~昼休み生徒会室~
俺は今、生徒会室にいる。
…。
コンコン
…。
「古泉です。」
「入れ。」
俺がそう言うとにやけ顔の男子生徒が入って来た。
「お呼び立てして申し訳ありません、会長。」
「用件は何だ、古泉。」
まぁ、予想はつくがな。
「最近また涼宮さんが退屈し始めましてね。また協力願えませんでしょうか?」
「協力願えませんでしょうかって…俺がどう答えようと協力させるつもりなんだろ?」
「ははは、分かっておられるなら話は早い。
それでは、今回のシナリオですが…。」

俺は古泉の言葉を遮り声をあげた。
「待て、古泉。」
「なんでしょうか?」
「いや、最近な…教師どもや生徒会執行部の連中からの突き上げがひどいんだ…。」
「?。」
「いつまであの連中を放っているんだ…とな?」
「…それで?」
「お前はいつか言ったな?
『我々はいかなる敵と戦っても必ず勝利するでしょう』
…と。」
「……。」
「…試してみても良いか?」
…。
…。
古泉は笑みを消し、しばらくの沈黙の後答えた。
「…なるほど、本気でSOS団を潰しにかかる…そういう事ですね?」

「さすが古泉だな、話が早い…。
まぁ悪く思うな。いつまでもお前の操り人形でいるつもりは無いんでな。」
「それは宣戦布告と受け取ってもよろしいのでしょうか?」
「そう捉えてくれて結構だ。」
「なるほど…了解しました。
しかし忘れ無いでいただきたい。」
「ん?」
「我々はいかなる敵と戦っても必ず勝利するでしょう…この言葉を。
後悔なさらぬように…。」
古泉はそう呟き、生徒会室を後にした。…。
……ほざけ…。
…。
…。

…ん?状況が分からないか?
軽く説明してやろう。
俺は生徒会長…お前らも知っての通り俺は涼宮ハルヒとか言う電波女を楽しませる為だけに生徒会長に就任させられた男…。
雰囲気や容姿があの電波女のイメージに一番合っている…ただそれだけの理由でな…馬鹿げた話だろ?
俺はそんな馬鹿な事を律儀にもやって来た訳だが…元々俺は人に命令されるのが大嫌いな男だ。
今の状況にいい加減イライラしてきた所で古泉からの呼び出しがあった。
…。
…もう分かっただろ?
俺はあの馬鹿げた団体を潰す…本気でな。
…。
…。
…。

~放課後生徒会室~…。
…。
「諸君。良く集まってくれた。」
俺は生徒会室に集まった面々にそう言った。
「会長、突然の収集…一体何事でしょうか?」
「うむ、今回諸君らに集まってもらったのは他でもない…SOS団についてだ。」
「…会長…もしや遂に!」
「そうだ、あの無法集団に鉄槌を与える時が来た。
諸君らの力を借りたい。」
「おお!遂に会長が動かれますか!?」
「勿論です!」
「あの無法者達に正義の裁きを与えましょう!!」
「うむ。しかし諸君らも知っての通り奴らは常軌を逸した集団だ。
うかつに手を出すと痛い目を見る可能性がある。
これから一週間、奴らの情報収集に務めてくれ。」
『はい!』
…。
…俺は一同の面々を見る。
生徒会執行部…俺が選んだ十数人からなる精鋭の集まりだ。

そして皆、俺を尊敬し、俺の意のままに動く…どうだ古泉、これが俺のチームだ。
「では解散。一週間後の報告を楽しみにしいる。』
…。
…。
…。
~一週間後の生徒会室~
…。
…。
「さて、一週間たった訳だが…情報の方はまとまったかね?」
『……はい。』
ん?何故か皆元気が無い様に見えるが気のせいか?
「会長、これが資料になります。」
そう言って俺に資料を渡したのは喜緑江美里…生徒会で書記を務める有能な女子生徒だ。
俺の右腕と言っても過言では無いだろう。
…。
パラ…。
…。
俺は資料をめくる…。
…。
…。

【涼宮ハルヒ】
SOS団団長。
一年生。
成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群。
天から二物も三物も与えられた代償として一番大切な物を取り上げられた女。
自己中心的、わがまま、他人と同じ事を嫌い、黒い物をあえて白と言い張るひねくれ者。
その性格は破綻しており矯正は不可能と思われる。
…。
…。
付属された隠し撮り写真を見る…ふてぶてしい顔だ。
性格さえまともなら間違いなく学校の人気者になれたろうに…もったいない。
…。
「こいつについては特に語る必要は無いだろう。」
「そうですね。では次に…。」
…。
ページをめくる。

…。
…。
【キョン】
SOS団雑用係。
一年生。
涼宮ハルヒと同じクラス。彼の言動がきっかけで涼宮ハルヒがSOS団を結成したとの噂あり。
成績、容姿、運動神経、特に秀でた部分は無し…いわゆる普通。
しかし、図太い性格をしている様で時に主導権を握っている場合があるとの情報。
変人、年下に好かれる性質との噂。
…。
…。

「おい。」
俺は執行部の男子に言った。
「なんですか会長?」
「こいつの名前…キョンとはなんだキョンとは?あだ名か何かかね?本名はどうした!」
「いや…それが…書けないんです…。」
「書けない?」
「本名はこれになります。」
そう言って印刷された名前を示した…。
「名前は分かったが…書けないとはどう言う事だ?」
「…では会長、書いてみて下さい。」
何言ってんだこいつは…。
俺はそう思いながら名前を書こうとしたが…。
「……な!…手が…動かない…。」
どう言う事だ…。

「同じ様に…口に出す事も出来ません。」
口に出そうとしたが…何かに引っかかったかのように声が出ない…。
「…これは…。」
「謎です。調査しようとしましたが身の危険を感じましたので中止しました…。
どうかあだ名のキョンで通していただきたいと思う所存です。」
「身の危険…って。」
「お願いします。」
「…うむ、分かった。」
…。
…突っ込み所は満載だが…まぁ、何やら必死だし…いいか…。
「しかし、この男…経歴だけ見ると普通だな。」

「はい、何故この集団の中に居るのか…涼宮ハルヒと付き合っているとの噂もありましたが実際はその様な関係では無いとの事です。」
「ただの凡人では無いんですか?」
「待って下さい。
この集団の中で普通で居られる事自体ですでに普通では無いと思います。」
「そうですね…。
非凡を装う凡人は恐るるに足りませんが…凡人を装う非凡ほど恐ろしいものはありません。」
「あるいは…自分を普通と思いこんでいる変人かもしれません。」
…議論が続いているな…まぁ名前が書けない、口に出せない時点で普通じゃ無いんだがな。
「こいつは舐めて掛かれない…そう言う事だな。」
「それが賢明だと思われます。」
「分かった…では次…。」
…。
…。
ページをめくる。
…。
…。

【長門有希】
団員であり文芸部ただ一人の部員。
当初は涼宮ハルヒに部室を占拠された哀れな被害者と思われたが、当の本人は本さえ読めれば良いらしい。
SOS団の影の実力者であり万能選手との噂あり。
整った顔をしているが、無表情で無口。
感情の起伏が殆ど無い為その考えを読むのは至難。
…。
…。
「ふむ…これを見る限りでは特に警戒する必要はなさそうだな。」
この娘は一度生徒会室に呼び出した事がある。
小柄で線の細い娘だったと記憶している…影の実力者とあるが、ただの噂だろう。
「そうですね。」
「写真をみる限りでも…問題無いですよ。」
俺の意見に同意する声が聞こえる。
「待って下さい。」
ん…?喜緑君?
「彼女を甘くみるのは危険だと思われます。」
「…その理由は?」

「この写真を見て下さい。」
そう言って彼女は一枚の写真を見せた。
…その写真の説明をしよう。
文芸部室で長門有希が本を読んでいる。
その周りに涼宮ハルヒを始めとする他の団員が倒れている…白目を剥いて。
「これは…!?」
「はい、この写真は特殊なルートから手に入れました。
これは先週の月曜日の事です。
見ての通り、他の団員が倒れている中で何事も無かったかの様に彼女は読書を続けています。」
「……。」
「その後彼女を除く皆が3日間学校を欠席しました。」

「…。」
「欠席の理由を聞いた所それぞれの答えですが。
『覚えていない。』
『思い出したくない。』
『泣くばかりで何も答えない。』
『ただの悪夢ですよ…ただの。』
…。
…との事です。」
「…すなわち?」
「はい、恐らくはあの日、文芸部室で何やら惨劇が行われた事と推測されます。
長門有希を中心に…。」
…。
…。
しばらく沈黙が流れた…。
…。
…。
「…で、その惨劇の内容は?」
「不明です…。しかし語りたくない様な事が行われたのは確かな様です。」

「……分かった。長門有希…注意しよう。」
隠し撮りの写真を見ると…やはりそこには線の薄いただの少女しか写っておらず…まぁ良い。
…。
…。
「では次だ。」
…。
…。
ページをめくる。
…。
…。
【朝比奈みくる】
元書道部でSOS団副々団長にしてお茶汲み係。
唯一の二年生。
SOS団結成の日に書道部から拉致されSOS団に入団させられたある意味被害者とも言われる存在。
しかし今や伝説となっている校門でのバニーガールでのビラくばり、その後自主制作の映画でも数々のコスプレ。
部室では常にメイド服姿…とコスプレ癖があり。(涼宮ハルヒに無理やりさせられてるとの情報も)
容姿端麗で校内に数々のファンクラブの存在が確認されている。

それぞれ
・メイド服派
・バニーガール派
・制服派
・ウェイトレス派
と別れ水面下で激しい争いを繰り広げているらしいが、もし朝比奈みくるに危機が迫った時には手を取り合うとの密約がなされているもよう。
…。
…。
「……うかつに手を出すと危険と言う事か…。」
「はい、ファンクラブ内には武闘派も揃っており…危険ですね。」
…。
…。
隠し撮りの写真を見るとメイド服姿でにこやかな笑みを浮かべている…実は俺もファンの一人だ。
この写真は俺が貰おう。
……。
…。
「分かった。次だ。」
…。
…。
ページをめくる。

…。
…。
【古泉一樹】
SOS団副団長。
一年生。
転校して来たその日に涼宮ハルヒに捕まりそのまま入団。
何故か副団長の肩書きをもらう。
容姿端麗、成績優秀、運動神経もかなり良く性格も穏やかで常に温和な笑みを浮かべている。
そのせいか、校内にファン多数。
しかし彼女の存在は確認されておらず、一部の腐女子等にホモ疑惑がささやかれている。
本人曰わく
『この世界の僕はホモではありません』
との事。
…。
…。
…この世界ってなんだ…?
まぁ良い。

「私個人としては、この古泉一樹が一番の注意人物だと考えている。」
古泉一樹…こいつの後ろには何やら怪しい組織の存在があるらしい…舐めては掛かれない。
「はい、会長のおっしゃる通りこの古泉一樹には得体の知れない部分があり…全校アンケートでもそれが現れています。
「全校アンケート?私はそんなものは知らないが…?」
「ああ、これは会長が先日不在の時に行った全校生徒を対象としたアンケートです。
もう結果は出ております…その話は後ほどに。」
ふむ、興味深いな。…。

…。
隠し撮りした写真を見てみる…ん?
「おいキミ」
「はい、何でしょうか?」
「これは隠し撮りした写真なのだな?」
「はい。」
「なら何故全てカメラ目線なんだ…こいつは…。」
写真に写る古泉…全て微笑みを浮かべ、カメラに目線を送っている…。
「はい…彼を写した写真は何故か必ずカメラ目線になってしまうんです…。」
「不思議な事に望遠レンズで写した写真も…この通り。」
…。
かなり遠くから写したと思われる写真…古泉一樹はしっかりとカメラ目線だった…。
やはり得体の知れない奴だ…。
…。
…。

「団員は以上だな…。」
「はい、しかし他に準団員と言える存在があるようです。」
「準団員?」
「はい、植民地化されたコンピ研を始めとして複数人存在するみたいです。」
「それで?」
「はい、その中で気になる人物が2人居ました。」
そう言って二枚の写真を出した。
「谷口と鶴屋です。」
谷口と鶴屋?
…鶴屋は分かる。二年の女だ…たしかにあの集団に関わっているなら軽視は出来ない奴だが…この谷口とは…?

「谷口とは…。」
そう言って資料を差し出す…。
…。
…。
…。
…ふむ、涼宮ハルヒ、キョンと同じクラスメート。
成績やら容姿やら…とるに足らない奴に見えるが…。
「この谷口についてです…当初は特に注意する所は無いと思ったのですが…これを…。」
そう言って差し出した複数の写真…そこには廊下で友人と談笑してると思われる谷口の全身が写っていた。
「全部で40枚あります。」
40枚…しかしこれは。

「全て同じ写真ではないのか?」
「いえ、これは一秒間に40枚撮影出来る高性能カメラを使って撮った写真です。」
「一秒間に40枚?」
「はい、よく見て下さい…何か違いが分かりませんか?」
違いだと?
俺は写真を見るが…分からん…。
「分かりませんか…では23枚目と24枚目の写真をご覧下さい…。」
…。
…………あ!これは!?
「チャックか?」
「はい、チャックです。」
写真を見ると23枚目と24枚目を境にチャックが開いている……だからどうした!!
「それがどうかしたのか!下らん!!」
「訳分からないですよ…。」
「本当にそれがどうしたんですか?」
他の連中も呆れている。

一体何を言っているんだこいつらは…チャックが開いていようが閉まっていようが知った事か!

「思い出して下さい!このカメラは一秒間に40枚撮れるんですよ!!」
「だからなんだ!!」
「一枚ごとの間隔は0.025秒…その僅かな時間に開いてるんですよ…完全に閉まった状態から全開の状態に…手も触れず…直立不動のままで!!」
…。
…。
-ー!?
…。
俺を含めた皆に驚愕が走った。
…。
…。
「この一週間で三回撮影に成功しました。」
そう言って新たに差し出した別の写真…やはり一枚を境に閉まった状態から全開の状態に変化している。
「…開きかけの…途中状態の写真は無いのか?」
「存在しません…この0.025秒の間に全てが終わっています…。」
そんな…馬鹿な…。
「不可能だろ!!」
「何かトリックがあるはずだ!」
皆が騒いでいる…当然だ…信じられん。

「何かトリックがあ「そこで僕らは一つの仮説にたどり着きました。」
「仮説?」
「はい…もしかしたらこのチャックは途中経過を省いて開いているのでは…と。」
「なにか?キングクリムゾン状態だと言いたいのか?」
「はい…たとえ一秒間に80枚…いや1000枚撮れるカメラを使ったとしても…恐らくは一枚を境に開いているでしょう…。」
「それを検証する事は出来ないのか?」
「信じられない…いくら何でもそんな…。」
「きっと凄い高速で…。」
「いや、きっとプラズマが…。」
…。
…。
…。

白熱した議論が続いている…そんな中俺は一人の男子生徒が目に付いた。
「おい、キミ!」
「…え…はい…。」
「何をボーっとしているんだ!やる気がないなら出て行きたまえ!!」
「会長!それは言い過ぎでは…。」
「ほら…お前も会長に謝って議論に参加しろ!」
「い…いや、あの…。」
「何だ、言いたい事があるなら言いたまえ!!」
そいつは口を開いた。
「あの…僕たち男の股間見つめながら何やっているのかな……って…。」
…。
…。
…。
…沈黙が流れた。
…。
…。
「そろそろ…本題に戻りませんか?」
…。
…。

…。
…。
「ゴホン…この件は…そうだな、然るべき所に送って調べてもらえ。」
「えーっと…どこが良いですかね?」
「MMRでもどこでも良い…では話を戻すぞ…。」
『はい。』
…。
…。
「では次にこの鶴屋ですが…彼女は朝比奈みくるの親友でそれが元でSOS団に関わったものと思われます。」
「ふむ…。」
「今の彼女の肩書きはSOS団の名誉顧問…らしいです。」
名誉顧問か…この女が俺たちの動きに気づいたら厄介な事になるな…。

「あの…。」
「どうした?」
「実は…この会議が始まる前に生徒会室の前で鶴屋さんに話しかけられました…。」
「それで?」
「はい…彼女はしばらく僕と生徒会室を眺めた後…これを会長に渡すようにと…。」
そう言って差し出したのは…便せん…手紙か?
「何故今まで黙っていたのかね?」
「いえ!他意はありません。ただ彼女とSOS団の関係を今知ったものですから…。」
なるほどな。
「分かった…喜緑君…。」
彼女は頷き便せんにハサミを入れ、手紙を取り出した。
…ふん、名誉顧問だったな。
『SOS団には手を出すな』
って所か…。
俺は喜緑から手紙を受け取り開いた。

…。
…。
『めがっさにょろろろ~~~ん』
…。
…。
「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「……キミ。」
「……はい。」
「鶴屋から受け取ったのはこれだけか?」
「はい…。」
「……。」
「……。」
…。
…。
…。
「………なるほどな。」
「会長!分かるんですか!?」
分かるか!!!

訳わかんねえよ…何なんだよこいつら…。
…。
…。
「もしかして僕ら……パンドラの箱を開けようとしてるんじゃ無いですか…?」
「準団員でこれですよ…団員にはもっと恐ろしい何かが潜んでいるのでは…。」
…。
…。
…みんな弱気になっていやがる…気持ちは分かるがな…。
何より俺自身が一番後悔している…。
何なんだよこいつら…全力で関わりたくねぇよ…早まった事しちまったな…俺。
生徒会室を重苦しい空気が流れている…。
…。
空気を変えねば…。

…。
「そう言えば…全校生徒を対象にしたアンケートをやったらしいじゃないか?」
「あ、はい。今回の件に関して興味深い結果が出ました。」
「では聞かせてくれ。」
「はい。ではまず涼宮ハルヒですが…。
・黙っていれば美人ランク第一位
・間違っても総理大臣に就任させてはならない人ランク第一位
・絶対に核兵器の発射ボタンを渡してはならない人ランク第一位
・直接関わらずに見ているだけなら面白い人ランク第一位
・生まれてくる時代を間違えたと思われる人ランク第一位
…。
…。
見事に5冠達成です。」
…。
…流石と言うべきか、なんと言うか。

「次にキョンですが…。
…。
一位はありませんね…。
しかし
密かに心を寄せている人ランクで16位に付けています。
後、兄になってもらいたい人ランクでもかなり上位にいます。」
「…ほう。」
「年下に好かれる傾向があるようなので…。
…そうか。
「次に長門有希ですが…。
・一度で良いから笑顔を見てみたいランク第一位
・クールビューティーランク第一位
・密かに想いを寄せている人ランク第五位
・彼女にしたいランク第十位
…。
…です。
彼女は感情をもう少し面に出すともっとランキングは上がるでしょうね。」
…。
…ふむ。
…。

「次に朝比奈みくるですが…。
・彼女にしたいランク第一位。
・思わず守ってあげたくなるドジっ娘ランク第一位
・笑顔が素敵な人ランク第三位
…その他でもかなり上位にくい込んでいます。
流石ですね。」
…。
…流石だな。
…。
「次に古泉一樹ですが…。
・彼氏にしたい人ランク第一位
・笑顔が素敵な人ランク第一位
・私の王子様ランク第一位
…。
…三冠達成です。
彼もその他のランキングで上位にくい込んでいます。」
…。
…。
…だまされてやがるな…みんな。
…。
「それぞれのランキングの上位10名ずつを生徒会だよりとして発表しようか思っていますが…よろしいでしょうか?」
「ああ、良いだろうやりたまえ。」
「はい。」
たまにはこんな遊びも良いだろう。

…俺は投票結果の書かれた紙を何気なく見つめていた……ん!?
「おい、これはどうした事だ…?」
「どうしました?会長?」
「いや、彼氏にしたい人、私の王子様、密かに想いを寄せている人、笑顔の素敵な人…谷口に一票ずつ入っているのだが…間違いか何かか?」
「え!?お待ち下さい……あ…たしかに入っています…まさか…。」
…。
んな馬鹿な…あの谷口だぞ?
…。
「投票用紙はまだ残っているか?」
「はい、まだ全部取ってあります。」
「ではその谷口に投票した奴の紙を鑑識にまわせ!」
「はい、今すぐ!」
…。
…。

…。
タッタッタッ…ガチャ!
「鑑識の結果が出ました!」
「うむ、それで!」
「はい、筆跡鑑定の結果、投票用紙に書かれた筆跡と谷口の筆跡が完全に一致。
これを書いたのが谷口本人と断定されました!!」
「やはりか!」
だと思ったぜ…。
「やっぱり…。」
「おかしいと思ったんですよ僕も…。」
「だってチャックですよチャック。」
『はははははははっ』
生徒会室が笑いで包まれた。
…。
「この谷口の自分への投票の事を生徒会だよりに乗せてもよろしいでしょうか?」
「是非ともやりたまえ!」
「はい、ではこれも発表します。」
…。
…生き恥を晒すが良い。
…。

…ん!そう言えば。
「キミ。」
「何でしょうか?」
「たしか言ったな?
…。
会長のおっしゃる通りこの古泉一樹には得体の知れない部分があり…全校アンケートでもそれが現れています。
…。
…と。」
「あ!そうでした、これをご覧下さい。」
そう言って俺に一枚の紙を見せた。
…。
【古泉一樹】
・腹黒そうな人ランク第三位
・裏で犯罪に手を染めてそうな人ランク第四位
・笑顔で犬の横っ腹を蹴りあげそうな人ランク第三位
…。
…。
「これは!」
「はい、このような結果が出ています。」
…。

「ふっふっふっ…。」
笑いが…こみ上がる…。
「はははははははっ、見てる奴はやはりちゃんと見ているんだな!」
…。
笑いが止まらん。
発表してやるからな、古泉!!
…。
…。
「ちなみにこの3つのランキングの第一位は全て会長です。」
…。
…はい!?
…。
「この3つと
…。
・絶対上司にしたくない人ランク第一位
…。
を合わせて四冠達成です。
おめでとうございます会長!」
『おめでとうございます会長!!』
…。
パチパチパチパチパチパチパチパチ…。
…生徒会室に拍手が響いた…。
こ…こいつら……。

…。
…。
「…投票用紙は残っているのだったな?…たしか…。」
俺がそう言うと皆、面白いくらいに
『ビクッ』
とした。
…。
「残って…いますけど…。」
「そうか…なら鑑識に回す。」
「駄目ですよそれは!」
「そうですよ!何故無記名なのか考えて下さい!」
「プライバシーの侵害です!」
「生徒の規範と成らねば成らない生徒会執行部として、その指示には従えません!」
…。
……ほう…。
…。
「先ほどの谷口の件はどうなんだ?」
『……あ…。』
「みんなノリノリだったな…え?」

『………。』
…。
…。
「で、では僕がやります!」
「いえ!私が!」
「いやいや、俺が…。」
「僕がしますよ…。」
…。
…ふん、証拠隠滅しようとたくらんでいるんだろうがそうはいかん!
「喜緑君!」
「はい、会長。」
「君がやりたまえ。必ず一人でだ。他の者に触らせることは許さない。」
「はい!」
彼女は元気に答えた…今この中で信頼できるのは彼女のみ…。
…。

「キャ!!」
ドシーン…。
…。
ん!どうした!?
俺が振り返ると…。
…。
「痛った~い、転んじゃった~♪……ああ!!なんて事!!
転んだ拍子に投票用紙がシュレッダーの中に…ああ…バラバラにナッチャッた…。
もう、江美里のバカバカバカバカ♪…。」
…。
…。
喜緑江美里!!!
お前もかあああああ!!!!!
…。
…。
「あ~あ、喜緑さんドジっ娘だな~。」
「でもわざと転んだ訳じゃないから仕方ないですね。」
「こうなったら仕方ありません、諦めましょう、会長。」
…。
……ちくしょう…。
もう一回言ってやる…。
…ちくしょう…。
…。
…。

俺が打ちひしがれている所で声があがった。
「会長!」
「…なんだ。」
「監視班から連絡です!なにやら文芸部室で動きがあったようです!」
「なに!?代われ!」
俺は電話を受け取り耳を当てた。
…。
「会長ですか?」
「ああ、どうした?」
「うむ、何やらもめ事が起こっているようだ…キミ!」
「はい!」
「今すぐ文芸部室まで行き会話を聞いててこい!いいか、見つかるなよ!」
「はい!了解しました!」
…。
タッタッタッ…。
…。
「一体何が起きているのでしょうか…。」
「分からん…しかし、仲間割れを起こしているとしたら…チャンスだ。」

…。
…。
…。
…。
~文芸部室、キョン~
「たまには俺の意見も聞けよ!」
「却下却下却下!アタシは団長よ!アタシの言う事は絶対なの!
おとなしく従いなさい!」
…。
俺とハルヒは今激しい言い合いの最中だ…。
ん?…状況がわからない?
心配するな、すぐに分かるさ。
…。
「お前の考えている事は絵空事なんだよ!実行不可能のな!
冷静に考えてみろよ…どう考えても時間が足りないだろうが!」

「あんたのそれではインパクトが足りないのよ!
時間が足りない?それを何とかするのがあんたの役目でしょうが!」
「出来るか!!俺のこれでも出来るかどうか微妙なんだぞ!」
この分からず屋が!
…。
「まぁまぁ、お二人共…少し冷静になって下さい…。」
「俺は冷静だ!」
「アタシは冷静よ!」
「…ふぅ~。」
ため息をつきながら肩をすくめる古泉…こいつの意見はどうなんだ?
「古泉。」
「なんですか?」
「お前の意見は無いのか?」
「当然アタシに賛成よね?」
ハルヒが古泉を脅すかのごとく睨みつけた。

「涼宮さん、申し訳ありませんが…今回ばかりは彼に賛成です。」
「…なんですって!?」
「いやいや、聞いて下さい…やはり時間が絶対的に足りないのです。
僕たちに許された時間は日暮れから夜明けまで…その間にミッションを終了しなければなりません。」
「そこはみんなで頑張れば何とか…。」
「なると思いますか?本気で…?」
「ん…。」
…珍しい事があるもんだ。
あの古泉が俺の意見に賛成し、ハルヒに意見している。
頑張れ古泉!
「…だって、インパクトが足りないのよ…ゼリーじゃ…。」

「…たしかにプリンとゼリーではインパクトの面で言うと遥かにプリンが上でしょう…しかし現実問題、時間が足りません。」
ハルヒ…本当は分かっているんだろ?
早く負けを認めろよ。
「…そうだ!みくるちゃん!」
「ふっ…ふぁい!」
ハルヒは朝比奈さんの所へ行きその両肩に手を乗せ顔を近づけた。
「とぉ~ぜんみくるちゃんはアタシに味方するわよね?」
「ふ…ふえぇぇぇ…」
こちらからはハルヒの顔は見えないが…おそらく凄い顔して脅しているんだろうな…。
「どうなの!」
「はい…私は涼宮さんの意見に賛成です。…ううぅ…。」
「聞いたわね!これで2対2よ!」
凄い笑顔で振り向きハルヒはそう言った…はぁ~…。

「有希!あなたはどっち!?」
今度は長門を引き込む気か!?
長門は本から視線をこちらに向け口を開いた。
「プリンにゼリー…どちらもにも賛成しかねる。」
「なに?」
「なんですって?」
「どちらも使い古されている…ベタ。」
…ベタか…たしかにそうかもな。
ハルヒの顔を見ると…ショックを受けているようだ。
普通を嫌うハルヒにとってベタの一言は応えただろう。
「じ…じゃあ有希は何が良いって言うのよ!」
「私はフルーチェを推奨する。」
『フルーチェ!?』
俺たちの驚きの声に長門は
「そう。」
と頷いた。
「たしかにそれは…新しいですね。」
「しかも混ぜるだけ…簡単です。」
…。
俺はハルヒと顔を合わせ…同時に頷いた。
「さすが有希ね。」
「大したもんだ…インパクトも十分だ。」
ハルヒは俺達の方を向き宣言した。
「ではフルーチェに決定!!」

…。
…。
…。
…。
~再び生徒会室~
…。
…。
ガチャ
…。
「戻ったか…で何で揉めていたんだ?」
「プリンにするか…ゼリーにするかです…。」
『はい!?』
「結局最後は長門有希の一言によりフルーチェに決定しました…。」
…。
……なんだそれは…。
「そんなくだらない事であそこまで揉めていたのか…。」
「でもなんかカワイイですね…おやつで揉めるなんて。」
「本当に、なんかほっといても良いような気がしてきましたよ。」
…。
全くだ…もうほっとくか?

「待って下さい!おやつで揉めていた訳じゃ無いんです!」

…。
おやつじゃ無い?
…。
「学校のプールを何で満たしたら面白いかを話し合っていました…。」
…。
…………はい?
…。
…。
…つまり。
「……奴らは学校のプールをプリンで満たすかゼリーで満たすかで口論していて、結局はフルーチェで満たす事に決定した…そう言う事か?」
「……はい。」
…。
…。
…。
…沈黙が流れた。
…。
…。
俺は立ち上がり窓へと向かった。
…。
…良い天気だな。
…。

…。
…。
…さて、現実逃避はこれくらいにしよう。
俺は振り向き言った。
「諸君!!SOS団…なんとしても潰すぞ!!」
『はい!!』
…。
俺は今まで学校の為に何かをしようなどと考えた事は無い。
ああ、最低の生徒会長さ…。
しかし今、初めて学校を守る為…動きたくなった。
覚悟は決めた。
…。
…。

…。
…。
「それで…どうしますか?」
「考えはある。あの部屋の責任者は誰だ?」
「…え?涼宮ハルヒですか?」
「たわけ!SOS団などという集団など私は認めていない。認めていない団体の団長が責任者でなどあろうはずがない!」
「…すると?」
「長門有希だ。あそこは文芸部室、長門有希は文芸部員だ。」
「あ…。」
「長門有希を任意同行する。」
「しかし…素直に来ますかね…。」
「手は打ってある…入りたまえ。」
…。
ガチャ
…。
「これは…空手部主将、柔道部主将、剣道部主将、ボクシング部主将、ラグビー部主将…一体何をするつもりですか!?」
俺はニヤリと笑い言った。
「今夜…長門有希を自宅にて拉致…いや、任意同行する。」
『な!?』
…。
…。

皆言葉を失っているな…だが俺の本気とはこういう事だ。
…。
「それは犯ざ…。」
「言いたい事は分かる…だが考えてみたまえ。相手はあのSOS団だ。」
「…しかし。」
「理性には理性で、無法には無法で…これが私のやり方だ。」
「心配する必要はない、責任は全て私が持つ。」
…。
「…なんて恐ろしい人だ。」
「いや、たしかにあの集団にはこれくらいしないと…。」
…。
どうやら反対は無いみたいだな。
…。
「…愚かな…猫が5匹集まったとしても竜には勝てない。」
「ん?喜緑君、何か言ったかね?」
「いえ、何も。」
…。
「では頼んだぞ!成功の暁には部費の大幅UPを約束する。」
『はい!!』
…。
「では解散。」

…。
…。
…。
…。
~車内、古泉一樹~
「急いで下さい!」
「全速です!」
…。
今、僕は機関の車で長門さんのマンションに向かっている。
…状況が分かりませんか?
OKです。
説明しましょう。
…。
今日帰宅した途端に着信がありました。
長門さんです。
…。
…。
「もしもし?」
「古泉一樹…今すぐ来てほしい。」
「どうしたんですか?」
「泥棒が入った。」

「泥棒ですか!?…もしかしてそこにまだ…。」
「そう。」
「分かりました!すぐに向かいます!!そのまま待っていて下さい!」
「待ってる。」
…。
…。
…こんな訳です。
…。
そんなこんなで長門さんのマンションに到着しました。
僕は急いで車を降り入口へ向かう。
「長門さん!僕です!」
マンションの入口のドアが開く、エレベーターは…使用中か!
階段の方が早い!
…。
僕は全力で階段を駆け上る。
…。
…長門さん…長門さん…長門さん…。
…。
…。
殺人だけはまずいですからね!!

…。
部屋の前に着きインターホンを鳴らす。
「僕です!」
…。
ガチャ
…。
すぐにドアが開き…長門さんが顔を出した。
「長門さん!無事ですか!?(泥棒の命は)」
「コクン。」
そのまま僕を部屋に招き入れた。
「それで泥棒はどこに?」
「こっち。」
…。
彼女に連れられて行った先は…キッチン?
そこに体格の良い覆面姿の男が5人、折り重なるようにして倒れていた。
「長門さん…もしかして…殺っちゃいましたか?」
僕の質問に彼女は首を振り…。
「私は何もしていない。帰って来たらこうなっていた。」
…。
…へ?

…。
「えっと…帰って来たらすでに男5人がキッチンに倒れていたと…?」
「そう。」
僕は男達に近づき脈を見る…生きてる。
しかし何故長門さんの部屋のキッチンで…。
「長門さん、何か無くなっている物はありませんか?」
「ある。」
「何ですか?」
「晩ご飯。」
「…晩…ご飯?」
「そう、作りおきしていたおかずを食べられている。」
彼女が指差す先…鍋が……なるほど…。
…。
謎は解けました。
…。
……愚かな…。
…。
…。
「さて、どうします?警察でも呼びますか?」
しかし彼女は首を振りこう言った。
「明日は燃えるゴミの日。」
…。

…。
…。
「…ふう。」
ようやく最後のゴミを運び終え一息ついた。
「お疲れ様。」
彼女が烏龍茶のペットボトルを僕に差し出す。
「いただきます。」
…。
…さて、もう大丈夫ですね。
この男達は最低3日間は目を覚ます事はないでしょう。
自らの体で実証済みです…。
…。
「晩ご飯無くなった。」
「…僕も夕飯まだなんです。
良かったら一緒にどうですか?ご馳走しますよ。」
「行く。」
「何食べましょうか?」
「カレー。」

「カレーですね…美味しい店を知っています。
…少し離れているので車で行きましょう。
なに10分程度です。」
「歩いて行く。」
「歩いて…ですか?
30分ぐらい掛かりますよ?」
「いい。歩いて行く。」
「分かりました。夜の散歩といきますか。」
…。
…。
…。
そんなこんなで今僕は長門さんと二人、肩を並べて夜道を歩いている。
「寒くないですか?」
「平気。」
「そうですか。」
空を見上げると星空が広がっている。
「…あ!」
…空を光が走った。
流れ星…あの時以来ですね…彼と2人で吊されたあの時…。

「流れ星…見ました?」
「…見逃した、残念。」
「ふふ、残念でしたね。」
「…帰りも歩く。今度は見逃さない。」
「はいはい。」
…。
…。
「…泥棒に少し感謝。」
「ん?長門さん、何か言いましたか?」
「ない…。」
…。
…。
…。
…。
~翌日の生徒会室~
…。
…。
「なに?失敗しただと!?」
俺は放課後の生徒会室で失敗の報告を聞いていた。
「はい…主将達は、長門有希の自宅マンションのゴミ捨て場で発見されました。」
ゴミ捨て場!?
「…ミノタウロス。」
「…ん?」
「何でもありません。」

…。
「…で、どんな状態なんだ?」
「それも不明なんです。毒物にやられた症状と似ていると言う事らしいのですが…何も毒物らしき物は検出されないと…。」
「…ミノタウロスの毒はこの星の今の科学力では検出出来ない。」
「ん?喜緑君、何か言ったかね?」
「何も言ってませんよ。」
…。
「医者も首を傾げている状態です…。」
…。
…長門有希宅で一体何があったんだ…?
…。
…。
「…会長…もうあの集団には…。」
「黙りたまえ!」
「……。」
…。
…まだだ…まだ終わらんよ…。

「監視班!奴らに動きはあるか?」
「いえ、何も…。」
「そうか…なら今日は解散だ…明日の土曜日、午前9時にここに集合!」
…。
…。
…。
…。
~文芸部室、キョン~
「ねぇ、もしも宝くじで2億円当たったらどうする?」
…。
…何回、何人の人とこの話題を繰り返しただろうか…?
おそらくこの話題を経験したことの無い人などこの日本には存在しないだろう…。
「キョン!聞いてるの?」
「ああ、聞いてるさ。宝くじで2億円だろ?」
「そうよ。どうする?」
「そうだな…全部貯金だな。」

「つまらないわね…。」
つまらない?
貯金がどれだけ大切な事か分からないのか?
2億もの貯金があれば毎週、理不尽なおごりを続けたとしても財布が軽くなる事は無いんだぞ…。
「お前はどうするんだ?」
「決まっているでしょ!SOS団全員でUMA探しに世界中を飛び回るわよ!」
…まったくもって予想通りの答えが返ってきた。
神様よ…まがり間違ってもこの娘に当選させることの無いよう…お願いします。
「夢のある話ですね。」
俺とカードゲームをしているにやけ顔が口を開いた。
「しかし涼宮さんの言う通り…貯金だけではつまらなくないですか?」
「ふん、ならお前ならどうするんだ?」
「やはり大人の遊びをするべきでしょう。」
…。
大人の遊び!?

…なんだその心にグっとくるフレーズは?
「大人の遊びって何?」
ハルヒが古泉に尋ねる。
「大人遊び…それは。」
…。
…それは?
…。
「トレカの大人買いです。」
『地味!!』
…。
「あなたには分からないのですか!
小学生が少ない小遣いを握りしめ、魂を込めた一枚を選んでいる隣で箱ごと買っていく…この快感が!!」
「一生分かりたくないわ!!」
…。
どいつもこいつも…変人ばかりだ!

「みくるちゃんはどうする?」
「私ですか?そうですね…欲しい物全部買っちゃって…全部無くなっちゃいますね。」
…。
…あなたどんだけ欲しい物あるんですか?
「有希は?」
ハルヒの問いに本から視線を上げ…
「みのもんたを……。」
長門はそこまで言ったあと首を振り
「…駄目…ない。」
…。
…みのさんを…どうしたいんだ…長門…。
…。
「ところでいきなりどうしたんだ?」
「何がよ?」
「宝くじの話題だよ。もしかして当たったのか?」
…。
んな訳無いか。
…。
しかしやはりこいつは涼宮ハルヒであった。

…。
…。
「なんで…分かったの!?」
…。
…。
『はい!?』
…。
な…なんだと…。
…。
「す…涼宮さん、本当に…?」
「じょ…冗談だよな?」
「本当よ本当…もう少し黙っておくつもりだったんだけど。
あんたよく分かったわね?もしかしてエスパー?」
…。
いやいや、エスパーは今俺の前で固まっているにやけ顔だ…。
…。
「何気なく一枚買ったら見事に当たっちゃったのよ。」
…。
……ああ、これから俺達は世界中を飛び回らないといけないのか…。
…。
俺の頭の中に様々な光景が浮かぶ…。
…ジャングルの中を歩く俺達…巨大な蛇に巻きつかれている朝比奈さん…ピラニアのいる川を泳がされている俺と古泉…。
…最後に長門が巨大な怪物と戦っている所まで想像した所で声が響いた。
…。

「当たったと言っても10万円だけどね。」
『10万円?』
「そうよ。もしかして2億当たったなんて思った?
馬鹿ねぇ、そんな上手い話があるわけ無いでしょ?ガッカリした?」
…。
い~え!心の底から安堵しております!!
…。
「んでね、一体何に使おうか悩んだ訳よ、中途半端な金額じゃない?だから……そろそろ来る頃ね。」
…何が来るんだ?
…。
その瞬間文芸部室のドアが開かれた。
…。
ガチャ
…。
「毎度~、お待たせいたしました!」
「あ!来たわね!」
…。
…。
「じゃあこれで…。」
「…はい、たしかに。ありがとうございました!」
…。
バタン
…。
ハルヒ…これは!?

…。
「どうするか迷った訳よ。んでどうせだからパーっと使うのも良いかな…と思って。」
…。
俺達の目の前で…寿司がキラキラと輝いていた…。
…。
「…お寿司。」
「涼宮さん…最高です。」
「いいんですか?本当に…。」
「ハルヒ…お前って奴は…本当に良い団長だな!」
…。
「さあ、沢山あるからみんな遠慮無く食べなさい!」
…。
…。
こうしてハルヒの大盤振る舞いによる寿司パーティーが始まった。
…。
…。
「美味しいです!」
「良い仕事してますね。」
「当然よ、だって特上よ特上!一番評判の良いお寿司屋さん選んだんだから!」
「モグモグ。」
「長門、美味いか?」
「コクン。」
…。
…ああ、幸せだ。

…。
…ん!?
…。
「古泉!」
「何ですか?」
「お前…それ俺のイクラ…。」
「え?」
「おい!好物だから取っておいたのに…。」
「あ…そうでしたか。申し訳ありません。」
「謝ってすむか!」
「…イクラくらいでそんなに怒る事ないじゃないですか。」
「あ…あの~、喧嘩は止めて下さい。」
「イクラくらいでみっともないわね。」
馬鹿やろう!イクラだぞイクラ!
「……分かりましたよ今度返しますから…。」
「絶対だぞ!」
…。
「まったく…あ、そうそう、明日ミーティングするから午前9時半に部室に集合よ!」

…。
…。
…。
~翌日、生徒会室~
「諸君、休みの日なのにすまないな。」
俺達は休日返上で生徒会室に集まっていた。
「それで…一体どうするんですか?」
「僕正直…もう関わりたく無いんですけど…。」
「何か良い作戦でも考えつきましたか?」
…。
完全に逃げ腰になっているな…こいつら。
しかもあからさまに休日出勤にムカついてやがる…。
これが精鋭か?ちくしょう…。
…。
「会長!」
「なんだ?」
「奴らも今日登校している様です。」
「なに?…監視班!位置に付け!」
「はい!」

…。
「…でどうするんですか?作戦は?」
「考えはある…今回のターゲットはキョンだ。」
「キョン…ですか?」
「ああ、奴を懐柔して我々の手ゴマにする…そして内部から奴らを潰す!」
「そんな上手くいきますかねぇ…。」
「今回は金を使う。人とは金品に弱いものだ…特にこのくらいの年齢はな…。」
「またえげつない手を…。」
「キミ、この10万円入りの手紙を奴のロッカーに仕掛けてくるんだ。」
「はい。」
…。
タッタッタッタッ…。
今回こそ上手く行くはずだ…。
…。
…。

「会長!」
「監視班から連絡です!」
「音声を繋げろ。」
…。
…。
「どうした?」
「はい…古泉一樹が…。」
「古泉がどうした?」
「文芸部室の窓から飛び降りました!」
「何!?馬鹿な…3階だぞ…で、どうなった!?」
「はい…何事も無かったかの様に着地し…今、下から文芸部室を見上げています…笑顔で…。」
…。
…何が起こっているんだ。
…。
「あ!?キョンです…キョンが窓の所に来て古泉に何か叫んでいます…え?…まさか…まさか……飛び降りたあああ!!」

「なんだと!!」
「…着地して…古泉が後ろを向き…逃げました!…それをキョンが追いかけて……凄いスピードです!……見えなくなりました…。」
「……。」
「……。」
「……で、今の文芸部室の様子は…?」
「…涼宮ハルヒ達は…何事も無かったかの様に…お茶を飲んでいます…。」
「……そうか。」
…。
…。
…。
「……会長…。」
「すまない…しばらく黙っていてくれ…。」
…。
…。
…。
…。

~少し前、キョン~
…。
タッタッタッタッタッタッタッタッ…。
…。
俺は走っている…全力だ。
目標に向かって…馬鹿野郎に向かってな!!
…。
「こいずみいいいいいいいい!!!!!!!!」
…。
…。
タッタッタッタッタッタッタッタッ…。
…。
ガチャ!!
…。
「古泉!!!」
…。
俺は文芸部室に駆け込んだ。
「な、なに?どうしたのよキョン!」
…。
「はぁ…はぁ…はぁ…登校したら…靴箱の中にイクラがビッシリと詰まっていた…。」
…。
「は?…イクラって…。」
…。
「もしやと思い教室に行ったら…机の中にもビッシリと…。」

「……。」
…。
「こんな馬鹿な事出来る奴…する奴は古泉ぐらいしかいない…古泉はどこだ!!」
「古泉君ならそこに……あれ?」
…。
ハルヒが指差す方を見ると、古泉の姿は無く…代わりに開け放たれた窓と風にたなびくカーテンが目に入った。
…。
「野郎!!!」
すぐに窓の所に行き、下を覗き込むと…そこにはにやけ顔が…。
…。
「そこを動くなよ!!!」
…。
…タッ!
…。
…。
「…また喧嘩ですか。」
「ほっておいて良い。」
「長門さん?」
「有希の言う通りよ。あの2人なんだかんだ言って仲良いんだから。」
「…たしかにそうですね。
たまにあの2人、普通に目だけで会話してますし…。」
「喧嘩出来るまで仲良くなったって事でしょ…みくるちゃん、お茶おかわり。」
「あ、はぁ~い。」

…。
…。
…。
~再び生徒会室~
…。
…。
…。
沈黙が流れていた…誰も言葉を発しない…。
…。
…。
ガチャ…。
…。
「………。」
「ん、ご苦労…って何だ!その格好は!?」
…。
キョンのロッカーに手紙を仕掛けにいった奴が戻って来た…が…なんだその有り様は…。
…。
「…一体…何があった?」
「…分かりません…自分が一番分かりません…もう嫌だ…。」
…。
錯乱していやがる。

…。
「落ち着け!…起こった事をありのままに話せ!」
…。
「……はい…会長の指示通り、キョンのロッカーに手紙を入れる為、ロッカーを開けたら…。
…中から…中から…大量のイクラが…雪崩の様に…。」
…。
…。
…。
「会長!今ならまだ引き返せます!!
もう止めましょう!!」
「そうですよ!やっぱりパンドラの箱なんですよあそこは!!」
「嫌だ…嫌だ…もう嫌だ…。」
…。
皆あの得体の知れない集団に怯えている…泣いてる奴までいやがる…。
…。
…。
「……ふぅ~…。」
…。
俺は椅子に深く座り大きく息を吐いた後静かに言った。
…。
「SOS団については…凍結する…。
あいつらに手をだすのは中止だ…。
……解散。」
…。
…。
…。

~あの2人~
タッタッタッタッタッタッタッタッ…。
「待てやコラ!!古泉!!」
「それは聞けませんね。」
「良いから止まれ!おい!!」
「だって止まったらあなた僕を殴るでしょ?」
「ああ殴る!絶対殴る!!」
「はははっ、でしたら止まれませんね。」
「くそ!大体何だあのイクラは!」
「おやおや、あなたが返せと言ったではないですか?」
「どこからあんな大量のイクラを持ってきたんだ!」
「ふふふっ、機関の力を舐めないでいただきたい。」
「その力をなに全力で無駄遣いしてんだよお前は!!何の為の機関だおい!!」
「…ああ言えばこう言う。」
「それはお前だ馬鹿やろう!!食べ物を粗末にするんじゃねぇよ!」
「心配いりません。後でスタッフの方で美味しく頂きますので。」
「食うの!?」
「ええ、スタッフ…って言うか新川さんが…。」
「新川さん!?」
「ええ、彼が一番ノリノリで手伝ってくれましたからね。
罰としてきっちり彼に完食させますのでご心配なく。」
「元凶はお前だろうが!新川さんに無理させるんじゃねぇよ!!」
「はははっ。」
「何笑ってんだ!いいから止まれ!!」

~月曜日、古泉~
…。
…。
僕は今、生徒会長に呼び出され生徒会室に向かっている。
前回の宣戦布告から今の所動きは無い…ついに決戦の時が来ましたか…。
…。
…コンコン
…。
「古泉です。」
「入れ。」
…。
ガチャ
…。
会長は椅子に座り窓の外を見ていた…少しやつれている様に見えるのは気のせいでしょうか?
…。
「何のご用でしょうか?」
…。
「前回…お前らに宣戦布告したな。
…あれ、無かった事にしてもらえるか?」
「は?」

「は?」
「…完敗だ…もう馬鹿な事は考えない。
勘弁してくれ…。」
…。
会長は生気を失ったような顔で言った…何か…あったのでしょうか…?
…。
「俺はこの数日で色々なものを失ってしまった…なにやってるんだろうな…俺は…。」
「あの…何があったか分かりませんが…元気出して下さい。」
…。
「…何があったか分かりません…か…ふぅ~…。」
…。
さっぱり分かりませんね…。
…。
「用件はそれだけでしょうか?」
…。
「ああ。」
…。
「では失礼します。」
…。
…。
何かつらい事があったみたいですね…そっとしておきましょう。

さて、部室に向かいますか!
…。
…。
…。
ガチャ
…。
ドアを開け、部室に入ると…おや?
…。
「皆さんどうしたんですか?」
長門さんを除く3人がパソコンをのぞき込んでいる。
「メールが来たのよメールが。」
…。
メール?
…。
「どんな内容ですか?」
「まぁ…見てみろよ。」
彼の促すまま画面を見ると……谷口君?

内容は…谷口君のチャックについてです。
丁寧な事に写真まで付いています。
…。
「たしかにこれは謎ね…キョン!」
「何だ?」
「今すぐ谷口を拉致って来て。30秒以内よ!遅れたら死刑!!」
「おい!いきなり拉致ってこいって…。」
「1、2、3…。」
「30秒以内は無…。」
「4、5、6…。」
「え~いクソ!」
…。
タッタッタッタッ…。
…。
彼は走って行った…頑張って下さい。
…。
新たな暇つぶしを見つけて涼宮さんは目を輝かせています。
…当分は生徒会絡みのイベントは必要ないみたいですね。
…。
「…29、30!、キョン死刑決定!!」
…。
…。
…。
…。
…おしまい。

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