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涼宮「…何か急激に冷えてきたわね」
藤岡「そうですね。室温が何か下がってる気がします」
涼宮「寒くない?」
藤岡「寒いですよ、結構」
涼宮「んっふっふwこんな事もあろうかと探しておいたのよ!」
藤岡「…これは」
涼宮「イエ~ス!何と都合良くコタツがこの空間内にあったのを見つけてきたの!さ、藤岡さん。準備するから手伝ってw」
藤岡「まぁ、寒かったんで丁度良かったですね。…でもコタツがあるのは予想外です。一体何なんでしょう、この場所って?」
涼宮「そんなのは一頻り楽しんだ後に考えるわ。さ、その端っこ掴んで」
藤岡「(ポジティブだなぁ…)」

そして数分後、日本の風物詩が部屋の中心に設置された
対面に座っているWハルヒは柔らかい笑顔でコタツに潜り込み、ほんわかとした人工的な温もりに身を預ける
涼宮の方は猫のような口元をして藤岡の方を見て、(何故か)誇らしげにニカニカともう一人の住人を見つめている
その一方で藤岡は右頬を机にくっ付けて、本格的にリラックスをしていた

涼宮「あったかいわねぇ・・・」
藤岡「そうですねぇ」
涼宮「和むわねぇ・・・」
藤岡「和みますねぇ」
涼宮「蜜柑が欲しくなるわね・・・」
藤岡「そうですねぇ」
涼宮「………」
藤岡「涼宮さん」
涼宮「??」
藤岡「暖かいですよねぇ」
涼宮「そうね、あったかいわねw」
藤岡「w」
涼宮「www」

涼宮「藤岡さぁん、テーブルオレンジ持ってきて」
藤岡「(…温州みかん的なモノもあるんだ)…涼宮さんが行ってきてくださいよ。この部屋の外寒いんですし」
涼宮「え~、私も寒いから却下の方針で行かせてもらうわ」
藤岡「自分も嫌ですよ。却下です」
涼宮「む~。団長に逆らうつもりぃ?」
藤岡「はい。Noと言える日本人は中々稀有と思いますよ」
涼宮「…じゃあ公平に『じゃんけん』で行きましょうか」
藤岡「…『あっちむいてホイ』がいいです。涼宮さんはじゃんけん強いんですから、団員にはハンデを下さい」
涼宮「仕方ないわね。他ならぬ団員の頼みなら受け入れるわ。…じゃあ、行くわよ!」

涼・藤「「せ~~のっ、じゃんけんポン!」」 (涼宮勝利)
涼宮「あっちむいて、ホイっ!」(藤岡回避)

涼・藤「「じゃんけんポン!」」 (涼宮勝利)
涼宮「あっちむいて、ホイっ!」(藤岡回避)

涼・藤「「じゃんけんポン!」」 (涼宮勝利)
涼宮「あっちむいて、ホイっ!」(藤岡回避)

涼・藤「「じゃんけんポン!」」 (涼宮勝利)
涼宮「あっちむいて、ホイっ!」(藤岡回避)

涼・藤「「せ~~のっ、じゃんけんポン!」」 (涼宮勝利)
涼宮「あっちむいて、ホイっ!」
藤岡「…あっ」(藤岡惨敗)


涼宮「んじゃ、よろしく~♪ドア開けてすぐの冷蔵庫に結構入ってたから、適当に取ってきてねw」
藤岡「…何か理不尽だなぁ」

涼宮「藤岡さん、藤岡さんw」
藤岡「ん?どうされたんですか?」
涼宮「くらえ、目潰しっ!w」(ヒント:蜜柑の皮)
藤岡「うわっ!」
涼宮「んっふっふw油断大敵よ、藤岡さんw」
藤岡「…あぅ、痛い」
涼宮「え、ちょ、大丈夫!?ほら、早く目ぇ見せて!」
藤岡「………隙あり」(ヒント:蜜柑の皮)
涼宮「…目が、目がぁぁぁ!!!」
藤岡「油断大敵ですよ、涼宮さんw」
涼宮「くぉのっ!やったわね!!」
藤岡「w」

涼宮「…さって、そろそろお風呂に入ってくるわね」
藤岡「はい、いってらっしゃい」
涼宮「私が上がる前に蜜柑食べつくしちゃダメだからね!」
藤岡「了解です」
涼宮「良し!いい返事ねwんじゃ行ってくるわ」~~♪~~♪
藤岡「(鼻歌まで歌っちゃって…よっぽどお風呂と蜜柑が好きなんだなぁ)」

涼宮「(…同じ年代の友達と遊ぶのも、別にまぁ悪い気持ちじゃ無いわねw
  ここの所ずっとSOS団だけのコミュしかなかったから何か新鮮かもw)」

涼宮「良いお風呂だったわ~。藤岡さんも入ってきちゃいなさいよ」
藤岡「あ、はい。じゃあお言葉に甘えて」
涼宮「ごゆっくり」ノシ
藤岡「はい」

涼宮「ん~、コタツって何でこんなに気持ちが良いのかしらw文明の利器とはまさにこの事ね。
  …あ、蜜柑、ちゃんと残しててくれてる。…全く、キョンも藤岡さんくらい気が利いたらいいのに!」

・・・

キョン 「……へっくしょい!!」
古泉「おや、大丈夫ですか?」
キョン 「ああ、大丈夫だ」
長門「…これ」
キョン 「ん?ティッシュか?」
長門「…鼻水、拭いて」
キョン 「ん。こりゃ失敬。ありがとな」
長門「…別に、いい」

・・・・・・・・

藤岡「ふぅ、良いお湯でした。涼宮さん、そろそろ就寝しませんか?…涼宮さん?」
涼宮「…zzz…zzz…」
藤岡「眠っちゃってる」
涼宮「…zzz…zzz…」
藤岡「涼宮さん。コタツで眠ると風邪ひきますよ。ほら、お布団に行きましょう」
涼宮「…zzz…zzz…」
藤岡「お~い、涼宮さ~ん」
涼宮「…キョンぅ…ちょっとくらい、会いたいよぅ……zzz…」
藤岡「………」

・・・

長門「…!!」
キョン 「どうした、長門?少し強張った顔して」
長門「…閉鎖空間の緩みを確認。特定を急ぐ」
キョン 「!!!」
古泉「機関からの情報です。『閉鎖空間の場所を大まかに特定。日本のある一定の場所に停滞』との事」
キョン 「大雑把すぎるだろ!」
古泉「いいえ、日本と分かっただけでも儲け者です。今回の閉鎖空間はステルス性が高すぎるんですよ」
キョン 「…どうだ、長門」
長門「ジャミング的な不可視抗体により特定不能。今一度弱まるチャンスを待つという結論が出た」
キョン 「そうか、ありがとう(ハルヒ、どうか無事でいてくれ)」


須王「ううぅ・・・ハルヒぃ・・・」
鳳 「ついに叫ぶ体力すら無くなったか。ん?メールか?」~♪
鳳 「ほぅ、もう少しか…元気を出せ、環。きっともうすぐ帰ってくるさ」
須王「おおぅ、ずっとそう信じてるぞぅ……(ハルヒぃ、無事でいてくれよ)」

・・・・・・・・

藤岡「大丈夫ですよ、涼宮さん」
涼宮「…zzz…zzz…」
藤岡「淋しいだろうけど、今は自分がここにいますから。」
涼宮「…zzz…zzz…」
藤岡「自分にも、今は涼宮さんが居てくれるから大丈夫なんだと思います」
涼宮「…zzz…zzz…」
藤岡「だから、頑張ってください。SOS団の団長さん」
涼宮「…うん、ありがと」

・・・

長門「…閉鎖空間の収束が確認。再び座標にエラーが発生した」
古泉「機関も見失ったとの連絡が入りました。確認失敗です」
キョン 「クソッ!」ダッ
古泉「キョン君、一体どこへ!?」
キョン 「決まってるだろ!いちいちそんな事を聞くな!」

鳳 「…残念な情報だ。ハルヒを見失った」
須王「……!!」ダッ
鳳 「おい!何処へ行くつもりだ!?」
須王「もう、叫んだり待ってたりするのはゴメンだ」

キョン・須王「俺は、ハルヒを迎えに行ってくる!」

・・・・・・・・

キョン 「…とは言ったものの、何処を探していいのやら。ん?メールか?」~♪
キョン 「長門?そして古泉まで?」

長門「件名:閉鎖空間の原因を調べよ
  内容:調査結果によると、彼女の教室の机・棚に空間に影響する何らかの齟齬が発生している
  こっちは全面的にバックアップに周るので、貴方が動いてくれることを願う」

古泉「件名:閉鎖空間に居るもう一人について」
  内容:名前は『藤岡ハルヒ』。桜蘭高校在学。涼宮さんとは似ても似つかない。
  現在分かっている名前という共通点を頼りに、どうか手がかりを見つけてください。情報は随時送ります。」

キョン 「…アイツら、本当に良い奴らだな」~♪
キョン 「ん?また長門か?」

長門「件名:また図書館に

キョン 「今は絶対関係ないだろ、それ!!」~♪

長門「件名:ユニーク

キョン 「じゃねぇよ!!」

・・・

須王「…で、どこに行けばいいんだ?」
鳳 「格好良く飛び出してものの数秒でご帰還か…」
須王「分からんモノは分からんからな!何か情報無いのか!?」
鳳 「…全く。今からメモ渡すから、ここに行ってみろ。確信は無いが何かが分かるかも知れないぞ」

鏡夜が環に渡したメモ、そこには『県立北高等学校』への行き先が書かれていた

・・・・・・・・

一方その頃の二人
またしても同じベッドで横になっていた
心なしか昨日よりも二人の距離が近くなっている気がする

藤岡「…涼宮さん、起きてますか?」
涼宮「うん、起きてるわよ」
藤岡「あの、涼宮さんって好きな人とかいるんですか?」
涼宮「ひぇっ!?な、何言い出すのよ!?」
藤岡「いや、寝言でキョンって言ってたから、てっきりその人が好きなのかなって」
涼宮「わ、私は別にそんな事言ってないわよ!」
藤岡「いやぁ、無意識って怖いですねぇw」
涼宮「も、もぅ!団長をからかうのは万死に値するわ!…こうしてやる!!w」
藤岡「…え、ちょ、あ、あははははは!く、くすぐりは勘弁して下さいwww」
涼宮「うりうり~♪」
藤岡「あは、あはは、い、息できない……」

その頃の外界

・・・

キョン 「何だろう、何故か急に肩の力が抜けた…。俺、気を張りすぎてたのか?」
須王「む!!ハルヒが何かピンチな気がする!何となくだが、そんな気がする!!」

・・・・・・・・

藤岡「ゼーッ…ゼーッ…し、死ぬかと思った」
涼宮「んふふwこれが団長の力よw」
藤岡「明らかに物理的な力ですよね…」
涼宮「…ねぇ、藤岡さん」
藤岡「はい?」
涼宮「このままこの空間から出れなかったらどうする?」
藤岡「そうですねぇ、別に涼宮さんと過ごすのも結構有りかも知れません」
涼宮「えっ!?」
藤岡「涼宮さんと一緒に居たら楽しいですし、別段食料やら何やらありますから、もしかしたら普通の生活より楽かも」
涼宮「い、一緒にいて楽しい?」
藤岡「はいw結構楽しいですよw」
涼宮「………」ギュウ
藤岡「す、涼宮さん、ちょっと首に決まってる…苦しい…」
涼宮「だ、団長からの愛情表現よ!!光栄に思いなさい!!」

・・・

長門「…!!」
古泉「長門さん!空間が収縮しているのが観測されたようです!!このままでは空間そのものが
 『無かった事』になって、中の二人は…。何か最善の解決方法の提示はありませんか!?」
長門「…見つけた、今回の原因」
古泉「えっ!」

キョン 「…さて、教室に着いたはいいが、一体何を探せば良いのやら」~♪
キョン 「ん?また長門からか?」

長門「件名:今回の閉鎖空間の原因
  内容:涼宮ハルヒは何らかの書物に影響されて、何らかの願望を抱き、何らかの力で局地的閉鎖空間を造りだした
  原因の追究さえ出来れば、場所も多分特定される もう時間がない 」

キョン 「おいおい、マジかよ…。こんな教室に重大なモノがあるのか!?…ん?」

長門「追伸 不確かな事項ばかりを貴方に任せてしまった ごめんなさい」

キョン 「…水臭いな、長門。俺の方こそ、こんな場面でしか役立てなくてごめんなさいだよ」

しかし何処を探して良いのやら?アイツが消える前に読んでた本、何だっけな?
…ふと運動場を見ると、夕焼けに染まるグラウンドの隅っこにこの学校では無い生徒が紛れている
確かアレは桜蘭高校とやらの制服だった気がするな
しかしまぁ、遠くからでも分かるくらいの美男子だな。ちょっとくらいそのパーツ分けてほしいもんだ

そんな事を思っていたら、教室の外が騒がしい。…誰かが走ってきている様だ
聞こえてくる声は聞き覚えのあるクラスメイトの声

「WAWAWA忘れ物~♪」

慌しい足音を立てながら現れたのは、谷口だった

谷口「うおっ!キョンじゃねえか!!一体何してるんだよ!?」
キョン 「お前こそこんな時間に何しに来たんだ?」
谷口「質問を質問で返すと0点ってイケメンから習わなかったか?」
キョン 「…忘れ物だよ。お前は?」
谷口「俺は涼宮さんに貸した本を返してもらいに来ただけだよ。『机に入れとくから勝手に取れ』って了解も得てるぞ」
キョン 「…谷口、意外と度胸あるじゃねえか。なぁ、一体お前は何の本貸したんだ?」
谷口「おっ!お前も興味があるのかwこれだよ、これw」
キョン 「どれどれ……!…クソ、何だよ、これかよ!!!」

合点がいった。何で閉鎖空間が発生したのか等の様々な謎は全て解けた。
憶測だが、今回の件は一言で片付ける事が出来る
それは『ハルヒの願望』だ
いつだってアイツの思いつきから全てが始まるのを忘れていた
すぐさま教室を離れ、携帯を手にとって俺は事の詳細を古泉と長門に伝える
急いで部室に来て欲しいとの事なので、谷口を別れて駆け足で部室棟へ向かう

最後にふとグラウンドを見ると、金髪の美男子が大声で誰かを呼んでいた
今日はクラブ活動が無かったのが幸いだろう、あんだけの大声だせば注目は嫌でも浴びる
それが良い男なら尚更だ
ソイツは何かを一心不乱に呼んでいる、探している
だけど俺もお騒がせな団長を探しているんだ。構っている暇はない

俺の耳には透き通った声で「……ヒ」と言う呼び声が聞こえていた

俺が見たこと思ったことを在りのままに伝えると、長門は相変わらず無表情で、古泉は肩を竦める仕草を取る
こんな時までいつも通りなんて、頼もしいじゃねえか

古泉「…キョン君、多分思っている事は十中八九正しいでしょう。
  きっと涼宮さんはその本に感化されて、閉鎖空間を造りだし、藤岡さんをそこに読んだ。
  ランダムなのか確定事項だったのかは定かではありませんが、藤岡さんはそこに選ばれた」
キョン 「そんな事より、二人は大丈夫なんだろうな」
古泉「…実は、少しだけ閉鎖空間のステルスが取り除かれ始めたんです」
キョン 「何っ!」
長門「原因はこれも不明。…イレギュラーの存在がどこかにあるが、涼宮ハルヒ関連ではなさそうという事しか分からない」
キョン 「…そのイレギュラーが誰だか知らんが、出会ったら礼でも言っとくよ
  その閉鎖空間にはまだ入れないのか?」
古泉「あと一度、あと一度だけ何らかのブレが起きれば場所の特定が出来るんです…!」
キョン 「何だよ、畜生…。また待たなきゃならんのか…」
長門「…耐えて。今、二人の生還を望む存在は、皆機会を待っている。だから、貴方も待っていて」
キョン 「…分かった」

なぁ、イレギュラーさんよ。とりあえずもう一回くらい、奇跡を起こしてくれないか?
そん時はちゃんと礼くらい言うからさ、とりあえず頼むわ

・・・・・・・

涼宮「楽しいんなら、出れるまでこれからもずっと一緒でいいわね!wというか、ずっと一緒でいいでしょw」
藤岡「そうですね」
涼宮「www」

藤岡「でも、やっぱり自分は帰りたいって思ってます」

涼宮「え……?」
藤岡「確かにここは居心地は悪くないけど」
涼宮「けど…?」
藤岡「やっぱり自分はクラブの皆とも過ごしたい」
涼宮「…」
藤岡「涼宮さんだって、本当はそうなんじゃないですか?」
涼宮「…」
藤岡「あんなに楽しそうに話してくれた、SOS団の人にまた会いたいと思いませんか?」
涼宮「……」
藤岡「自分は、もう一度会いたいです」 ………ヒィ! …る…!
涼宮「……」
藤岡「涼宮さんは、どうですか?」 ……ルヒィー! …い…に…!
涼宮「…いた…」
藤岡「うん」 …ハ…ィー!
涼宮「会いたいわよぅ…」
藤岡「ですよねw」 …ハルヒー! …るぞ…!
涼宮「うん…みんなに、会いたい」
藤岡「それに…」 …一緒に…る…!!
涼宮「それに?」

藤岡「もぅ、自称お父さんが呼んでくれているのが聞こえるんですよw」

・・・

須王「ハァァァァルヒィィィィーーー!!!一緒に帰るぞーーー!!!!!!!」


長門「…開いた。閉鎖空間における座標位置確定。ステルスは完全解除」
古泉「機関も正確な場所を把握したようです。…どうやら奇跡が起こったみたいですね」
キョン 「(マジかよ…閉鎖空間破るなんてどこの誰なんだよ!!)」

まぁ、約束は約束だからな。どこかで出会ったら礼でも言わせてもらうよ、イレギュラーさん

古泉「…奇妙ですが、今回は神人が一体たりとも存在しない稀有な空間のようです」
キョン 「そんな空間が在り得るのか!?」
長門「今回の涼宮ハルヒは『壊す』のでは無く『維持する』方が最優先事項となっている。なのであの存在の必要性は皆無」
キョン 「そ、そうなのか」
古泉「しかし、もう空間そのものが収束を始めてしまっています。『無かった事』になるまで時間がありません」
キョン 「じゃあどうすりゃいいんだよ!」
古泉「僕とあなたで、強制的に閉鎖空間へと介入します」
キョン 「そ、そんな事が出来るのか!?」
古泉「可能不可能が問題じゃありません。やるかやらないか、です」
キョン 「…分かった、連れて行け。俺達でハルヒを迎えに行くぞ」
古泉「残念ですが、今回は特殊な例です。僕は介入する事は出来ないんで、あなたと世界を繋ぎ止める錨にしかなりません」
キョン 「………」
長門「………」クイクイ
キョン 「ん?どうした、長門?」
長門「…涼宮ハルヒを、お願い」
キョン 「ああ、任せておけ」
古泉「では、運動場に既に準備を整えておきました。…お気をつけて」
キョン 「じゃあ、ちょっくらウチの団長を連れて帰ってくるよ」

古泉曰く、運動場に行けばもうそこは閉鎖空間との事
確かに懐かしい感覚に少しだけ陥った
…出来れば二度と感じたくは無かったが、今回はノーカンにしといてやるよ、ハルヒ

体が浮くような、沈むような、流れているような、せき止められているような、不気味な感じ


…気が付くと、自分は不思議な部屋の前にいた
倒れこんでる俺の隣に、不審な影が一つ

キョン 「う、う、う~ん…」
須王「痛たたたた…何処だ、ココは?」
キョン 「!!!!!!」

…一般人を巻き込んでしまってるぞ、古泉!
お前コレどう責任取るんだよ!

コイツ、教室で外眺めていたら見かけた奴だ!…まさかずっとあそこに居たのか!? その男は邂逅一番、こう言い放つ

須王「き、君!!ハルヒって言う子を知らないか!!」

…アンタ、ハルヒの関係者か!!道理でグラウンドで不審な事してるハズだ!合点がいった!
とりあえず俺は彼がハルヒの何なのか聞いてみた

須王「俺か?…ハルヒの父親だ。君はハルヒの何なんだ?」

おい神様、何で俺の周りには痛い奴ばっかり集めるんだ。俺は返答として『クラスメイト』と言っておく
すると、笑いながらも軽く引いた顔をされた。…何故?

須王「…いきなり嘘から始まるとは、相当の詐欺師になれるセンスがあるな…!?末恐ろしい… ハルヒは北高じゃなくて、桜蘭高校だぞ?」

…コイツ!『もう一人のハルヒ』の方の知り合いだったのか!!

誤解を解く為+この空間について触れさせない為に、早口で俺は涼宮ハルヒという人の知り合いで、迎えに来たと伝える
誠意は無かったが、真意だけは伝わって欲しかった

須王「なるほど、全部理解した。つまり、涼宮さんとウチのハルヒは友達って事なんだな」

…やたらと曲解してるが、今は構っている暇は無い
全面的に肯定しといて話をこれ以上進めさせず、二人のハルヒが待つであろうドアに手をかけるが、ビクともしない

これは、ハルヒの望んだ世界。開かないドアが示す答えはただ一つ。『拒絶』

…何でだよ、畜生。俺達じゃダメか、ハルヒ?俺達が一緒じゃ駄目なのかよ…??
絶望って単語が肩を掴んできた。ヤバイ、これは飲み込まれるかも知れん
…ふと招かざれる客の男を見ると、何やら息をタップリと吸い込み始めた。そして、

須王「ハァァァルヒーーーー!!!!!!!!迎えに来たぞーーーー!!!!!!」

清清しいくらいの大声で、自分の探し人を吼えるように呼んだ、叫んだ

事態を知らないからだろうか。その声は迷いなんてモノを感じさせない閃光の様な煌きを内に秘めていた
何も理解していないからだろうか。その態度は毅然として、何も恐れる事無くただそこに在るという存在感をかもしだしている
我が子を想う父親のような、愛しい人を迎えに来た花婿のような、大きな『何か』をソイツは持っていた

なりふり構わずに叫び続ける隣のイケメン
傍からみれば、ただ叫んでいるだけでみっともなくて、格好悪い事極まりない
でも、何故だろう。今の俺には最高にコイツが輝いて見えるんだ
それはきっと自分ではない誰かの為に、ただ、ただ必死になっているからなんだろうな
…俺も今日くらいは自分の事なんて考えずに、団長の事だけ思ってみるか、叫んでみるか


ハルヒ、待ってろ。お前の根源、七夕で出会ったジョン・スミスが迎えに来てやったぞ


キョン 「(なぁ、ハルヒ。いくら世界がつまらなくても、俺達はお前が居てくれるだけで退屈なんてしないんだ)」
須王「ハルヒーーーー!!!」
キョン 「(お前にとっては下らないかも知れないけど、俺達には眩しすぎる日々なんだよ)」
須王「ハルヒィィーーーー!!!父さんは心配してるんだぞ~~~!!!」
キョン 「(また、SOS団で一緒に活動しよう。お前の我がまま、一つくらいなら聞いてあげるからさ)」
須王「ハル、ゲホッゲホッ、…ハルヒ、ハルヒ!!早く帰ろう!!」
キョン 「(お前の隣、居心地が結構良いんだ。これを失うなんて勿体無くて、貧乏性の俺には出来っこない)」
須王「お前の食べたかった大トロ、食べに行こう!!ホスト部に、帰ろう!!!!」
キョン 「(だから、だから!!!)」


キョン・須王「「ハルヒ!!!!!一緒に帰るぞぉぉーー!!!!!」」

音も無くドアが内側に勝手に開く
ちょっと吼えすぎた俺達は肩で息をしながら、その中に入る

キョン・須王「「………??」」

そこには、

涼宮「……zzz……zzz………」
藤岡「……zzz……zzz………」

手を繋ぎながら眠っている二人のお姫様が居た

俺達はとりあえず(後に介入してきた長門の力で)元の世界に戻り、藤岡・イケメンの両方に記憶の改ざんも長門に任せて
藤岡ハルヒ・須王 環の両名は迷子という苦し紛れの言い訳の様な事後処理を施される
つまり、この事件は『無かった事』として扱われることになったワケだ

結局、俺はイレギュラーとやらが誰か分からず終いになってしまいそうだ
しかし何となく予想は出来ていたんで、記憶の改ざんの処置を終えて完璧に赤の他人となったイケメンに近づいてみる
お互いの背中には、疲れているのかどうかは知らんが眠っている苗字違いの『ハルヒ』を背負っている

キョン 「なぁ、アンタ。重くないか?」
須王「全然。幸せの重さなんだ、これはw」
キョン 「そんなモンなのか?」
須王「そんなモンって単語じゃあ括れないぞw」
キョン 「さいですか」

キョン 「…とりあえずさ、ありがとな」
須王「??…俺、何か君にしたっけ?」
キョン 「いいんだよ、とりあえず言わせてくれ」
須王「うむ、何かよく分からないが、感謝されるのは悪い気持ちじゃないなw」

約束は果たしたぞ。
だけどもう一回だけ心の内側でだけど言わせてくれ。まぁ、本当にありがとな、イレギュラーさん。

もぅ黄昏時になるくらいの頃合に、俺達は家路に着いた

んで、後日談

ハルヒ 「ちょっとキョン!この漫画谷口から借りたんだけど面白いわよ!!」
キョン 「知ってる。ブックオフで立ち読みで読んだ事あるからな」
ハルヒ 「ふ~ん、あっそ。じゃあ貸さないわ」
キョン 「なぁ、ハルヒ。もしもさ、その本の内容が現実になるのとSOS団を続けるとしたら、お前はどっちを取る?」
ハルヒ 「SOS団に決まってるじゃない!まぁ、もしそれが本当になったら考えるけどね」
キョン 「SOS団を選んでくれるって信じてるよ、団長殿」
ハルヒ 「な、何真顔で言ってるの!?ば、バッカじゃない!!」

ハルヒが手に持っているのは、少女マンガの「Nana」

ハルヒ 「だってちょっと憧れるし、言ってみたいじゃない!『へぇ、アンタもハルヒって言うんだ』って!!」

お前さん、もうホントにいい加減にしてくれ
…苗字は忘れちまったが、何とかハルヒさん。ウチのハルヒが迷惑かけて本当スマンかったorz

ハルヒ 「……くちゅん!」
須王「ん?どうしたハルヒ?風邪か?」
ハルヒ 「いや、気のせいです。…多分」

そしてその日のSOS団の部室に、いつもと一つだけ違う点が出てきた
ハルヒの机の横に、


『いつか出会える日を願う特別団員     藤岡  ハルヒ   』

というタスキみたいなのがかけられていた。


ウチのマスコットは不思議そうな顔をしていたが、真相はずっと秘密にしておこう




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