古泉一樹がおとなしい。
発情してそうでも劣情を催すでも、実を言うと発情している様でもないのだが、
ここ最近不気味なオーラを感じさせている。それがいつも以上に俺の脳の中枢
部にエマージェンシーコールを発し続けているのだ。

もちろん前兆があったわけでもない。
こいつは毎日部室に現れては俺の顔を見るなり
「キョンたーん、今日こそMySunをキョンたんの(ry」
などとのたまいながら流れるような動作で俺のズボンを脱がせようとしてくる様は
いつもと変わりはないし、いつものように俺が長門の読んでいる本を拝借してこい
つの脳天に一撃を食わして落ち着けても鼻血どころか笑顔さえ崩さず崩れ落ちる
様子もいつもと変わりない。
しかし、何かが変なのである。そもそもこいつが何を考えているのか分からない
奴であったが、最近はそれに拍車を掛けたように理解不能になった。
毎日どこかに電話を掛けて(例の"機関"か?)指示をし、こちらを向いて(・∀・)ニヤニヤ
している時間が増えている。それに本人は気がついていないのだろうが、俺をストー
キングしているのである。日々の帰り道そんなに変化するわけでもないのに、何を
やっているんだあの野郎は。
それについて俺が何を尋ねても
「ふふっ、キョンたんが僕のことを気にかけてくれるのは非常に光栄なのですが、
僕にはその意図が分かりかねますね。愛する人のことを知ろうとすr(以下略」
と、お得意のスマイルを出してはぐらかし、知らぬ存ぜぬを突き通す始末。

9組の連中はこのことに気がついているのだろうか。いや、そもそも奴のクラスの
連中はこいつがガチホモだということに気がついているのだろうか。それすら疑わしい。
こいつは他の人間の前ではうまく猫を被ってやがるからな。
気をつけろよー、9組の男子。着替えの最中に熱い視線を感じたらそれは間違いなく
奴の仕業だぞー。
おぞましい、ああおぞましい、おぞましい。

そんな疑問を長門あたりにでも相談しようとしたある日、あの出来事は起こった。

いつもの如く長門の閉じる本の音によってSOS団の活動が終了し、みながそうするように
俺も帰宅の準備を始めたときだった。いつものように朝比奈さんが着替えるために俺と古泉が
外に出ていると、
「キョンたん。今夜は暇ですか」
と聞いてきやがった。
「他の連中の誘いならいざ知らず、道下正樹も裸足で逃げ出すようなお前の相手なんぞ
してられるかヴォケ」
「まあまあ、そのようなことを仰るということはお暇なようですね?ちょうどよかった、
おいしいレストランがあるのでお食事をご一緒できませんか?少しお話をしたいもので――」
相変わらず人の話を聴かない奴である。

「行かない。お前の言うレストランが例え美味かったとしてもだな、薬を混ぜられ眠らされて
ビデオ撮影される恐れがあるようなところへ誰が行くかハゲ」
古泉はいつものポーズで「やれやれ」と体全体であらわすと、こう言った。
「すいません、新川さん。お願いします」

「え?」
振り向くと執事の格好をした新川さんが俺のすぐ後ろに立っていた。
「おい、古泉。どういうことなんだ。説明し――」
一瞬目の前が真っ白になると、そのまま俺の意識は沈んでいった。


遠くのほうで何か聞こえる――
俺は一体何をしてるんだろう――

「……さ……覚め……?」

なんだ…… 俺に言ってるのか……
「キョンたん……、お目覚めですか?」

急に目の前が暗くなった。
あれ……、誰かいる……。

背中が痛い。それに、全身に空気の流れを感じる……。手が動かない・・・…。

「無駄ですよ、あなたの体はしっかりと固定されています」
と古泉は妙なことを言い放った。朦朧な頭の俺はその意味を考え――

って、ええええええええどういうことがこれは!
「どういうことって、そのままの意味ですが。何なら説明いたしましょうか?」

説明も何も、全てが理解不能だゴラ!どうなってんだ!
「フフフ……、やはり説明が必要のようですね。いまあなたが置かれている状態ですが――

ホモの話を要約すると、新川さんの当身で俺を確保して優しく俺にキスをしながらここに連行。
そして服を脱がせてこの台に固定した、と。ちょっとおい、前半のキスってどういうことだ。
「どういうも何もそのままの意味ですが。今日のあなたは物分りがよくありませんね。
むしろ、僕個人としてはそのほうが大好きなキョンたんのc(以下略)」
「そんなことより変なことはしなかったろうな!」
大きな声を出すたびに自分の体が震え、息子さんも震える。つーか早く外せオラ!

「変なこと?そんなことしていませんよ。むしろこれから始まるのは僕達の愛の営みです。
実は先日中古ゲームショップで見つけてきたんですが、"金属歯車固体"というゲームを
ご存知ですか?」
「あ、ああ。」

俺はそのゲームを思い出す。
主人公の"蛇"が敵に見つからないように敵地に潜入してゆくゲーム、だったよな。

「そうです、概ね正解ですね。あなたもこのゲームをご存知とは話が早い。
僕はこのゲームをプレーしてみたわけですが、とあるシーンが非常に気に入りましてね」
そんなもん知らん。

「そして僕もそうなってみたい、その感動をキョンたんに伝えたい、と思いましてあなたを
スニーキングしてみました。はぅぅ」
お前モロばれだったからな。お前が"蛇"ならとっくにGAME OVERだ。
それにお前のそのリアクションはレッドカードだ。退場しろ。

「そんなことは今はどうでもいいんです。とにかく僕は今!この感動をキョンたんと分かち
合いたいという思いに駆られているのです。主人公が敵の手に陥り、尋問を受けるシーン
なのですがとても感動いたしました。
主人公に感情移入してしまった僕は、それを見ていて興奮し思わず絶頂を迎えてしま(略」
目を閉じて両手で自分の体を抱き、うっとりするホモ。
ええい、顔を赤らめるな。つーか早く離せ。

「ちょ、ちょっと待てお前。それって例の拷問シーンじゃないか。」
そういえばこの俺が居る台って……もしかして
「いやあ、流石にそんなこと致しませんよ。神々しいキョンたんの体に電流だなんて流せません」
じゃあ何なんだおいコラ!

「というわけでですね、今日はこんなものを用意してみたんですよ」
という奴の右手にはピンク色のグロテスクな棒がある。
「これは僕のモノと同じ形です。珍拓をとって形を起こしてみました。今回は趣向を
凝らしてちょっと細工をしてみました」
などと恐ろしいことを口走る古泉。自分のナニの型を嬉々としてとっている奴の姿が思い浮かぶ。
って、そんなこと思い浮かべるな俺。ただでさえアレなのに細工って何だ……。

「実は中に乾電池が入ってまして、ちょっとした刺激を味わうことが出来るんです。という僕ももう
そろそろ我慢できません。というわけでキョンたん、こんにちわ~ハァハァ」

のわああああやめろそんなものを持って飛び掛ってくるな俺の息子に触るななめるな
ちょアナルだけはアナルだけはアッー!

(省略されました。VIPで続けるには不適切な気がします( ´∀`)<ぬゑぽ)

「あれー?キョン?どうしたのそんな青い顔して」

次の日の朝、何も知らないハルヒは机に突っ伏して動けない俺の背中を叩きながらそういった。
「ああ……、俺は大人になったんだ。真っ白によ――」
「あんた何言ってんの?朝から夢でも見てんじゃないの」
アレが夢ならどれだけよかったことか。

「なあ、ハルヒ」
「なによ?」
「お前は車を運転していた、しかも新車だ。一生に一台しか買えないような、な」
「それでどうしたのよ」
「お前は運転中に後ろの車に追突されたんだ。まだぴかぴかの車にな。どう思う?」
「あたしだったらすごく腹が立つわね。うん、相手の運転手を引きずり出して"よくもカマを掘りやがったわね"って
怒鳴りつけるわ」
「そう、入っちゃいけないところに入っちゃうからカマを掘る、っていうんだよな」
「……へ?」
「その追突した相手がスタンガンを持ってきて俺に攻撃するんだ。お前だったらどうする?」
「そ、そんなことされる前に相手を殴り倒すわ!」
「相手の運転手が古泉だったら……?」
「……」
「しかも、一連の行為に快楽を感じてしまったとしたら、お前はどうする――」
「あ、あんた……まさか」

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