いつもの喫茶店。
俺は集合時間より1時間早く着いていた。
何故って?
そりゃあ俺の彼女といる時間を少しでも長くしたいからさ。
先に二人で喫茶店に入ってみんなを待つ。俺の横を指定席に、文庫本に目を落とす彼女、長門有希。
時折、俺がちゃんといるかどうか確認するようにこっちに視線を移してくる。
「大丈夫だって、俺はちゃんとお前の側にいるから。」
そう言って、俺は長門の肩を抱いた。
「………ん。」
長門は、少し頷いて俺の肩に頭を乗っけて再び本に目を落とした。
俺が長門を選んだ理由。
今まで守ってもらい、感謝しているというのもあるが、何よりこいつの不安げな顔を見てると逆に守りたくなった。それだけさ。
「……キョンくん。活動の時はイチャつかないでくださいっ!」
朝比奈さんがいきなり不機嫌な顔を出した。
「おわっ!…あ、朝比奈さんおはようございます。」
すぐに笑顔に変わって、「おはようございます!」と返事が返ってきた。
それから朝比奈さんはすぐに長門に目を移した。
「……長門さん、本ばっかり読んでるならわたしがキョンくん貰っちゃいますよ?」


「っ!?………ダメ。わたしの、大事な人。」
と言い、長門は本を閉じて俺に寄り添ってきた。
……古泉、早く来てこの空気をどうにかしてくれ。


しばらく経つと古泉が来てそのすぐ後にハルヒが来た。
「おう、ハルヒ。珍しくお前が奢りだな。」
「……あ、あんたのせいで泣き疲れて寝ちゃったんだからあんたが払いなさい!」
……言い返せない俺はヘタレだ。
とりあえず俺が払うことになり、班分け。
……長門と二人きりだ。こりゃうれしいね。
「あんたらね、二人きりだからってデートじゃないのよ!しっかり探しなさいよ!」
と、まぁいつものお叱りを受ける。
「………やきもち。」
長門、聞こえてるぞ。
ハルヒは長門に近付いて、両頬をつねった。
「有希。あたしはまだ諦めてないんだからね!覚悟しときなさい。……それと、探索はちゃんとしなさいよ。」
「………ふぁい。」
あ、そのつねられたままの返事はかわいいぞ。
などと考えていると、朝比奈さんも長門に近付いた。
「わたしも、です。まだ…諦めてないですから。」
やれやれ。俺も大変だが長門も大変だな。

俺は長門と公園に向かった。朝から聞いた朝比奈さんの言葉を意識したのだろうか、長門から公園がいいと言い出したのだ。
俺達は、ベンチに座り身を寄せ合っている。
「長門…気持ちいいな。」
「………いい。」
「長門、今日のクジ…インチキしたろ?」
「………ごめんなさい。」
やっぱりか、都合がよすぎたからな。
「謝るなって、俺もうれしいんだよ。……長門、幸せか?」
長門がこっちを向いて、口付けてきた。
口を離すと、笑顔でこう答えが返ってきた。
「………しあわせ。」

終わり

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