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その日は朝から雪が降っていた。
雪が軽く積もった坂道を登る時に足を滑らせないように気を使ったせいか、授業が始まる頃には疲れ果てていたため今日の授業は睡眠学習に決まった。

「キョン! 起きなさい!」
俺は寝ぼけ眼で起き、後ろの席を向いた。後ろの席にいるのはもちろんハルヒで、いつかのような笑顔でこっちを見ていた。こんな顔をしてるときは俺にとってはろくなことがない。

「いいこと思いついたわ!」
やっぱり。
「何だ?」
「雪合戦よ!!」

雪合戦か。疲れることは間違いないが、まあ面白そうだしいいだろう。了承してすぐに部室に向かった。途中で気がついたんだが、俺が起きたときには授業は全て終わっていたらしい。
部室へ向かうまで気付かなかった俺は本当に何のために学校へきてるんだろうと思う。

「じゃあ今日は雪合戦します! チーム分けするから!」
と言って差し出された爪楊枝を引くと、朝比奈さんと長門と俺対古泉とハルヒだった。

「これじゃあ勝負はすでに決まってるわね! 負けたチームは勝ったチームのいう事を聞くのよ!!」
やれやれ、朝比奈さんは戦力にならない。実質2対2だが、長門がいれば何とかなるだろうと考えていた。
そうして学校からはちょっと離れた広くて人のいない公園へ来たSOS団は、厳格なルールを決めることなくハルヒの投げた雪球が俺に当たった事をきっかけに開戦した。

始まりがを告げる雪が俺の顔についていて、それを払ってるうちに朝比奈さんは雪まみれになっていて戦意を喪失していた。
俺は朝比奈さんを安全なベンチに座らせて、動くのに邪魔だからと言い訳をしてから俺が着ていたコートを朝比奈さんに着させた。
そして戦闘に加わるべく朝比奈さんから離れようとしたとき「キョンくん、危ない」っと朝比奈さんの声を聞いて振り返ると。投球動作のハルヒが目に入った。後ろで古泉が雪まみれになっているのも見える。

咄嗟に避けようとしたが、俺の後ろにいる朝比奈さんに当たる可能性がある。防御の姿勢をとった時には雪球がこっちに向かってきている。

何かを考える前に雪球が弾けた。

「あなたは私が守る」

「長門、お前か。ありがとう助かったぞ」
長門に近づいてそう言う。でも、インチキはダメだぞと付け足す。
「あなたの言うインチキはしていない。涼宮ハルヒの投げた雪玉を狙って投げただけ。」
普通は当たらないんだがな、と言おうとしたがハルヒの投げる雪に当たったら怪我しそうなので何も言わないことにする。

「とりあえず古泉をやっつけるぞ!」
長門にそう言って、既にある程度雪まみれの古泉に特攻した。

ハルヒはちょっと離れた所から投げてきている。古泉は完全に俺狙いできている。ニヤケ面のジェントルメンは女の子を狙わないみたいだ。
俺は走りながら雪を拾っては投げ、拾っては投げを繰り返し古泉にどんどん近づいて行く。長門は古泉が投球動作に入った瞬間を狙って当てている。お陰で俺は古泉の攻撃を避けることなんて考えないで突っ込める。

そして古泉を追い詰めた俺は、長門と共に古泉を雪だるまにするべく雪を投げる、というよりは雪をぶっ掛けている。
「参りましたよ、お二人が本気になると僕にはどうしようもありません」
よし、じゃあ負けたお前は先払いに朝比奈さんに暖かい飲み物を買って来てやれ! そう言ってから俺と長門はハルヒを攻略することを考えた。

ハルヒは決して参ったとは言わない。しかし明確なルールを決めてなかったため、参ったと言わす以外にはどうしたら勝ちなのかわからない。
「ならば完膚なきまでに雪まみれにする」
長門も負けん気をだしていた。ハルヒの攻撃を避けながら俺は木の影に隠れた。
とりあえず俺がハルヒの攻撃を喰らわなければ長門はもっと自由に動けるだろうとの考えだ。
もちろん俺も隠れながらハルヒに向かって雪を投げている。長門はハルヒを挟んで反対側に移動したため、ハルヒは挟み撃ちを受けている格好だ。

ハルヒはこのままだと不利だと悟ったのか、俺の投げる雪球を避けることもせずにこっちにつっこんできた。俺は逃げようと思ったが情けない事に滑って転んでしまった。
ハルヒは俺の事を見下す形でニヤリと笑い、俺が参ったと言うと思いっきり木を蹴った。

木の影に隠れていた俺は、枝に積もっていた雪がハルヒの蹴りによって落ちてきたのを全身で受け止めた。そして俺という個体の半分は雪に埋まった。

「これであんたは脱落ね!」
ハルヒはそういうと長門のほうを向いた。長門は雪の中から這い上がる俺を見て、ハルヒに降参宣言をした。

「ちょっと! これからがいい所じゃない!何で降参するのよ!」
「彼の体温が著しく低下している。これ以上戦闘を続ける事は彼にとって危険」
確かに真冬に雪まみれになっている俺はかなり寒かった。

「しょうがないわね! でもあんたたちの負けだからね!」
ベンチに行くと古泉と朝比奈さんが暖かそうなお茶を飲んでいた。
ハルヒは朝比奈さんのお茶を奪い取り一気飲みした。

俺と長門は少し離れてそれを眺めていた。すると、長門が近づいてきて俺に抱きついてきた。

「どどうしたんだ、長門?」
俺の声に反応してハルヒ以下ベンチに座っていた3人がこっちを向いた。
ハルヒが不機嫌そうな顔をしているのは見えるが古泉と朝比奈さんの表情を見る前に長門が言葉を発したので長門に目が言った。


「あなたの体温は低下しすぎている。このままでは体調を崩す可能性が危惧されるので体温の上昇を図っている」
「何してるのよ、有希!?」

ハルヒは俺と同じ事を長門が説明した直後に聞いた。
「俺の体温が低すぎて風邪引きそうだから暖めてくれてるらしい」

正直暖かかったため離れたくなかったためそのままの格好で言った。

「しょうがないわね、あたしが暖めてあげるから有希はどきなさい!」
「わたしと彼は同じチーム。よってわたしが暖めるのは必然」
「あたしが雪をぶっかけたからキョンは体温が低下したんでしょ? ならあたしの責任よ!
それに、敗者は勝者のいう事を聞くべきよ!」

言い争いをしている2人を長門に抱かれたままみていると、なんだか幸せだなぁなんて思っていた。
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