「キョン!どうこれ?似合ってるでしょ!?」

「あぁ、そりゃもう」

「は、恥ずかしいですぅ~」

俺は今、部室で朝比奈さんのコスプレショーを見ている。というより見させられているのだが。
ナースに始まり色々な衣装の朝比奈さんを見られたことには感謝するけどな。
そして只今は巫女服の朝比奈さんが棒っきれを振り回して呪文らしき言葉を呟いている。

「あー可愛かった!キョンはどのコスプレが良かったかしら?」

「ん?あぁ、そうだな。………今の巫女服なんかとっても似合ってますよ、朝比奈さん」

「あ、キョン君。ありがとう」

いえいえ、お礼を言わなければならないのはこちらの方ですよ。
こんな悩殺姿をタダで拝見できたのですからね。

「………マヌケ面!」

俺がニタニタしていたからだろう。
ハルヒは俺を睨みつけると一言で一蹴した。
お前が振ったんだろうが。

「もういいわ、今日は解散。……キョンは居残りね」

「ちょ、何で俺だけが──」

「みくるちゃんが着替えるんだからさっさと出てけえ!」

俺は蹴りをいれられて外に放り出された。イテテテ。

「大丈夫ですか?僕はお先に失礼しますね」

「………さよなら」

古泉と長門はそういい残してスタコラサッサと帰ってしまった。

しばらくすると制服に着替えた朝比奈さんが出てきた。

「キョン君、私も先に帰りますね」

「あ、はい。お気をつけて」

朝比奈さんに手を振っていると、ドアからハルヒの声が聞こえてきた。

「どーぞっ!」

俺は渋々ドアを開け、文句の一つでも言ってやろうと思っていたのだが、言葉が出なかった。
そこには、さっきまで朝比奈さんが着ていたであろう巫女服に身を包んだハルヒが立っていたのである。

俺はしばらく見とれていた。似合ってる。かなり、いや、とてつもなく。
そんなマヌケ面にハルヒも気づいたのだろう。やや顔を赤くして口早に言った。

「な、何そんなところで突っ立ってんのよ!?こ、こっちに来なさいよ」

「あ、あぁ」

近くで見ると本当に綺麗だな。俺はまたしてもハルヒに見とれてしまっていた。

「ハッハーン、どうやらあたしの巫女さん姿に見とれちゃってるのね?」

「うっ」

なんか腹立つな。このままではハルヒの思う壺じゃないか。
かといって似合ってねーよなんて言えるわけ………
少し変化球でも投げてみるか。

「ハルヒ」

「なによ?」

「似合ってるぞ」

「う、……あ、当ったり前じゃない!なに急に変なこと言ってんのよ。…バカキョン」

ここで畳み掛ける。

「俺がいつ変なこと言ったって?」

「え?そ、それは、今さっき言ったばっかじゃないの」

「今さっき俺は何て言ったんだ?」

「ん………似合ってるぞ、って」

「だろ?俺は別に変なことなんか言ってないぞ」

ハルヒは大人しくなった。形成逆転だ。
さて、これからどうす──

俺はとんでもないものを見てしまった。
今ハルヒが着ている巫女服は朝比奈さん用のものだ。
ハルヒもグラマーなスタイルとは言え、朝比奈さんに比べると生地が余るだろう。

俺はそのブカブカになっている胸元から見てしまったのだ。

こいつ、下着つけてない。

確かに巫女服は下着をつけない。いや、今は普通は下着はつけるだろう。
しかしそこはハルヒだ。ちゃんと男心が分かっている。
いかん、そんなことはどうでもいいんだ。平常心、平常心。

「キョン?どうしたの?」

ギクッ!

「い、いや、なんでもない!決してなんでもないぞ!」

「なにキョドってんのよ?………あ!?」

ハルヒはババッと胸元を両手で隠す。しばらく俺を睨みつけてから

「………見た?」

はい、見ました。とは言えるわけもなく、俺は必死にごまかし続ける。

「嘘いいなさい!見たんでしょ!?まったくこのエロキョンは!」

「いや!本当なんだ!信じてくれ!」

「………ふーん、ところであんた。それどうしたのよ?」

それ?俺はハルヒの指差す方へ目をやる。
その先には俺の盛り上がった股間があった。

まずい!俺はすぐさま前屈みになり、弁解を続けた。

「ハルヒ、これはなんでもないんだ。」

我ながら情けないいいわけだ。

「なんでもない分けないでしょ!?あ、そっか」

なにがそっかなんだ、なにが。

「キョン、あんたの股間に悪霊がとりついたのね!?」

「はぁ!?なに言ってんだハル───」

「いいから!あんたのそれに悪霊がとりついてんのよ!」

「お前、そんないい加減な──」

「つべこべ言わないの!」

なんだってんだハルヒの奴。いきなりわけのわからんこと言いやがって。
しかし、その謎はすぐに解けた。

「………悪霊、御祓いするのは巫女の仕事なんだから」

それって………

「………ダメ?」

ぐはっ!まぶしい!まぶしすぎる!
そんな風に言われたら断れるわけがない。

「じゃ、じゃあ、御払いしてもらおうか」

「………かしこまりました」

ハルヒは俺にゆっくりと近づいてくる。
そしてひざ立ちになり、俺のズボンのチャックに手をかける。

その時!

ガラガラ

「WAWAWAわすれもの~♪」

「………」
「………」

「うお!…スマン。………ごゆっく──」

「死ね!」
「死ね!」

おしまい。





番外編   



「長門ー、いるかー?」

「……なに?」

「ん?今日はお前だけか?」

「…そう」

「まぁ好都合だ。実は大変なことが起きてるんだ。」

「…なに?」

「実は俺の股間に悪霊がとりついたんだ。助けてほしい」

「…わかった」


ぺし、ぺし、ぺしん♪


「うっ、あっ、くぅ!」

長門は指で俺のものを優しく弾いてくる。

正直たまらんな。

ぺし、ぺし、ぺしぺし♪

「うっ!長門、俺もう!うあっ!!」

はぁ、はぁ、はぁ、あんなことされただけなのに、俺って情けねえ。

───あ

良く見ると、俺は悪霊を長門の顔にかけてしまっていた。

「す、すまん、長門!」

「………いい」

長門は顔についた悪霊を指で取って舐めながら続けた。
ってさりげなくすごいことしてるな。

「……気は済んだ?」

「え?あ、あぁ。おかげで楽になったよ」

「………そう」

それは俺の目の錯覚かもしれなかったが、長門は顔を赤くさせ、やや俯き加減で言った。

「………また、御祓いしてあげる」

おしまい。

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