時、すでに午前7時半。
今日は土曜日、市内探索の日だ。
これで何回目だろうね?
2回目までは数えていたような気がするが、今は数えちゃいない。
団長のハルヒは数えているだろうか?いやいや、数えちゃいないだろう。
 
俺は、脳を刺激する音を発する目覚まし時計を止め、布団を剥いだ。
いつもいつも思うんだが、休みの日にこの時間に起きるのはつらい。
なぜか、平日よりつらかったりするから不思議なことだ。
 
ところで、今日は妹は俺を起こしにこなかった。
と言っても、いつも土曜日はそうだ。だから何の疑問も浮かばない。
普通の小学生なら、この曜日、この時間はまだ寝てるだろ?
とは思っていたのだが、リビングまで朝食を食べに行くと、そこにはもう妹はいた。
しかも、パジャマ姿ではなく、私服。
さらに言えば、普段学校に行くような服ではなく、遊園地に行く時に着るような服を着ている。
なんだ?ミヨキチとかとどこかに遊びに行くのか?
とか思いながらも、とりあえず俺は椅子に腰を掛け、
「おはよう。今日はどこか行くのか?」と、聞いてみた。
まあ挨拶のついでみたいな感じだ。
特に、たいして気になっていたわけではない・・・のだが、
 
「ンフフ。ひっみつー!」
と、サプライズイベントを考えているような顔で言われると、少しは気になってしまう。
ただ、本人に聞いてもなんか答えてくれなさそうだったので、妹が自分の部屋に戻った後、台所に立っている母親に、妹がどこに行くのか聞いてみたんだが、
「あの子もわたしに似て、ませてるわ」と、これまたよく分からない返答が返ってきた。
妹がませてるというならば、ミヨキチはませてるを超越した存在だろう。
「今日の夕食はあの子の好きなハンバーグよ。まんがいちのために多めに作っておくわ」
どうせ友だちと遊ぶだけだろ?何をそんなにはりきってるんだ?
 
とか思いながら、俺は朝食を食べ終わり、部屋に戻って私服に着替え、髪でもセットしてから行こうかと考えて洗面所に行こうとしたその時、
「じゃあ行ってきまーす。あっ!キョンくんわたしの机の引き出し開けちゃダメだよー!」
とか言って、妹は俺よりも早く外出して行った。

・・・・・おい、それは見てほしいと言ってるのか?

いや、多分妹のことだ、本当に見てほしくない何かが机の引き出しに入っていてそう言ったのだろう。
 
とか思いながらも俺は妹の部屋に来た。
机の引き出しを開ける。
いろんな物が入ってる中の一番上の乗っかっているのが誰かからの手紙だ。
まあ、小学生にしてみりゃキレイな字じゃないか?とか思いながら、俺は何気なくその手紙を読んだ。
 
ん?なんだこれは?
もう一度読み直す。
 
ん?なんだこれは?
 
『今度の土曜日の午前9時半、小学校の校門前で待ってます』
 
その後にどう考えても男の名前。
それがこの手紙に書いてあった言葉だ。
ん?なんだこれは?
 
その時の俺がどんな顔をしていたか知らないが、多分普段よりもアホ面にはなっていただろう。
とりあえず俺は、急いで自転車に乗り、急いでいつもの北口駅に向かった。
妹の小学校、つまり俺の母校でもあるわけだが、そこまでは北口駅から、歩いて20分ぐらい。
ならば、俺と一緒のメンバーになったヤツと妹と誰か知らんが、その男の後をつけていこう。
ハルヒ以外なら、多分俺の行きたいところを言ったらついてきてくれるだろうしな。
なぜ、俺がそんなことをしたいのかは俺自身もよく分からん。
とりあえず、俺は妹思いと解釈しておく。
 
「おそい!罰金!」
ゼェゼェ言ってる俺にハルヒはお決まりのように(というよりお決まりみたいなもんだが)、そう言ってきた。
 
そこから毎度おなじみで、俺の奢りの喫茶店に足を運び、それなのに店員に「いつもの」と言っても頭にはてなマークを出され、
それからいつものようにハルヒがつまようじを取り出した。
ハルヒの手には五本のつまようじ。
うち、2本は赤で塗られている。
まずは俺が引く。
 
印あり
 
ということは、俺は二人組みになるわけで、こりゃあハルヒと一緒にならない確率は現在のところ75%。
まあ、ならないだろう。
さて、次は長門だ。長門は・・・印なし。
まあ、長門の場合、図書館に行きたがってるだろうから、俺が妹のもとへ行ったら無言の圧力をかけてくるかもしれないからな。
これはこれでよかったと考えておこう。
次は古泉。・・・印なし。で、朝比奈さんは・・・・・
 
「じゃあ、みくるちゃん達は東のほうお願いね!」
俺の横にいる女が、向かいの三人にそう叫ぶ。
くそ、古泉がうらやましいぜ。両手に花じゃねーか。
 
「じゃキョン、行くわよ」
ハルヒは、まるで飼い犬を呼ぶようにそう言う。
そう思うのは、俺のあだ名が悪いのか?
 
現在時刻は9時20分。
「何ボーっと突っ立ってんのよ!それとも何?あたしと並んで歩くのが恥ずかしいの?」
携帯の時計を見ている俺にむかってハルヒはそう言ってきた。
なぜ、嫌じゃなくて恥ずかしいという言葉がでてくるのかなんてこのさいどうでもいい。
とにかくだ、
「行きたいところがある」
「何よ?ちょっとだけの買い物ならつきあってあげてもいいわよ」
「違うんだ・・・」
 
それからハルヒは、少し嫌そうな・・・というより残念そうな顔をしたが、すぐに面白そうだと言って了承してくれた。
恋愛感情は精神病だとか言ってたから、そういうのには全く持って興味ないと思ってたんだがな。
それでだ、時間が時間なこともあり、ハルヒの提案で俺はハルヒを自転車の荷台に乗せて小学校まで向かった。
「もっと早く走れないの?遅れちゃうわよ?」
分かってるさ。分かってるが上り坂だからスピードでないんだよ。
後、お前が重い。
一般的な女子高生よりは軽いんだろうがな。
 
で、坂が下りになると、
「ちょっとキョン、速いわよ!あたしが落ちそうでしょうが!」
とか言いながら、俺の腰に強くつかまってきた。
何かやわらかいものがあたってるが、今の俺はそんなこと気にしてる暇はねぇ。
 
で、そんなこんなで学校についたのは、9時35分。
妹発見。
そして、ちょうど今、妹を誘ったと思われる男がやってきた。
くそ、自分で誘っといて女を待たせるどころか、遅刻だと!
なんてデリカシーの無いやつだ。
「あんただっていっつも遅れて来るじゃないの」
俺はお前を誘った覚えなんてない。
いつもいつもお前のワガママに振り回されてるだけだ。
 
ところで、今俺たちはギリギリ妹の声が聞こえる場所にいる。
こんないいところに、こんな隠れ場所があっただろうか?と、小学生のときの記憶をまさぐってみるが、どうも思い出せない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
「ごめん、僕から誘っといて、遅れちゃって」
「ううん、わたしも今来たところだよー!」
んなわけがないだろ!
お前は俺よりも家を出るのが早かったんだぞ!
さらに言えば、北口駅よりもこの学校のほうが家から近い。
ったく、どこでそんなお世辞を覚えたんだ!?
「あ、あたしだってあれぐらい言えるわよ!」
俺が何を思ってると思ったのか、ハルヒはいきなりそんなことを言い出した。
いや、別に俺は、俺が遅れてやって来たときに、お前に「あたしも今来たトコだから、今日は罰金は二人でわけましょ!」なんて言ってほしいなんて思っちゃいねーよ。
まあ、財布の中身が少しでも減らさないということを考えれば、それもありか。
だが、ハルヒが急にそんなことを言い出したら、俺はその世界の存在を疑うね。
 
それから、妹と男は二人並んで繁華街の方向に向かって歩き出した。
男はドギマギ、妹はルンルンという感じで。
ところで、先ほどから俺は男男と言っているが、もちろん妹の横に並んでいるのは妹と同い年ぐらい、というより多分同い年であろう男の子だ。
見た感じでは・・・そうだな、さらさらヘアーで黒髪の国木田が小さくなったらあんな感じってところじゃないだろうか?
で、何で俺が男男言ってるか・・・
別に理由なんてない。
そうあらわしたほうがあってるような気がするからそう言ってるだけだ。
ところでハルヒよ、何でお前までドギマギしてるんだ?
 
目の前の妹と男は先ほどから何も話さずに、ただただ歩いている。
ここからだと、ギリギリ話が聞こえるだろう距離だから、聞こえないということはないと思うしな。
ところで、後ろからでも分かるのだが、男のほうがチラチラと妹のスカートを見ている・・・
いや、違う。あれは妹の腕を見ているんだ。
まさか、手繋ごうとしてるわけじゃないだろうな?
でもまあ、そういうこと言える勇気なんてなさそうだ。大丈夫だろう。
 
とか思ってると、妹が男の顔を覗き込んで、自分から手を差し出してきた!!
何やってんだあのやろう!
絶対あの男の手は汗でべたべただぞ!!
そんな手と妹の手を繋がせるk・・・・
あぁ!!繋いじまった!!
まあ、これぐらいいいか。
なぜ俺はこんなにもオーバーにショックを受けてるんだ?
ところでハルヒよ、何でお前は唖然とした顔のまま突っ立ってるんだ?
そしてなぜ、その後俺の顔を3秒ほど見つめる。
まさかハルヒも俺と手を繋ごうと・・・・・思ってるわけないか。
 
ところで先ほどから、二人は沈黙を保っている。
おしゃべり好きの妹がこんなにも黙ることがあるとは驚きだ。
そんな空気に耐えられなかったのか、その沈黙を妹が破った。
兄弟がいるのかどうか訊ねている。
一人っ子だとかどうでもいい情報は、俺の脳がパソコンならすぐに削除している情報だ。
さらに、男が妹に同じことを聞き返す。
「キョン君がいるよー!ちなみに、わたしは長女だよー!」
妹よ、俺が弟みたいな言い方をしないでくれるか。
「あんたもしかして妹になめられてるんじゃないの?」
そうかもしれんが、それを言わないでくれるかハルヒよ。
いやいや、前言撤回。
それはない。
・・・・・多分。
 
その後二人は、繁華街まで行き、ファーストフード店に入っていった。
俺も続いて入ろうとする。
が、急に首を絞められた感覚に襲われ、それはハルヒが俺の襟を強い力で後ろに引っ張っているからだと分かり、
そしてそれをなぜかと考え、そういやそろそろ集合時間だと思い出し、しかたなく戻ろうとすると、
「あんたどこ行くのよ!」
と、ハルヒが言ってきた。
いや、あの集合場所ですけど、俺何か間違えましたか?道はこっちであってるはずですが。
「あんた今ここで妹ちゃんの行方見逃していいの?」
「そんなこと言ったって、古泉たち待たせてるだろ」
「大丈夫よ。3人にはさっきメールで午後は中止で自由解散と伝えといたから」
そうか、それはハルヒのわりには気が利くな。
しかも、こういうことは団長であるハルヒにしかできないことだから、市内探索はハルヒとあたってよかったかもしれない。
でも、じゃあ何で俺の足を止めたんだ?
「これ以上近づいたら危ないわよ。ほら、ここから妹ちゃん見えるけど、妹ちゃんは入り口の方向に顔をむけて座ってるでしょ」
まあ、確かにそうだな。
だから、一時待機というわけか。
 
「ところで、ねえ。こういうことするのって普通は変装するものだと思うのよ。だから、ホラ。あそこで変装道具買って行きましょ!」
と言ってハルヒが指さしたのは、ファーストフード店の向かいにある若者向けの衣料品店だった。
中にはサングラスやら帽子やら、他にもジャケット、シャツといろいろ売っている。
まあ、変装するという考えは間違っちゃあいないが、こんなことしたら目だってしょうがない。
もともと、目立たないように着る迷彩服が、こんな街中じゃあ意味無いしな。
それに、妹は敏感な時もあるんだ。
いや、たいていの場合、鈍感だが。
 
「ねえキョン、これなんてどう?」
と、さきほどまでいろいろ服を見てまわっていたハルヒが俺に言ってきた。
ハルヒを見る。
そこには、頭に乗せたサングラス、黒い長袖の服に、わざっとベルトを垂らしたジーパンを履いているハルヒがいた。
いや、それは変装衣装とはいえないと思うぞ。
とか思っていると、
「恥ずかしがらずに褒めてやりなよ彼氏ちゃん」
と、二十歳そこそこの男の店員が言ってきた。
確かに、かっこよくはあるが、『彼氏』という言葉は間違ってますよ。
まあ、わざわざ否定するのもなんなので何も言わずにいると、
「か、彼氏なんかじゃないわよ!」
と、ハルヒから言ってくれた。
まあ、ハルヒも俺なんかが彼氏と思われるのはごめんだとでも思ったんだろうな。
 
それよりあれだ、彼氏といえば、妹の彼氏候補かもしれないあの男。
小学生のくせに生意気だ。女とデートはせめて中学生からにしろ。
と、思いながら俺は向かえのファーストフード店を見る。
って、あれっ!!
店から出て行こうとしているじゃないか!!
「ハルヒ、早く出るぞ」
「えっ?でも、着替えなきゃ」
「ああ、もうじゃあもうそれ買え!」
「無理よ。こんなに買うお金持ってきてないし」
じゃあなんでこの服を着たんだ!
と、怒鳴ろうとするときにはもう、妹と男は店から出てきた。
先ほどの男の店員は俺にウインクをしてくる。気色悪いからやめてくれ。
 
それから、5時間ほどが経過する。
いつまで二人でいる気だあのやろう。
そろそろ小学生は帰らなきゃいけないだろうが!
妹の門限は5時だぞ!
いや、誰もそんなルール作ってないが。
 
ちなみにこの5時間、二人は近くでやってた映画上映会に行ったり、アイスを買って食べたり、ゲームセンターに行ったり、
ところで、時間がたつに連れて俺の財布から野口英世様がいなくなっていくのはどうしてだろう?
それよりも今さらだが、なぜハルヒはここまで俺についてくれているのだろう?
いや、くれているという言い方はおかしいか。
はっきり言って、邪魔だ。
 
二人は小学校の近くの人気のない公園に入っていく。
「今日は一緒にいてくれてありがとう。楽しかったよ」
男が妹に言う。
俺は、あれで楽しかったのか!と少し驚きながら、二人を見続けた。
隣で俺の財布に入ってた金から買ったコーラをグビグビ飲んでいるハルヒは無視だ。
「そろそろ帰らなきゃね!明後日また学校で会お!」
その後に、「また、こうやって遊ぼうね!」と妹は続けた。
何を言ってるんだ妹!しかも笑顔で!
それはお兄ちゃんが許さないぞ!
 
ふと、男の顔を見ると先ほどよりも暗い顔になっているのが分かる。
なぜ、妹にあんなこと言ってもらえて暗い顔せにゃならんのだ!
とか思っていると、
「一つだけ言いたいことがあるんだ」
と、言い出した。
さてさて、何を言いたいんだろう?
と、今日の行動、言動、あの手紙を思い出しながら考えてみて、ふと気づいた。
 
まだ告白をしていない。
 
はっきり言って、告白した後のことをやってるが、実際には告白なんてしていない。
まさか言うつもりなのか!
と思ってると、ハルヒが後ろから俺の腰を掴んできた。
どうやら、俺は今にも妹のもとへ駆け寄ろうとしていたところらしい。
「あんた、今邪魔しちゃ二人に悪いでしょうが!」
分かってるさ。それぐらい分かってるさ俺にも。
もし、二人が中学生なら何も言わん。
でも、まだ小学生だぞ小学生。水色の時代になっているかどうかも分からないんだぞ。
 
それからしばらくして、男が口を開いた。
「僕、明日遠くの町に引っ越すんだ」
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
またまた沈黙。
しかし、先ほどと空気が違う。
今回はそれを聞いた全員が硬直している。
予想外だ。
いや、でもあれ?
普通、明日引っ越すぐらいなら、自前に先生から生徒に説明されてるだろ?
という疑問を感じていると、
「先生には、みんなには黙っててほしいって言ってたんだ」
と、回答をくれた。
 
つまり今回の行動は、引っ越す前の最後の思い出を作りたかったとかそんなのか・・・
で、なぜ妹か・・・いや、それは言われなくても分かる。
それより、今は夕方。
夕日に照らされる二人は絵になるような気がする。
遠くからバイクの音が聞こえた。
 
「じゃあ、僕帰るよ。今日のことずっと忘れないから」
少年は走って帰っていった。
妹は呆然として立ち止まっている。
 
えっと・・・俺はどうするべきだ?
いや、さっきからなんもしてないんだけどさ・・・
でもな、なんかしなきゃならないような気がするんだよ。
とか思っていると、ハルヒが急に立ち上がった。
「ちょっとさっきの子、連れ戻してくる」
「何で?」
「何でってあたりまえでしょ!これじゃあ妹ちゃんがかわいそうじゃないの!」
「何で?」
「何でってあんた、今日一日妹ちゃんはあの子と一緒にいてあげたのよ。それってつまり・・・ああ、もういい」
そう言い終わるや否や、ハルヒは少年のもとに駆け出して行った。
あの少年も小学生のわりには足が速かったように見えたからな。追いつけるかどうか・・・
 
ふと、妹の方を見てみた。
って、うゎっと!
妹もこちらを見ていた。
 
「キョンくぅん」
今にも泣き出しそうな声で俺を呼ぶ。
誰だ!妹を泣かしたのは!
チクショウさっきの男か。今度あったら覚えとけよ。
 
「キョンくぅん」
もう一度俺の名を呼ぶ。
今度は俺の腹にもたれかかりながら。
もっと野菜食べて背高くなれよ。
とか思いながら俺は、妹が泣き止むまでそのままじっとたたずんでいた。
 
それからいったん小学校まで行き、妹を荷台に乗せて俺は漕ぎ出した。
何か忘れているような気がするが、そのうち思い出すだろう。
途中から寝息が聞こえだしてきた。
どうやら荷台で寝てしまったらしい。
落ちるなよ。
でもまあ、自転車の上で寝ちまうぐらい、今日は本当に疲れる一日だったんだろうな。
 
俺は自転車の速度を減速させ、今日の夕飯はなんだったかな?と思いながら、
「おやすみ」
そう呟いた。
 
次の日、俺は妹のボディプレスによって起こされた。
おかしいな・・・今日は日曜日なはずなんだが。
「キョンくん。昨日ついてきてたの?」
妹が何かたくらんでいるような顔でそう言ってきた。
ったく、昨日は帰ってきてからも普段より元気なかったのに、今日は何でこんなに朝から元気100倍なんだ。
とりあえず、ここは返答しておかないとな。ここは嘘をついておこう。
「いいや、あの時偶然通りかかったんだ」
「ホントー?」
「本当だ」
「何で着いてきてたの?」
「そりゃあ、しんぱ・・・・・」
はめられた。
 
「やっぱり着いてきてたんだー!」
なぜうれしそうに言う?
ここは怒るところじゃないのか?
それとだ、「何してもらおっかなー?」ってどういう意味だ?
「遊園地!」
俺は3秒間強く目を瞑ってから、「また今度な」
そう言ったのだが、
「ダーメ。今日行くの!」
今日ってお前、昨日疲れただろ?今日はゆっくり休め。
と言ったとたん、またまたボディプレス発動。
「今日行くのー!」
そんなこと言われても、財布の中身は昨日の出来事のせいで0に等しい。
と思ったが次のひと言で、俺は行くことに決めた。
まあ、金なら通帳からおろせばいいだけさ。
 
「ねっ!お願い。お兄ちゃん」

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最終更新:2020年06月29日 18:48