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キ「どれ、お屋敷ももうすぐ……ハルヒ姫様もよくおやすみのようじゃ
 しかしお命がかかっておったとはいえ拙者はなんということを……
 しかもハルヒ姫様は拙者のしたことを気が付かれたようじゃが
 拙者は一体どうすればよいのであろうか……
 いかぬ今はハルヒ姫様をお屋敷にお戻しすることが先決じゃ」

ギィ

キ「おや、なにやら眠気が差して参ったが……おゆきさんの備急薬は気付薬、これを飲めば眠気も……
 ややっ!これは『気付薬及び目薬』ではなく『気付薬及び目民薬』つまり眠りぐすり?
 なるほどそれでハルヒ姫様が……はっ!拙者が眠気を催しておるのもこのせいか!
 もうすぐお屋敷じゃ、それまでは眠ってしまうわけにはいかぬぞ……」  

ギィ

キ「あと一漕ぎじゃ……それ、やっと……お屋敷じゃ…どれ船を…舫って…zzz……」

……

古「お戻りのようじゃな、しかし船の中で仲良く寝ておいでじゃ」
朝「一時はどうなる事かと心配致しましたが……、本当に仲睦まじいことでございますな」
ゆ「……ご無事でなにより」

古「さてキョン乃進は拙者がお長屋へ運ぶゆえ、姫様はその方ら二人で御殿へお運び申し上げるのじゃ」
ゆ「……それは危険、同意出来ませぬ」
古「なにが危険なのじゃ?夜道とはいえお屋敷の中、その方の忍術と朝比奈殿の南蛮渡来のエレキテル刀があれば特に問題はない筈」
ゆ「姫様では無くキョン乃進様の貞操が危険」
朝「キョッキョン乃進殿のてっ貞操……!、古泉殿は男色家で有名とか、正に送り狼!これはいけませぬぞ」
古「たったわけた事を申すでない、拙者はお勤め第一、その様な私情をご奉公に持ち込むような事は無い」
朝「……先日の新規お召し出しのお小姓衆はいづれも古泉殿好みの見目良き色若衆であったとか……」
古「そっそれは誤解というもの、お小姓として適しておる者を選んだら偶々そのような結果に……その……」
朝、ゆ「……、……、……、……」
古「こっこの上は刀に賭けても武士の一分を……」
朝、ゆ「!」

喜「お待ちくだされませ、ここは私が古泉殿と同道致しキョン乃進殿の安全を見届けまするゆえ朝比奈殿とおゆきは姫様をお願いいたします」

古「……おっおぉ喜緑殿、よろしくお願い申しますぞ、なにせ男子の拙者が姫様のご寝所に入るわけには参らぬからのぅ……
 そうと決まれば手はずどおり全て元通りに、さぁさぁ早く致さぬと夜が明けてしまいますぞ」

……

鶴「姫様、姫様、はやお目覚めの刻限にございますぞ」

ハ「……、(確か昨夜は寝所を抜け出してキョン乃進と……、そうじゃわらわは船から落ちて……)」

鶴「姫様、良い加減にお出まし下されませ」

ハ「(……あれは鶴屋の声、そしてここは……いつもの寝所、身につけておるのも…・・・寝る前に着ていた寝間着じゃ……
  これはどういうことなのじゃ?)」

鶴「姫様、お加減はいかがでございますかな、宿直番の者達よりの報告によると何やらうなされておいでであったとか
 なんぞ怖い夢でもご覧になられましたか?」

ハ「……なっなんでもない(悪い夢とな……ひょっとして昨夜のキョン乃進との事はすべて夢であったのか……)」

鶴「寝言で誰やらの名を呼んでおられたようですが、恋焦がれるのも程々になされませ、このままでは下々にまで姫様の想い人が知られてしまいますぞ」

ハ「わっわらわはキョン乃進の事など……その……」

鶴「おや?私は誰やらと申したのみにてキョン乃進殿とは申してはおりませぬが?」

ハ「! ……そっそれはそのぅ……」

鶴「……ささ早くお召し替えあそばしてお出ましを、キョン乃進殿との事については後ほどゆっくりと……」

……

朝「おはようございます、姫様(喜緑殿、キョン乃進殿の方の首尾は?)」
喜「おはようござります、姫様(朝比奈殿、全ては順調でございます、古泉殿もゆっくりお休みですのでキョン乃進殿も安全です)」
朝「……(…ゆっくりお休み……)」
他「おはようございいます、姫様」

ハ「一同大儀である(しかし、誠に夢であったのかのぅ……、……キョン乃進……)」

 ……  ……  ……
キ「…zzz……、……zzz…
  (……なにやら良い匂いが……これは確か……おゆきさんの加厘粥……!
   確か……昨夜拙者はハルヒ姫様と舟で……、しかしここは拙者の御長屋の寝床?
   これは一体……あれは夢であったのか……じゃがあの時この手に感じたハルヒ姫様のお体の柔らかさは……)」
ゆ「朝餉の仕度ができました……」
キ「ややっこれは古泉殿に朝比奈殿におゆきさん、お三方お揃いとは一体いかなる……」
ゆ「あなた様と姫様は一時(いっとき:約二時間)程、このお屋敷から消えていた」
古「お主には感謝せねばならぬのぅ、御家は安泰、姫様は御無事でお戻りになられた
  我ら姫様を御守り致す者共のつとめも終わりそうにはない。まことにお主の働きは見事であった……」
朝「またお会いできてうれしゅうございます、もう二度とお戻りになられないかと……」
キ「……そっそれでは昨夜の事はやはり夢ではなく……」
古「あっいや、勘違い致すでない、大名家の姫君がお屋敷を抜け出されるなどある筈もない事
  もし左様な事が起こったとすれば某が切腹したくらいでは済まされぬ
  奥向きの方々にも累が及ぶは必定……、よいな全ては夢じゃ」
朝「さようでございます、姫様も昨夜のことは全て夢の中のこととお考えです」
キ「……(ハルヒ姫様は夢と……しかし拙者は昨夜口付け同様の事を……)」
古「どうしたのじゃ? キョン乃進、そうじゃ腹が減っておるのかな?
  これおゆきキョン乃進に朝餉を、いや刻限はもう昼近くじゃがのぅ」
ゆ「……どうぞ」
キ「忝い……、おゆきさん」
古「それでじゃキョン乃進、昨夜某が相談した婿入りの件じゃが、どうじゃ考えてくれたかの?」
キ「そっその儀はその……(確かに拙者は慕いしているとハルヒ姫様に申し上げた……そして口付け同然の事を……しかしハルヒ姫様は夢と…)
古「まぁ…直ぐにとは申さぬが、良き返事を期待しておるぞ、この話は国許の大殿様も大乗り気であられる」
キ「……(ハルヒ姫様……拙者は……)」
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