですね」
「なんだって?」
「言葉通りの意味ですよ」
「おまえハルヒの家のテレビとかに細工とかしてなかったのか?」
「してないですよ。と言うよりそんなこと僕一人では出来ませんよ。言いましたよね今回のことは機関は関係ないと。一応機関には報告しましたけど」
「おい、古泉」
「なんですか」
「携帯の電源今入ってるか」
「あ、忘れてましたね。スタジオに入ってから切ったままです」
「俺もだ。入れてみろよ」
「あなたも」
ピッ
ピッ
「どうだ?」
「着信はありませんね。電源を切ってたから当然ですけど」
「じゃあメールは」
ピッ
ピッ

メール 30件

初めて見たぞ。こんな数字

「古泉おまえ何件だ?」
「僕は5件ですね。うち涼宮さんは3件ですよ」
「あなたは何件きていたんですか?」
「30件…全部ハルヒだ」
「……あ、愛されてますね。僕はこの計画を思いついてから、罰ゲームは覚悟してましたから、まあメールの内容もそのようなこと書いてましたし」
「古泉、俺はこんなにメールを開くのを怖いと思ったことは無いぞ」
恐る恐る開いてみた

最初はまだ良かったよ。「何であたしも連れてかないのよ」「独り占めするつもり」こんなことだったからな
なんか途中から「そうね罰ゲームだけど、まずは火星人が追いかけてくるーって叫びながら裸でグランド10週よね」
うん、まだ大丈夫だ。多分
なんかその後は俺に発信機を付けて常に居場所を把握しないと、とか
部屋に盗聴器を付けるとか
なんか病的になってきてないか?

最後の5件は開けなかった

帰りの新幹線の中でどう言い訳をすればいいか無い頭で考えていた

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