(作者の都合によりいきなりクライマックス)
ハルヒを孤立させるため、キョンの篭絡を計った朝倉
しかし天性のニブチンであるキョンはなかなか朝倉になびかない。
業を煮やした朝倉は正攻法、搦め手を含めてキョンへのアタックを続ける。
そのうちにだんだんキョンのことが好きになってしまうが、朝倉は認めようとしない。
あくまでハルヒを孤立させるためという建前を貫き通していた。

そしてハルヒの誕生日前日、朝倉はわざわざ翌日をキョンに告白する日に定め、
彼につきまとう。なぜかキョンもその日に限って朝倉と仲良くしていた。
ハルヒはそんなキョンに素直になれず、悪態をついてしまう。
そして誕生日当日、キョンと朝倉が仲良くしている姿を見るのがイヤだったハルヒは
学校を休んでしまう。

ハルヒ「あーあ、今日は誕生日だってのに、なにやってんだろ私・・・」

学校をサボッたハルヒは、ベッドの上でゴロゴロしていた。
不意にハルヒの目から涙が流れる。

ハルヒ「やだ!私、別に悲しくなんか・・・キョン・・・バカキョン・・・
    アイツ、とうとう朝倉と付き合うのかな・・・」

とうとうハルヒの目から大粒の涙が溢れ出してきた。

ハルヒ「キョン・・・なんであんなヤツと・・・バカキョン・・・うぇ・・・・グスッ・・・・」

ハルヒは耐え切れなくなり、ついに大きな声を上げて泣きはじめた。

その日、キョンは早めに学校に着いたが、一向にハルヒは教室に現れなかった。

昨日朝倉と急接近したせいか、それとも他に理由があるのか、
キョンは妙にそわそわしていた。

朝倉「キョン君、おはよ!」
キョン「あ、ああ。おはよう。昨日はサンキューな」
朝倉「別にお礼なんていいわ。私も楽しかったし」

その日はなぜか朝倉も少し浮かない顔をしていた。
キョンはその日の授業をうわの空で聞き流し、午後の授業が終わると急いで部室に向かおうとした。

朝倉「待って、キョン君」
キョン「ん、どうした?」
朝倉「少し話があるの・・・いいかな?」
キョン「・・・ああ、かまわないぞ」

一方、ハルヒはその日一日を泣きながら過ごしていた。
キョンのことを思い浮かべては涙を流すの繰り返しである。
そのせいで夕方ころには目を真っ赤に腫れ明かしていた。

不意にハルヒの携帯が鳴り出した。着信先を見ると、朝倉からである。

ハルヒ「フン、どうせキョンと付き合うことになったことをみせつけたいだけなのよ」

ハルヒは朝倉からの電話を無視していたが、あまりにもしつこくかかってきたので
着信8回目にしてついに出てしまった。

ハルヒ「うるさいわね。なんか用?」
朝倉「とんだご挨拶ね。・・・今からちょっとだけ顔を貸してもらえない?」
ハルヒ「おあいにく様!こっちは体調不良で寝てるの。また今度にしてちょうだい」
朝倉「ウソおっしゃい。どうせ仮病でしょ?川沿いの公園のベンチで待ってるから。
   絶対くるのよ!」

ハルヒ「もしかしてキョンも一緒にいるのかな・・・」

キョンのことを思い出すと、また泣きそうになる。

ハルヒ「・・・しかたないわね。このままずっと寝てるわけにもいかないし」

ハルヒは朝倉に会いに行く決意を決めると、すばやく準備をして家を出た。


朝倉「遅いよ」
ハルヒ「あんたが突然呼び出したりするからよ。んで、何の用?さっさと済ませちゃってよ」

ハルヒは覚悟を決めていたが、朝倉を前にするとやはり心が痛んだ。

朝倉「・・・そんなに構えなくていいわ。たぶん、あなたにとってはいい話だろうから」

ハルヒ「どういうことよ?」
朝倉「なんだか、どうでもよくなってきちゃった」

朝倉の言葉に、ハルヒはわけがわからずに聞き返した。

ハルヒ「はぁ?意味わかんないわよ」
朝倉「キョン君のことよ」

キョンの名前を出されて、ハルヒは一瞬ビクっとした。

朝倉「私ね、はっきり言ってあなたのことが嫌いだった。私と同じぐらい、いやそれ以上に
  勉強やスポーツができて、顔もかわいいあなたのことをね」
ハルヒ「・・・・・」
朝倉「はじめはね、クラスで孤立してるあなたを見て安心してたの。
   でもね、サークルを作ってキョン君と仲良くし始めたあなたを見て、
   なぜかすごく憎らしく思えてきたの」

ハルヒ「それで私を目のカタキにしてたってワケ?とんだ迷惑ね」
朝倉「その通りよ。だからあなたからキョン君を奪おうと思ったの・・・
   別に本気で好きだったわけじゃないのよ。ただあなたを困らそうとしただけ」
ハルヒ「・・・・・」

朝倉「それでね、さっきキョン君に告白してきたんだけど」
ハルヒ「!?・・・やっぱり」
朝倉「でもね、断られちゃった。彼、ちゃんと好きな人がいるらしいわ」
ハルヒ「どうして・・・?だってアンタたち、昨日だってあんなに仲良くしてたじゃない」

ここまでくると朝倉は笑顔を崩し、ハルヒを睨みつけるような表情で言った。

朝倉「そうよ。私だって彼の気持ちは私にあるんだって思ってた・・・
   昨日はね、彼、私にシルバーアクセサリーについて詳しく聞いてきたのよ。
   私、よくショップを回ったり、時には自作したりもしてるからね。人並み以上には
   詳しいと自負してるわ」
ハルヒ「・・・あ!?」
朝倉「心当たりがあるようね。彼にねだったことでもあるの?・・・その通りよ。
   彼は今日のあなたの誕生日のために、わざわざこの私に教えを受けてたってわけ。
   バカにしてると思わない?」

ハルヒはそれを聞くと、自分の勘違いを深く恥じた。
ハルヒ(キョン・・・まさか私のために、そこまで考えてくれていたなんて・・・)

朝倉「彼に告白を断られた後、そのことを聞き出したわ。まったくピエロもいいとこよ」

そういうと、朝倉はハルヒに近づいてきて、ハルヒの頬を張りつけた。

朝倉「おめでとう!これで彼はあなたのものよ!お幸せにね!」

そこまで言うと、朝倉は走ってその場を去った。
ハルヒは唖然とした顔で、走り去る朝倉の後ろ姿を見つめていた。


朝倉「なによ、人をバカにして!別に本気だったわけじゃないけど
   ヘンに気を持たせるような素振りを見せなくてもいいじゃない」

朝倉がマンションの下までくると、そこには長門が立っていた。

長門「・・・これ」

長門が缶ジュースを差し出すと、朝倉はひったくるようにして
手に取り、一気に飲み干した。

長門「・・・あなたは、彼のことが」
朝倉「言っとくけどね。私は涼宮さんが憎かっただけなの。
   キョン君のことなんて本気じゃなかったわ。彼が私になびいたら、
   さっさとフッてやるつもりだったの」
長門「あなたは素直じゃない。でも、以前よりは本音を言ってくれるようになった」

そういうと、長門はゆっくりとハンカチを差し出した。

朝倉「なによ・・・みんなでバカにして・・・ホント、私だけバカみたいじゃない・・・」

その夜、朝倉と長門はマンションの屋上に上がり、街の光を眺めていた。


朝倉「今頃、あの二人仲良くやってるだろなあ・・・
   あーあ、こんなことになるんだったら最初から正攻法で攻めるんだった」
長門「私は、あなたがうらやましい」
朝倉「こんなヘソ曲がりで陰険な私が?えらく持ち上げてくれるわね」

長門「あなたは人を惹きつける明るさを持っている。彼だってあなたの明るさには惹かれてた。
   ただ、あなたは素直じゃないだけ」
朝倉「あなただって、私の本性は知っているでしょう?明るさなんて表面上だけのものよ」
長門「表面上だけでも、それは立派なあなたの個性。私にはそれがない」

朝倉「言ってくれるわね。私だって、あなたのその素直な性格がうらやましいわ」
長門「そう」
朝倉「そうよ。素直さにかけては、私やあの涼宮さんなんて足元にも及ばないわ」
長門「・・・そう」
朝倉「そんなにうれしそうな顔しないでよ」





その後、朝倉とハルヒはよくケンカするようになった。
しかしそれは以前のような水面下だけのものではなく、
お互い本人を前にしての口ゲンカである。

似たもの同士、少しは互いを理解できたというべきか。
朝倉も少しずつではあるが本心を明かすようになり、
以前とのギャップに篭絡されたヤツは男女問わず多いようだ。

次学期の委員長にはハルヒも立候補するつもりのようだが、
人望の面で圧倒的に不利である。
その差をどう埋めるつもりなのか、少し気になる。
まあどちらが勝っても対した問題ではない。

願わくば、この友情が末永く続きますように。


終わり。

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