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翌日。俺は物々しい視線を感じていた。何か体験したことのない異様な視線。
何、この視線は。しかも女子から集中的に浴びているような気がする。
どうしたんだ。いったい、何が起きたんだ。
まさか、また何か世界が改変でもされたのか。
だが、ハルヒはいつもどおりの定位置に座って窓の外を見ている。
「よっ、ハルヒ!」
「おはよう、キョン」
じわりと視線が突然強化された。なんだか、嫉妬みたいな思念を感じる。
んー。いったい何事なんだろう。解らない。

そんな日の放課後。その片鱗は突然起きた。
「あの・・・キョンくん。ちょっといいですか?」
「ん?・・・阪中さんか」
俺は、阪中に呼ばれ誰も居ない階段の踊り場に来た。
「えっと・・・あの・・・好きです!付き合ってください!」
「そ・・・って、今、何て言った?」
「だ、だから・・・好きです!」
・・・。頬をつねってみる。うん、痛いようだ。現実なのか、これ。
頭を下げている阪中さんが目の前にいる。
でも、もう答えは決まっているんだ。
俺には長門が居る。

「ごめん。俺、付き合ってる奴がいるから」
一瞬、息を呑む声が聞こえた。
顔を上げた阪中さんは少し泣きそうな顔をしていた。
しかし、決心したように俺を思いっきり見つめ返すと、
「解ってました・・・でも私、諦めませんから・・・貴方を絶対に長門さんから奪います」
言って去っていった。俺は複雑な心境で走り去る阪中さんを見送った。
そんな事を言われても、俺長門一筋だしな・・・。
っつか、解ってました?どういう事だ。それにどうして長門と付き合っていることを知ってるんだ。
「・・・キョン」
「長門か」
ひょっこりと物陰から長門が現れる。どうやら、今のを見ていたらしい。
「断ってくれて・・・ありがとう」
「これが普通だろ。俺には長門がいれば、十分だ。それ以上の幸せは無い」
「ん・・・ありがとう。大好き」
「俺もだ」
どっちからという事もなく、俺と長門はそっとキスをする
そんな良い雰囲気の中に、古泉と顔が真っ赤な朝比奈さんが物凄い形相でやってきた。
「大変です」 「大変ですよ~」
ほぼ同タイミングでそう叫ぶ二人。
「どうした?」
「改変が確認されました」 「改変が確認されたんです」
改変。やっぱりか。朝方どおりで変な空気が漂ってると思った。
「私も確認した。だけど、そんなに酷い規模ではない。小さなエラー」
長門は、すぱっと言い切る。
「確かに小さなものです。この学校にしか関与してませんから。ですが、キョンくんには大きなエラーですよ」
「?」


「まず、この学校の女子のほぼ100%が貴方に片思いしてます」
そりゃ悪くない話だな・・・・・って、
「はぁ!?」
「長門さんも同様で、ほぼ100%の男子が貴女に片思いしてます」
そりゃ凄く悪い話だな。長門に近づいてきたら全員追っ払ってやる。
「それも若気の至りなんてものじゃありません。みんな貴方達を獲得する為に必死になってます」
「いわゆる、ヤンデレ?」
「ちょっと違いますね」
長門の言葉に対し、朝比奈さんが苦笑いをしている。
「なんだ、ヤンデレって」
「禁則事項です。そんな事気にしないで下さい」
「それよりも、もしこの状況下で貴方達が付き合ってるという事がバレたら・・・」
「バレたら?」
「貴方はこの学校の男子、長門さんはこの学校の女子を敵に回すことになります。
 もう、気持ちの度合いが異常なので、もしかしたらよってたかって殺しにくるかもしれません」
「ヤンデレ・・・」
長門は大丈夫かもしれないが、俺がヤバいな、それは。
もしかして、さらばこの世、フォーエバーな可能性もあるのか。
しかし、本当にヤンデレって何だ。専門用語か。
「やはり涼宮さんは快く思ってなかったみたいですね」
「そこで、俺たちの恋路を邪魔するべく他の異性の誘惑もとい障害物を置いたと」
「たぶん、そういう事でしょう」
なんて迷惑な話だ、バカヤロー。ハーレムがうらやましいと思った頃もあったが今は全く逆だな。
こんな状態であることが非常にうざったい。頼むから潔く交際を認めろよハルヒ。と、その時。
「そう悠々と話してる暇も無いようです」
聞いたことのある声がして、振り向く。
「喜緑さん?」
珍しい人がやって来て俺は驚いた。
「これを見てください」

インターネットのブログか何かを印刷した紙が数枚渡された。
そのいずれにも「長門さんとキョンくんが付き合ってる」と書かれていた。
名を晒すな、というのが俺の心情だがまぁ、この際伏せておこう。
最後の紙には「北高の生徒男子50人、女子50人に聞きました」という謎のアンケート用紙。
見ると、ほとんどの生徒が俺と長門が付き合ってるという事実を知っているという結果だった。
「この学校のほぼ全ての生徒が付き合ってる事実を知っているというのが現状です」
「どうやら、今回の改変はいつもよりややこしいようですね・・・」
「そうですね。事が大きくなる前に、どうにしないといけませんね」
俺たちは困り果てて溜息を吐く。と、そのときだ。
「居たぞ!キョンだ!!」
階段の踊り場に居る俺たちを指差して、男子生徒が叫んでいる。
「な、なんだ!?」
どどどどど、と沢山の生徒の足音が聞こえる。これは、一体なんだ。
「どうやら逃げないとまずいようです!逃げますよ!!」
俺たちは迫り来る俺に対する殺気から慌てて走る事にした。
ふと、廊下の窓から外を見る。すると、女教師達が校門を占めてるのが見えた。
「教師も影響を受けているようですね・・・」
「学校内を逃げ回るにも限界があるぞ!!」
「生徒会室に逃げ込みましょう。今は誰も居ないですし」
「そこの曲がり角の先に生徒会室に直結する空間を構成する」
長門の高速詠唱が始まる。そして、曲がり角を曲がって一歩か二歩。
景色が一瞬にして生徒会室に染まる。
「ふぅ・・・危なかったですね」
「やれやれ」
「ここに居るってばれる前にどうにかして、対抗策を練りましょう」
「んー・・・しかしどうすれば良いんでしょうか」
「ハルヒをとっ捕まえるしかないだろ」
「しかし、捕まえると言いましてもこれでは廊下に出るのも危険ですね・・・」

俺は、そんな事はどうでも良かった。
長門に迷惑が掛けてしまってる事をどうにかしたいという気持ちが強いからだ。
「・・・キョン」
ふわりと長門が抱き付いてくる。
「長門?」
「暗い顔をしてるように見える。私は大丈夫」
「・・・すまん」
「大丈夫」
俺はそっと長門を抱き返す。あー、落ち着く。
「お二人とも、御暑いですねー」
「うっさい、古泉。ニヤニヤするな」
と、その時外から何か喧騒のような物が聞こえた。
俺は閉ざされた生徒会室のブラインドをちょっとめくり外を伺う。
校庭には岡部が居る。何かをハンドボール部員に叫んでいるようだが。
「いいか!なんとしてもキョンを手に入れろ!俺が欲しいのはあいつのアナr」
聞かないことにした。
今、まずすべき事とはなんだろうか。決まってる。ハルヒと会話する事だ。
携帯電話を取り出すと、ハルヒへと電話を掛ける。
トゥルルルル・・・トゥルルル・・・ガチャ。
『キョンなの!?』
「そうだよ。おいハルヒ、今何処だ?」
『SOS団部室に決まってるじゃない。よかった、無事なのね』
お前に無事でよかったとは言われたくないんだな、今は。
お前が元凶なわけだしさ。まぁ、この状況を把握はしているようだ。
『みんなも一緒?』
「あぁ、居るぞ」
『よかった・・・。大丈夫!キョンとユキのことは私が守るから!』

何も知らない奴が居ると物凄くイライラするってのは本当らしい。
だからと言って「お前のせいだろうが!!」とは口が裂けても言えない。
落ち着け、俺。落ち着け、俺。Koolになれ、キョン。
物凄くイライラしているのは解るが、落ち着くんだ、俺!
「まあ、頼りにしてるぞ、団長」
『うん!まっかせて!!』
ここは、なんとかハルヒの機嫌をよくする大作戦でどうにかするしかない。
・・・大って字が付くほどの作戦でもないか。
ジョン・スミスを使用するのは、究極にピンチになったときで良い。
「長門」
「ん?」
「今度は俺が、お前を守る」
「・・・ありがとう・・・」
「お暑いですねー」
「うっさい、古泉。ニヤニヤするな」


かくして、夜中まで続く、長い長い逃走劇が始まる。
最強のクリーチャーの居る学校で。


《!WARNING!》次回予告《!WARNING!》
SOS団員と改変に巻き込まれなかった人達に守られながら俺たちは逃げ回る。
そんな逃亡ゲームに現れた最強の化け物「Hom-Okabe」(命名、喜緑さん)。
Hom-Okabeに捕まる生徒会長の屍を乗り越えて俺たちは走る。
夕暮れの屋上で俺と長門は強く抱き締めあう。
突如現れた朝倉の目的とは一体。プリンとアナルの狭間を彷徨う物語の行方は。
次回、ながとぅーみー第三話「あれなんて大王」

「この手だけは、離さない・・・」
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