今日は7月19日。
いつものように授業後、文芸部室(今では疑いようもなくSOS団の溜り場だが…)にいつものメンバーが集まっていた。
そして、少し遅れてやってきたハルヒによって無駄に暑くなるであろう夏休みの予定を告げられた。
ハルヒ「地底人を見つけましょう!」
夏休みに入ったらSOS団のメンバーで旅行に行くというものだ。
ハルヒ「今度はスポンサーに頼るんじゃなくてSOS団の力だけで楽しもうじゃないの!
   目指すは富士の樹海の地下にすむ地底人との交流!」
ハルヒ「正々堂々真っ向から向かっていくわよ!」
そして今日はその為の買出しに行くらしい。
必要な物は探検服、非常食、テントとどうも偏った揃え方だ。
ハルヒのヤツ、今度は何に影響されたんだ?

鶴屋「やぁ!キョンくんにハルにゃん!こんなところでどうしたのさっ?」
キョン「あ、鶴屋さん。こんちは。今から買出しに行くところです」
鶴屋「へ~、そいつは初耳だあっ!またなんか面白い事でもやんのっ?」
キョン「えぇ、夏休み入ったら富士の樹海nムガッ!」
ハルヒ「(こら!バカキョン!団員以外の人に情報を漏らしてどうするの!!
    今回は私たちの力だけでやるって言ったでしょ!)」
鶴屋さんに話すくらいならいいじゃないか。
それに鶴屋さんはいちいち首を突っ込んでくるような性格じゃないと思うぞ。
ハルヒ「うるさいわね!さっさと買出しいくわよ!!」
キョン「そ、それじゃ鶴屋さん!」
鶴屋さんはなぜか俯いて手を腰の後ろでもじもじさせている。
オレがハルヒにグイグイと引っ張られているとパッと顔をあげた鶴屋さんが後ろから声を掛けてきた。

鶴屋「ちょいと待ちなっ!面白そうだねぇ、私も混ぜてよっ!」
あれ?オレはてっきりケラケラ笑われるもんだと思っていたんだが…
ハルヒ「(ほらみなさいよ!あんたどう責任とるの!)」
む、オレは別に鶴屋さんが混ざってくれるのに異存は無い。
むしろなんでハルヒが急に自分たちの力だけで云々いいだしたかの方がよっぽど気になるね。
でも…確かにおかしい。鶴屋さんが自分から積極的に参加してきたことなんかあったか?
キョン「なぁハルヒ。鶴屋さんならいいじゃないか。ていうか鶴屋さんてSOS団の名誉顧問じゃなかったか?」
まさか樹海の近くにまで別荘をもってるってことはないだろうし。
あんなとこに建てるくらいなら軽井沢とかに建てているはずだ。
キョン「要はパトロンに頼りきりにならなければいいんだろ?」
なら鶴屋さんも身体一つで参加してもらえばいいじゃないか。
ハルヒ「ん、そうね。それは言えてるわ。わかった、鶴屋さんも一緒に行きましょう!地底人捕獲作戦!」
交流じゃなかったのか。
キョン「じゃあそういう事ですし、鶴屋さんも買出し行きますか?」
鶴屋「えっ!?か、買出しはいいよっ!二人で行ってきなっ!」
誰にどんな気を使ってるんだこの人は。まさかオレとハルヒをそんな関係だと思ってるんだろうか。
いやまさかね。いつも荷物持ちにされている姿からそんな想像はとても出来まい。
とにかくオレとハルヒは買出しにでかけた。一人いつもと調子の違う鶴屋さんを残して。

疲れた…ハルヒのお陰でオレは荷物持ち選手権があれば上位の成績を修める自信がある。
しかし、今日の鶴屋さんはどうも何かがおかしかったな。
いつもならもっとこう、溢れんばかりのエネルギーを感じるのに
今日はどこか上の空でオレやハルヒと目を合わせないようにしていた気がする。

なんて考えすぎか。
どうも最近の体験からかちょっとした違和感を深く考えすぎてしまった。

旅行に参加するなら明日の活動には鶴屋さんも来てくれるかもしれない。
その時になればまたいつもの鶴屋さんがハルヒすら引っ張っていけそうな笑顔を振りまいてくれるはずだ。

朝。気怠い雰囲気をなんとかふり払って登校する。

キョン「はぁ、この坂だけは…」

もううちわで扇いだところでどうにもならない程の熱を帯ながらズンズン進んで行く。
ふと坂の上をみると見覚えのある長い髪を翻して歩く姿が。まぁどうみても鶴屋さんだろう。
いつもなら挨拶くらいするもんだか今朝だけはそうはいかなかった。

なんか鶴屋さんが溜め息を吐いている。

いやでも決して暗い雰囲気ではない。表情はぽやぽやとした柔らかい…というかニヤニヤした笑顔だ。
一体どうしてしまったんだろうか?

みくる「おかしい?」
キョン「えぇ、今朝も何か変だったし。なんか思い当たる事ありませんか?」

さすがに心配になる。いつもはあんなにハイテンションだからってのもあるが…
あの人…鶴屋さんはオレの大事な先輩の一人だ。ほっとける訳がない。

みくる「う~ん…確かに最近考え事してる事が多いけど…」

朝比奈さんは別にそこまで気にならないらしい。

みくる「鶴屋さんも女の子だから。色んな悩みがあるんじゃないかな?」

朝比奈さんらしく優しく笑いながら答えてくれた。
こういうのを天使の微笑(スマイル)と言うんだろう。このまま一緒に天国に行っちまいたいね。二人っきりで。

にしても女の子だから、か。確かに昨日今日の態度はなんというかまるで…恋する乙女って感じだ。
いつもの元気がない替わりに心ここに在らずって感じだったしな。

…しかしこの考えには難しい結論が必要になってくる。
いつもと違いSOS団活動に積極的に参加してくる姿勢。この事が導き出す答えは、そう。

鶴屋さんの想い人はSOS団団員の中にいるのではないだろうか?

ていうかその中に男はオレと古泉の野郎しかいないのだが。
古泉はいつもニヤけててムカつくヤツだか顔はなかなか端正に整っている。
おそらく世間一般の目から見ればオレよりはかっこいいのだろう(言っててムカついてきた)。
それにオレは鶴屋さんが自分の事を好きなんじゃないかと考える程自分に自信がある訳でもない。
しかし古泉か、鶴屋さんの好みにケチをつける気はないが

鶴屋「や!一樹くん!今日はどこ遊びに行こうかっ?」
古泉「僕は…そうだな、あなたと一緒ならばどこでも楽しめますからね。どこでもよろしいかと」
鶴屋「もー!嬉しい事言ってくれるねっ!じゃあとりあえず喫茶店でも行こっかっ」

…やっぱりなんかイヤだ。というかこの二人は合ってないような気がする。いやなんとなくだが。

これならまだ相手が朝比奈さんかハルヒの方が絵になりそうだ。
この二人なら相性もよさそうだしオレもイヤな気はしない。
一応言っておくが、古泉よりは良いと言う話で別に女同士が好きとかそういう趣味はないぞ?
そもそもホントに恋をしているかどうかもわからないんだからそんな事を考えていても詮無き事だ。

そんな思案に耽っていると古泉と、遅れてハルヒもやってきた。


結局、この日鶴屋さんは文芸部室に顔を出さなかった。

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