○月×日 晴れ

今日から日記を付けてみようと思う。
普通の日記なら書いた本人がその日に起こったことを書き綴るものだが、
今回は同じクラスの女生徒、長門有希という人物を僕の目から見て感じ思ったことを書き綴ろうと思う。

恐らく長門本人にこんなものを書いてると悟られた日には引かれること請け合いだが
誰に見られるものわけでもない。

自由に書いていこう思う

さて、冒頭から言い訳がましいのは、数年後この日記を見たとき
俺自身が自分の命を絶たないようにするための防止策である。

そうそう、これも付け足しておかないと
「俺は長門有希に恋をしている」



○月×日 晴れ

読むのは俺自身しかいないだろうし、読み返すこともないだろうが
とりあえず俺自身が感じた長門有希をという人物をついて書いていこう思う。

俺が長門有希を初めて目にしたのは、当たり前だが入学式である

第一印象を箇条書きにすればこんなところだろ

  • 小柄
  • 灰色がかった髪
  • メガネをかけている


当時はなんら感じるものがなかった
彼女がここまで僕の高校生活を狂わすとはいやはや人生は分からないものである

しかし2日目にして本筋に入れないのは、長門有希への申し訳なさからだろうか



○月×日 晴れ

さてさて3日目は、学校生活にも慣れてきた今現在の長門有希の印象について書いていこうと思う。
しかし、こんな駄文が第三者に見られたら、1日目に書いた自殺防止策は虚しいものになるであろう。

彼女が、普通と違うと感じ始めたのは3日目ぐらいであろうか。
登校1日目はみな不安や期待と共に周りの人間に話しかけていた。
もちろん俺もその一人である。

しかし長門有希は担任の話が終わるやいなや、誰に話しかけることもなく本を読み出したのである
その時は、シャイで自分が話し掛けれらないタイプなんだろうなぐらいで思ったが彼女は違っていた。

ふむ、2日目で彼女に興味がないようなことを書いておきながら、
入学当初の彼女の様子をここまで鮮明に覚えているということは始めてから淡い恋心を抱いてたのかもしれない

どんな些細な発見でも素晴らしいと考える俺にとっては喜ばしいことである



○月×日 晴れ

4日目は、彼女は普通とは違うと思った具体的な部分について触れていこうと思う。

入学3日目にもなれば、それなりにグループが出来始め
友達作りの成果が現れてくるころである。

俺は、あまり友達というものを重要視しないほうだが
楽しい高校生活を送りたいという願望は少なからずあるので
中学時代の友達や高校で知り合った気が合いそうな連中とグループを作っていた。

しかし、長門有希にはそのような願望が全くないようで、
出欠を取る時に聞いた「ハイ」という言葉以外声をほとんど聞いたことがないのである。

いつまでも一人でいる彼女のことを心配してか、話しかけてくる女生徒は何人かいたが
長門有希をそれらを「完・全・無・視」したのである。



○月×日 くもり

5日目は、4月ごろの長門有希の様子を書いていこうと思う。

入学後1週間も、彼女は一人で本を読んでいた。

それでも女に話しかける女生徒はいたが結果は書くまでもないだろう。
彼女のルックスに引かれたのか、冷やかしなのかは知らないが、
話しかける男子生徒もいたが上に書いてあるとおりである。

どうも彼女は、文芸部とかいう俺には
何をするのかよく分からない部活に入ったようである

しかし、しかし噂によれば涼宮ハルヒとかいう頭のおかしい女に部室を乗っ取られて
SOS団とかいうまたまた俺には何をするか分からない団体に入れさせられたようである。

まぁ、一人でいる彼女が心配だった俺は、少しぐらい頭がおかしくても友達がいればそれでよしぐらいに考えていた。

事実、乗っ取られたあとも足しげく部室に通ってるところから悪いようにされてるようではないようである。

その頃だったかな、彼女の表情が少しだけ柔らかくなったのは

さぁ日記というていをとってみたがこれでは、自分の思い出を書き殴っているだけである
自分の駄文に嫌気がさし書くのをやめないか少し不安になってきた俺である



○月×日 晴れ

6日目は、恋する乙女でも付けないような、こんな日記を付け始めた理由に触れようと思う

まず、結論から書くと「長門有希はいじめられている」

もちろん長門本人が一番悩んでるだろうが、
好きな女がいじめられている様を見るのは激しく気分の悪いものである

数年後の俺に、笑われるだろうこの日記は感情の捌け口として書き始めたものである

さて本筋を中々に入れなかったのか現実を見たくないという俺の弱さだろうか

ペン走らせすぎて痛み出した手首とは比べ物にならないほど
「長門有希はいじめられている」という一節を書いた時に俺の心は痛んだ

こんな文章も書いてる自分自身が寒いが事実である



○月×日 雨

7日目である。
最近は天気も安定しなくても憂鬱である
しかしながら、好きな女がいじめられている様を書き綴るほうが何倍も憂鬱である。

それなら、書かなければいいだろ!と自分自身に突っ込みを入れたいが
いい捌け口が見つからないのでやはりここに書くことにする

長門有希がいじめられる原因となったのは、何日か前に書いたと思うが
異常なまでの人当たりの悪さである。

馴染めない人間はどのクラスでもいるだろうが
そのような人間でもそれでもある程度の愛想を持ち合わしている

しかし長門有希の場合は完全なる無視
無視された人間はもちろん、上っ面だろうが友情を大切にする女子どもが気分よく思わないのは当然である。



○月×日 雨

最近は、雨が酷くて登下校がイヤになるが8日目の日記である。

まことに憂鬱。

さて、女子のいじめといえば真っ先に思いつくのはシカトであるが
元々クラスメイトと馴れ合おうと思ってない長門には意味のないことである。

俺が、知りえるなかで初めて長門有希にされたいじめは上靴隠しである。
たいしたことではないと思われるが、これが中々効くものである。

一人だけスリッパでいるのは、いやおうなしにも目立ち
その日の彼女はいつも以上に本に集中し悲しげであった。

誰がやったかという確たる証拠はないが今日という日まで
長門がされてきたイジメを見てきた俺は女子どもがやったものでは勘ぐってしまう。

結局、見つからず注文となったが
上靴が来るまでスリッパ姿で晒し者となった長門有希が不憫でならない。

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最終更新:2007年01月15日 01:11