――ハルヒ視点――

「さぁ、早く見せるんだ。ハルヒ!」
 
――どうしてこんなことになったんだろう?
 
「涼宮さん、なぜ逃げるんですか?」
 
――私が悪いの?
 
「…………」
 
――やめて、つぶらな瞳で見ないで
 
「まさか涼宮さんが……?」
 
――後ろは窓。逃げ場はないわね……
 
私も終わり……かな……?
 
…………
………
……

 
~三十分前~
 
岡部は話が長いのよ!授業中に寝るなって言われてもあんな授業じゃ不可能よ!
だいたいこの学校の教師は説明に時間をかけすぎなのよ!
全部教科書に書いてあることしか言わないじゃない!
 
「みくるちゃん、お茶!」
 
遅れたから団室には全員いるようね。
 
「は、はい」
 
「どうしたんだよ?何かあったのか?」
 
思いだしたくないのに聞かないでほしいわ。
まったく!朝は寝坊するし、教科書は忘れるしでほんっと今日はついてないわね。
そういえば昼休みに財布を忘れたんだった。
私としたことが一日に二度も忘れ物をするなんてね……たるんでるわ。
確かこのあたりに……………ってあれ!?ない!どこにも私の財布がない!
 
「ない!私の財布がなくなってる!」
 
「どうしたんだ?」
 
「ここにあった財布誰か見なかった!?」
 
「知らないな」
 
「さぁ、見てませんけど………」
 
「僕は見てません」
 
「………わからない」
 
なんで誰も知らないのよ!使えないわね!
 
「なくなったんですか?」
 
だから焦ってるんでしょ! 
「昼休みには確かにここにあったはずよ!その辺に落ちてない?」
………
……

 
「どこにもないな……」
 
「どうして見つからないのよ!」
 
「おかしいですね~」
 
ふざけないでよ!あの中には英世じゃなくて諭吉が入ってたのよ!
 
これだけ探して見つからないってことは団室にないのかしら?
ううん!私は確かにここに置いておいたはず
財布が勝手になくなるはずがない。ってことは……誰かが持っていった……?
いや、まさかね。そんなはずないわ。
ん?有希どうしたの?
 
「…………この中の誰かが盗んだ」
 
「……………」
 
「そ、それはないんじゃないかしら」
 
「ははははは!そんなわけがないだろ!」
 
「それは考えすぎですよ~」
 
「あははは!長門さん、何を言ってるんですか!」
 
「ではどうして見つからないの?それに団室には団員しか入れないはず」
 
「……………」
 
「キョン君……僕はあなたを見損ないましたよ……」
 
「な、なんだよ!」
 
「あなたは日頃みんなに奢らされてお金に困っていましたよね……?
だからといってやっていいことと悪いことがあります……あなたって人は……」
 
「ち、違う!俺はずっとお前とオセロをしてただろ!?
俺にはそんな暇ない!長門お前はどうなんだ!?お前なら簡単な盗めるだろ!」
 
「違う。盗むぐらいなら偽造する」
 
「あ、あの喧嘩はよくないですよ」
 
「朝比奈みくる」
 
「は、はい」
 
「あなたは着替え中、団室に一人でいた。その間に盗んだのでは?」
 
「朝比奈さんがそんなことするはずないだろ!」
 
「ち、違いますよ!それに古泉くんだって最初に団室にきて一人でいたじゃないですか!」
 
「僕が盗んだと言うんですか?僕はバイトをしてるんです。あなたたち貧乏人とは違うんですよ」
 
 
「全員黙りなさい!見苦しいわね!」
 
「…………」
 
「……一人ずつ話してみなさい」
………
……

 
~Aさんの証言~
「ええ、今日はたまたまホームルームが早く終わったんです。それからいつものように団室にきました。
十分ほど一人で……いえ、だからといって盗みませんよ……詰め将棋をしていたんです。
そしてキョン君がきたので二人でオセロをしたんです。
そう、あれはキョン君の一手で盤面が真っ黒に変わったときでしょうか、突然キョン君が言ったんです
『今月かなり厳しいんだ。何か簡単に金を手に入れる方法はないもんか…』
今考えるとあれはフラグだったのでしょう。
キョン君はかなり切羽詰まった顔をしていましたし。
僕があのとき止めていれば……」
 
~Bさんの証言~
「確かに俺は金欠だ。だがSOS団唯一の常識人として当たり前の善悪の区別はわかってる。俺は盗みなんかしない。
俺は一番怪しいのは長門だと思ってる。あいつは毎日カレーを一食で米5合ほど食べているんだ。
しかも業務用カレーを大量に買い込んでるんだぞ。金はかなり使ってるはずだ。
それにあいつなら誰かがいても気付かれずに盗むことができる」
~Cさんの証言~
「朝比奈みくるが盗んだに違いない。
朝比奈みくるには盗む機会があった。

それにあの胸をたもつにはきっと莫大な費用がかかる。
そう、すべてはあの胸が悪い。あの胸が」
 
~Dさんの証言~
「わ、わたしはやってませんよ!なんでかって……うぅ…と、とにかくやってないんです!
犯人は……最初にきたんだから単純に古泉くんなんじゃないですかぁ?」
………
……

 
「…………」
 
わからない……まったくわからないわ。誰が盗んだのかしら……
ん?そういえば……
 
「みんな団室にきてからどこにも離れてないの?」
 
「……それがどうかしたのか?」
 
「犯人は今も財布を隠し持ってるってことよね………?」
 
「!!!」
 
「………みんな荷物を調べさせてくれない?」
 
「…………」
 
「ああ、いいだろう」
 
「仕方ありませんね」
 
「そうですね……」
 
「いい」
 
私の目をごまかせると思ってるのかしら?甘いわね
 
なんかさっきからおしりにひっかかるのよね。邪魔でしょうがないわ。
ポケットに何か入れてたかしら?
 
………!!!!
 
い、いやまさかね!ありえないわ!
私は確かに昼休みに財布をここに忘れていった…………?
ま、待ってよく考えると団室を出るときポケットに入れたような……
そんなはずない!ほら!この手にあたる物体は………これは………
………
……

 
この形、この感触。間違いないこれは私の財布ね……。
 
ど、どうするいまさら『ごめん、ごめん!実は私が持ってました!』なんて言えない!言える空気じゃない!
この雰囲気でそんなことを言ったら………だ、だめ!それだけはできないわ!
 
「どうかしたんですか?」
 
!!!いけない!財布を持ってること気付かれてはいけない!ここは冷静に切り抜けるのよ
 
「べ、別になんでもないわ」
 
どうしよう!?このまま財布を持ってると危ない気がする!何か、何か打開策はないの?
そうだ!この財布他の人のカバンに入れとけばいんじゃない?
そうすれば疑ったことも正当化できて完璧じゃない!
さすが私!今日も冴えてるわ!もうこの手しかない!
 
ただ唯一の問題は誰に犠牲になってもらうかね……
んー。まあ、誰でもいいか!誰にしようかな神様の言うとおり…………
 
おめでとう!古泉くんに決定ね!
 
「じゃあまずはみくるちゃん、荷物をだしてみて」
 
みんなの視線がみくるちゃんに集まった!今よ!
 
ポトッ
 
よしっ!カバンの中に入った!誰にも気付かれてない!
あとは古泉くんのカバンから財布が見つかれば万事解決!
 
ごめんね、古泉くん!犯人になっても許してあげるから!だから古泉くんも許してね!
 
 
――古泉視点――
まったく面倒なことになりましたね。涼宮さんの財布が盗まれるとは
 
「みくるちゃん………これは何?」
 
「あっ!そこにあったんだ!たまごっちですよ!たまごっち!かわいいですよね!
なくしたと思ってずっと探してたんですよ!」
 
「いまどきたまごっちって……」
 
「???たまごっちはこの時代の女子高生の標準装備ですよね……?
鶴屋さんもおもしろいって笑ってたし……」
 
「朝比奈さん……それは違う意味で笑ってたんだと思いますよ」
 
「???」
 
……未来組織は何を考えて彼女をこちらに送ってきたんでしょうか?
 
「朝比奈さん、このたまごっち死にかけてませんか?」
 
「う○こがたまって病気になってるわね」
 
「ええ!!か、かしてください!」
 
ピーーーーー
 
逝きましたか……
 
「あ、ああ……わ、わたしのまめっちがぁ」
 
この調子だと朝比奈さんの荷物検査はけっこう時間がかかりそうですね。
 
 
ん?なんですかあれは!?どうして涼宮さんの財布が僕のカバン中に!?
 
ま、まさかはめられた??何ものかが僕を犯人にしようとしたのですか?
………
……

 

ふっ、ふふふ、はーはっはっは!やりますね。やられましたよ。
しかし、相手は詰めがあまいですね。僕がこんな手にかかるとでも?
僕を舐めないでもらいたいものです。
一部の人間の間では機関一の切れ者とも呼ばれているんですよ。
ここから財布を入れやすそうなのは彼ですね。
恨みはないのですがこの際仕方がない。
僕は神人との戦いで投げることには慣れてますからね。
カバンを狙うことなんて簡単です。
こう手首のスナップをきかせて
 
ふんもっふ!
 
「次は有希ね……」
 
 
――キョン視点――
やれやれ。
さっきは勢いで長門のせいにしたが実際、あいつが盗むわけがないからな。
宇宙人が金に困ってる姿なんてまったくもって想像できん。
でも長門たち宇宙人はどこから金を手に入れてるんだ?
バイトとかをしてるって話は聞かない。
正当な方法で金を手に入れることはできないだろう。
 
……まさかとは思うが本当に偽造してるんじゃないだろうな?
あの長門パワーを使えば偽札なんて完璧に作れるしな……
長門が金を作ってる姿が容易に想像できる……。
あとで確かめてみるか。
 
とにかく早く終わらせてほしいもんだ。俺には何も関係ないしな。
それに俺のカバンにはやましいものなんて入ってなry………
ないないないない!

疑問1あれはなんだ?
 
財布だ。
 
疑問2俺のじゃないな。誰のだ?
 
間違いなくハルヒのだろうな。
 
疑問3Why?俺のカバンの中に?
 
検討もつかない。
 
ラストだ。
このままだとどうなる?
 
『最低ね』
『そんな……キョン君が』『………失望した』
『罰が必要ね。古泉くんGO!』
『イエッサー』
『ノォォォォォォ』
 
悪夢だ。このままだと俺は死んでしまうだろう……
 
どうする?どうするよ、俺!
今この状況でできることは……できることは……
ここはしょうがない朝比奈さんに預かってもらおう。
 
朝比奈さんなら犯人じゃないと信じて財布を受け取ってくれるはずだ!
朝比奈さんを凝視する。古泉が邪魔だ。声を出すと聞こえるし、なぜかさっきからちらちらと見てくる
朝比奈さん!そんなに落ち込まないで気付いてください!
 
「……お茶ですかぁ?」
 
NO!ちっがーう!
これ財布ですよ!ああ、声は出さないで!その口を手で覆う仕草もかわry……
………
……

 
必死のジェスチャーがやっと伝わった。
古泉に注意しつつ、机の下から朝比奈さんに財布を渡してっと
詳しいことはあとで説明すればいいだろう。
 
これでひとまず俺は安全だ。
 
「次はキョン、荷物出しなさい」
 
 
――みくる視点――
もう亡きまめっちのことは忘れよう……
とにかく!
キョン君が犯人なはずないです。きっと何か理由があるんですよ。
何かはわかりませんが……きっと違うはずです。
 
でも……この財布受け取ったのはいいんだけどどうすればいいんでしょうか?
荷物検査が終わって安全だしこのまま持ってればいいんですよね?たぶん
わたしは持ってても危ないことはありません。
涼宮さんに隠してるのは悪い気がしますが……しょうがないですね。
 
「みくるちゃん、お茶」
 
「あ、はーい」
 
涼宮さんはお茶を飲むペースが異常です。
 
あっ
 
ガシャーン
 
また、やっちゃいました……湯飲みが割れちゃってる……
 
「みくるちゃん。どじもいいけど場を選びなさい」
 
す、すいません……
あれ?財布がなくなってる!?
どうして!?
も、もしかしてに転んだ拍子に飛んでっちゃったんだじゃあ……?
いいったいどこに!?
 
!!!ああ、涼宮さんのポケットに財布が!
どうしよう!?
こんなときに未来の狸型ロボットがいればなんとかしてくれるんですが
あっ、でもあのロボットは故障してるのか自分は猫型だと言ってるんでスクラップにしたんでした。
耳もなくてあの体系で猫はないですよ。
 
話がそれましたが、よく考えるとそもそもわたしはどうもする必要ないんじゃないですか?
財布が持ち主にもどった。ただそれだけのことじゃないですか。
わたしはなにも悪いことはしてません。
知らんぷりしてればばいいですね。
 
「さ、最後は古泉くんね。古泉くんのカバンから私の財布が見つかっても……
も、もちろんそんなことはないと思ってるけど……
私は寛大だから古泉くんを許してやらないこともないわ」
 
 
――ハルヒ視点――
財布が…………見つからない……?
私は確かに古泉君のカバンに財布を入れたはずなのに……
どうして……?
もう全員調べたのに財布が出てこない。
いったいどこにいったの、私の財布?
 
「私たちが持っていないとゆうことはあなたが嘘をついている可能性がある。
涼宮ハルヒ。あなたの持ち物も調べるべき」
 
「いいわよ」
 
どうぞ、どうぞ。すきなだけ調べていいわ。
最初に感じた嫌な予感はこのことだったのね。
財布をそのまま持ってたら今頃大変なことになってたわ。
 
なんかさっきからお尻にひっかかるのよね。邪魔でしょうがないわ。
ポケットに何か入れてたかし…………
 
!!!!
……なに?このデジャブーは?
さっきも同じことを言ったと思うのは私の気のせい?
気のせいであってほしい。 
このパターンはまずい気がする。物凄く嫌な予感がする。
 
ポケットの中に手を入れるとそこにあるのは……
…………
………
……

 

~現在~
 
絶対絶命ってやつね……
逃げようにも前には四人が迫ってきていてドアに近付けないし、後ろは窓。
さすがの私ももうここからできることは……
 
「涼宮さん、覚悟してください」
 
「ハルヒ、さっさとだすもの出して楽になれよ」
 
「あきらめたほうがいい」
 
「涼宮さんがわたしたちをだますなんて……」
 
何もない。
 
ごめんねお母さん、お父さん。私はもう逝くしかないみたい……
 
 
――…………ゲームセットです
 
なに……?この電波は……?頭に響いてくる。
 
――…………たらそこでゲームセットです
 
この声はまさか!あ、安西先生……!?
 
――あきらめたらそこでゲームセットです!
 
そうだ!まだやれることはきっと残っているわ!安西先生!先生……ありがとうございます!
 
 
チャンスはまだあるわ。後ろは窓。一瞬のスキをついて財布を窓から投げ捨てればいい。
要する時間は2秒……ううん、私なら1秒あればできるわ。
 
だけどこの四人を相手にスキを見つけるのは至難の業。
自分から仕掛けるしかない。
流れ出すのはピンクレディのあの曲………指を天井に向けて
 
~♪♪♪ 
 
「UFO!」
 
「えっ!?」
 
ちょっwwwwwバーローwwwww室内でひっかかんなwwwww 
ハッ!今のはなに?って早くしないと!
 
おりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!
 
「どこにUFOいるんだよ?」
 
「勘違いしてたみたい。それはいいからさっさと調べなさい」
 
「今までお前が逃げてたんだろ」
 
「なんのこと?」
 
「やれやれ」
 
財布はあとで回収すればいい。
 
計画どおり!

<終>
 
 
 
 
おまけ
谷口「WAWAWA忘れ物~。おっ!財布じゃん!しかも一万以上入ってやがる!
資金もできたしナンパでも行くか!」


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