友情。
それはかけがえの無いもの…。
「泣くなよ…谷口。」
「さあ、もう泣きやんで顔を上げて下さい。」
「…ひっく…ありがとう…キョン…古泉…。」
泣く谷口とそれを慰める俺と古泉…。
「友達って本当…良いよな…。」
そう呟く谷口を俺と古泉は優しい目で見つめていた…。
…。
…状況が飲み込めない?
OK。
では今回の事を振り返ってみよう。
…。
…。
…。

「……暑いな。」
「暑いですね。」
夏休みまで後わずかという土曜日。恒例の不思議探索でペアになった俺と古泉は夏の太陽が照りつける中を歩いていた。
「ったく、何が悲しくてこの暑い中を男2人でうろつかないといけないんだ…。」
「くじの結果です。仕方が無いではないですか。こうなった以上楽しむ道を探しましょう。」
古泉はいつもの0円スマイルを浮かべ穏やかにそう言った。
「楽しむ道ねぇ…。」
朝比奈さんと一緒ならいくらでも見つかるのだがな…。
ところで何でこいつはこの暑さの中、汗一つかかずいられるんだ?
…なんて事を考えながら行く当ても無くうろうろしてる時だった。
「おや?」
「どうした?」
「あれはたしかあなたのクラスメイトの方では無いですか?」
「えっ?」
古泉の指差す方を見ると見知った顔がOL風の女性に一生懸命話し掛けていた。
…。
…。
「ちょっと待って…。」
「しつこいわよ!」
「せめて話しだけでも…。」
「急いでるの!!」
女性は拒絶の言葉をキツく言った後去って行った。

「……はぁ…。」
1人残されたそいつは肩を落とし溜め息をついていた。
俺はそいつ…谷口に声を掛けた。
「おい、谷口。」
「…ん…ってキョンじゃねーか!」
谷口は笑顔を浮かべ俺のそばへ駆け寄って来た。
「奇遇だな、谷口。」
「そうだな、キョン…と…たしか涼宮ハルヒと愉快な仲間達の1人の…。」
「ああ、野球大会以来ですね。お久しぶりです。谷口君。」
「ああ、そうだ古泉だ。久しぶり。」
「んで谷口。何やっているんだ?」
俺は疑問を尋ねた。
「見てわからないか?ナンパだ。」
谷口は胸を張ってそう答えた。
「ナンパねぇ…この暑い中良くやるよ。」
「馬鹿!夏だからこそやるんだよ!
夏は女性を開放的にする。すなわちナンパの成功率も上がるってもんだ!」
お前は年中やっているだろうが。
「…の割には上手く行ってないみたいじゃないか?見てたぞさっきの。」
すると谷口は顔をしかめて言った。
「うっ…見てたのかよ。」
「ああ、見てたさ。国木田はどうした?」
「…国木田は今日は用事があるみたいで断られた。」
「そうか。」

「やっぱり1人じゃ難しいな……!?、そうだ!キョン、古泉。」
「なんだ?」
「なんですか?」
「一緒にナンパしないか?…特に古泉!」
ほう…古泉に目を付けたか。たしかにこいつは無駄に美形だからナンパの成功率は上がるだろう。
…しかし残念だが。
「お誘いは嬉しいのですが…あいにく今は団の活動中でして…。」
古泉は申し訳なさそうに言った。
「そんな訳だ。谷口、すまんな。」
すると谷口は
「団の活動って…俺には暇を持て余してただうろうろしているだけにしか見えないが?」
古泉がこちらを向き。
「……痛い所を突かれましたね。」
「ああ…実に的確だ。」
悔しいが確かにその通りだ。しかしだからといってナンパをする理由は無い。
「悪いがナンパに付き合うつもりは無い。
じゃ、頑張れよ。」
「頑張って下さい。それでは。」

俺達は別れを告げ谷口に背中を向け歩き始めた。
スタスタ…。
「おい待てよ!」
スタスタ…。
この暑い中これ以上お前に付き合っていられるか…。
スタスタ…。
背中から聞こえる声を無視し、俺達は進んで行く。
スタスタ…。
「おい!」
スタスタ…。
「…うちの全女子生徒のスリーサイズを知りたくないか?」
スタスタ…ピタ。
…。
…。
俺と古泉は同時に立ち止まった。
谷口は続ける。
「先日職員室に忍び込み、身体測定のデータを入手した。」
クルッ
俺達は同時に振り向いた。
「ナンパに付き合うならそれのコピーをお前らに渡そう。」
谷口は不敵な笑みを浮かべそう言い放った。
「……ほかでも無い親友の頼みだ。仕方ない…付き合ってやろう。」
「ナンパの道は険しいですよ。
…では打ち合わせを始めましょうか。」
「…お前ら分かりやすいな…。」

こうして俺達は谷口のナンパに付き合う事になった…別にスリーサイズに釣られた訳では無いぞ!
親友の頼みだからしかたなくだ!
本当だぞ!!
…。
…。
…。
さて、ナンパに付き合うとは言ったものの俺はナンパの経験など無いぞ…。
「古泉。」
「なんですか?」
「お前はナンパの経験はあるか?」
古泉に尋ねた。
「ナンパですか?
した経験は無いですね。
される事はよくあるのですが…。」
……ちくしょう。
それならば。
「古泉。まずはお前だ…そうだな…。」
俺は辺りを見回しターゲットを探した。
…お、あれは無理だろう。
恥をかかせてやる。
「あの女子大生風の女の子をナンパしてこい。」
俺はターゲットを指差した。
「お!AAランク!…ちょっと無謀じゃないか?」
谷口が呟いた。
「あの方ですか?ではちょと行って来ます。」
古泉はなんの躊躇も無くターゲットへと向かって行った。

…。
…。
…。
「失礼します。」
「え?何ですか?」
「すいません、今何時ですか?」
「え…今ですか?
えっと…一時半前ですけど。」
「一時半前ですか。ありがとうございます。」
「いえいえ…ってあなた腕時計してるじゃないですか?」
「あ…しまった…申し訳ありません。
…正直に言います。あなたに話し掛けるきっかけが欲しかったのです…。」
「え…。///」
「…詰めが甘かったですね。すいません。あなたを見たとたん考える前に体が勝手に……考えがおよびませんでした…。」
「あ…そんな…別に…その…嬉しいです…。////」
…。
…。
…。
「ただいま戻りました。電話番号をいただきました。」
古泉はこともなにげに言った。
「す…すげぇ…。」
ちくしょう…イケメンが…。
「さて、次はあなたですね。」
俺かよ…。

「古泉…アドバイスをくれ。」
悔しいがこいつは本物だ。
プライドを捨てて教えを乞おう。
「アドバイスですか…そうですね。
何よりもまずは第一印象が大事です。
相手に嫌悪感を持たせない様に…相手の心を解きほぐすような何かができれば良いのでは?」
第一印象か…相手の心を解きほぐす…。
…なるほど。
あれを試してみるか…。
…。
ゴソゴソ
…。
準備完了だ。
「なら行ってくる。」
「ご武運を。」
俺は小細工をした後別の大学生風の女の子に向かった。
「…キョンのあれ…何の意味があるんだ?」
「彼もやりますね…あれは良い手です。」
「え!?あれにどんな意味があるんだ?」
「まぁ、まずは見ましょう。」

…。
…。
…。
「すいません。」
「え?何ですか。」
「あの~、駅はどっちでしょうか?」
「駅?あっちですよ。」
「ああ、あっちですか。すいません。
俺、方向音痴なもんで…。」
「ふふふ。あれ、あなた?」
「なんですか?」
「ボタン。」
「…ボタン?…あ!しまった掛け違えていた…ああ…恥ずかしい…。」
「ふふふ、可愛いわね。高校生?」
…。
…。
…。
「…なるほど。」
「どうです?わかりましたか?」
「あ…ああ。」
「彼はわざとボタンを掛け違える事で彼女の母性本能を刺激しました。
それを生かす為年上をターゲットに選びさらに方向音痴もアピールできた…完璧です。
やりますね彼も。」
…。
…。
…。

「電話番号getしたぜ!」
俺は誇らしげに2人に告げた。
パチパチパチ
「お見事です。」
古泉は拍手で俺をたたえてくれた。
初ナンパで成功!
…なんつ~か…うれしいなコレ。
「よくあの手が浮かびましたね。」
「いや、昔みた雑誌の受け売りさ。」
「いえいえ、それを生かせる所が立派です。」
「……凄いなお前ら。」
谷口は俺達を尊敬の目で見つめている。
「さあ、次はお前の番だぞ。」
「今のを生かして谷口君も頑張って下さい。」
「よ…よ~し!」

谷口は俺と同じ様に年上の女子大生風の女の子の方へ向かって行った。
「えっと…母性本能ね…。」
…。
ジー
…。
「これで良し。」
…。
…。
「……。」
「……。」
俺は谷口がした小細工を見て古泉に話し掛けた。
「…なあ、古泉。」
「…はい。」
「…あいつ今…何しやがった?俺の目がおかしくなったのか?」
「…すいません。僕も今…自分の目を疑っています…。」
「…そうか。」
……とりあえず見守るしか無い。
…。
…。
…。

「す…すいません。」
「はい?なんで……!?」
女の子は絶句した。
チャック全開の男が話し掛けてきたから無理もない…。
谷口は続ける。
「あ…あ…あの…。」
谷口は鼻息を荒くし己の全開になっているチャックを誇示するかのように腰を突き出し話し続けている。
「…な…な…な…。」
「よ…よかったら…お…俺と…。」
怯える女性にさらに近づく。
「へ…へん…へんた…。」
「…俺と…俺と…。」
「こぉんの…変態いいいい!!!!!」
女性の右ストレートが火を吹いた!
ボクシッ!!
「あべしっ!!」
谷口は吹っ飛んだ。
タッタッタッタッ
…。
…。
女性は逃げて行った…。
「…。」
「…。」
「…うっ…うっ…。」
俺達は泣いている谷口に近づいた。
「…何やっとるんだお前は…。」
「…谷口君…あなた正気ですか?」
本当に何を考えてるんだ?

「谷口…何故チャックを全開にした?」
「……母性本能に訴えかけようと…。」
「馬鹿かお前は!もしかして
…。
…。
「あの~チャック開いてますよ?」
「あ!しまった!俺としたことが…。」
「まぁ!お茶目さんね。可愛いわ…。」
…。
…。
なんて展開に本気でなると思っていたのか!!」
「…うっ…うっ…。」
「それと谷口君…なんですかあの鼻息の荒さは?」
「…うっ…上手くいったその後を考えて…つい…。」
「……僕…なんだかめまいがしてきました…。」
…。
…。
こいつはほんまもんのアホだ!

俺は谷口に告げた。
「お前には付き合いきれん!後は勝手にしろ!」
「…そ…そんな…。」
「通報されなかっただけラッキーだと思って下さい。では…。」
俺と古泉は谷口に背を向け去ろうとした。
「あああああ!!頼む俺を見捨てないでくれええええ!!!!!」
谷口が俺達にしがみついて来た。
「ええい!離せ!変態が!!」
俺は谷口を振りほどこうとしたが。
「頼む!!駄目な俺を見捨てないでくれえええ!!!」
「わかった!わかったから離せ!!」
「わかりましたからとりあえずチャックを閉めて下さい!!」
谷口の根気と周囲の目に負けしきり直しをする事となった。
…。
…。
…。
「しかたありませんね…こうなったら三人組を見つけて僕らみんなで勝負しましょう。」
「なるほど。それなら俺達でフォロー出来るな。」
「本当に…すまん。よろしく頼む。」

…あのままほっとくのも良く考えると寝覚めが悪い。
さてと…。
「谷口、お前が選べ。」
「…そうだな…おっ!?あの子達なんか良いんじゃないか?」
谷口が指差す方を見ると…俺たちと同年代ぐらいの女の子が三人暇そうに立っていた。
「結構レベルは高いな…古泉、行けるか?」
「そうですね…。」
古泉はしばらく考えた後…。
「行けます。任せて下さい。」
そう言って古泉は彼女たちに近づいて行った。
…。
…。
…。
「なんの躊躇もなく話しかけたぞ。あいつ本当にナンパ今日が初めてか?やけに手慣れているように見えるんだが…。」
谷口が疑問を口にした。
「あいつの私生活は謎だ。」
おそらく機関で色々訓練されたんだろう。
ほどなくして古泉は俺達に向かって大きく○印を作った。
「成功したみたいだぞ。頑張れよ、谷口。」
「お、おう!」

…。
…。
…。
~喫茶店~
「ではあらためて、僕は古泉一樹です。」
「俺は谷口。よろしく!」
「俺は…。」
「こいつはキョン!」
…俺が名前を言おうとしたら谷口が勝手にあだ名を言いやがった…。
…ふざけんな、今日こそは俺の名前を言うぞ!
「俺の名前は…。」
「さて、喫茶店に来たのですから何か頼みましょう。」
な!?
古泉まで…ちくしょう負けるか!
「その前に俺の名前…」
「やめて下さい…それ以上言ったら…あなた消されますよ…。」
古泉が真顔で言った…。
…。
…。
……なんでだよ…。


…。
…。
俺達は女の子達と喫茶店に来ていた。
お互い自己紹介をし会話を楽しんでいる。
女の子達はいわゆる"ギャル系"に属する様だ。
正直あまり俺の趣味では無い。
3人とも古泉狙いって訳では無く1人は俺に興味を持っているようだ。しきりに話しかけて来る。
悪い気はしないが…今回の目的は谷口にナンパ成功させる事。
谷口は懸命に話しかけているのだが軽く流されている。
谷口、もっと頑張れ。
「ねえねえ、一樹君、これから私達2人とカラオケでも行こうよ。」
「ならキョン君は私と2人で遊びに行こうか?」
…なんか変な展開になって来たぞ…。
「え!?…俺は?」
谷口が慌てた様に言った。
『帰って良いよ。』
女の子達は声をハモらせて言った。
「…え…ちょっとそれはあんまりじゃ…。」
女の子達は続ける。
「谷口君さぁ~空気読もうよ~。」
「今度女の子紹介してあげるからさぁ~。」
「あ!A子を紹介するつもりでしょ~。あのピザのw」
「きゃははwひど~いw嫌がらせ~?w」
「え~wどっちに対する嫌がらせ~?w」
女の子達は完全に谷口を馬鹿にしているみたいだ。

谷口を見るとうつむいて微かに目が潤んでいる。
「谷口君鏡見てみれば?w」
「釣り合いとれてないってわかるでしょ?w」
…。
…。
プチン
…。
…俺の頭の中で何かが切れた。
バン!!
次の瞬間、俺はテーブルを叩いて立ち上がっていた。
…。
え?…古泉!?
隣を見ると古泉も俺と同時に立ち上がっていた。
その顔に笑顔は無い。
…古泉、さすがのお前もキレたか。
「お前らいい加減にしろよ!」
俺は女の子達…いや、女どもに言った。
「…何?…どうしたの…古泉君、キョン君…。」
女どもは急変した俺達を見て驚いている。
「これ以上あなた方と話す事はありません…僕達はもう失礼させてもらいます。」
古泉は厳しい顔でそう言うとテーブルに千円札を数枚置いた。
「帰るぞ!谷口。」
「帰りましょう。谷口君。」

こいつらともう一秒たりとも顔を合わせて居たくない…胸糞悪い。
俺と古泉は谷口を連れて席から離れた。
「何あれ~…。」
「そっちから声かけて来たくせに…馬鹿じゃないの?」
「最悪ぅ~…。」
後ろから女どもの声が聞こえるが俺達は無視して店から出た…言ってろ馬鹿女どもが!
…。
…。
…。
店を出た俺達は当てもなく歩いていた俺達はいつの間にか駅の近くの公園前に来ていた。
「……ムカつく女どもだったな。」
「ええ、性格が悪すぎます。一体どんな育て方をされたのでしょうか。」
古泉の言うとおりだ!ハルヒの方が何倍もマシだ。

「谷口、お前もそう思うだろ?。」
そう言って谷口に振り返ると…
「……うっ…ぐすっ……。」
……泣いてやがる。
「谷口!あんな馬鹿女の言うことなんて気にするな!」
「そうですよ谷口君、たしかにひどい事を言われたかもしれませんが泣く必要はありません。」
俺達は慰めの言葉をかけるが…
「…うっ…違うんだ…あの女たちの言った事で泣いてるんじゃ無い…ぐすっ…。」
……腹でも痛いのか?
「…俺…嬉しくて…ぐすっ…お前らが…俺の為に…怒ってくれて…うっ…。」
…。
…。
「…谷口。」
「…谷口君。」
…そうだったのか…。
…。
…。
そして冒頭に至る。…。
…。

…。
「泣くなよ…谷口。」
「さあ、もう泣きやんで顔を上げて下さい。」
「…ひっく…ありがとう…キョン…古泉…。」
泣く谷口とそれを慰める俺と古泉…。
「友達って本当…良いよな…。」
そう呟く谷口を俺と古泉は優しい目で見つめていた…。
「谷口、お前との付き合いはまだ数ヶ月程度かもしれないけど…お前がどんな人間かは理解しているつもりだ。」
「ええ、明るくて楽しくて…少し空回りしている部分もありますけど、僕らにとってあなたは大切な友人です。」
…ああ、俺達かなり恥ずかしい事言ってるな…でも、仕方ないじゃないか。
…友達だもんな。
「…だからさ、焦る必要は無いと思うぞ。」
「そうですよ。いつか必ずあなたの事を心から理解し、思ってくれる人が現れます。絶対です。」
俺と古泉と谷口の間に優しい空気が漂っていた…。

…ってなにガラでも無い事思っているんだろうな、俺は。
…。
…。
「…ぐすっ…キョン…古泉…俺、分かったよ。」
谷口は顔を上げて吹っ切れた様な笑顔を見せた。
「分かってくれたか。」
「谷口君。」
谷口は拳を握り締めて声高々と言った。
「やっぱり年増は駄目って事だよな!」
「えっ!?」
「はいっ!?」

「もっと若い、心が汚れていない女の子をナンパすれば良いんだ!!
……お!早速発見!!」
タッタッタッタッ
…。
…。
「……俺達の話、全く聞いて無かったみたいだな。」
「……そのようですね。」
…。
…。
「ねえねえ、今暇かな?」
「うん、暇だよ。」
…。
「……小学生に声かけてやがるぞあいつ…。」
「……しかも明らかに低学年ですね。」

谷口が今ナンパしているのは推定小学2年生か3年生…間違い無く一桁の歳だろう。
…。
「お兄ちゃんと一緒に遊ばない?」
「え~、でも…。」
…。
…。
「…。」
「…。」
…。
…。
「お菓子やおもちゃ買ってあげるから。」
「…ママが知らない人に着いていったら駄目だって…。」
「大丈夫だって。」
…。
…。

…。
…。
「……古泉。」
「はい。」
古泉は携帯を取り出し…。
ピッピッピッ
「……ああ、もしもし、警察ですか?……はい、そうです。
…変質者が小学2年生ぐらいの女の子に…はい…そうです。
場所は駅の近くの○○公園の前…はい…なるべく急いで下さい。
…僕ですか?僕は善良な一般市民です。
名乗るほどの者では…はい、ではお願いします。」
…ピッ
「どうだ?」
「はい、すぐ来るそうです。」
「そうか…なら俺達はボチボチもどるか。」
「おや!もうこんな時間ですか。」
「遅れたらハルヒがうるさいぞ。」
「それは怖いですね…急ぎましょうか。」
俺達は谷口に背を向け、集合場所の喫茶店へ向かった。

…。
…。
「結局今日も何も不思議は見つかりませんでしたね。」
「ああ、でも女の子を魔の手から救った…だから良いじゃないか。」
「それもそうですね。」
…。
…。
…。
ウウーウー
…ガチャ
…。
「…だから俺は必ず10年後君を迎えに…。」
「コラ!お前か!変質者は!」
「えっ?えっ?…いや…。」
「さあお巡りさんが来たからもう大丈夫だよ。」
「え~ん…怖かったよ~。」
「ほら!こっちに来い!」
「ちょ…キョ~ン!古泉いい!」
「誰も居ないぞ!ほら、署で詳しく聞かせてもらうから。」
…バタン。
「違うんだああああ!!!」
「…ったく暑くなるとこんなのばかり現れやがる…。」
…。
ウウーウー
…。
…。
…。
…おしまい。

|