プロローグ

「ちょっと!キョン!あたしのパートナーの自覚あるの?後ろがら空きに
したら死刑だからね!」
やれやれ、うるさいやつだな。お前もそんなこと言ってる暇あったら俺
の後ろをちゃんと護って欲しいんだがな。

今、俺たちの手には自動小銃が握られている。何でこんなことになった
のかって?それを知るには二週間前に戻らねばなるまい。まぁ結局はハル
ヒの退屈しのぎなんだがな。



長ったらしい梅雨も俺の心に雨を降らす期末テストもとうに過ぎあとは
夏休みに入るのを待つだけの七月中旬。北高生の健康の源である長い坂を
登りようやく学校に到着する。この山を崩したらもっと学校も広くできる
のにな。などとくだらないことを考えながら教室に入る。なんだ、騒がし
い。あんな坂を上った直後によくこんなに騒ぐ元気が残っているな。俺に
も少しくらい分けてくれよ、と思いながら喧騒の中心となっている教室前
方の黒板へ向かうとそこには張り紙が張られていた。

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クラス対抗 サバイバルゲーム大会 開催のお知らせ

                    北高校 生徒会執行部

今年から以下の日時、場所においてクラス対抗サバイバルゲーム大会を
開催する。

日時  7/24  午前9時 開会式 9時30分 試合開始
     25,26 午前9時 戦闘開始

場所  鶴屋山特設会場

尚、ルール、会場への地図などは別冊の要項に記載してあるので熟読す
るように。

 だそうだ。


このクソ暑い中に生徒会も物好きだな。などと思うことはなく、生徒会
主催、鶴屋家協賛の時点で涼宮ハルヒの思いつきであることが推測できる。
生徒会ということは古泉の機関も一枚かんでいるだろう。あぁ、俺はいつ
から物事をこれほどまでに斜めに見るような人間になってしまったのか。
そんなことを考えていると教室の後ろのドアが爆発音とともに開いた。や
れやれ、おでましだぜ。
「キョン、聞きなさい!サバイバルゲームをやるわよ!」
やっぱりか。俺は右手を額にあてやれやれとつぶやきながら黒板のほう
を示した。ハルヒは「どきなさい!」だの「邪魔よ!」だのと怒号を発し
ながら黒板のほうへズカズカと進んでいった。


黒板の張り紙を引っぺがしたハルヒは100Wの笑顔で
「キョン!これに出るわよ!」
と言い放った。
「出るわよもなにも校内行事だ」
「ちょうどいいわ。昨日メタルギアソリッドってゲームをやって無性に銃
をぶっ放したくなったのよね」
原因はそれか。
「ぶっ放したくなったでぶっ放されちゃいい迷惑だ」
「いちいちうるさいわね。だからそのサバイバルゲームでぶっ放そうとし
てるんじゃない!!」
ここがアメリカじゃなくて本当によかった。もしこいつがアメリカに移
住したなら三日で逮捕されるであろう。日本の銃刀法バンザーイ。
「ところで・・・それが要項冊子か?」
「そうみたいね」
「ちょっと貸せ。」
長いな・・・。・・・長すぎる。

さて、ここで皆さんにもこのゲームのルールを見てもらおうと思う。



大会形式:学年別のトーナメント方式によって学年一位までを決定する。
       学年を超えての順位決定戦は行わない。
       三位決定戦は行わない。(三位を二クラス決める。)


チーム:先頭チームは一クラス25人のチームとする。
      リーダー一名を事前に選出しておくこと。
      戦闘に参加しないものは本部での無線員、参謀として参加する。

無線システム:戦闘員には耳に装着するトランシーバーを供給する。
         戦闘員からの発信は本部のみに伝わり、
         戦闘員への発信は本部からいっせいに伝えられる。

武器:空気式自動小銃一丁、ゴムナイフ一本、戦闘服一着を供給する。
    空気銃の個人での持ち込みも認めるが執行部の許可を受けること。
    銃弾は試合開始前にチームカラーの着色弾を供給する。
    ナイフも同様に試合開始前に接触時にチームカラーの裂傷痕が残る
    ものを供給する。

罠など:落とし穴、塹壕を本拠地を除く自陣内に設置してもよい。

準備時間:本部での両チーム顔合わせ後15分以内に自陣本拠地に
       戻ること。

本拠地:半径5mの円で中央にチーム旗を配置する。

先頭離脱:戦闘服胸部、腹部、背部、ヘルメットに相手カラーの銃痕
       もしくは戦闘服胸部、腹部、背部に相手カラーの裂傷痕を
       受けた場合、先頭から即刻離脱すること。 

勝敗の決定:チーム全員の先頭離脱、もしくは本拠地に置かれた
        旗を相手兵に本拠地外へ強奪された場合、
        そのチームを負けとする。

組み合わせの決定:24日開会式後にチームリーダーの
             抽選によって決定する。

本校購買、学食で使用できるチケットを優勝クラスには15,000円分、
準優勝クラスには9,000円分、三位クラスには6000円分を進呈する。

              提供:鶴屋家

長ぇよ・・・・2レスも使いやがって。まぁ誤解をなくすにはこれくらい
必要なのかもしれないな。それはさておきこの要項にいくらかツッコミを入
れておくべきだろう。
まずは・・・あの山はマジで鶴屋山というのか?てっきりハルヒが適当に
つけた名前だと思っていたんだがな。それに素人の俺にでもわかるくらいハ
イテクなサバゲー用装備がそろっているな。これは・・・喜緑さんだな。長
門の仲間というくらいだ。それくらいの装備は作れるかもしれん。
・・・ん?まだツッコミたい所があるのか?もうセルフでやってくれ。俺
はしらん。


「キョン!絶対に優勝するわよ!チケットがかかってるんだからね!」
俺には任せないでいただきたいのだがな。銃器についてなら俺より国木田
の方がよっぽど詳しいはずだ。サバイバルゲームの戦略やらなにやらもあい
つのほうが俺より役に立つぞ。とりあえず岡部が来たから座れ。

 ――――― 緒戦 VS 9組 With 古泉 ―――


さて、今日は七月二十四日、つまりサバゲー大会当日である。憎たらしい
ほど晴れてんなチックショー。鶴屋山までのバスは北高生がこれでもかとい
うほどにつまっていた。それにしてもなぜ夏休み3日目とか言うタイミング
でこんなことをせねばならぬのだ。くそっ、忌々しい。


そして九時だ。開会式だそうだ。校長がなんか言っている。あいにく今の
俺にはそんなもの聞く耳は備わっていない。たった二日間であっても夏休み
モードにはいった頭に9時集合は厳しいものがあるな。

・・・・。


お、次は鶴屋さんか・・・。だめだ。人間って立ったままでも寝れるよう
だな・・・・!!
「キョ~ン~!あんたはこれから戦おうって言うのに寝るなんていい度胸ね。」
「・・・・だ・・から、後・・・ろか・・・ら・・絞めるな・・・!!」
「負けたら死刑だからね!」
・・・・今・・・にも死・・・にそ・・・うだが・・・ぐぇ。ようやく離
したか。マジで死ぬかと思った。ってもう開会式終わってんじゃねぇか

チームリーダーとなった国木田のくじによって俺らは第一試合だそうだ。
「涼宮さんは・・・僕の銃使う?」
まさか国木田がここまで銃オタだったとはな。4丁も持ってきてるじゃねぇか。
「これは?」
「それはL85だね」
「知らないわ。これは?」
「AKだね。AKM」
「知ってるわ。メタルギアに出てきたもの。うん。これね」
「そう?じゃぁ貸してあげるよ」
「ありがと」
「じゃぁ俺はこれだな。」
「え?谷口も借りるの?」
「おう。これなんていう銃だ?」
「スプリングフィールドM14だね」
「よし。使わせてもらおう」
「キョンは?」
「俺はいいや。生徒会のやつを借りるさ。それよりお前が使う銃はあるのか?」
「ステアーがあるから大丈夫だよ」
「そうか・・・」
・・・お前は何丁持ってるんだ?

さて、ここで皆さんに我がクラスの配置を見ていただこうと思う。

本拠地 隊長 国木田(ステアーAUG) その他9名 計10名

先行隊 谷口(スプリングフィールドM14 DMR) その他4名 計5名

本隊  ハルヒ(AKM) 俺(FA-MAS G2) その他8名 計10名

本部  参謀 阪中 その他3名

国木田いわく、本拠地の守りは完璧らしい。やけに自信満々だったな。
あとは谷口率いる先行隊、俺とハルヒ率いる本隊の攻撃力にかかっている
らしい。ちっ、そんな役回りだぜ。おっ。そんなこんなで戦闘開始のよう
だ。緒戦は・・・9組、ってぇと・・・古泉か。ぎったんぎったんにして
くれるわ。

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