G追悼

「そういえば貴方はあまり苦手ではないようですねぇ、私ですら恐怖を覚えますよ。全身鳥肌です」
「見せんでいい。…小さい頃はちょくちょく田舎に帰って遊んでたからなぁ。あれはいないんだが、似たようなものに慣れてるんで
ある程度免疫があるやもしれん。今でも田舎には年に2,3回は行ってるし…あ、すいません朝比奈さん……」
「いいんですよぅ、キョンくん。気にしてませんから。でもあなたの田舎にはいないんですねぇ、いいなぁ」
「気候のせいでしょうね。…そうだ、今年はみんなで行ってみましょうか?2つ3つ広い部屋を持て余してるみたいですし、どうだ長門」
「…非常に興味深い」
「ですねぇ、でもまずは涼宮さんに進言してみてはいかがですかね」
「そうだなぁ、あいつが行くとなると2.3週間は向こうで時間が欲しいところだ」
「ほう…すばらしいところなんでしょうね」
「あぁ、お前に誘われていくように瀟洒な場所はねぇが、絵に描いたような田舎だよ。
いつの日か、歳食ったらあそこで生活しようか、とか考えたりするかもしれんな」
「キョンくんは未来が見えるんですか……?あっ!やだ、ええと…ふぇ…」
「?どうしました朝比奈さん、そうだ長門、今ハルヒがどこにいるかわかるか」
「スーパーマーケットに到着したが、自分の要求を満たす商品が無かったため薬局に向かった」
「「「………」」」

「なぁ」
「はい、なんでしょう」
「こんな事でハルヒパワーは炸裂したりしないよな」
「…いえ、実は先程、対象の全滅を確認しまして。恐らくは世界規模の改変だったと思われます」
「こりゃぁ、あいつの好みやらを聞いておく必要があるようだなぁ…」
「それは貴方の役目ですかね。まぁ、あれを平然と受け流した貴方と長門さんが信じられませんよ。」
「ほんとですよぅ!絶対あれが怖くないなんておかしいです、私もまたビーム打っちゃったみたいだし…
あぁ…未来にあれを禁則事項にしてもらうように提案します。名前を言いたくないですよぉ……ふぇ…」
「そういえば俺の知ってる未来の存在は同じようなシチュエーションで地球を破壊する爆弾を出した気が…」
「そ、それは今回は平気でしょう。朝比奈さんのほうは涼宮さんと思惑が合致したんでしょうねぇ…」

「なぁ長門、お前にも怖い物あるのか?……あ、消えるとかそういうのは抜きにだぞ、その時はきちんと言うんだぞ」
「…それは了解した。それと私はあのような対象に恐怖し取り乱す事はない。安心して。怖い物はあったほうがいいの?」
「…いや、まぁどうなんだろう、そのほうがかわいいとか…な古泉」
「ははは、そうかもしれませんねぇ」
「あれはいやですよぅ……」
「……そう、私にとって怖い……」

「ずぉりゃあああああああああああああああああ!敵はどこ!買って来たわ、最新式の兵器をっ!」
「おかえり、ハルヒ。敵はそこの窓から逃げたぞ、どうでもいいがここから一番近い薬局まで3kmはあったと思うが」
「ふひひっひっひぃ、あいつはこの世にいてはいけない存在なのよぉおお!異論は存在しないし認めないわ!
見てよここ!髪の毛少し抜けちゃったわ…ぅぅ、とんだ醜態を晒させやがってええぇぇぇぇ…」
「涼宮さん、お茶淹れますから落ち着いてくださいぃ」
「僕の知り合いに業者がいますから、先程連絡しましたしどうか落ち着いてください」
「そうだぞハルヒ。まぁ俺は平気だったんだが…それはそうと、まとまった休みにみんなで俺の田舎にいかないか?」
「どうしてそんな話になってるの?よく分からないけど、あんたがイベント提案なんて珍しいわねぇ」
「おう、お前に自信を持ってお勧めできる場所だからな。どうだハルヒ」
「うん、……いいかも。で、でもなんでそんな話になったの?」


「いや、何が怖いかとか、そういう話になってな、まさっきのあれを得意とする奴なんぞいないだろうから除外するとして
お前には怖い物あるのか?」
「……何よ。聞いてどうするの?枕元にでも……あっ!そ、そうねぇ……」
「何真っ赤になってるんだ?真っ青になるなら分かるけど。あ爆弾は出すなよ」
「わけわかんないわよ」

「…………私は、貴方達2人が怖い、貴方に……る…怖い」

「私はキョンくんが怖いかなぁ……色々と…うん」

「僕も同じですねぇ、たぶん朝比奈さんと同じですよ。思うところは」

「…なんか、非常に納得がいかないんだが」
「貴方はいかがなんですか?」

「…俺は、んー…げ、…っく」
「何を身悶えておられるのですか」

「…ハルヒだ。…色々な側面から」

「何よ!それ…てか私はキョンだわ。間違いなく」



ホワイトボードに旅行の日程を書いていた朝比奈さんの足元にフナ虫が蠢き部室が地鳴りを上げ恐慌状態に陥った
のを、ぼんやりと見つめていた長門がポツリと告げた。いわく、代わりのものが来たという事である。
「…質量保存の法則。タイムパラドックの変異」
………うそつけ。
扉を破壊して逃げていった朝比奈さんと、部室から逃げずになぜか踊り狂うように錯乱した古泉
先程購入してきた兵器をたった一匹のフナ虫が動かなくなるまで瞬きもせず噴霧し続けるハルヒ。
缶の中身が空になったところで、俺はハルヒが気絶していた事に気が付いたんだ。

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