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 言わせて貰うなら、セックスなんてのは単なる行為のひとつに過ぎない。少なくともあたしはそう思ってる。
 愛情がなくったって出来るし、何の証明にもならない。セックスしたから彼はわたしの物♪なんて、おかちめんこな考え方は噴飯物だ。一時の気の迷いで、そうひょいひょいと人の所有権を移動させないでほしい。

 結局その考えは、あたしこと涼宮ハルヒが実際にセックスを経験した後も、特に変わる事はなかった。だからやっぱり、セックスなんてただの行為なのだ。

 


 

「おっそーい! キョンの奴!」


 一年を4分割するのなら9月は秋に分配されて然るべきはずなのに、その日は朝から猛烈に暑かった。残暑なんてものは馬の尻尾にくくりつけて、そのまま蹴っ飛ばしてしまいたい。
 実際にはくくりつける事も蹴っ飛ばす事も出来ないので、あたしは腕組みをして駅前広場の時計を睨みながら、ひたすら不機嫌な声を張り上げていた。


「ホントにもーっ、何やってんのよ!」
「まあまあ涼宮さん。まだ待ち合わせ時刻から10分ほどしか経っていませんし」
「他のみんなはもう集まってるでしょ!? せっかくSOS団の末席に加えてあげてるっていうのに、団員としての自覚が足らないわ!
 だいたいね? 下っぱのキョンが団長であるこのあたしを待たせるだなんて、まったくの論外よ! ロンのガイよ!」


 あたしの怒声に、古泉くんは参りましたねと肩をすくめるばかりだった。あー、何か違う。やっぱり古泉くんが相手だと何かこう、しっくり来ない。これはもう今日は徹底的にキョンの奴を吊るし上げなけりゃだわ!


「うス。すまん、遅れた」


 噂をすれば何とやらね。しょぼい顔してやってきたキョンを、あたしは出来うる限りの厳しい眼光で迎えてやったわ。
 さー、どうとっちめてやろうかしら。明らかに寝不足っぽい顔しちゃって、どうせまたつまんない理由で夜更かしでもしてたのよきっと。


「理由…言わなきゃダメか?」
「当ったり前でしょ! あんた一人のせいで、あたし達がどれだけ迷惑したと思ってんの!」
「あのぅ、涼宮さん…わたしはそれほど迷惑とは…」
「みくるちゃんは黙ってて!」
「ひゃ、ひゃいっ!」
「これは団の規律の問題なのよ。さあ、ちゃっちゃと吐きなさい、キョン!」


 ゲームか漫画か、それとも深夜映画にでもハマってたのか。わくわく気分で問い詰めるあたしに、キョンはむっつりした顔で、こう答えた。


「昨日、中学の同級生だった奴の葬式に行ってきたんだよ」

 



「そうですか、海難事故で」
「ああ。夜釣りの最中に高波にさらわれて、朝、浜に打ち上げられた時にはもう冷たくなってたとか。人間なんて本当、はかないもんさ」


 古泉くんに素っ気なく応じると、キョンはずちゅーとアイスコーヒーをすすり上げた。事故の件を話すのがつらいというより、喫茶店に移ってきてまでこんな暗い話題で雰囲気を盛り下げたくない、といった感じだ。

 まあ確かに、日曜の朝に聞きたい類の話じゃない。正直、気分が滅入る。ああ、だからキョンはさっき言いたくなさそうにしてたのか。…って事はなに? 今のしんみりした空気って、ムリヤリ聞き出したあたしのせい?


「でも、キョン! そもそも昨日の時点で用事がお葬式だってこと、なんであたしに言わなかったのよ!?」


 なんだか責任転嫁のような感じで、あたしは話を蒸し返していた。そう、本来は昨日の土曜日に定期パトロールが行われる予定だったのに、直前になってキョンが用事があると言いだしたから、一日ずらしてみんな集まっているのだ。
 でもってキョンの奴は、あたしが訊いても口をもごもごさせて、何の用事かははっきりと言わなかった。今朝からあたしの気分が優れなかったのも、半分くらいはそーゆーキョンのぐだぐだした態度にイラついてたせいだ。結論、うんやっぱりキョンが悪い!


「最初は、葬式に出る気なかったんだよ。つい直前までな」


 あっさりと、キョンはそう白状した。…おかしい、どうも今日は調子が狂う。
 いつものキョンなら吊るし上げをくらっても、なんだかんだとあたしに抵抗しようとするのに。その往生際の悪さが見てて楽しいのに。


「1、2年の時に同じクラスだったってだけの奴で、すごく仲が良かったわけでもなかったし。高校も結局、別の所に行っちまったしな。
 俺が行って手を合わせた所で、奴が生き返るはずもなし。でも国木田の奴に、焼香くらいは、って誘われてね」


 国木田か。なるほど、付き合いのいい方ではあるわね。でも、ちょっと待って? 特に仲が良かったわけじゃあない?
 見回せばあたし同様、キョン以外のみんなが頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた(有希はパッと見、そうとは分からないけど)。それならどうして、寝不足になるくらい思いつめたりすんのよ。


「別に今生の別れに一晩中泣き明かしたりしたわけじゃねえよ。ただ、なんて言うかな…。
 葬式のあとで、国木田が言ったんだ。なんだか全然、現実味がないねって」


 まるでそういう風に話すよう造られた自動人形みたいに、キョンは淡々と語っていた。


「家に帰ってから俺、卒業アルバムを開いてみたんだ。そしたら確かに、一緒の頃の思い出の方が生々しくって、あいつが死んじまったって現実の方が絵空事みたいな感じなんだよ。
 でもやっぱり、あいつが居ないこの世界の方が現実で」


 ふう、とキョンがひとつ息を吐くと、微かにコーヒーの匂いが漂った。


「実は俺、ほんのしばらく前にそいつと話してるんだよな。下校途中にサンダル履きのあいつと、ばったり出くわしてさ。そのままコンビニの前で30分ばかりくっちゃべってた」
「その人、何か特別な事でも言ってたの?」
「いや、全然。今じゃ内容さえ憶えてないような、そんな程度の会話だった。
 でもそれは、あいつとは逢おうと思えばいつでも逢える、話そうと思えばいくらでも話せる、そう思ってたからで。それが気が付いたら、そうじゃなくなってて――。何だろうな、こういう感じ。心にぽっかり穴が空いた、とでも言うのか?」

「ふん、ボキャブラリーが貧困ね」


 わざときつく揶揄してやったのに、あいつはムッとした表情さえ見せなかった。やっぱり変だ。やっぱり今日のキョンは、何かおかしい。


「そりゃ失敬。じゃあ教えてくれよ、こういう気分ってなんて表現するべきなんだ?」
「何って、それは…」
「………虚無感」
「おお、さすが長門。ん、まあそんな感じだな」


 有希に向かって大きく頷くキョンの顔を、あたしはストローの先のクリームソーダを最大肺活量で吸い上げつつ、仏頂面で眺めていた。
 キョム感ね、キョンだけに。…いろんな意味で面白くない駄ジャレだわ。

 



「そのぅ、えっと…元気出してくださいね、キョンくん…」
「おお、この俺の身をそんなに心配してくれますか! いやあ、朝比奈さんは本当に心優しいお人だなあ」


 今のキョンはみくるちゃんの掛けた言葉に、やけに愛想良く受け答えてる。みくるちゃん相手にはやたら調子がいいのはいつもの事だけど…今日はなんだか特に造り物みたいな笑顔ね。無性にはたきたくなるわ。
 そんな風に思っていると、キョンの奴は不意にこちらを向いた。


「ま、そんな事がありましたよって事で。人間なんて明日どうなってるか分からないから、みんなもせめて事故とかには気をつけろよな。特にハルヒ」


 ちょ!? なんであたしだけ名指しなのよ!


「お前が直情径行の向こう見ずで、後先考えずに動くからだ。
 さて、それじゃ不思議探索パトロールに出掛けますかね、と。今日はもう俺の罰金で確定なんだろ?」


 恒例のクジ引きで同班になったみくるちゃんをいざなって、キョンは伝票をひらひらさせながら会計へと向かった。
 むー。つまんない。あたしは『キョンに罰金を払わせるのが』ではなく、『罰金を払わされる時のキョンの情けない顔が』楽しいのに。つまんないつまんない!


「どうかしましたか、涼宮さん?」


 よっぽどあたしはむくれていたのだろうか。喫茶店を出るなり、古泉くんがそう声を掛けてきた。


「ねえ有希、古泉くん。今日のキョン、なんかおかしいわよね?」


 遠回しな物言いは好きじゃない。あたしがズバリ訊ねると、古泉くんと有希はしばらく顔を見合わせて、それから二人揃って頷いた。古泉くんはともかく、有希も肯定しているからにはやっぱりそうなのだ。


「そうですね、これはまあ概念的な事柄なのですが。
 人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものです。もしかしたら大地震が起こるかもしれないし、空から隕石が降ってくるかもしれない。はたまた、悪意を持った異星人が大挙して地球を侵略しに来たりするかも…」


 いきなりそんな事を語り始めたかと思うと、古泉くんはしばし、あたしと有希の顔をちらちらと見比べた。今の間は何なんだろう、一体。


「…とまで言ってしまうと、さすがに何でもありになってしまいますが。不慮の交通事故などは、誰の身にだって起こり得るわけです。
 さて、そんな時。たとえば明日死ぬかもしれないという時に、やりたくもない宿題をやる気になる人が居ますか? いえ、それどころか自分にとっての宝物さえ、もしも明日無になるとしたら、途端に色褪せて見えるのではありませんか?」
「えっ? でもだって、そんなのは…」
「はい、その通りです。予測できない不幸、というのは可能性としてはあり得るのですが、それを気に病みすぎていては何も出来ません。
 だから人は基本的に、その可能性を無視しています。もしくは保険に加入するなどの次善策を用意するか、ですね。しかしながら“死”というのは、人が逃れえない宿命のひとつでして…」


 と、ここで一度言葉を止めた古泉くんは、ああまたやってしまったとでも言いたげな微苦笑で頭を振った。まあ、古泉くんのセリフが芝居がかってるのはいつもの事だけど。


「結論を述べましょう。今の彼は、軽い躁鬱病の状態にあると思われます。
 ご友人のように、自分も明日にはいなくなっているかもしれない。ならば自分の生に一体何の意味があるのか――そんな問答に囚われてまんじりともできないでいる、といった所でしょうか」

「有希の言ってた、虚無感って奴?」
「おそらくは。実を言えば僕自身、まだ同年代の人間の死に直面した経験はないもので、先程の彼のお話には、多少なりともショックを受けました。もしかしたら『大人になる』というのは、こうしたショックに慣れていく事なのかもしれませんね」


 ショックだった割には、いつもと同じ笑顔で話してる気がするけど。そうね、古泉くんが言いたい事はだいたい分かるわ。
 でも、だったらあたしは敢えて大人になんかなりたくないかな。親とか身近な人を失くす悲しみに慣れるだなんて、そんな事は………え?


 失くす? 誰を?


 その時のあたしは、どんな顔をしていただろうか。ともかく、気付けばこんな言葉があたしの口をついて出ていた。


「あのさ、有希、古泉くん。ちょっと話があるんだけど」

 



「はあ、午後の調査を彼と二人で」
「…………」


 その、別にヘンな意味じゃないのよ? ただキョンの奴のスッポ抜けぶりが見るに見かねるというか、ほら、団長の責務として…!


「素晴らしい。さすがは涼宮さんだ」
「へ?」
「僕達も彼の不調が気にかかってはいたのです。しかしながら、いかんせんどうやって励ましたら良いものか、妙案が浮かばないものでして。
 ですが、団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします、涼宮さん」


 ま、任せときなさい! 団員の心の悩みを受け止めてあげるのも団長の務め! 一切合財あたしに預ければ、全てこれ解決よ!

 と、あたしがガゼン張り切っていると。


「ふむ、ですがそうするには…長門さん、ちょっといいですか?」


 古泉くんが有希を道端に連れてって、ひそひそ相談を始めた。ん? この光景、なんとなく前にも見たような覚えがあるんだけど。市民野球大会の時だっけ? それともデジャビュって奴かしら。


「お待たせしました。では、午後のクジ引きは長門さんにお願いする事にいたしましょう。実は彼女、少々手品の心得があるそうで」
「へえ、それ初耳。有希、本当に出来るの?」
「………可能」
「公平公正なゲームを愛する僕としては、こういうインチキはあまり推奨したくはないのですが。
 しかしながら彼はある意味、涼宮さんの対極というか、石橋を叩いて渡らないような、非常にアマノジャクな性格の持ち主ですからね。変なお膳立てをしてしまうと、かえって反発しかねません。ここはあくまで偶然を装うとしましょう」


 古泉くんの言に、あたしは大きく頷いた。まったく、キョンの奴があたしのナイスなアイデアに、素直に賛同した事など一度もない。いつもつまらない常識論を持ち出して、あたしの発展的行動に難癖を付けたがるのだあいつは。
 あんたみたいな奴の事を、これだけ気に掛けてあげるのはあたし達くらいのものよ? 友に恵まれた事をせいぜい感謝なさい、キョン!


「素直じゃない、という点ではどっちもどっちというか、お似合いなんですけどね」
「何か言った、古泉くん?」
「いえ、別に何も」

「ふうん? まあいいわ。今回はウソも方便って事で、有希、お願いね」


 あたしの依頼に、有希は黙って頷いた。沈黙は金だとかいうけど、本当にいざという時には頼りになる娘だ。キョンの数千倍は役に立つわね。
 って頷いた後も有希はしばらく、深遠の瞳であたしを見続けていた。ん、なに?


「彼の言っていたのはある面での、真理」


 彼って、キョンのこと?


「そう。価値観は主に相対性によって生ずる。最初から何も無かった状態に比して、あるはずだったものをなくしてしまった際の喪失感は、絶大」
「あんたにも、そんな経験あるわけ?」
「11日前、帰宅すると作り置きのカレーが、全て痛んでいた。その日はお茶だけ飲んで過ごした。カレーに黙祷を捧げた…」
「そ、そう」


 カレーと人命を同列に語っちゃうのもどうかしら。ああ、でも自炊してる人にとっては食料問題は死活ラインなのか。よく分かんないけど。


「決まりですね。では、我々も出発しましょうか」
「あ、うん、そうね」


 なんだか分からない内に古泉くんに促されて、あたし達もまた午前のパトロールに出立した。うーむ、やっぱりどうにも調子が狂ってるぽい。いつもなら当然のように、このあたしが号令を掛けているはずなのに。
 結局、午前の部はただひたすら暑い中を歩き回るだけに終始した。不思議を探すより何より、あたしの心には踏んづけたガムみたいに、さっきの有希のセリフがべたりとこびり付いていたのだ。


『彼の言っていたのはある面での、真理』


 あるはずだったものを失くしてしまって、心にぽっかり穴が空いたようだ、とキョンは言っていた。有希はそれを真理だと言う。古泉くんは、人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものだと言っていた。

 そうだ、今のあたしも多分、何かしらの不安を抱えている。でも、それは…一体なんだろう? あたしは何を失くす事を恐れてるの?

 そんな疑念が、歩くたびに靴底で耳障りな音を立てている、ような気がした。

 



「珍しいな、この組み合わせってのも」
「あー、うん、そうかも、ね」


 キョンの何気ない呟きに、午後のあたしはちょっとばかり居心地の悪い気分で頷いていた。本当の事を知ったら怒るかな、キョン。


「つか、古泉の野郎が羨ましい」


 前言撤回。このバカ相手に、罪悪感など微塵も感じてやる必要なんか無い。あたしは渾身の力でキョンの尻をつねり上げてやった。


「神聖なSOS団の活動を一体何だと思ってんのあんたは!」
「うぐあっ!? い、いやスマン、冗談だ…」


 だいたい古泉くんは、午前もあたしと有希で両手に花だったでしょうが!? どうしてあの時は羨ましがらないで今は………あ、いや。いやいや。
 あ、あたしが怒ってるのはそんな事なんかじゃないわ! そう、キョンの奴がここでもやっぱり素直に謝ってるからよ!
 だから、調子が狂うって言ってるでしょ! いや言ってないけど! いつものあんたなら、もっとこう…その、歯応えがあるっていうか…そこいらのくだらない男連中とはちょっとは何かが違うっていうか…。


「どうしたんだ、ハルヒ? どこに向かうんだか、さっさと決めてくれよ」


 こここ、この鈍感男めぇ! 人がこんなに気を揉んでやってるのも知らないでッ!

 あたしはよっぽど、公園の砂場を掘り返してこの唐変木を頭から埋めてやろうかと思ったけど、今世紀最大の自制心を働かせて、なんとかそれを堪えた。いけないいけない。古泉くんの言によれば、キョンの奴は今、ちょっとばかり精神を病んでいるのだ。団長として大目に見てやらなければだわ。
 ――治ったら覚悟しなさいよね、このバカキョン!


「いいからっ! あんたは黙ってあたしについてきなさい!」
「へーへー、団長様の仰せのままに」


 とりあえず、そういう事にして歩き始めたけど…はてさて、これから一体どうしたらいいもんだか?
 実の所あたしは、本当に有希の手品とやらがうまく行くのかなーとか、行ったら行ったでキョンの奴、あたしとペアの組み合わせをどう思うのかなーとか、そんな事ばかりを考えてたもんだから。具体的にどうやってキョンを元気づけたげようとか、全く考えてなかったのよ!

 うそ、どうしよう。まるで小堺一機のお昼の番組にいきなりむりやり出演させられて、サイコロ振らされたような気分だわ。何が出るかな♪何が出るかな♪ ちょっとドキッとした話、略して「ちょドばーなー」って、だから何も用意してないんだってばっ!


『団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします』


 プレッシャーが具現化したのか、さっきの古泉くんのセリフが耳にこだまする。あたしは空の彼方に浮かんだあの爽やか笑顔に、無言のパンチを打ち込んだ。


『おやおやひどいですねフフフ』


 ええい、回想なんだからさっさと消えなさい!


「おい、どうしたんだハルヒ。道端でいきなり拳振り回したりして…?」
「虫よ! 虫がいたのニヤケ虫が!」


 語気も荒く振り返って…あたしはキョンの背後の壁に、ふと一枚の看板を発見した。


(あ、やだ…。やみくもに歩き回ってたら、こんな方向に…)


 途端、あたしの頬が熱を帯びる。そこは駅の裏手辺りにありがちな一画で、男女がペアで歩いてたりしたら、いわれのない誤解を受ける可能性が非常に高い場所というか何というか…。あーっ、もう! ハッキリ言ったげるわ! あたしにはやましい点なんかこれっぽっちも無いし!

 ホテル街よホテル街! そこはいわゆるホテル街だったのよ!


 
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